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4.パンチラ

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作者:ブルー

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 新しい学校にも慣れて、教室で冗談をいうクラスメイトも増えた。
 住めば都という言葉もあるが当たっていると思う。
 日めくりカレンダーを1枚1枚めくるごとにスマホの画像フォルダは森下さんの写真で埋め尽くされていった。チョークを手に黒板に答えを書いてる風の姿や、教室で掃除してるの、中庭のベンチに友達と座っておしゃべりをしてる姿、体育祭の出し物で集団ダンスの練習をしている写真もあった。中には懐かしい顔もあった。
 森下さんにすれば会話の最後に貼るスタンプがわりのつもりだったのかもしれない。
 俺もたまに自分の写真を送るのだが、何の変哲もない写真でも森下さんはすごく喜んでくれて、そのたびにもっとたくさんちょうだいっておねだりされた。
 遠く離ればなれになっていても、いつでも森下さんが近くにいるように感じられた。
 スマホがある時代で本当に良かったと思う。もしスマホがなかったら、いまみたいに頻繁に相手の気持ちや写真をやりとりをすることはできなかっただろう。

<<あーあ、早く冬休みにならないかしら。
>>まだ9月だよ。
<<だって、さみしいんだもん!
>>俺も早く森下さんに会いたいよ。
<<クリスマスにはこっちに戻ってこれるの?
>>その予定だよ。
<<いっぱいデートしましょう。
>>いいね。夏は海水浴に行ったよね。
<<2人でたくさん泳いだわね。今年一番の思い出よ。
>>ステキだったな、森下さんの水着姿。
<<えっ!?
 転校する前に一度だけ森下さんと海水浴に行った。
 その時、森下さんは真っ赤なビキニの水着を着ていた。スタイルによっぽど自信がないと着れないと思う。
 ビーチで一番目立っていたのは言うまでもない。
 俺がちょっと目を離すとすぐにナンパされていた。
<<森下さん、スタイルいいからさ。
>>もうっ。
<<この間の写真も可愛かったよ。神風写真。
>>あー、あれ。中庭を掃除してたら急に風が吹いてまいったわ。
>>残念だったな。あとちょっとだったのに。
<<はい?
>>森下さんのパンチラ写真が見てみたいな~、なんて。
<<ちょっ、いきなり何をいうのよ。
>>ごめん。
<<もうっ!
>>ダメかな?
<<ダメとかじゃなくて。
>>1回でいいから見てみたいな、森下さんの生パンチラ写真。
<<えーっと……。
>>変かな? 好きな女子のちょっとエッチな写真を見てみたいっていう気持ち。
<<変じゃないかもしれないけど。あなたも男子だなって思っちゃった。
>>幻滅したよね。
<<そんなことはないけど……。
>>ホッ。
<<ただちょっと驚いちゃった。いきなりだったし。
>>ごめん。
<<ううん。正直に話してくれたのは嬉しいわよ。
>>そ、それじゃあ!?
<<うーん……でもなぁ……。
 森下さんも悩んでいるらしくて返信が遅かった。
>>ほら、高校生の間で流行ってるでしょ。恋人だけのプライベートな写真を共有するの。
<<はやってるのかなぁ。
>>森下さんは聞いたことない?
<<あるようなないような。
>>クラスの奴でいるよ。
<<ほんとに?
>>いつもの写真の感覚で、ちょっとサービスしてさ。
<<うーん……あなたがそこまでいうなら……。
>>ほんと? やったー!
<<ちょっと待ってね。
>>待つ待つ。
 俺はスマホを握りしめたままワクワクしながら待っていた。
 もともと森下さんはノリのいいタイプなので、頼めばなんとかなるんじゃないかという期待感はあった。
 5分ぐらいして「<< うまく撮れたか自信はないけど」という返信とともに、セーラー服姿で自室のスタンドミラーの前に立って、片手で制服のスカートを軽くたくし上げている自撮り画像が届いた。
 耳まで真っ赤に染まった森下さんの表情。
 チラッと純白の下着が見えている。
「も、森下さんのパンチラっ!!」
 かなり控え目なパンチラだが、あの森下さんが俺のために見せてくれたという事実に感動した。
>>100点満点だよ、森下さん!
<<死ぬほど恥ずかしかったんだから。
>>ありがとうね。家宝にするよ。
<<オーバーすぎよ。
>>いやいや、国宝級だよ。
<<絶対他の人に見せたりしたらダメよ。
>>そんなことするわけないよ。森下さんが俺のためにしてくれたのに。
<<やれやれ、まったく。
 森下さんはかなりあきれている様子だった。
 トークアプリの雰囲気から伝わってきた。
 でも、森下さんも高校生なので男子のそういう気持ちは理解してくれたと思う。
 その晩、俺は森下さんのパンチラ画像をオカズにシコシコした。

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