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4.なんでもないです。こっちの話だし

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作者:ブルー

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 経過報告4 ―― 7月5日

 帰りにバイトに向かった。バイトっていっても高校生ができるバイトなんて限られている。コンビニとかウェイトレスとか皿洗いとか。俺の場合はティッシュ配りだ。詩織に頼んでも良かったけど断られるのは目に見えていたのでやめておいた。どうしてバイトをしているかと言うと夏休みが近いからだ。夏休みに入ったら女の子を誘っていろんなところに出かけたい。海とか山とかプールとか。もしかすると誰かと泊りがけで出かけるかもしれない、ムフフ。そのためにもお金はあるにこしたことはない。

 バイト先に到着すると店長が一人で伝票の整理をしていた。いきなり連絡もなしに行ったらまずいかなと思ったけど、本人が交通事故で入院したとウソをついたらあっさり納得してくれた。俺の目の前でドン臭いあいつらしいとまで言った。初対面で好印象を与えないとまずいのでニコニコしてたけど腹の中ではムカッとしていた。
「それで君がかわりにバイトにきたわけだ」
「はい。あのー、まずかったですか?」
「いやいや、ぜんぜんまずくないよ。人手も足りてないしね。こんな可愛い女子高生なら大歓迎だ」
「あははは。良かった」
 思わず顔が引きつった。なんかやたらと愛想が良かった。いつもは「もっと早く配れないのか」とか「本当にちゃんと配ったのか」とかすんげー嫌味タラタラなのに。ずっと俺の足もとから顔をジロジロと眺めていた。やっぱり制服のまま来たのがまずかったかなあと考えた。あんまり店長が見るんで萎縮して、両手をスカートの前のところに置いて押さえた。
「名前はなんていうのかな?」
「藤崎詩織です」
「詩織ちゃんか。あいつとはどういう関係なの? まさかこんなアイドルみたいな子がガールフレンドじゃないだろ」
「えーっと、幼なじみなんです」
 恋人ですって見栄を張りたかったけど笑われそうなのでやめておいた。
「幼なじみ? へー、いまどき珍しいな。しかし、その幼なじみにバイトを頼むなんてひどいやつだ」
「それがいろいろ理由があって」
「理由?」
「なんでもないです。こっちの話だし」
「ふ~ん。女の子は秘密がいっぱいってわけだ。まさか影で悪さしてるんじゃないだろうね」
「ちがいますよー。そういうタイプじゃないですし。やだなー」
「どうかな最近は危ない遊びとかも多いみたいだしね。ちょっと審査するからそのまま動かないで」
「へっ、審査ですか?」
「バイトするのに面接とか受けるだろ」
「は、はあ……」
 俺が来たときは速攻で採用だったのにどうしていまさら審査なんかするんだろうと思った。店長はなぜか俺の後ろに回った。背中にジロジロと視線を感じた。
「どう高校楽しい? きらめき高校だろ。可愛い子が多いって有名だよね」
「多いといえば多いかなあー」
「さっきはほんとにうちにアイドルが来たのかと思ったよ。可愛いね、ほんと。最近の女の子にしてはスカート長いんじゃない」
 そんなことはないと思う。けど、たしかに他の女子に比べると詩織はスカートが長めかもしれない。それでも脚がスラリとしてるから十分目立つ。
「詩織ちゃんって学校だと優等生タイプなのかな?」
「んー、いちおう」
「これだけ美人だと男子からもてるでしょ?」
「まあまあかなー」
「またまた」
 って、いきなり背後からスカートのうしろを触ってきた。お尻のラインをなぞるようにサワサワと手を這わせた。
「ちょ、ちょっと、店長ー」
「いいからじっとしてて。面接だよ」
「ええー」
「採用する前に衣装が合うかたしかめないと」
「衣装って……」
 ほんとはぶっ飛ばしてやりたかった。でもそんなことをすれば確実にクビになるって思った。今から新しいバイトを探してたら夏休みに間に合わなくなる。しかたないのでおとなしくしていると両手で円を描くみたいに動かした。だんだんと上に動いて今度は制服の胸を揉みだした。ええーー! マジかよー!! って俺は開いた口がふさがらなかった。下から持ち上げるようにモミモミと。制服のスカーフリボンがしわくちゃになった。しかも親指で乳首のあたりを擦っていた。
「ハアハア、胸は普通ぐらいかな」
 後ろから店長の鼻息が当たってすんげー気持ち悪かった。
「や、やめろよー。手をどけろって」って言っても店長は手をどけてくれなかった。それどころか逆に制服の内側に手が入ってきてブラジャーごと揉みしだかれた。首筋をペロペロ舐められた。
「これぐらいで騒いでたらバイトやってけないよ。男の人にこうして胸を触られたことないのかな?」
 耳の奥にねばりつくようなスケベな声だ。あるわけないだろ! 俺は本当は男なのに!! って思った。
「あるわけねーだろー!」
 そしたら店長のやつ目を丸くして驚いていた。
「急に男みたいな口のききかたするんだねえ。もしかして詩織ちゃんって見た目とちがってかなりおてんばな女の子なのかな」
 ドキッとした。男なのが見破られたかと思ってなんて言えばいいのかわからなくなった。おかげで店長の好き放題に胸を揉まれ続けた。

 店長が「それじゃこの衣装に着替えて。そこに休憩室があるから」って言われた時には足はフラフラで、頭もぼーっとしていた。なんか白のチューブトップとホットパンツ、それにブーツを渡された。すごく軽いし薄い。まるでレースクイーンかコンパニオンみたいな衣装だった。男の時はスタッフジャンパーを着るだけだったのに。でも、文句を言うとまた胸を揉まれそうな気がしたのでしぶしぶ着替えた。
 着替えてみると想像してたよりも生地の面積が小さくて大胆だった。チューブトップのせいで胸は窮屈だし(視線を下げると胸の谷間が見えた)、ホットパンツなんかお尻の下側が見えそうだった。お腹も丸々見えていた。ほんとそのままイベント会場に行ってスポーツカーの横に立ってカメラのフラッシュを浴びれそうだった。
 店長は嬉しそうに「若いしスタイルもいいから想像以上だねえ」って鼻の下を伸ばして眺めてやがった。内心、こんにゃろーって思った。乳首が浮いてないか気になった。恥ずかしすぎて両手を前にしてうつむいてモジモジしてしまった。店長はそれを別の意味で解釈したらしく、肩に手を置いて「この格好なら目立つしすぐにはけるよ。終わったらまたおっぱい揉んであげるからね」ってなでながら言った。山のようにポケットティッシュ(消費者金融の広告が印刷された)の詰まったダンボールを二つも任された。

 でも、悔しいけど店長の言ったとおりだった。あんなにあったダンボールのティッシュはあっという間になくなった。めざといっていうか商売がうまいっていうか。駅前に立ってると次から次に人が来てティッシュを持っていってくれた。仕事帰りのサラリーマンやフリーターや大学生っぽいの。普通は3~4時間は立ちっぱなしなのに。1回通りすぎたのに戻ってきて持ってってくれるやつもいた。全員男だった。ティッシュを渡すときにわざと手を握られたり、胸元を覗き込まれたり、ホットパンツの脚を舐めるように見られたり、なんだか街中で晒し者になってるみたいな気分だった。「バイトがんばってー」とか「君どこのアイドルなの?」とか「すごい格好だね」とか「このあとおじさんとホテルに行かない?」って声をかけられた。いつもなら絶対ないのに。

 終わったあと休憩室で制服に着替えているといきなり店長が入ってきて、約束どおり胸をこってりと揉まれまくった。セーラー服を首のところまでめくって、今度は正面から堂々とだ。店長のやつよっぽど詩織の胸が気に入ったみたいだった。やわらかいし形がいいからその気持ちもわからなくもないけど。
「ハアハア、さすが俺が見込んだ通りだ。こんなに早く配り終えるなんて新記録だよ。よし、特別にバイト代をアップしてあげよう。そのかわり休まず来るんだよ」
 バイト代が上がるのは嬉しいけど詩織の体に無断で触れられるのは困る。店長は俺が恥ずかしがって動けないと勘違いしてるみたいだった。俺は怒ってるっつーの! 
 とうとうブラジャーを下げて直接胸を揉みはじめた。おっぱいに手のあとが残るぐらい強く握られ、ティッシュ配りの時にいろんな人に見られてたのもあってすぐに頭がぼーっとしてきた。せっかく上げてもらったバイト代を下げられるのも嫌なので文句を言えなかった。乳首をコリコリいじられると胸を中心に体がビリッとして意識が一瞬遠くなった。制服のスカートの上からだけど股間もタッチされた。パンティーの中でネバネバが出ているのが自分でわかった。なんかどんどんと店長の手つきがやらしくなっていった。俺は(やばいなー。店長いつまで詩織の胸を揉んでるつもりなんだ)と心配になっていた。初日からこれじゃ先が思いやられる。

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