作者:しょうきち
マサとシンの2人組は、受付の店員とは気心が知れた様子であった。マサが軽く目配せすると、店員は心得た様に軽く口元を歪め、シンにリモコンと鍵を手渡した。
そして案内された個室は、四人で使うには十分過ぎる程の広さであった。実際カラオケだけではなく、ちょっとしたパーティや少人数のイベント等にも使われるのだという。
四人でカラオケを楽しんだ。マサとシンの二人は英国のプログレッシブ・ロックバンドの曲を歌い、沙希と未緒は有名アイドルのデュオ曲を歌った。
「ヒュー、未緒ちゃん、めっちゃ歌上手いじゃん。何かやってたの? ボイトレとか、演劇とか?」
「い、いえ……私はその……ウフフ、分かります……? なぁんちゃってぇ、アハハハハ」
未緒は上機嫌でケラケラと笑っていた。
沙希にさえも話していなかったが、未緒は以前より演劇の世界に興味を持っていた。
きらめき高校にも演劇部はあるものの、未緒はそこには入らず、文芸部に所属していた。しかし、演劇への興味はどうにも抑えられず、大学生になったら演劇部に入るつもりで密かに独りで発声練習等を行っていたのである。歌もその一貫である。演劇経験があるかのように言われた事が嬉しかったのである。
「沙希ちゃんはまあ……その、ドンマイ……」
「もう! だから嫌って言ったのにぃ……」
一方の沙希は、歌うこと自体は嫌いではないものの、あまり得意ではない。その事が軽いコンプレックスであった。
「むぅーっ」
顔を赤らめ、むくれて見せる沙希。
「ハハハハハ。まあまあ沙希ちゃん。まだ喉が温まってないんじゃない? これでも飲んで、さあ」
「これ、お酒……?」
「大丈夫だよ。軽いヤツだし、ジュースみたいなモンっしょ。今時皆飲んでるよ。ホラ、未緒ちゃんだって」
沙希がふと横を見やると、未緒は既に相当量のカクテルをあおっていた。普段引っ込み思案であった筈の未緒が、初対面の男の前であるにも関わらずケラケラと陽気に笑っているのにはこうした事情があった。
未緒が既に出来上がっていることもあってか、沙希も男に言われるがまま、グラスに注がれた液体に口をつけた。甘いアルコールの香りが鼻腔をくすぐる。
「ホラ沙希ちゃん、グッといきなよ。根性だよ、根性!」
面白がって未緒まで煽る。沙希は根性という言葉に弱かった。
場の雰囲気や親友に後押しされた事もあり、沙希はその液体をぐっと一息に飲み干した。最初は甘くて飲みやすそうに思えたが、喉を通り抜けた辺りでアルコール特有の焼ける様な感覚にむせかえりそうになった。今更場を白けさせるのも、あまり子供っぽく見られるのも癪だったので、何とか平静を保とうとした。顔が上気し、頬がぽうっと染まる。
「ひっく、……ふぅ……」
「ハハハ、いい飲みっぷりだね。沙希ちゃん。それじゃ、もう一杯どうだい? まだ呑み足りないかな?」
「ちょ、ちょっと待って下さい。ち、ちょっ、お、お化粧直しに……」
「あー、この部屋出て右奥。案内してあげよっか?」
「だ、大丈夫ですっ!」
(ふ~。未緒ちゃん、楽しそうだったな……。私も、野球部の事は忘れて青春を謳歌した方がいいのかな……。ほんの少し前までは、カラオケとか、ショッピングとか、女の子らしい遊びなんて全然せずにグラウンドを駆け回っていたんだっけ。もう、何年も昔の事みたい……)
用を足し、扉を開けて出たところには待ち構える男の影があった。逆立てたアッシュブラウンの髪と大量のピアスが特徴の、シンであった。
「ウェーイ、沙希ちゃん。戻る部屋の場所は分かる?」
「わ、分かりますよォ。……多分」
そう言いつつも、沙希の足取りは微妙に覚つかない。足がもつれそうになった沙希の腕をシンが強引に取り、肩を借りる形となった。
「きゃっ!?」
「ホラホラ、遠慮しないで。いいから案内してあげるよ」
「わ、ちょっと……、もう……!」
(あれ……部屋ってこっちで合ってたっけ……? ああ……私、ちょっと酔っぱらってるのかな?)
シンに連れていかれた部屋は、実のところ先程まで歌っていた部屋とは別の部屋である。しかし、まだ足取りと共に意識のふわふわした沙希には、その事に気付くことは出来なかった。
「あれぇ、二人がいない……? それに何だか片付いてる……?」
「あれェ、本当だね。二人ともトイレかな? それともあの二人、相当出来上がってたし、意気投合して抜け駆けかもね?」
まさかとは思う。しかし、ああ見えて未緒は耳年増なムッツリであることを沙希は知っていた。アルコールの解放感もある。イケメンと二人っきりというシチュエーションは未緒にとっても最も心踊る状況なのだと思う。甘い言葉の一つでも囁かれたらコロッと転んでしまうだろう。もしかするとシンの言う通り、本当に二人で抜け駆けしたのかもしれないという疑念が、沙希の脳裏に渦巻いていた。
「飲み物持ってくるから、二人で待っていようね」
「え、ええ……」
頭の中は未だにふわふわとしていた。未緒の事は気になるが、今はどうしてもやりたい事があった。シンが出ていった部屋の中、沙希は歌本をパラパラとめくる。先程の汚名を返上すべく、自身の歌えそうな曲を探しているのである。何だかんだで負けず嫌いな沙希である。
(え~と……あ、これなんかどうかな? 「涙のエール」。これなら私、歌えそう……)
ページをめくり、自身の歌えそうな曲を見つけ出した沙希は、予約登録をすべくリモコンを探そうとした。しかし、部屋を見回してもそれらしいものが見当たらない。
ソファの隙間にでも落としたのかと思い、四つん這いになってリモコンを探していると、突如後ろから沙希に抱きつく男の影があった。
いつのまにやらドリンクを持ち帰り、部屋に戻って来ていたシンであった。
「きゃあっ!?」
「沙希ちゃぁん、楽しんでる?」
「もうっ、びっくりしたわ。シンさん、ちゃんと楽しんでるからっ、驚かせないで下さいっ!」
「うほほ、良かった。ここに来る前は元気ない顔してたもんね。何か最近、辛い事でもあった? そういう時は、羽目を外してパァッと遊ぶに限るよ」
(この人、チャラチャラした見た目だけど、私のこと見ててくれる……のかな?)
シンは沙希の手を取り、ゆっくりと胸元へと引き寄せた。沙希は抵抗するそぶりも見せない。
思えば薄暗い部屋の中、年上の大人、それも二枚目の男と二人きり。少女コミックで見たようなシチュエーションに、沙希の胸は高鳴っていた。
「沙希ちゃん、いいね?」
うなずく間もなく、男の唇は沙希の唇に重ねられていた。
「んっ!?」
(はぁ、これが……キス……。何だか身体中がポカポカして、気持ちいい……)
「気持ち良さそうだね。沙希ちゃん」
「ハァ……ハァ……。うん……何だか……変な気持ち」
ファースト・キスであった。閉ざされた薄暗い空間、年上の美男子、そしてアルコール。すべての要因が絡み合い、沙希の胸中にえもいわれぬ甘美な感覚を生み出していたのである。
沙希は真っ赤になった顔を隠すように目を伏せた。シンはそんな沙希の顎先をクイッと掴むと、自らの元へ引き寄せてもう一度キスをした。
「ん……」
「んじゃあさ、もっと気持ち良くなろうか」
シンは懐から小さな錠剤を取り出すと、沙希に見せつけるようにつまみ上げて見せた。
「え……、あの、それは……?」
それは、巷で話題の脱法ドラッグ『ドント・ストップ・ミー・ナウ』であった。アッパー系のドラッグで、天地がひっくり返った様な気分を味わえ、エクスタシーの波に乗れると噂のドラッグである。流石に野球部やその周囲で使用している者などは居なかったものの、沙希でも名前くらいは聞いたことが有る程に、若年層にも浸透している。
「気持ち良くなれるお薬だよ。大丈夫だって。皆やってるヤツだよ? 軽いやつだし、沙希ちゃんみたいな高校生でもよく買ったり飲んだりしてるよ? 知らないの?」
「し、知ってるわ。でも、私……」
「いいじゃんいいじゃん。新しい世界が開けるよ」
「あ、ああんっ……、んぐっ」
シンは錠剤をを自身の舌上に乗せると、再び沙希にキスをした。唇が触れるだけの軽いものではない。今度は舌を絡め、大人がセックスの前戯でするような本格的なキスである。錠剤は口移しで口内へ流し込まれ、沙希は思わず飲み込んでしまっていた。
(あれ、何時からここにいるんだっけ……。もう何時間もこうしてる気がする……)
薄暗い部屋の中、とろんと靄の掛かった様な頭で、沙希はシンと甘美なキスを繰り返していた。
着ていた上着やブラジャーはシンによってソファ上に脱ぎ散らかされており、白い肌を晒していた。上半身は生乳が露となっている。シンは沙希の肩に馴れ馴れしく右腕を回し、左手で生乳を揉みしだいていた。
「あー……。シン……さん」
あたかもそうする事が自然であるかのように、沙希はシンのなすがままに身体を触らせていた。時折控えめな乳房の先端にある乳首をねぶり上げられると、まるでキャリアウン十年のベテラン娼婦のように、「んあぁん……んふぅんっ」と情感たっぷりに喘ぎ声を出した。
やがてシンの指は、沙希のまだ誰にも触らせた事の無い場所へと伸びてゆく。
「あん……待って。ソコは……ダメ」
沙希の秘裂は、シンが触れるまでもなく既にねっとりとした湿り気を帯びており、細腰が切なげにクネクネ揺れていた。
フレッシュな処女の肉体を堪能する内に、シンの息遣いは荒々しく高まっていた。少女マンガの王子様然とした振舞いは消え去り、性獣そのものといった様相を見せていた。
シンはパンティの上から蜜部に指を這わせると、緩急をつけて愛撫した。シンの指が往復を繰り返す度に、沙希の息遣いは荒くなり、薄い布にねっとりとした染みが広がってゆく。
「ヒヒィ、沙希ちゃんのマンコトロトロだね。本当は期待してたんじゃない? 上から触っただけでもグチュグチュいってるよ? これで処女なんて嘘だろ?」
「あん……はぁ、はぁ、私、私……」
「沙希ちゃん、もっとイイの欲しくなってきたんじゃない? ホラ」
シンはそう言うと、自らの逸物を取り出して沙希に触らせた。既に固くなっており、竿部にはグロテスクな血管が走っている。先端は赤黒くてらてらと光っており、沙希が触るとビクン、ビクンと脈動を見せている。
(うわぁ……こ、これが男の人の……。熱くて……固いよぉ……)
「なあ、もうイイだろ? どうせ沙希ちゃんも最初からそのつもりで来たんだろ?」
「そんな、違……あっ……」
沙希はシンによって、ソファ上に仰向けに押し倒された。
パンティが勢いよく尻から引きおろされ、床へハラリと脱げ落ちた。薄目の恥毛が露になる。
「沙希ちゃん、もう我慢できねぇよ。ホラホラ」
シンは自身の逸物で、沙希の恥丘をピタンピタンと叩いた。最早遮る物は布一枚も厚さ0.2ミリのゴムさえも無い。シンは初挿入をするにはまだ潤みが足りないとみて、たっぷりと指に唾液をまぶし、ヌチャヌチャと蜜部をまさぐった。
「あ……あうう……。い、いきなり言われても……。き、今日会ったばかりなんだし……。その、お友達から……」
「イイじゃねぇか。好きなんだからヤりてぇんだよっ。イイだろ、なあ」
(え……好き!? 私の事を? 始めて告白されちゃった……。こんな、大人の男の人、イケメンに……。やだ……、ンンッ!?)
混乱し、逡巡する沙希の膣内へ、固くなった逸物がねじ込まれていた。中央を貫く痛みが、電気ショックの様に沙希の身体を駆け巡った。
(いっ!? んんんんんッ………………!?)
「JKバージン、ゲットだぜっ! ヒヒヒッ……あれ、沙希ちゃん、痛かったかい? でもね、例のヤクをキメてるからさぁ、すぐに痛く無くなるぜ。そらそらっ」
シンは悶絶する沙希の体を気遣うこと無く、抽送を繰り返した。
「痛……、激し……、もっとゆっくり……」
「激しい方が気持ちいいんだよ、ホラ、オラァ!」
「んァッ……、あぁんーっ!」
シンの激しいピストンが沙希を貫く。やがて痛みは快感に変わってゆき、沙希は歓喜の喘ぎ声を漏らしていた。アルコールと、アルコールによって吸収率を大きく高められた脱法ドラッグ『ドント・ストップ・ミー・ナウ』との相乗効果であった。
「段々滑り良くなって来たね。それに始めてなのにこんなにアンアン言っちゃって。沙希ちゃんって、ホントは淫乱だよね」
「嫌あっ……あぁンッ! そんな事言わないでェ……」
沙希はポウッと頬を火照らせ、悩ましくシンを仰ぎ見ていた。それを見てシンはサディスティックな笑みを浮かべ、トロトロに緩まった花唇を広げてゆく。粘膜が潤み、一体感と共に熱く溶けていった。
「だってそうだろ、はじめて出会ったオレに処女をあげちゃってさ。あー、沙希ちゃんの虹マン、すげえいいよ。俺達、絶対相性最高だって。そう思うだろう? なあ」
沙希はシンの身勝手な言葉に、必死でウンウンと頷いた。素面ならきっと受け入れられないであろう言葉が、今は脳髄に直接刻み込まれてゆく。処女だった沙希の心と身体は今、淫らに作り替えられている。
「わ、わ……わらひも……す、好き! あなたの事が好きだからぁ!」
『好き』という言葉を発すると、自然と肺から心臓、脳髄を通って全身の細胞がそれに引きずられてゆく気がした。沙希はきつく目を閉じると、両脚をシンの後ろまで回し、後ろでギュウと組んだ。
「うおぉ、凄い締め付けだ。大分キマッてるみたいだね、沙希ちゃん」
「うん、効いてる、効いてりゅのぉ、凄い、凄いッ!」
シンがベロンと舌を出した。沙希がそれに応える様に舌を絡めると、シンは唇を犯す様な激しいティープキスをした。倒錯的な悦楽が沙希の中で膨らんでいく。
「ヒヒヒ、これでもう沙希ちゃんは俺の女だ。俺の言うことは何でも聞くんだよ。いいね?」
唇周りを唾液でネバネバとさせながらシンは甘く囁く。下半身では力強い直線運動を繰り返しながら、淫らな快楽に溺れる沙希をいたぶりぬいている。
「沙希ちゃん、返事をしろよ。俺の女になると誓わないと、こいつを引き抜くぞ?」
「んああ……らめっ……。さ、沙希は……シンさんの、彼女になりましゅぅ……。だから、もっと……もっとしてくださいッ」
悩ましい音色で隷属の誓いをすると、沙希はシンのたくましい胸板に頬を擦り付けた。
「ウヒヒ。よく言えたね。ホラ、出すぞっ、しっかり受けとれっ!」
「は、はァ……やぁん!?」
「うおぉ、ああ……出る出る出るッ!」
「ああっ!? あああああーーっ……!」
仕上げのストロークと共に、熱く、ネバつく精液が沙希の膣奥へと吐き出された。同時に沙希もシンの背中に爪を突き立て、エクスタシーの叫びを上げていた。
「ふぅ、出した出した。気持ち良かったよ、沙希ちゃん……っと、聞こえてねぇか」
「か……、はぁ……はぁ……、ん……はぁ……」
女子高生の処女を奪い、膣内へたっぷりと中出し射精まで決めた満足感と共に、シンはスラックスを履き直していた。部屋内では沙希の荒い呼吸と、ベルトを閉めるカチャカチャという音だけが聞こえていた。
両脚を大きく広げた沙希の股間からは、ゴポゴポと大量の泡立つ精液が流れ落ちている。その呼吸音は荒く、息も絶え絶えであった。
「沙希ちゃんのケータイ、俺のアドレス登録しとくからね。またヤりたくなったら呼ぶから、ちゃんと来いよ?」
「ふ、ふぁい……」
沙希はほぼ無意識の中、本能的に返答していた。
(これが……セックス……!? 野球なんかよりずっとドキドキする……。こんな凄い事……私、今まで知ろうともしてこなかったのね……)
痺れ切った頭の片隅でそんな事を考え、沙希の意識は暗闇の淫獄へと墜ちていった。
コメント