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15.EP3―⑥ ~ここは地の果て流されて~

アクセス数: 698

作者:しょうきち

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「大丈夫? 沙希、緊張してる?」
「だ……大丈夫。心配しないで……!」
 そうは言うものの、沙希の声色からは不安げな色が隠せなかった。
 現在、夕子と沙希は神泉駅から徒歩3分、円山町のラブホテル『DOKIDOKI』の一室にいる。
 二人で座ったソファは鈍い音を立てて軋んでおり、長年に渡り煙草の煙を吸って黄ばんだ椅子やベッドからは、昭和の時代から変わらぬ年期を感じさせていた。
 喫茶店を出た後、夕子のパパと称する男からは「ちょっと急用が出来たから、先にホテルに入って待ってて」とメッセージがあった。
 夕子は「ふ~ん」と言って目を細め、手慣れた様子でラブホテルのチェックインを済ませると、受け取った鍵を手元でクルクルと回しながら、鼻歌混じりに指定された部屋へと向かっていった。友達の家にでも行くかのような気軽さで、通い慣れている様子を伺わせる。沙希はその後を恐る恐るついていった。
 沙希もラブホテルへ行くのは初めてではない。しかし、シンとよく行くような国道沿いに立地する若いカップル向けの装飾過多なラブホテルと違い、ここは一見すると通常のビジネスホテルと言われても違和感が無いような作りであった。それだけに枕元のコンドームと、ベッド脇に備え付けられた電動バイブが一種異様なミスマッチ感を醸し出している。
 特段暑いわけでもないのに、一呼吸ごとに空気が喉奥にへばり付くような感触があった。
 沙希の心中にはまだ迷いがあった。
 全てが急転直下、ほんの数時間前からすれば考えられない運命に身を置いている状況であったが、果たして本当に、これしか道は無いのか。もっと言うと、この道を往く以外選択肢は無いのか。往けば身体を対価に金銭を得る女、その拭い切れないスティグマめいた何かが自身の魂に刻まれる。自分がそうした女へと堕ちてゆく━━犠牲になることでシンを救い出し、元通りの日常を取り戻す。先程心に誓った気高い覚悟と、まだ引き返せるかもしれないという淡い期待との狭間で、沙希の意識はゆらゆらと揺れていた。
 そんな沙希が纏う空気感を察したのか、暫く無言だった夕子が声を掛けてきた。
「沙希、落ち着かないでしょ? これでも飲む?」
 夕子は鞄から水筒を取り出し、中の液体をコップに注いで沙希に手渡した。受け取った沙希の手は、じんわりと汗ばんでいた。
 手渡されたコップには薄緑色の液体が並々と注がれており、微かにアルコール臭がしている。
「夕子ちゃん、あ、ありがと。……ってこれ、お酒?」
「んー、あたしのオリジナル・ブレンドよ。ん……大丈夫だって。アルコールはかなり薄めてるやつだから。リラックスするわよ」
 そう言って夕子は別のコップに同じ液体を注ぎ、一息に飲み干す。ホラ、ね。とのジェスチャーにつられ、手渡されたコップの中身を口へ運んだ。仄かなハーブの香りと程よい甘さがハーモニーを奏で、スムーズに喉を通っていく。
「あ、美味しい……」
 でしょでしょ? といった目で夕子が見つめてくる。沙希もその瞳を見つめ返す。
(不思議……。お酒って、こんなにいい気持ちになれるのかな)
「うちの親の酒棚からくすねた焼酎とカモミール・ティー、あとは香り付けに秘密のハーブをちぎって入れて出来上がり。簡単でしょ?」
 うんうんと頷く。沙希は調理酒を舐めた事くらいはあるが、あまりアルコールに慣れていない。しかしながら甘い香りと共に喉を通り抜ける液体をすんなりと受け入れていた。
「さあ、もう一杯」
 夕子がコップに二杯目を注ぎ、沙希に手渡す。沙希はそれを一息に飲み干す。
 飲酒習慣の無い沙希であったが、もう一杯、もう一杯と次々に杯を空にしていた。
 
「あー、水筒、もう空になっちゃったね。沙希、気分はどう?」
「う~ん、とってもいい気持ち!」
 気付けば、沙希は夕子と二人で水筒一瓶分をほぼ空にしていた。
 顔を真っ赤にしてはしたなく足を投げ出し、ソファにしなだれかかる。ショートカットの前髪がはらりと顔先に垂れ掛かっていた。
 対する夕子はまだまだ余裕そうな表情である。だらんと寝転ぶ沙希を横目に、滔々と語り出す。
「沙希ってさ、高校出たら、やりたい事とかってある?」
「え……?」
「あたしね、高校出たらバーテンダーになりたいんだ。女バーテンってオシャレでさ、デキる女って感じじゃん? あたしね、どっかのお店でバイトしながら勉強してさ、二十歳くらいでお店持ちたいの」
「んー、意外……。夕子ちゃんって、将来の夢とか、そういうの持たないタイプかと思ってた。刹那的っていうか、その日暮らしっていうか……」
「まーね。あたしも前までずーっとそう思ってた。今日さえ良ければ、朝から夕方まで遊んで過ごせれば良いって思って生きてきたけどさ。受験やら就職やらで真面目に頑張ってる同級生の皆を見てたら、ネ……」
「わたしも……わたしもそう……。同じような事ばかり……。最近は考えちゃって……」
「フフ……。あたし達、一年の頃からあんまり話して来なかったけど、結構似てるとこ、あるのかもね」
「夕子、ちゃん……」
 アルコールの効果もあってか、いつになく沙希と夕子の話は弾んでいた。
 
 夕子とは互いに女子ヒエラルキーの中で全く違う階層に位置していることもあり、これまでの高校生活では殆ど接点が無かった。尤も、最近は時折誘われればお茶程度なら行くが、逆に言えばまあその程度といった関係性である。
 それが何故であろうか。今日の夕子と話していると、その言葉はあたかも乾いたスポンジが水を吸収していくかのように沙希の脳内に染み渡ってゆくのだ。自身に足りないものを与えてくれるというか、欠けていたピースそのものであったかのような、まるで十年以上の付き合いのある無二の親友のように見えてくるのである。
(不思議な気持ち……。夕子ちゃんと話してると、何だって出来るような気がしてくる……。もう何も怖くないって言うか……)
 沙希の頬がポゥッと朱に染まる。
 霞がかったような脳裏に晴れ間が見え、虹が掛かる。抜けるような青空を、虹の上に乗ってジェットコースターのように飛んで回っていた。なだらかな上昇カーブを描いていたかと思うと、突如として天地がひっくり返り、流れ星となって真っ逆さまに地上へと降りて行く。
 そして再び浮かび上がったと思うと、沙希の意識は大気圏外飛び上がり、軌道衛星上を光速でグルグルと回ってゆく。
 激しい落差に、沙希の下半身がキュンと疼く。目を閉じると全身が熱く淫らに火照り、気付くと下着の中が濡れていた。

  ━━どれくらい経ったのだろうか。ソファからずり落ち、カーペット上で大の字に寝転ぶ直上から夕子が沙希の顔を覗き込んでいた。
「んん……?」
「おーい、大丈夫? 沙希。悪酔いしたのかな。額、熱くなってるよ」
 側にいる夕子が、沙希の額に手を当てる。
「んん……、だ、大丈夫。夕子ちゃん、もう少しこのままでいてもいい?」
 返事の代わりに、頭を夕子の膝の上にそっと乗せられる。太股の肉厚な温かみを感じ、沙希の動悸は切なく高まる。
 不思議なことに、先程までシンの事で頭がいっぱいだった筈の沙希は、何故か目の前の夕子を強く意識していた。
 夕子の唇を見上げる。
 淡い色のリップに彩られた唇は、取れたての果実のような瑞々しさであった。
(夕子ちゃんの唇……可愛い……)
 ドキドキしながらそう思った。何故だろうか。酔いのせいであろうか。レズビアンの気はない筈の沙希であったが、沸き上がる性的興奮を抑える事が出来ない。
「……んんっ!?」
 ふわふわと夢見心地であった沙希は、突如として目を見開いた。夕子の唇が、突如自身の唇に重ねられていたからだ。
 たっぷり5秒程キスを交わした後、夕子の唇は唾液のアーチを引きつつ、沙希の唇から離れていった。
「んっ……沙希、可愛いわ。酔っ払ったところもステキよ」
「い、いけないわ……。夕子ちゃん……私たち、女同士で……」
「ま、いーじゃない。沙希だってさ、ホラ、こうしたかったんじゃない?」
「そんな、そんなことって……」
「身体は正直よ、ホラ」
 首周りをそっと撫で回し、夕子が囁く。
 最初は恥ずかしがってイヤイヤしていた沙希も、百戦錬磨の手管に乗せられて、百合の愛撫を享受するようになっていく。ブラウス越しに胸を揉まれても嫌がらない。うっとりした表情で、夕子とキスを交わしていた。
「夕子……ちゃん……」
「んっ……夕子。でいいよ……」
「夕子……。ん、んっん……」
 舌を割り入れて来る夕子に対して、沙希もおずおずとではあるが、舌を絡め返していった。
 ねっとりと頭の芯が蕩ける感覚に、沙希は戸惑いを覚えていた。心臓がトクントクンと高鳴り、肌が火照っている。自身でも驚くほど大胆な気分になっているのだ。
 夕子とのキスは甘美で、いつまでも唇を離したくないほどの快感があった。
 ブラウス越しに触られている乳房の中心では、乳首がうずき肉丘がしこって、それを優しく揉まれると、さらに頭が痺れてくる。
「好きよ、沙希。大好きなの。前からこうなりたかったわ」
「いや、あんっ、駄目よ……」
 気が付くとブラウスのボタンを外されていた。みるみる前がはだけ、お気に入りのスィートブルーのハーフカップ・ブラが露出していた。
「いいでしょ? もっと見せてよ、沙希」
「あぁ……うぅん……」
 舌と舌を絡ませ合いながら、夕子が囁く。
 その声を聞いていると身体に力が入らなくなっていき、されるがままになっていく沙希であった。
 やがてブラウスを完全に脱がされた。同姓の手によって脱がされ、下着姿にされるのは恥ずかしさと興奮が相まって不思議な気分だった。
「素敵なブラね。可愛いわ。それに、沙希ってさ、見た目より結構胸あるよね? 着痩せするタイプなのかな? それとも、彼氏さんに揉まれて成長したクチ?」
「ああっ……見ないでっ」
 沙希は華奢な肩をくねらせて恥じらう。
「あー。いい匂い。ずっとこうしていたいわぁ」
 夕子は沙希の谷間に顔を埋め、そのまま渓谷の部分を舐め始めた。
 沙希は首を倒し、切なげに喘いだ。
 遂にはカップの片方から乳房が溢れ落ちる。ふっくらとしていて美しい隆起が露となる。初雪のような白い肉丘の天辺に、淡い桜色の乳頭が突き出している。
 それを口に含まれ、舌でコリコリと刺激された。スカートをめくられ、太股を撫で回される。
 あぁ……。自分は一体なにをしているのだろう。こんなところで同級生と倒錯した淫戯にふけるなんて。ここには何をしに来たのだったのだろうか、そう。彼氏の、シンのために……。あれ、どうしてこうして夕子と淫戯に耽っているのか。
 思考がグルグルと回っていた。何かを論理立てて考え、すべき事を思い出そうとすると端から雲散霧消してゆく。
「ふふっ、沙希。これから沙希の願いを叶えてくれるパパがこの部屋に来るわ。何も心配することはないわ。優しいおじさんだから。あたしとパパに全部任せて?」
 そう話す間にも乳房をしゃぶられ、唾液でヌルヌルにされる。尖った乳首を舌先で転がされ、そこから快楽物質が全身に走り抜ける。
(夕子ちゃん……。わたしの為に、してくれてるの……? あれこれ考えたり、疑うよりも身を任せちゃった方がいいのかな……)
 これからやってくるとおぼしき未知の状況に対する不安を、少しでもまぎらわせたかった。そのためには夕子にすがるしか術はないのだ。
 百合の甘美な感覚に身を任せているうちに、スカートも脱がされていた。
「あたしも脱ごっと。沙希ばかりに恥ずかしい思いをさせるなんて、不公平だもんね」
 沙希がどぎまぎしている間に夕子はシャツもスカートも脱いで、更にはブラも外してしまっていた。沙希よりも一回り大きな乳がたわわに揺れている。
「ゆ、夕子……ちゃん?」
 エロティックなワインレッドのTバック・ショーツ一枚となり、沙希の体に人懐っこくまとわりつく。
 キスをしながら甘ったるい吐息を振り撒き、込み上げる興奮を隠そうともしないのだ。
「んっふ、好き、好きなの。あぁん」
「ま、待って、ふぁっ!? 夕子ちゃん、夕子っ!」
 思ってもみなかった展開に沙希は狼狽えた。同姓でもドキリとしそうな眩しさの夕子のヌードに目を奪われ、心臓の鼓動が否応なしに高まる。
「ベッドにおいでよ。沙希の事、もっとよく知りたいな」
 ソファから起こされ、下着姿でベッドに寝かせられた沙希を、夕子はいやらしく抱きしめている。ブラからこぼれた白桃のような乳房を揉みしだき、括れのある腰を撫で回し、更にはショーツに包まれた中心部を伺う。
「沙希の事、可愛くてたまらないの……。女の子にこんな気持ち、あたしだって初めてなの。本当よ」
「どうしよう……。あぁあん、こ、困るよっ……」
 女同士の柔肌はすべすべしていて、こすり合わせるだけでも温もりが気持ちよく、沙希は初めての世界に戸惑っていた。沙希より一回り豊かな夕子のバストが突き付けられると、新たに妖しい高ぶりが込み上げてくるのだ。
「はぁ……ふぅん。沙希の体、とってもいい匂い。こうしてると、何だか夢を見てるみたい」
 夕子の唇は沙希の肌に吸い付いている。チュバッ、チュバッと音を立てて吸い上げ、沙希の首筋や乳房、太股といった辺りには幾つものキスマークが付けられていた。
 沙希の表情も、ねっとりとした熱を帯びている。その瞳は官能の淵まで追い詰められていた。
「そろそろ、これもいいわね? 決心ついたかしら?」
 そう言って夕子は沙希のショーツに手をかける。ブラとお揃いでお気に入りの、中央にリボンをあしらったスィートブルーのショーツであった。
「あ、あああん、それは……」
 沙希は朦朧とする意識の中で、夕子の手をギリギリのところで押し止めていた。
 しかしその括れた腰をよじりながら健康美に満ち溢れた太股を閉じ合わせる悩ましい動きは、夕子の性的興奮を倍加させた。
「沙希、もう仕方ないのよ。我慢できないの」 
「や……そこっ……、きゃうん!」
 沙希の身体が激しくバウンドし、悲鳴に近い声が上がった。夕子の指先が押し止める沙希の手を潜り抜けてパンティの中に入ってきて、直に神秘のクレバスをまさぐってきたためである。
「やっぱりね、沙希、ほら、もうこんなになってる。悪い子ね」
 肉の扉を無遠慮に開かれ、内側からどっと淫汁が溢れてくる。夕子の指がそれをクチュクチュと弄んでくる。
「ウフフ。こうされると堪らないでしょ? 沙希」
 夕子の指が同姓ならではのねちっこさでクリトリスをなぞりあげたり、こねくったりする。
「あうう……ウウン……」
 沙希の言葉は声にならなかった。ショートカットを左右に揺さぶりながら激しく見悶える。
「私のものになって……沙希」
 生き物のように収縮する肉襞を執拗にこねくり回しては、淫靡な注挿を繰り返す夕子。
「あ、あふぅん。も、もう許してッ、夕子、夕子ちゃん」 
 沙希は髪を振り乱し、全身の毛穴という毛穴から汗を吹き出させながらよがり泣いた。
 自分ではどうしようもない程に体液が溢れ出て、子宮の奥がジーンと痺れ出す。
「イっちゃいなよ。ホラ、思い切り。我慢しなくていいのよっ」
「イヤッ、恥ずかしいっ!」
「フフフ、これでもかしら?」
 夕子は中指を沙希の急所に埋め込んだまま、親指を恥骨の部分に当てて蜜壺を思い切りえぐった。
「ヒイッ!?」
 肩先がピィンと張った。沙希はブリッジのように身を反り返らせた。汗びっしょりの身体が張り詰めた糸のように硬直し、ただ腰だけが夕子の指を貪って淫らにローリングする。
 最初のエクスタシーが去ると、一呼吸置いて今度は激烈な波がどっと押し寄せた。細腰がガックンガックンと上下に波打つ。そして、自分の意思でそれを制御することが出来ない。何一つどうしようもない。
「ウフフ。イヤらしい娘。こんなところでイッちゃうの?」
「あっうっ、み、見ないで……! 夕子、ああああっ……恥ずかしいのッ!」
 沙希は痴呆の如く涎を垂れ流し、気を失いかけていた。それでも内腿をピーンと突っ張らせ、秘肉でグイグイと夕子の指を締め付けてくる。
「いいわ……。最高よ、沙希。ンフフ……」
 夕子は無惨に失神した沙希の横顔を見つめ、愛おしそうに前髪をかきあげてやった。

 暫く時間が経ち、沙希たちのいる部屋のチャイムが鳴らされた。
「おっ、来たみたいね」
 上下共にワインレッド色の下着姿の夕子が、ドアノブに手を掛ける。扉の向こうから現れたのは、ダブルのスーツで固めた恰幅のいい中年男性であった。名前を岸川という。体型は横にも縦にも大きく、下腹がでっぷりと膨れている。頭部に目を向けると、頭部は側頭部から伸ばした毛髪を簾状に頭頂部に張り付けるような髪型となっており、隙間からはみ出す頭皮はてかてかとした光沢を見せていた。そんな頭部から漂ってくるポマード臭が鼻についたが、おくびにも出さずに夕子が言う。
「うふふっ、パパ。いらっしゃい。待ってたわよ」
「おやおや、素敵なお出迎えだね。夕子ちゃんだけかい? もう一人、紹介してくれるって言ってた女の子はどうしたんだい?」
「んふ、心配しないで。話してた子━━沙希なら奥にいるわよ。初心な子だけど、いい感じに仕込んでおいたから。あれならパパの立派なアレでも、すんなり入るんじゃないかしら?」
「流石は夕子ちゃんだ。抜かりがないね。早速ご対面といこうか。ウヒヒ、楽しみだよ」
 岸川の股関は期待と共にムクムクと膨らんでいた。高級そうな生地がムクムクとテント状に盛り上がる。下着姿の夕子は情婦のような仕草と猫なで声で男にすり寄り、テントの頂点を愛おしそうに擦り上げた。
 パパと呼ばれた男━━岸川がにんまりと頬を歪める。目を細めると、七福神の恵比寿を思わせる人畜無害そうな顔つきである。しかしこの男、某中央官庁に勤める現役官僚でありながら、貧困調査と称して週四ペースで女子高生を買いに出掛ける事が趣味の男であった。ライフワークと言ってもいい。この日はお気に入りの現役JK、援交相手の夕子からの誘いの呼び出しが入ったため、有識者を集めたワーキング・グループを無理矢理切り上げ、業務時間中にも関わらず官用車で貧困調査に繰り出していたのである。
 そんな国民への奉仕心など欠片も持たない岸川という男であるが、数多くの『パパ』を抱える夕子にとっては最大の太客である。関係を持ってかれこれ一年となる。最近では単に行為の対価に多額の金銭を受けとるだけに留まらず、このようして他の女の子を騙して毒牙にかける片棒を担ぐ事も珍しくないのであった。
「パパの教えてくれたレシピ、チョー効くわね。アレなら経験の少ない娘はイチコロよ」
「グフフ、そうだろそうだろ。知り合いの某国大使から秘密裏に譲ってもらったモノだからね。モノはいい筈だよ」
 沙希に飲ませたあのカクテル・ドリンクには、秘密のレシピとしてコカの葉を煎じつめた粉末が混ぜられているのであった。知り合いの某国大使から裏ルートを通じて調達した混じり物無しの直輸入品であった。まだまだ性的には初心な沙希が理性を失うのも無理なからぬことである。
「ククク……彼女がその沙希ちゃんかい。それにしてもいい眺めだね」
 沙希はベッド上に下着姿で横たえられていた。美少女のあられもない肢体を前に、岸川はにんまりとしながら舌舐めずりして眺めていた。
 大きさは控えめなもののこれから成長途中である事を伺わせる、花蕾を思わせるような瑞々しい乳房や、程よく肉の乗った腰回り、ムチムチした太股が眩しい。そんな肢体を脳天から爪先まで眺めては好色そうにほくそ笑んでいた。
 そうしているうちに、夕子が岸川のベルトを外し、スラックス、そしてトランクスまで脱がせていた。すると、赤黒い禍々しい怒張が飛び出てくる。その根本はもじゃもじゃとした剛毛で覆われていた。
「彼女、もう男の味は知っているのかい?」
「うん。……って言っても、結構最近でさ。まだ寝たのはその彼氏一人だけみたいなんだけど……」
「ほほう、出来れば初物をいただきたかったけれど、仕方ないね。今時の若い子は、バージンだと病気だと思われるからね」
 岸川は、沙希の身体つきを改めて上から下まで舐めるように凝視した。
「ウヒヒヒ、パンティは私が脱ぎ脱ぎせてあげよう」
 岸川が沙希の腰に手を掛ける。程よく張り出した左右の腰から、布地を少しずつズリ下げる。艶のある縮れ毛が顔をのぞかせた。
 小さく丸められたパンティが足元から抜き取られる。
「う~ん、香りといい毛質といい素晴らしいね」
 やや薄目の恥毛が、初雪のように真っ白な腹部にふんわりと生えていた。そんなヴィーナスの丘を好き放題にかき回す。指を乱雑に突っ込むと、そこは既に湿地帯と化していた。
「夕子ちゃんのおかげで、オマ○コの毛までぐっしょりだよ。ウヒヒッ」
 ヒクヒクと蠢く肉の社にまで指を這わすと、眠っている筈の沙希の頬がほんのりと上気し始めていた。
 瑞々しい薄紅の花唇はまだ生まれたてかのような無垢な色づきで、内側で緩んでいるサーモンピンクの粘膜の色とほとんど変わりがない。
 陰唇をくぱぁと開き、蜜に潤んだ肉襞を露出させると、岸川は顔を埋めた。クンクン鼻を鳴らして匂いを嗅ぎながら舌先でこねくり回す。
「ほほう、匂いもいいぞ。高校生にしてはよく手入れしてある」
「あ…………っ……!?」
 クンニされ、同時に双乳をこってりと掴まれ、沙希は無意識の内にか細いあえぎ声を漏らしていた。
 眉根をキュウンと寄せる。少女から大人の階段を上りつつある、奥ゆかしいエロスを感じさせる表情である。可愛らしい紅唇をかすかに開き、聞く者の性感を擦りあげるような吐息を吹き溢すのだ。
「グフッ、グフフフッ。これだけ感度がいいなら、私のチンポでも立派に咥え込めるかな。……よし、夕子ちゃん、ほら、ビデオの準備だ。初めてコマす女の子は必ずファック・シーンを撮るんだって言ってあるだろ? そうしないと興奮できないんだ、私は!」
「へーいへい。パパも好きよねぇ……」
 援交相手を叱咤すると、岸川はびんびんに充血した巨大な肉棒を従えた。そして、沙希の白い裸身へとのしかかった。
 その横では、夕子がビデオカメラを携えている。あれこれとアングルの注文を付けてから、岸川はドッキング体勢に入った。
  顔面を真っ赤にさせ、やや窮屈な肉口へペニスを押し込みながら、妖しい期待にジンと身を痺れさせる。
 キュウン、キュウンと絡み付くような湿った粘膜の気持ちいい感触━━。これだ、これが女子高生のオマ○コなのだと、岸川は喜悦に浸った。
「……んんっ! …………んんぅん………」
 まだあまり使い込まれていない肉路は奥に入るととりわけ狭く、押し広げるのに一苦労であったが、それだけに快美感もひとおしであった。
 怒張が押し入ってくると、沙希の頬がかすかに上気を増した。無意識のまま、貫かれる度にさらさらのショートカットがうねり、白い喉を反り返らせる。
「ウヒヒッ、そうら、ハマったぞ。虹野沙希ちゃんの生本番ハメ撮りビデオだ。バンバン撮ってくれ」
 岸川は沙希の太股の片方を大きく抱えあげた。夕子の操るビデオカメラの前に、二人の結合部が大写しとなる。薄ピンク色の清艶な花弁に、ドス黒い剛棒が深々と突き刺さっていた。
「夕子ちゃん、どうだ? 撮れてるか?」
「アハハッ。パパ、超撮れてるよっ。パパのおっきなオチ○チン、沙希のキツキツなオマ○コの中に、奥まで入ってるっ!」
「よおしっ、ズームを使って上手く撮れよっ!」
 岸川は器用に腰を回し、突き出し、美少女の身体を好き放題に犯す。
「あぁ…………んぁぅう…………!」
 ズンズンと抉られていくうち、沙希のか細いあえぎ声がみるみる高まってゆく。無意識の内に膣肉が反応し、岸川の一物にねっとりと寄り添う。
「夕子ちゃん、君の紹介してくれたこの沙希ちゃんのオマ○コ、もう最高だよ! 凄く具合がいい。こりゃもう絶対に手放せんぞっ!」
 まだあまり使い込まれていない膣襞は複雑に絡み合ったまま、異物を跳ね返そうとするような反発を示す。そこを突破して粘っこく注挿を行うと、ぴっちりと巻き包むような粘膜のうねりが、極上の一体感をもたらすのだ。
「お……お、……おおっ!」
 岸川は興奮気味に叫び声をあげつつ、美少女の肉襞を暴いていった。
「うっ……うおおっ! はぁ……はぁ……。これ以上進まないぞ? ここが沙希ちゃんの子宮かな? ああ、キツキツでヌルヌルしてて最高だよ。私のチンポからザーメンをグイグイ搾り取ろうとしてくるぞっ! あぁ、そらっ、一発目だっ! うおぉっ!」

「うん…………ぁ…………あっ……?」
  身体の中心、一番深いところを深々と抉られ、深く沈んでいた沙希の意識は覚醒していた。虚ろな双眸が少しずつ焦点を結ぶと、目の前に映し出されていたのはでっぷりと膨れた男の太鼓腹、そしてその下から盛り上がる怒張が、自身の中心を深々と貫いている光景であった。下腹部には鈍い痛みが走っていた。沙希はみるみる青ざめていた。
「あぁ……だ、誰? 誰なの、あなた? ゆ、夕子ちゃんは!?」
 滑稽な程にガクガク裸身を震わせて沙希は尋ねた。
「ん、どしたの? 沙希。あんたの望みを叶えてくれる、優しいパパとのご対面だってのにさ」
 男のすぐ横では、夕子があっけらかんとした表情でビデオカメラを携えていた。あまつさえVサインまで作りながら言う。理解しがたい状況に、沙希は全身をわなわなと震えさせた。
「そ、そんな……。どうしてこんな……。夕子ちゃん━━ひどいわっ!」 
「おやおや、友達を悪く言うのは良くないねえ」
「っ!?」
 沙希は悲痛な叫び声を上げた。のし掛かる中年男をはね除けようともがいた。だが倍ほどもある体重差からビクとも動かず、今更ながらに肉茎がぴっちりと自分の中に埋め込まれたままであることに気付き、更なる激烈なショックに見舞われる。
「あ……ぁぁあ……!?」
「沙希、暴れちゃ駄目だって。この人が話してたパパなんだから。沙希のこと、援助してくれるっていう人なのよ?」
「だ、だ、だからって! こんな、意識もない内にっ!?」
「まあまあ、聞きなさい。夕子ちゃんから聞いたよ。今すぐ百万円必要なんだって? これも貧困学生の救済だ。私はこう見えてもよく、私立大の授業料を払えない娘なんかをこうして援助してあげてるんだ。沙希ちゃんの事も、パパが援助してあげよう」
 男根を沙希の股の間に埋めたまま岸川が言う。要するに貧困女子をこのようにして手篭めにしまくっているという事である。このような卑劣漢に身柄を抑えられている事実に、心が真っ黒に塗り潰されるような気分であった。
 だが同時にこの時、沙希は秘肉がヌルヌルと粘っこく汚れていることに気付いていた。量や異物感から自身より分泌された粘液だけではあり得ず、目の前の中年男から既に膣内射精を受けている事を悟った。
「あ……あうう、な……何、これ……イヤぁっ……!」
 張りのある円錐形の乳房をぶるぶると震わせて、沙希は身をよじって泣いた。
「甘ったれるんじゃないっ!」
 突如として岸川が吠えた。
「全くこれだから今時の若い娘はっ! 楽して短時間でこんな大金が手に入ると思ってるのかっ! そんな甘い考えで……、社会に出られると思ってるのかっ!」
  中年男の紋切り型の説教はまるで耳に入っては来なかったが、沙希は涙でぐしゃぐしゃになった顔を夕子に向けた。
「う、ううぅ……。夕子ちゃんっ、どうしてっ!? どうしてこんな事するのっ!」
「あー、パパね、SEXした後はこうして女の子にお説教するのが趣味なのよ。まあ、いっぱいお小遣いくれるし、そのくらいはカンベンね」
「そ、そんな事じゃくてっ!」
「何? 眠らされてその間に中出しされた事? しょうがないでしょ、それも含めてパパのオーダーなんだもん。後でピルあげるから、飲んどきなよ。それにさ、沙希だってベロンベロンに酔っぱらって、パパに抱かれて気持ち良さそうに腰を振ってたじゃない。良く撮れてるわよ。後で見せてあげるわね」
「な……っ!」
 沙希は奥歯を噛み締めた。夕子は小悪魔めいた笑みを浮かべている。自己嫌悪と絶望、羞恥と屈辱、そうした様々な感情が幾重にも折り重なって胸が押し潰されそうであった。
「沙希ちゃん、君も夕子ちゃんと同じようにね、私のチンポ奴隷になる運命なんだよ。ほら、こんなに私のザーメンをたっぷり溜め込んで」
 岸川が得意気にペニスで秘奥をかき回す。沙希の股間からは、垂れ流した愛液と岸川の精液とが混じりあった液体が、ポタポタとシーツに垂れて染みを作っていた。
「ああ……、お願いっ、お金なんてもういいからっ、もう離れて……。コレを抜いてっ!」
 青みがかったショートカットがさらさらと揺れる。必死の懇願であったが、無論聞き入れられる筈もなかった。
「あぁ、いいねぇ。大きな瞳をぱっちり開いて、またグンと魅力的だ。一発目とは違ったファックが楽しめそうだ。ホラ夕子ちゃん、二発目いくぞ、ほら、撮影だ」
「あいよ、パパ」
 涙で霞む沙希の視界に、ビデオカメラを回す夕子の姿があった。岸川の二の腕に自身の腕を絡め、ねっとりとした妖しい視線を注ぎ込んでおり、爛れた関係にあるのが一目で見てとれる。
 ショックを受ける沙希の風情を楽しみながら、岸川は乳房を揉みしだき、首筋を舐めしゃぶり、ゆっくりと反復運動を再開した。ペニスは完全に硬さを取り戻し、精液にまみれた秘肉を犯し抜いていく。
「い、いゃア…………んぁぅむっ!?」
 絶叫するその唇をキスで塞がれていた。
 口腔を粘っこく愛撫され、感覚過敏となっている乳房を巧みに揉みほぐされる。そうしておいて、深々と身体の中央を貫く剛棒が粘膜をごりごりと嬲ってくるのだ。
 まだ媚薬酒の影響が色濃く残っている身体は岸川のペースに巻き込まれ、心ならずも溶け出してしまうのであった。
「ほうら、また感じてきたんだろ? ウヒヒ、こんなにも腰をクネクネさせて締め付ける。見かけによらず淫乱なんだね、沙希ちゃん」
 こうなるともうこっちのものだとばかりに、岸川が沙希の身体を抱きすくめた。
 沙希は逃れようとするも、自身の意思に反し、いやらしく腰をくねらせるのみであった。そしてそのような動きは、岸川の興奮を加速させるのみなのであった。両手で美尻を抱えられ、ズリズリと蜜肉を抉られる。腰のグラインドが岸川とシンクロし、深く、激しいものとなってゆく。
 ねっとりと甘く絡み付く粘膜はいやらしく収縮し、上気した沙希の肌からはフェロモン臭の混じる甘い汗が迸っていた。情欲を滾らせる岸川は、沙希の腰を持ち上げると上から下に向けてズンズンと激しく腰を打ち付ける。
「ウヒヒヒヒヒッ、本当に最高のオマ○コしてるよ、沙希ちゃん。相性もピッタリだ」
「う、うぁあ……あうぅんっ!」
 熱しきった巨根で襞肉を抉られると、沙希の口端からは無念の呻き声が迸る。
(どうして……、どうしてこんなに……感じちゃうのっ!?)
 嫌悪感の塊のような悪辣中年に荒々しく子宮を犯し抜かれながらも、身内には悦楽のうねりが生じていた。自身ではもうどうにも肉欲をコントロールできなかった。
「んぁあ…………、あむぅん……ふぅ、ふぅ、あぁんっ!」
 色情狂のようなさかり声が口をついて出る。犯されながら口を吸われると、しっとりと濡れた舌腹で相手の粘膜をしゃぶり返す。口腔内にヌルリと唾を流し込まれると、意思とは無関係に鼻を鳴らしてそれを飲み下してしまうのだ。
 にわかに岸川のピッチが早くなる。
「ウォォ沙希ちゃんっ、君は最高だよっ!」
「んぁっ、うあぁん、ヒイッ!?」
 また汚される。そう確信しながらも、沙希は汗まみれとなったショートカットを振り乱し、小ぶりな双乳をプルンプルンと波打たせては、全身でヨガリ泣くのであった。
 こらえてもこらえきれない。狂おしい蜜肉の疼きは止まらず、醜悪な中年男とキスを交わしながら甘ったるい吐息がひとりでに溢れるのだ。
 嫌悪感や恐怖、怒りや悲しみといった感情は、凡て白い奔流に押し流されてゆく。
 スケールの違う絶頂感が舞い降りてきて、心身を鷲掴みにされる。細い腰を妖しくうねらせ、岸川の肉棒を激しく咥えこみながら沙希は、一段と凄艶なクライマックスを迎えていた。

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