堕ちた勝利の女神

14.EP3―⑤ ~非日常への誘い~

 沙希の去った後の事務所では、今しがた強かに殴られた頭部を擦りながら、シンがソファでコーヒーを飲んでいた。まるで実家のような寛ぎぶりである。「あー、マジ痛って。ねえ、ショーさん……。これでも商売道具なんすから、傷跡残ったりしたら困るんすよ...
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13.EP3―④ ~墜落のはじまり~

 みのりの誘いから二日後。 今日が約束のドラフト会議の日である。 あの後みのりから『買い出しとかは一・二年で行ってきますので、ご心配なく。先輩は夕方4時くらいに来てくれますと助かります(ハートマーク)』とのメッセージが携帯に届いていた。 ...
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12.EP3―③ ~後輩との邂逅~

 シンからのアドバイスに従い、今後受験シーズンが終わるまで未緒とはなるべく顔を合わせないよう一時は誓った沙希であったが、その決意は早くも揺らいでいた。 未緒の方から何か言いに来たら? たまたま近くで顔を合わせてしまったら? きっと心の準備...
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11.EP3―② ~STAY AT HOME~

 未緒と別れた沙希は、今日も西池袋にあるシンの自宅を訪れていた。 あのラブホテルでの一夜からおよそ一月半。正式にシンと交際を始めた沙希は、大体週の半分くらいはこうして逢瀬を重ねている。 喫茶店で駄弁ったり、夜の繁華街で遊んで回ったり、映画...
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10.EP3―① ~秋風に舞う紅葉~

 10月に入り、暫くが過ぎた頃。 秋風が冷たさを帯び、校門脇に植えられた落葉樹も紅く染まる、そんな季節。 放課後。終業のチャイムと共に帰宅の路に就く生徒、部活へ向かう生徒、様々な生徒たちで通学路が溢れ返る中、一際沈痛な面持ちの女子生徒がい...
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9.EP2ー⑤ ~フォーリング・ダウン~

 青みがかったショートヘアが、9月の夜風を受けてパタパタと揺れていた。セーラー服を通り抜ける秋風は心地よいものがあり、このままずっと眠り続けていたかった。 沙希は夢を見ていた。 うだるような熱帯夜。沙希は神宮球場に居て、野球の試合を観戦し...
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8.EP2―④ ~タニマチの仕事~

 夜の東京都心。 シンの駆るバイクは、環状八号線を流すように走り続けていた。ちらほらと見える街灯やマンションの光が、次々と後方へと流れては消えてゆく。 後部シート上にはヘルメットを目深に被せられた沙希の姿があった。未だ意識を取り戻しておら...
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7.EP2―③ ~ドーパント・ゲーム~

 『グリーニー』と呼ばれる薬品がある。 名前の通り緑色のカプセルが特徴のこの薬は、服用すると興奮状態となり、集中力アップ、疲労回復、沈痛作用等の効能があると言われており、日米プロ野球界においてその名が知られている。 グリーニーの主成分は、...
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6.EP2―② ~Yes!Party Time!!~

 沙希を背に乗せたバイクが向かった先は、東新宿にあるタワーマンションであった。 建物の造りは正面一面がガラス張りで、階数は30階以上はあろうかという高さである。地上にはよく分からない前衛的なレリーフが幾つも並べられており、まるでトレンディ...
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5.EP2―① ~一度だけの過ち~

 あれからおよそ1ヶ月が過ぎた。 沙希はあの一件以来、殊更無為に日々を過ごしており、気付けばあっという間に夏休みも終わり、二学期が始まっていた。 その間は未緒とも会っていない。向こうは超名門校である一流大学(人文学部)を目指す受験生であり...
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