6月は雨の日が多くて憂鬱よね。
はやく夏にならないかな。
夜の9時すぎ、ママがお風呂に入ってるときにパパが私の部屋にきたの。
私はクラシック音楽を聴いてた。
「詩織にたのみたいことがあるんだ」
「なにかしら?」
「このあいだ、待ち受け画面の写真を撮っただろ」
「ええ、それがどうしたの」
「知り合いが、すごく褒めててな」
「まって、ひとに見せたの」
おどろいて言葉が見つからない。
聞いてないわよ。
ひとに見せるって思ってなかったのに。
「親バカで、自慢したくて、つい」
「パパが仕事の疲れをいやしたいっていうから協力したのに」
「そう、怒るな。お父さんが悪かった」
「同じ会社の人なの?」
「共通の趣味で知り合った、同好の士だ」
「共通の趣味?」
(パパに趣味なんてあったかしら……?)
パパは、まじめがとりえの仕事人間で、たまに付き合いでゴルフに行くぐらいしかないのに。
高い物を買ったりとか、集めたりもしてない。
だから、ちょっと不思議。
「その人もおなじ年頃の一人娘がいて、とても大切に可愛がっててな」
「ふーん。うちとおなじね」
「ぜひ、動画を見せてほしいって、お願いされたんだ」
「なによそれ」
あきれるわよ。
このあいだのでも、かなりムリをしてたのに。
「やっぱりダメだよな……勝手なことをいってすまん。……残念だが、相手にはお父さんが断る」
「そんな落ち込まないでパパ……私まで悲しくなっちゃう」
パパがしょんぼりしてる姿を見ると、かわいそうって思う。
パパの交友関係を壊さないためにも、ここは娘の私が協力してあげなくちゃっ、て考えたの。
「……パパのためなら、撮影に付き合ってあげてもいいわよ」
「ほんとか、詩織!」
「うん……今回だけよ?」
「たすかる。これで知人に大きい顔ができる」
パパったら現金ね。
さっきまでと態度が真逆。
でも、そういうところも大好きよ。
パパが私を必要としてくれてるなんて、とても幸せだわ。
「制服に着替えて。パパがカメラマンになって撮影するから」
「えー、また制服なの。しょうがないなぁ」
私はぶつぶついいながら制服に着替えたわ。
ほんと男の人って制服が大好きよね。
とくに私たちの学校はセーラー服で、マニア人気が高いみたい。
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「それで、なにをすればいいの?」
「そこに立って、まずは自己紹介。インタビュー形式で」
「えーっと、きらめき高校2年A組の藤崎詩織です。テニス部で、好きな教科は英語と音楽です」
私は制服姿で自己紹介したわ。
片手の指先で、耳元のかきあげながら。
パパはスマホを構えて、カメラマンになりきってるみたい。
運動会や学芸会には、かならずビデオカメラを持って撮影しにきてたので、そういう技術は昔からあるのよ。
「スリーサイズは?」
「スリーサイズまで答えないといけないの」
「ビデオを見ている知人に、詩織の成長具合が伝わるように、頼む」
「……上から、86・57・87です」
「表情が堅いぞ。カメラに向かって、自然な感じでスマイルで」
「急にそんなこといわれても、むずかしいわよ」
「将来の夢はなんですか?」
「将来の夢?」
「小さい頃、パパによくいってた」
「ああー……パパのお嫁さんになることです」
あらためていうと、はずかしいわね。
小さい頃は、それが当たり前だと思ってたの。
「いつもパパーパパーって甘えて抱き着いてきて、なつかしいな」
「まったく、いつの話をしてるのよ。小学生の頃でしょ」
パパは私の周りをぐるりと回ったの。
「ベッドに寝転がって。片膝を立てて」
パパの指示で、ベッドに仰向けになったわ。
その状態で、左足の膝を立てたの。
「いいぞ、詩織。目線はカメラだぞ」
そういって、パパが舐めるように足元から撮ろうとしたわ。
「ストップ、パパ」
私はあわてて、両手でスカートを押さえたの。
だって、下着が見えそうなんだもん。
「手がじゃまだろ」
「下着が見えちゃう」
「いつも家の中を下着で歩き回ってるのに」
「そうじゃなくて、パパの知り合いの人が見るんでしょ。はずかしいわ」
「そこを、すこしサービスショットで」
「でも……」
「この通り、たのむ」
パパったら、娘の私に手を合わせてお願いするのよ。
そんなことされたら、断りづらいじゃない。
「しょうがないなあ」
けっきょく、パパには逆らえないわよ。
それでパパが喜んでくれるなら、私としてもうれしいし。
パパは、スカートの中を撮影したわ。
「なあ、詩織。すこしだけ下着をずらしてくれるか」
「えー……さすがにそれは」
「絶対に大事なところは写さないようにするから」
「うーーん……約束よ?」
私はベッドに寝ころんだまま、スカートの中に両手を入れて、下着を半分だけ脱ぎ掛けにしたわ。
「これでいい? パパ」
「ゴクリ……すごくエロイ!」
顔が熱くなっちゃった。
いま考えたら、パパの位置からだと、私の大事なところが見えてたかも?
たぶん大丈夫だと思うけど……。
撮影が終わったら、すぐに下着を履き直したの。
パパは、私の太ももをやさしく撫でながら、「詩織のおかげで、すごくいい動画が撮れたよ」って褒めてくれたの。
私、すごくドキドキしちゃった。
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