作者:ブルー
経過報告10 ―― 7月11日
紐緒さんに怒られた。好雄にバラしたことでだ。
彼女は腕組みをして唇を曲げて俺をにらんでくれた。机にはこのノートが置かれていた。その横にはいくつも立てられた試験管やらフラスコやらビーカーやら、薬品の入った茶色い瓶が並んでいた。どこからか水槽の空気ポンプみたいなポコポコした音がしていた。いつも以上に居心地が悪かった。
「擁護する気はないけど、あれでよけいなことは口にしないやつだよ」
「笑わせないで。彼に知らせるぐらいなら掲示板に告知したほうがマシよ」
「紐緒さんがそう思うのは無理もないけどね」
「みんなに知れたらどうなるかわかってるのかしら?」
それは俺としても非常に困る。クラスの女子全員から総スカンを食らうだろう。とくに美樹原さんにあわせる顔がない。というか転校しなくちゃいけなくなる。
「しっかり口止めしといたし。あいつが誰かにしゃべる可能性は詩織が遅刻する確率もないよ」
「四人の人間が知っている秘密はすでに秘密とは言えないわ」
「もーさー、しかたないじゃん。バレちゃったもんわさー。なるようになるって。それに好雄は友達だし、ちょっとぐらい教えてやってもいいかなーって」
紐緒さんの表情に変化はなかったけど、あきれてる空気は伝わってきた。それもヒシヒシと。
「あなたはもっと物事について真剣に考える必要があるんじゃない。今日の課題も提出してなかったみたいだし」
「忙しかったんだよ」
「なにがどう忙しかったのかはだいたい想像つくけど。どうせゲームかマンガでも読んでたんでしょ。これじゃ藤崎さんが救われないわね」
詩織は関係ないだろ、詩織はって思った。あ、関係なくもないか。俺が課題を忘れたもんでクラス全員が驚いていた。母が急病で倒れてずっと看病しててってウソをついた。みんな信じてくれたみたいだった。こういうとき優等生は便利だ。いつもだったら「そんなデタラメ通用するか!」ってゲンコツ食らって廊下に立たされてただろう。あとで詩織にこっぴどく怒られたけど。ちなみにあいつはしっかり提出してた。先生はたまげた顔で提出物を何度も見返していた。
「めんどうだけど私からも口止めをしとくかしら」
「どうやって?」
そしたら紐緒さん、かすかだけど楽しそうに笑っていた。片側の目にかかった前髪を軽くかきあげて「ちょうどべつの実験の被験者を探してたところなの。彼が適任かどうか審問してみる必要がありそうね」って言った。
あのときの紐緒さんの目つきといったらいま思い返してもゾッとする。
紐緒さんには話さなかったけど、じつはハゲに呼び出された。授業中の居眠りが見つかったせいだ。
生徒指導室でハゲに、「優等生の藤崎が居眠りなんていままでなかっただろ。なにかあったのか」って聞かれた。
「すいません」
「謝ってちゃわからないぞ。体調でも悪いのか」
「そういうわけじゃないけど」
「いつもハキハキしているお前らしくないな。英語の課題も忘れたそうじゃないか」
「あー、それは」
「それはなんだ」
「いえ、なんでもありません」
まさか好雄から借りたマンガを遅くまで読んでたなんて言えるわけがない。
「来年は受験生だろ。いくら成績優秀の藤崎でも甘く見てると足もとをすくわれるぞ。先生はな、三年生になって成績が伸び悩んだ生徒をたくさん見てきてるからな」
「これからは気をつけます」
しゅんってしてうなだれていた。べつに落ちこんじゃーいなかった。あー、早く説教が終わらないかなーって思ってた。
そしたらハゲのやついきなり「ゴホン」なんて咳払いをしやがった。視線を上げると、詩織の体を足から順番に舐めるように眺めていた。
「それはそうと、スカートがすこし短くないか」
あちゃーって思った。どうせなんだから可愛く見せようと思って制服のスカートを短くしてたのがバレた。男子の評判はすこぶるいい。廊下とかでこっちをチラチラ見てるのが楽しかった。
「前はもっと長かっただろ」
「……はい」
「まさか男ができたんじゃないだろうな」
「あー、それはないなー」
「なんだと?」
「なんでもありません。それはないです」
「先生は藤崎のことを心配して聞いているんだぞ。この時期に男なんかできてみろ、勉強がおろそかになるだけじゃなく生活まで乱れることになりかねん。下手をしたら不純異性交遊で退学ってこともありうるぞ」
不純異性交遊っていつの時代の話だよって思った。だいたいハゲは考えが古すぎる。いまどき小学生だって彼氏とか彼女とかいるのに。
ハゲのやろう犯罪級の視線で詩織の体をじろじろ眺め、黙ってなにかを考えてるみたいだった。男のときはなかったけど女になるとそういう視線に敏感になる。なんか雲行きが怪しくなってきたなって肌で感じていた。
「本当に藤崎が誰とも付き合っていないか先生がたしかめてやろう」って言われた。
「はあ?」
「まずは服装検査だ。膝上10センチ以上だと校則違反だぞ」
はあああ?? って思った。そんな校則があることすら知らなかった。さっき生徒手帳を調べたけど『高校生らしい長さ』って書いてあった。膝上10センチなんて具体的な数字はどこにも書いてなかった。それにスカートの短い女子なんてたくさんいる。むしろ詩織みたいに服装まできっちりと校則を守ってるほうが少数派だ。
ハゲは定規を手に近づいてきて、俺はとっさにスカートを押さえた。
「待ってください。そんな校則があるなんて知りませんでした」
「二年生にもなって知りませんでしたじゃすまんだろ。手は後ろにしろ。それともこのまま停学でいいのか」
そんなふうに言われると選択肢がなくなる。おとなしく両手をうしろにした。
ハゲは足もとにしゃがんで、詩織の足を触った。ゾワゾワって鳥肌が立つみたいに悪寒がした。定規で膝からスカートまでの長さを測るふりをして、スカートの中を覗いていた。膝で顔面を蹴ってやろうかって思ってた。
「靴下は校則どおりだな」
校則で靴下まで指定されてたのかって思った。つーか、誰がそういうのを決めてるんだ?
「藤崎はまるでモデルみたいな脚をしてるな。先生でもしゃぶりたくなる。最近の女子高生は発育が良くてけしからん」
なにがけしからんだ。スカートの中を覗くお前のほうがよっぽどけしからんだろって思った。
「先生、手が」
「手がどうした」
「脚にあたってるんですけど」
ハゲのやつ詩織の脚を撫でていた。
「それがなにか問題なのか」
「問題っていうか、気持ち悪い……」
「勘違いするなよ、藤崎。これはお前のためを思ってやってるんだぞ。まったく男子がどんな目で見てるかわかっているのか。みんな学校で一番の藤崎を一発ハメて自分の女にしたいと狙ってるんだぞ」
ハゲのやつどさくさにまぎれてとんでもないことを言いやがった。スカートのお尻までタッチして。もともとえこひいきが露骨なヤロウだとは思っていたけど、ここまで厚かましい野郎だとは知らなかった。定規を膝のところに当ててニンマリ顔をしてた。
「おい、藤崎。大問題だぞこれは。膝上25センチだ」
うぜええーって思った。まるで詩織の弱みを見つけて喜んでいるみたいだった。俺は横を向いてうんざりと息を吐いた。それをハゲのやつ詩織が困ってため息をついているふうに見えたらしい。
「先生も鬼じゃない。可愛い生徒のためだ、藤崎の心がけしだいでは今回のことは目をつぶってやってもいいぞ。次は下着検査をしてやろう」と言いだした。
チェッ、やっぱりそれが狙いかと思った。さっきまでハゲがパンティーを覗いてたのを知ってたけど、ここで逆らってもしかたないので(本当に停学になっていたかもしれない)、しかたなく従うことにした。
着ていた制服を一枚ずつ脱いでいった。脱ぎ終わると肩にかかった赤い髪を片手で背中に払って、ムスッとしてた。ハゲのやつハアハア言いながらギョロ目になっていた。そりゃそうだろう、詩織の下着姿を拝めるなんてそうそうない。
「さすがに下着は白だったか」ってわざとらしく言ってた。見えてたくせに。詩織の下着姿が見たかっただけだろ。ハゲの目つきが100%エロオヤジになっていた。わざわざ後ろや横に回りこんで詩織の全身を眺めていた。
「これで満足ですか」
「まだだ」
「まだあるんですか。私、予定があるんですけど」
ハゲのやつゴクッなんて唾を飲み込んでた。俺の目の前でパンティーの高さにしゃがんで、アソコに息が当たるぐらい顔を近づけていた。
「ハアハア……この奥に藤崎のオマンコが……」
「先生、近づきすぎです。怒りますよ」
「待ってろ。すぐに終わる。もうひとつ検査をしてやる」
俺は「はあー」ってため息をついた。立ち上がったハゲがなんも言わずブラジャーの胸をいきなし掴んできた。
「うおっ!?」って驚いた。
「思ってたより胸がでかいな」
「ちょ、ちょっ、おい、こらっ、なにをしてんだっ! 手を放せ」
「先生に対してその口のきき方はなんだ」
「ごめんなさい……いや、そうじゃなくて。うわああ」
ハゲの顔が急接近してきた。たぶん詩織の唇を狙ったんだと思う。俺はめちゃくちゃ慌てて避けて、そのとき足がもつれて近くのソファーにケツから着地した。「あいたたた……」って顔をしかめた。
「先生が藤崎が処女かたしかめてやる」
あきらかに興奮した声だった。ものすごい早業でパンティーを膝のところまでずり下げられ、ガードする暇もなくアソコを触られてしまった。俺は「うわああー、なにをするんだ、この野郎!」って叫んで、両手でハゲを押し返そうとした。グチュグチュにまさぐられて「アアン!」って膝が勝手に震えてしまった。軽く弄られただけなのにもう危ない電気が発生してた。
「おとなしくしてろ、藤崎。これは検査だからな、検査」
なにが検査だ! 完全に襲おうとしてるじゃないか! って思った。ハゲの力が強すぎて跳ね返せなかった。というか詩織の腕力じゃ弱すぎた。
無理矢理膝をこじ開けるみたいにアソコを覗き込まれた。下着はさらに下げられて足首のところで紐みたいに伸びてた。
「ハアハア、これが藤崎のオマンコか。まだ子供みたいな形をしてるじゃないか。まるで処女みたいだな」
「やめろ、バカ。まるでじゃなくて、マジで処女だってっ! 息吹きかけんな! 教育委員会にチクるぞ!」
動揺したせいでモロに男言葉が出てしまった。声はまるっきり詩織なのに。それでもハゲは聞く耳を持たない感じだった。マンコに粘っこい息が当たってくすぐったかった。
「おとなしくしてろ。今から先生が舌で調べてやる。気持ち良くなったら気持ちいいって言っていいんだぞ」
「ふ、ふざけんな。検査じゃなかったのかよ、おい!」
俺は両腕をつっかえ棒にして、ハゲの顔を近づけさせないようにしていた。でも、ハゲのほうがやっぱり力が強いわけで、大きく伸ばしたベロでアソコ全体をねぶられてしまった。
「ああああーーっ」
後ろに仰け反って甘い声が勝手に出た。一気に腰がとろけた。
「どうだ、藤崎。先生に大切なマンコをしゃぶられる気分は。天国に登るような気持ちだろ」
「やめろー、やめてくれー」
「なんだ、まだクンニされたことなかったのか」
「あ、あるわけないだろっ!」
ほんとは美樹原さんにされてたけど。
「心配するな、先生がクンニの味を教えてやろう。感謝しろよ」
誰が感謝するもんか! マジでやばかった。クンニされる感覚を知ってたのでよけいにやばかった。美樹原さんのは愛情たっぷりに詩織の浅い場所を慰める感じだったけど、ハゲのは違う。ベロンベロン全体をしゃぶって、舌でほじくるみたいに執拗に舐めてやがった。本格的に詩織のマンコをとろけさせようっていうクンニだ。俺は逃げないとと思ってたけど、腰から下の力が抜けてどうにも動くことができなかった。膝を開いたままソファーにぐったりともたれて、ハアハアと胸を上下にあえがせていた。だんだんと頭がぼんやりとしてきて、アソコがハゲの思惑通りにヌレヌレのビチョビチョになるのが悔しかった。これじゃまるで拷問だ。
「助けてくれ、もう終わりにしろ、詩織に怒られる」
首を左右に倒して、キューティクルな赤い髪を振り乱して抵抗した。それなのにアソコから聞こえるエッチな音は大きくなるばかりで、クリを吸われるとビクンと腰を跳ねてマジで反応してしまった。マンコを中心に全身がビリビリ痺れた。「ああー、マンコとろけるー」って言ってしまった。どっと汗が噴きだした。
「藤崎は見かけによらず乱暴な言葉を使うな。興奮したときのクセなのか。まるで男みたいだぞ。先生にもっと本当の藤崎の姿を見せてみろ」
ほんと最悪のピンチだった。ブラジャーもずらされて、クンニを受けながら乳首を指でねじられていた。もしこの直後にハゲを呼び出す校内放送が流れなかったらどうなっていたかわからない。放心状態で詩織のピュアマンコを無防備に晒してた俺を、ハゲのやつすげー口惜しそうに見下ろしてた。
コメント