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3.援交少女ゆうこりん3

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作者:しょうきち

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 朝日奈夕子が、早乙女好雄からのメッセージを受け取った日……。
 そこから遡ること三週間前。

 某中央官庁の幹部職を務める男、前山喜隆は、貧困調査と称した少女売春を何よりの楽しみとする男であった。

 今日は週末の定時退庁日。
 今日も定時を迎えると、喜隆は真っ先に職場を発ち、自宅とは別方向のきらめき市方面へ向かう電車に乗り込んでいた。

 ピンサロ、ヘルス、ソープランド……。
 若い頃から様々な風俗を堪能し尽くしていてはいたが、近年のライフワークとしているのが、出会い系バーを舞台にした素人JKとの援助交際であった。
 今宵、喜隆が目的地としていたのは、きらめき市の繁華街にあるJK専門出会い系バー「スノーボード」であった。

 きらめき市、繁華街。
 雑多な建物で彩られたその空間では、表通りではブティックやファンシーショップといったいかにも女の子も喜びそうなスポットに始まり、カラオケ屋、電子部品を扱うジャンク屋といった様々な店舗が立ち並んでいる。
 しかし、一歩裏通りに入ると、居酒屋、キャバクラに始まり、奥へと進むとラブホテル、ピンクサロン……、果てはソープランド、ファッションヘルスといったいかがわしい風俗店がところ狭しと乱立していた。

 そんな繁華街の中、裏通りにある、駅から10分程度の距離に立つ、一見ごく普通の小綺麗なマンション。
 しかし、このマンションは裏の顔を持っており、未許可営業を行うマンション風俗、デリヘル嬢の待機場、高レートのマンション麻雀といったいかがわしい部屋だらけの、例えるならば夜遊びの百貨店といった実体を持っていた。
 そんなマンションの中へ、喜隆は手慣れた体で正面玄関を抜け、エレベーターに乗り込み2Fへ向かっていた。
 わかり辛い立地のマンションではあるが、下調べは、勤務中にバッチリと行っていた。

「ウヒヒ……、今日はどんなJKを貧困調査してやろうかな……。 こないだのミラちゃんもオッパイとアソコの具合は最高だったけど、高飛車な態度がムカついたんだよなぁ」
「やれやれ、あの店、気に入ってたのに、官邸にバレて厳重注意喰らうは、店には出禁喰らうは最悪だったなー」
「また新しい店を開拓しないと……」

 醜悪な独り言をブツブツと言っている内に、「チーン」という音が鳴り、エレベーターが2Fへ辿り着いた。
 エレベーターを出た正面の壁には、黒板風のボードが置かれており、そこにはチョークで「スノーボード 営業中」と書かれていた。
 喜隆は満足げにその恵比寿然とした顔をニヤつかせると、フロアの奥へ歩みを進めていく。

「いらっしゃいやせー」
 扉を開けた先では、ホスト風の青年が受付をしていた。
「すいませーん、ちょっとはじめてなんすけど? ここのシステム、教えてもらえませんかねぇ」
 喜隆が尋ねると、そのホスト風の受付の男は、左耳に4つ程開けられたシルバーピアスをジャラジャラとさせながら、流暢に説明を始めた。
 右手で、クイッとカーテンに覆われた入口を指差す。
「まずこちらの部屋に入って頂いてぇ、中、女の子の部屋が見えますんで、気に入った子いたら奥のタブレットで選んでいただく感じすね」

「こちら、当店のシステムになりまーす」
 提示したラミネートボードには、料金システムがびっしりと書いてあった。

SNOW BOARD

System
入会金……無料
入場料
40分4000円
60分6000円
90分8000円
指名料1000円
本指名料2000円
延長料20分3000円

Option
コスチューム各1000円
手繋ぎ500円
ハグ1000円
うで枕1000円
ひざ枕1500円
壁ドン500円
後ろからギュッ1500円
マッサージ2000円
逆マッサージ2500円
ラップキス3000円
見学パフォ10分3000円
生パフォ10分5000円

 壁ドンってなんだ? マッサージはともかく逆マッサージ? パフォってなんだ? パフォーマンスの略か?
 頭の回転の早い喜隆の脳内には、グルグルと疑問点が渦巻いていたが、この場で店員に尋ねることはしない。
 年頃のJKに、ニヤニヤしながらそれを尋ねることが「貧困調査」の醍醐味である。
 そんな事を頭の中で想像するだけで、喜隆は期待と共に股間が昂っていた。

「今日は可愛いコいっぱい入ってますんで、早いもん勝ちっすよ」
「じゃあ、60分で」
「気に入った子がいなかったら、その場合は、部屋代だけで大丈夫っす。 あ、あと、こちら注意事項になりますんでェ、よろしくお願いしまーす」
 店員がヘラヘラと指差した先、壁に画鋲で貼られた学校の配布プリント風の用紙には、注意事項が印刷されていた。

盗撮禁止!!
罰金50万円

禁止事項
・当店は風俗店ではありません
・性的行為は一切ありません
・女の子の嫌がる行為、連絡先の交換、同業者のスカウトなどは絶対にしないで下さい。
・発覚次第、即退店していただきます。
・その場合、それまでかかった金額は返却できませんのでご了承下さい。

 もちろん、こんな注意書きは、ファッションヘルスの「挿入禁止」と同じくらい守る者は誰もいない。
 話してみて気に入った女の子がいれば、即連絡先の交換をし、店を介さず援交デート、個人売春の交渉に移る。
 そんな業態を店側は黙認していたし、(名目上)客である女の子側も、男側も、誰もが守る気がない死文であった。

 カーテンをくぐり抜け、男性待合室へ入る。
 そこは大人の動物園。殺風景な薄暗い部屋の中では、欲望でギラつく男達の熱気が渦巻いていた。
 待合室の男性客は8人程であろうか。下は大学生風の青年から、上は60代前後と覚わしき客が、いずれも食い入るようにマジックミラー越しの女の子を見つめている。
 マジックミラーの向こう、女性待合室の中では、漫画やファッション誌が置かれた棚や、ドリンクサービス等が並んでいる。
 待合室でくつろぐJK達はおよそ10人ほどであろうか。皆きらめき高校やひびきの高校といった、有名な高校の可愛らしい制服に身を包んでおり、化粧を整えたり、思い思いに談笑したりして無防備にくつろいでいる。

 喜隆は不意に、自分以外の男性客は皆前屈みになり、JK達を下から覗き込むように見上げている事に気がついた。
 男性待合室は女性待合室よりも2~30cm程度、床が低く作られているため、バーチェアに座り化粧を整える子、ソファーに座り漫画を読みふける子、みんなパンツが丸見えだった。
 男達はそんな無防備なJK達を醜悪な野獣の目線で視姦する。この部屋はそんな獣欲にまみれた獣たちの巣であり、喜隆もすぐに野獣の仲間入りをしていた。

 暫く外卑た視線でJK達を眺めていると、60代らしい頭の禿げ上がった男性が、気に入ったらしい女の子とトークタイムに移るべく、店員を呼んで女の子を指差していた。どうやらタブレットは使い方が分からないとみえる。

 暫くすると、マジックミラーの向こうの女の子がひとり、部屋を後にしていた。
 どうやらトークが成立したらしい。

 あまりボヤボヤしていると、他の男達に魅力的なJKを持っていかれてしまうと思い、喜隆も早いところ指名するJKを選ぶことにした。

 JKたちの甘ったるい話し声は、男性待合室まで聞こえていた。

「生活指導のネチ山のヤツがねぇ……」
「体育倉庫でウリさせてたのがバレてさぁ」
「ねぇ写メ撮ろうよー」
「アソコのブランド、新作出たんだぁ」
「キャハハハハ」

 たわいもない会話に花を咲かせるJK達。
 手前に見える、体育座りしている子、ソファに寝転ぶ子、携帯をいじっておしゃべりしている子、お菓子をポリポリたべている子、みんなパンツが丸見えだった。

 そんな中、一際喜隆の目を引いたのは、奥の方で足を組んで座り、携帯をいじっている赤髪のJKであった。
 その少女は、携帯をいじりながら、隣に座っているピンク髪を三つ編みに纏めた少女と談笑している。
 ピンク髪の少女の方は、あたかもここがどういう店か分かってすらいないかのように、この場には似つかわしくないほんわかとした空気を纏っているように見えた。

 10人程度のJKが戯れる空間であったが、彼女達二人だけは、どうしてもパンツが見えそうで見えなかった。
 特に赤い髪の少女は、他の少女達に比べてスカートは寧ろ短い方であるにもかかわらず、である。
 あからさまに見えていると辟易としてくるものだか、人間、見えないとどうしても見てやろうという意識が働くものである。どうにかしてパンツが見えないものかと、喜隆は必死で身を更に屈めたり、見る位置を前後に色々変えたりしていた。
 端からみたら、滑稽な姿であったと思われる。
 喜隆がああでもない、こうでもないと悪戦苦闘していると、そんな情けない中年オヤジの悲哀を嘲笑うかのように、赤髪の少女が蠱惑的な笑みを喜隆に向け、小さくウインクした。よく手入れされた睫毛が大きく揺れる。
 喜隆は心臓を鷲掴みにされたようにドキリとした。マジックミラーで見えない筈だが、彼女は透視能力でも持っているのだろうか。
 喜隆はコルクボードに貼ってある、その娘のプロフィール・カードを手に取った。

 出席番号10番 ゆうこりん
 血液型 B型
 T159cm B88cm W60cm H86cm
 趣味 流行の場所に行くこと
 コメント お願~い、どっか超楽しいトコ、連れてってぇ~

 プロフィール・カードには、簡単なプロフィールとメッセージ、そして可愛らしい苺とピースサインのイラストが描いてあった。

 即決で、喜隆は「ゆうこりん」を指名することにした。
「これで指名するのか」
 タブレットを操作し、「ゆうこりん」の写真をダブルタップする。
 しばらくすると、店員から呼び出しが入るのが聞こえた。

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