作者:ブルー
水平線に日が沈んでもサイパンの街から活気が失われることはなかった。観光客を目当てにした土産物売りや飲食の夜店が電灯の灯りの下で軒を連ねていた。軽装をした現地人が呼び込みをして品物を並べている。民族衣装や珊瑚礁や貝殻を使ったアクセサリーを売る店があった。ラベルにビーチ名と日付の書かれたガラス瓶に白い砂を詰めた記念品もある。その隣ではヤシの実や南国の果物を売っている露店があって、さらに隣では牛肉をココナッツミルクで炒めている店があった。新鮮なフルーツの香りとともにココナッツの匂いが漂っている。
そんな雑多な賑わいの異国の街を、詩織は一人で観光していた。すれ違う観光客にまぎれて、日本では見かけることのない品々を興味深そうに眺めている。友人に買ってかえる良いお土産がないか探しているのだ。
離れた後ろでは安岡がハンディカムを片手に、つかの間のプライベート気分を満喫している詩織を隠し撮りしていた。イメージビデオのワンシーンで使うつもりなのだ。後をつけていることがバレないよう物陰に隠れ隠れ尾行している。他に二人いたが、二人とも現地人の女を漁りに盛り場へと消えていた。撮影するだけであれば安岡一人でこと足りるのだ。
(やっぱ超可愛いなー。マジで天使だよ。どんなふうに撮っても画になる)
陰湿なストーカーのようにハンディカムでずっと付け狙っている。小型モニターには、オレンジ色のワンピースを着た詩織が映っていた。肩が出て胸元が開いた、細い肩紐で吊るすタイプのワンピースだ。デビューシングルのPVで着ていた衣装でもある。違うのは肩紐がルーズに細工されていて、油断すると肩からスルリと外れたり、胸元がぶかぶかになって中が覗きこめるようになっていることだった。膝丈も20センチ近く短い。身を屈めるとスカートの後ろが見えそうになる。そのせいで詩織は歩きながら途中何度もずれる肩紐をしきりに気にして直していた。ノーブラなので、脇のところから横乳が見えそうになっている。
(エロイのに可愛いっていうか、歩いてるだけなのに目立つよな。俺、詩織ちゃんの裸を拝んだんだよな。さっきまでフェラやパイズリしてもらったのがウソみたいだ)
だらしなく鼻の下を伸ばした。スケベに思い出し笑いをしている。夕食の時間まで可憐な詩織の体を弄りまくっていたのだ。フェラにパイズリに強制オナニーと、どれも詩織が嫌がる物ばかり要求した。もちろん詩織は首を横に振って頑なに拒んでいた。それでも安岡が「それじゃこの話はなかったことにしようか」とはったりをかますと一発だった。いくら嫌でも背に腹はかえられないのだ。涙目になってペニスを咥えてしゃぶっていた。最終的には激しく怯える詩織をなだめすかしてベッドに四つん這いにさせ、背後からワンワンスタイルでの素股を強要した。垂れ下がるデカ乳を根元で掴んで揉んで、強引に腰を叩きつけて詩織のヨガリ狂わすのにも成功した。息も絶え絶えに突っ伏した桃尻におびただしいザーメンを浴びせて。
(あの感じだとマジでセフレにできるかも。あー、早くヤリてー。詩織ちゃんの子供みたいな処女マンにぶっこみたいよ。たぶんこのあとも先生に呼ばれるんだろうな)
アシスタントとして働いているだけに部屋に呼ばれた詩織がどんなことをされるのかだいたい知っている。おそらく自分がしたのよりもえげつないことをされるはずだと想像していた。たとえば全裸で縄に縛られて、喉の奥にイチモツを突き込まれてしゃぶらされるとか。さすがに明日の撮影に支障が出るようなことをするとは思えないが、ハンドマッサージ機やピンクローターを駆使して、ケツの穴を初心者用のアナルバイブでほじくられるぐらいのことはされるのではないだろうか。
(ま、でも逆に撮影がある限り詩織ちゃんの処女は無事ってわけだ)
それに関しては絶対の自信があった。一流カメラマンの青山は写真に関して妥協をしない。そういう意味で安岡は青山を尊敬していたし、憧れてもいた。詩織が被写体である限り、その美を損ねるようなことをするわけがない。その実力を認めて思い入れが強いとなればなおさらだ。
(もしかすると先生は、ピュアな詩織ちゃんの内面に隠された性的な部分を引き出して、それを写真に現そうとしてるのかもな)
土産物売りの店で足を止めた詩織の姿を眺めながら漠然と思想を巡らせている。詩織は机の上に並んだアクセサリーを見て、主人と簡単な英語でやり取りしていた。腰をやや曲げて顔を近づける。小さな貝殻を繋いだネックレスが気になっている様子だった。邪魔な髪を耳元にかきあげていた。スカートの後ろを覗かれないように両手でガードしている。
(さすがにその辺はしっかりしてるか。でも、そうなると逆に……)
詩織はネックレスを指差して店の主人に対して何かを尋ねていたが、主人の視線はあきらかに詩織の胸元に向けられていた。
(胸チラどころじゃないぞ。あの角度だとノーブラのおっぱいが丸見えだろ。店の主人のヤツ、目を丸くして驚いてやがる)
詩織は両手を膝に着いて、机に並んだ可愛らしいアクセサリーを見るのに夢中になっていた。上から主人の男がチラチラと盗み見している。耳元の髪をかきあげる時に、肩紐がスルリと横にずれた。柔らかなおっぱいが片方だけ露出する。ピンク色の乳首が揺れていた。
(うほおお。まさかのポロリだぜ。たまんねえな。どこまでピュアなんだよ。美少女フェロモン出しすぎだろ)
さすがに気づいた詩織があせあせと肩紐のずれを直していた。照れ隠しの笑みで何事もなかったかのように装っている。
他の客がやって来た。白人と黒人の若い二人組みだった。詩織を挟むように並んで、なにやら英語で話しかけはじめた。詩織もそれに対して笑顔で返事をする。
(あれれ。おかしな奴らがやって来たぞ)
安岡はしばらく様子を見ることにする。白人と黒人の二人組みは、オーバーアクションにジェスチャーを交えて熱心に詩織に話しかけていた。おそらく「どこから来たんだ? 中国か日本か?」「一人で来たのか?」「もっといい観光スポットに案内してやろう」などと話しているのだろう。「HEHEHE」という太い笑い声が安岡のところまで聞こえていた。詩織は楽しそうに笑ってうなずいたりしている。
「マイネームイズ、シオリ・フジサキ。アイム、ジャパニーズ」
「オウ、シオリ? ジャパニーズガール、ベリーキュート。ベリービューティフル」
「サンキュー」
(もしかしてナンパされたのか。詩織ちゃんをただの観光客とかと勘違いしてんだろうな)
詩織のような少女が夜の街を一人で歩いていればナンパされても不思議ではない。そうでなくとも肌の白い東洋的美少女の魅力を存分に発揮している。おそらくアメリカでも詩織ほどピュアで可憐な少女はいないだろう。気がかりなのは男たちの視線だった。まるで詩織の体を値踏みするような目で眺めていた。白人の男が詩織の見ていたアクセサリーを買って渡そうとする。プレゼントしようとしているのだ。詩織がちょっと困った顔をしていた。
(いくら詩織ちゃんでも外人相手だとすっぱり断れないか。それにしても強引だな)
詩織が「オーケー。サンキュー」とうなずいていた。プレゼント受け取ることを承諾したのだ。
白人の男が後ろに回って、詩織の首に買ったばかりのネックレスをつけようとする。詩織は片手で首の後ろの髪をかきあげていた。男はネックレスの留め金を止めて、後ろからワンピースの中を覗きこんでいた。隣では太い腕を腕組みした黒人の男がニヤニヤと笑っている。暗闇に浮かぶ白い歯だけが不気味に浮かんでいる。
(あー、やばいんじゃないの。そういう男たちにプレゼントもらうのはさー)
安岡は心配していた。
詩織がプレゼントを受け取ったことで、男たちの態度はさらに強気になっていた。白人の男は詩織の肩を抱いて、耳元に顔を近づけて囁くように話しかけはじめていた。さらさらの赤い髪に触れている。詩織をバカンスに来た東洋人の少女だと軽く見てホテルに誘おうとしているのだ。常夏のリゾート地では遊ぶ相手として東洋人の観光客が格好のターゲットになっている。その中でも落ち着きがあって外人の押しに弱い日本人は一番人気がある。反対では黒人の男が大きな手で詩織のお尻をベタベタと触っていた。肩紐をずらしてワンピースの中身を覗こうとしている。さすがにこれには詩織も戸惑った様子で、手で黒人の体を押して「ノー、センキュー。ノー、プリーズ」みたいなことを口にしていた。
(おいおい、どこに連れて行くつもりだ。まさかそこで一発やろうって魂胆じゃないだろうな)
安岡はハンディカムから顔を放して詩織のいる方を眺めた。外人の強引さに押し切られるようにして詩織が二人に挟まれてどこかへ向って歩きはじめたのだ。歩いている間も白人の手はワンピースの胸元に、黒人の手はワンピースのスカートの後ろに入っていた。どちらもスケベそうにうごめいている。そうして英語で何かを話し合い「HEHEHE」と目で合図を送っていた。表通りを曲がって人通りのない路地へと向う。
安岡も急いで後を追いかけた。顔だけで角の先を覗いた。
そこには薄暗い路地裏があるだけで詩織の姿も二人組みの姿もなかった。ヒヤリと焦る。
(見失ったら大変だ。早く見つけないと先生に大目玉だ)
大慌てで周囲を探した。他の路地に曲がっていないかたしかめる。どこにもいなかった。一旦表通りに戻って、ホテルに電話しようとした時、大きなヤシの木の生えた草むらから普通ではない声が聞こえてきたのだ。
「ノー、ノー、プリーズ。ヘルプミー!」
詩織の声だった。安岡は真っ青になって草むらへとダッシュした。なんとそこでは、街路灯の灯りに照らされるようにヤシの木の根元近くに押し倒された詩織が、着ていたワンピースを乱暴に引き千切られ、今まさにレイプされようとしている寸前になっていた。
頭の方に回り込んだ黒人が丸太のような腕を使って詩織の両腕を地面に押さえつけていた。そうして白人の男が詩織の口もとを片手で押さえ、もう片方の手でジタバタと足を動かして暴れる詩織の下着を引っ張り下げていた。息の合ったコンビネーションだ。おそらくこれまでにもこうして日本人女性の観光客をレイプしてきたのだろう。脱がしたショーツを地面に投げ捨てる。両足を肩に担いで、馬のようなペニスをアソコに押し当てた。
「ンンンーー、ムウウーー!!」
口を押さえられた詩織が両目を見開いて叫んでいる。引き千切られたワンピースの胸元では、たわわな乳房がブルンブルンと揺れていた。恐怖に引きつって動転し、力を振り絞って逃れようとしている。
「ベリー、リトルプッシー、へへへ。オーケー、シオリ、ファックナウ」などと安岡にはわけのわからないスラングを並べている。詩織のアソコが小さすぎて、馬サイズのアレがなかなか入らず手間取っているのだ。何度も詩織の中心に巨根を押し付けている。可憐な花びらがムニリと歪んで、グニッと変形していた。乙女の性器が悲鳴をあげている。強引に狙いをつけて、腰を前へと送ろうとしている。
(冗談じゃない。しゃれにならないぞ)
一番慌てたのは安岡だった。詩織をセフレにする夢が消えるだけでなく、間違いなく責任を取らされる。クビどころの問題ではない。下手をしたら国際問題だ。
灯りの見える人通りの多い表通りに向って大声で助けを呼んだ。足もとに落ちていた石を拾って二人に投げつける。白人の背中に直撃した。怒り狂った顔をして安岡をにらむ。すぐに人が集まってきて、白人と黒人の二人組みは「シット!」という捨て台詞を残して立ち去っていった。残した獲物を何度も口惜しそうに振り返って。
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