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3.レオタード

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作者:ブルー

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 制服姿だとわからないが、レオタード姿になった南ちゃんは首筋や鎖骨のラインがとても綺麗だ。
 あと姿勢がいいので見栄えがする。基本中の基本だが南ちゃんが高得点を連発する理由でもある。
 ふわりとした黒髪が肩にかかった横顔はどこかはかなげな印象を抱かせる。

「いつも練習前にしてるみたいにしてごらんよ」
 南ちゃんにストレッチをするようにうながした。
 緊張をほぐすためだ。南ちゃんは右腕の肘に左腕をクロスして引っ張る動きをした。
「そうそう、表情は自然に」
 私の指示とは裏腹に視線があらぬ方向を見ている。
 カメラを意識しすぎている。元々の素材がいいだけに南ちゃんのような女の子は自然な表情が一番いいのに。
 私は作戦を変えることにした。名付けてトークdeパシャリ作戦だ。
「学校は楽しい?」
「達ちゃんは授業中寝てばっかりだけど」
「クラスの友達とは休憩時間にどんなことを話すのかな」
「恋愛とか噂についてかなぁ」
「誰が誰と付き合ってるとか?」
「うん。そんな感じかな」
「南ちゃんって同性の友達が少なそうだよね」
「どうしてそう思うの」
「ひがみとかやっかみがありそうじゃない」
「あるようなないような」
「やっぱり」
「女子高生も大変なんだぞ」
「わかるわかる」
「ほんとかな、まったく」
「ちなみに普段はどんな音楽聴いてるの?」
「音楽?」
「新体操って演技中に音楽をかけてるでしょ」
「南は女性アーティストの曲が好きかな」
「へぇ、住友里子とか?」
「あ、知ってる南、その人」
「いま人気のアイドルだよね。南ちゃんのほうが可愛いけどね」
「またまた」
 南ちゃんは照れくさそうに髪を指で触れていた。
 だんだんと笑顔が戻ってきた。テレビに出ている芸能人より可愛いと褒められて嫌な気がする女の子などいるわけがない。
「そんなふうに南をおだてたってダメなんだから」
「ほんとだよ、ほんと」
「えぇ~」
「日本中探しても南ちゃんみたいな女の子はいないよ」
「あんまり褒めると信じちゃうんだぞ、南」
「事実だからね」
「もうっ」と言いながら、南ちゃんの口もとには白い歯がこぼれる。
「ズバリ南ちゃんはどういう男がタイプなのかな」
「えーっと……」
「教えてよ、南ちゃん。今後の参考にしたいからさ」
「南の気持ちを一番に考えてくれる人かな」
「南ちゃんの気持ちを?」
「あと責任感の強い人とか」
「対象年齢は? おじさんぐらい年上でも可能性はある?」
「南はそういうのあんまり気にならないわよ」
「おお、まだチャンスがあるわけだ」
 喜んだ私を見て、南ちゃんが小さく微笑んでくれた。
 彼女に良い印象を与えたようだとわかった。
「両手を頭の上で組んで背伸びして~、軽く体を横に傾けてみようか」
 バストショットでフォーカスしてシャッターボタンを押した。
 順調だ。先ほどまでのような硬さはなかった。
 演技をしてる時のような真剣な表情をしてくれる。
「いつもの南ちゃんに戻ったみたいだね」
「そうかな、南」
「あれってできる?」
「あれ?」
「床に座って両足を開くの」
「うん」
 返事をした南ちゃんは床に座ると、楽々と両足を180度に開脚した。
 レオタードからスラリと伸びた、右足と左足が床に沿って伸びて一直線になった。手を膝のところに置いている。
「おお、すごい! 体柔らかいね、南ちゃん」
「これぐらい出来て当然よ」
「そうだよね、新体操部のエースだもんね」
「そうそう、南は小さな巨人です! なーんて」
「南ちゃん、目線はこっちだよ」
 呼ぶと視線をくれた。柔らかな前髪が眉にかかり、愛らしい瞳が輝いていた。
 両足を開いた下半身ではレオタードの食い込みがきつくなり、スリットがさらにはっきりと見えていた。
 南ちゃんの性器の形がほとんど丸わかりだ。
「足が長いね」
 私の目は透き通るように色の白い大腿部と下半身に釘付けになっていた。新体操は室内競技ということもあるが、南ちゃんは肌が瑞々しく白い。
 南ちゃんは私の視線などまったく気づいていない様子で、両腕を前方に伸ばして上体を倒した。
(後ろから見ると一段とすごいな。小ぶりなお尻がレオタードの下でピチピチしている)
 私は床に開脚した南ちゃんを見下ろして、性的な興奮を覚えていた。
 南ちゃんのお尻は小ぶりだがキュートな曲線をしていて、女子高生らしい質感がある。
 すでにズボンの中ではチンポがビンビンだ。
「痛くない?」
「ぜんぜん。毎日してるし」
「継続は力なりだ」
「入部した頃の練習はほとんどこれかな」
「ほうほう、入部したてはねェ……」
 私は南ちゃんの生足と股間に触りたくなった。
 しかし、そんなことをすれば彼女を驚かせてしまう。
 私はもう少しの辛抱だと自分に言い聞かせた。

 次に南ちゃんは床に右半身を下にして横になり、左足だけを高く掲げたり下ろしたりする運動をはじめた。
(南ちゃん、だんだん大胆になってきたな)
 ゆっくりとした間隔で、レオタードの股間が見えたり隠れたりしている。
 その一見すると無邪気な様子に、南ちゃんの本性を垣間見た気がした。
 男をその気にさせるだけさせて肝心な時になるとお茶を濁す。そういう思わせぶりな態度こそが、浅倉南ちゃんの本質だ。雨の日に偶然出会った時から気づいてはいたが改めていま確信した。そういうタイプは都内の有名私立大学に通う女子大生に多い。ミスキャンパスだ、女子アナ候補だともてはやされて取り巻きの男子にチヤホヤされている。
(男を舐めてるといつか痛い目を見るぞ、南ちゃんも)
 私は南ちゃんもそういう女の子になるのではないかと心配した。
 下着姿を見られるのも恥じらっていた少女がある日突然現実的になる。私はそういう女子高生を何人も見てきた。男はいつまでたっても子供だが、少女が少女でいられる瞬間は残酷なぐらい短いのだ。
「そのままだよ、南ちゃん」
 かかとが頭のてっぺんよりも高い位置にきた姿勢をキープするように指示をして、私は南ちゃんとの距離を縮めた。全身がフレームに入るよう、足下側からピントをレオタードの股間に合わせる。
「T山さん、近いわ」
「み、南ちゃんの魅力的な部分を撮影するだけだよ」
「はずかしい、南」
「ハアハア、すごい大胆なポーズだよ、南ちゃん」
 シャッター音をさせると、南ちゃんがわずかに顔を赤くした。
 男の視線を意識した少女の顔だ。
「いい写真が撮れたよ、南ちゃん」
「う、うん……」
 立ち上がった南ちゃんは気まずそうにレオタードの食い込みを直していた。
 運動をしたせいでちょっと汗ばんでいた。それがまた南ちゃんの健康的な色気を引き立てている。
「南ちゃん、写真を撮られるのは嫌いじゃないでしょ」
 それについてはかなり自信があった。
 嫌いな子がミス明青に選ばれたり、新体操を続けたりするわけがない。南ちゃんにも女の子特有の注目されたい願望はある。
(モデル気分になってきてるな。そろそろもっと際どいポーズをさせてみるか)
 私はこの様子ならもっと行けるはずだと踏んだ。
 大人として、男の部屋でレオタード姿になることがどんなに危険な行為か教えなければいけない。
「どうかな、南……。たまに新聞記者さんにインタビューとかされるけど」
「次はちょっとエッチなポーズしてみようか」
「えっ……!?」
「できるよね、南ちゃん?」
「でも……そういうのは」
「ちょっとだけだからさ」
「う、うん……」
 南ちゃんは体の前で両手の指を絡めてうつむいていた。
 その姿はまるで繊細なタッチで描かれたイラストのように美しかった。

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