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2.危ないおとり捜査

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作者:ブルー

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 次の日の放課後、詩織は体育教官室を訪れた。
「これはこれは。きらめき高校のアイドル様がこんな場所にめずらしいな」
 ジャージ姿の下須はドアの鍵を閉めると、さっそく学校一の美少女の制服姿を足元から舐めるように眺めた。
 黄色いリボンのあしらわれた水色のセーラー服、膝上丈のプリーツスカートからは下須でなくとも視線を注がずにはいられない、健康的ですべすべとした生脚が伸びている。
 すでに下須のジャージはパンパンに膨らんでいた。詩織がきらめき高校に入学した当時からいつかハメ犯してやろうと目をつけていたのだ。顔に似合わず、下須相手にも臆さない気の強いところがとくにお気に入りだった。
「今日は先生に大事なお話があってうかがいました」
「なんだ藪から棒に。藤崎なら個人的レッスンも喜んで引き受けてやるぞ」
「まじめに聞いてください」
「いつだって俺は大マジメだぞ。マジメだけが取り柄みたいなもんだからな」
「メグ……美樹原さんのことについてです」
「美樹原? オオウ、3年の家出したとかいう奴か」
「先生は何かご存じじゃないんですか」
「くだらん。どうして俺がいちいちそいつのことを知らなきゃならん。部活の顧問やらアホなガキども相手でクソ忙しいからな」
「……美樹原さんが居なくなる直前に下須先生に呼び出されたと聞きました」
「さーて、何の話だァ? 記憶にないな」
「とぼけないでください」
「おおかた家庭にでも問題があって家出したんだろ。そのうちひょっこり帰ってくるんじゃないのか」
「メグは絶対に家出なんてしません! 優しくてちょっと人見知りで、とにかくそういう娘じゃないんです!」
「ムキになるな。よっぽどお友達のことが大切みたいだな」
「先生がメグを監禁してるんじゃないんですか」
「ガキのくせに恐ろしいことを口にする奴だな。わかったぞ、俺は容疑者ってわけだ」
「潔白を証明できますか」
「オイ、藤崎。探偵ごっこもたいがいにしろよ。だいいち俺が監禁してるとしたら、ここでチンタラせずにとっとと帰って裸の美樹原に晩酌でもさせてるだろうヨ」
「……っ!」
 教育者の風上にもおけない言い回しだが妙な説得力があると、詩織は思った。
「いいことを教えてやろう、ああいうおとなしそうな奴ほど裏で何を考えてるのかわからないもんだぞ」
「どういう意味ですか」
「さあな。近頃は援交やらJKリフレやら何でもスマホ1つで簡単にこづかい稼ぎができる時代だからナァ」
「……やっぱり先生はメグの行方不明について何か知ってる?」
「そんなことよりせっかく来たんだ。ジュースでも飲んでいけ」
「お気づかいは結構です」
 下須の提案を詩織は即座に断った。
 何か危険な匂いを察知したからだ。
「遠慮するな。それとも俺の出した飲み物は飲めないとでも言うつもりか」
「そういうわけじゃ……」
「藤崎が飲んでくれれば俺も美樹原について何か思い出すかもしれんぞ」
 まるで詩織の目的を見透かしたような口ぶりだ。
 見え見えの罠だとわかっていても親友を助けたい詩織に断る選択肢はなかった。でなければ単身体育教官室に乗り込んだ意味がない。
「じゃあ、すこしだけ」
 しぶしぶ詩織が返事をすると下須は冷蔵庫にあったオレンジジュースをグラスに注いで渡した。
 警戒しているので、詩織はいつでも逃げられるように立ったまま受け取る。
「さァ、一気にグッと飲め」
「あの、いつも冷蔵庫に用意してあるんですか」
「いつ生徒が遊びに来てもいいようにな。冷えててうまいぞ」
「ええ……」
 下須にうながされて詩織はグラスの淵に唇をつけた。
 恐る恐る飲む。酸味の効いた甘さの中に舌にピリピリとした感覚があった。
「まだ半分以上残ってるぞ」
「もう十分です。喉も渇いてないし」
「下手なウソをつくな。俺は教師だぞ。まさか疑ってるのか?」
「ちがいます……ァ……」
 詩織はふいに手に持っていたグラスを落としそうになる。立ちくらみのようなめまいがして、強度のアルコールを口にしたように体の奥から熱くなりはじめたのだ。
(なにこれ……?? 急に体が熱く……やっぱりクスリが入ってたの??)
「どうした藤崎、顔が赤いぞ」と、薬の回り具合を確かめるように下須が近づいてくる。
「す、すみません……急に熱が出たみたいで……私、今日はもう失礼します」
 これまで経験したことのない体調の異変に詩織はドアへと逃げようとする。
 その腕を下須が掴んだ。
「まだ慌てる必要はないだろ。俺も美樹原についてだんだん思い出してきたぞ」
「本当ですか?」
「藤崎の言った通りだ。あの日、美樹原はここに来たぞ」
「やっぱり……!!」
「ちょっとした噂を耳にしてな。そいつを本人に直接確かめるために呼んだんだ」
「ちょっとした噂……?」
「まさかとは思ったがな。念のために持ち物検査と服装チェックをしたら、校則違反の下着を身につけてやがった」
「ウソだわ。メグが校則違反の下着だなんて」
 詩織は思わず強い口調で親友をかばった。
 詩織の知っている美樹原愛はどちらかといえばフェミニン系で高校生にしては子供っぽい下着しか身につけたことがない。色もほとんどが白かピンクだ。だいたい密室で下着検査をすること自体が間違っている。
「女はわからんもんだな。この際だ、藤崎も下着検査をしてやろう」
「えっ……わ、私はいいです」
「怪しいな。停学になりたいのか? そこに立ったまま動くなよ」
「いやっ、せ、先生っ……ちょっと……!?」
 下須が制服のスカートを掴んだので、ギョッとして身をかわそうとする詩織だがどういうわけか足と腕に力が入らなかった。
 それどころか棒立ちのまま、スルスルと制服のスカートをめくられた。ミルクを溶かしたようなむっちりとした下半身に小さなリボンの飾りがついた純白のショーツを身につけていた。
(なによこれ!?!? ……体にうまく力が入らない)
 それが下須が詩織に盛った薬の効果だ。時間の経過とともに意識が朦朧となり、薬を飲ませた相手の命令に逆らえなくして体の自由を奪う。ある意味、覚醒状態で作用する催眠術に近い。たとえ大声を出されたとしても体育教官室は校舎から離れた場所にあるので邪魔が入ることはまずない。下須はそうやってこれまでにも狙った女子生徒をレイプしてきたのだ。
「ウヒヒ、下着は校則違反ではないようだな。藤崎らしいシンプルで模範的なショーツだ。優等生はこうでなくちゃいかん。赤や黒なら一発退学だ」
「スカートを下ろしてください」
「色っぽい眺めだぜ。藤崎は顔もスタイルも完璧だな。男子どもにチヤホヤされるわけだ。どーれ、上の方も確認してやろう」
「やめてっ、ダメっ!? せ、先生っ……!!」
 声では拒絶しているのだが腕はかろうじて相手の手を押さえる程度だ。
 むしろ詩織が嫌がれ嫌がるほど下須は鼻息を荒くした。
 胸のリボンごとセーラー服が無慈悲にも首までめくられた。
 ショーツとお揃いの純白のブラジャーに包まれた、上品な半球形のバストが姿を見せた。
「おお、こいつは思ったより発育してるな」
「やぁっ……見ないでっ!?」
「CカップかDカップか。これぐらいがちょうどいいサイズだ。胸の谷間がブラからこぼれそうじゃないか」
「下須先生っ、どういうつもり」
 父親にも見られたことのない下着姿を見られ、詩織にとってまさに恥辱だ。
「こういうつもりに決まってるだろ」
「きゃぁっ……!!」
 詩織が甲高い声を発した。
 下須が両手でブラジャーのバストを掴んできたのだ。
 そのまま捏ねくるように揉みしだく。
「ハアハア、これが藤崎のおっぱいか。ブラ越しでも手触りが高級だぜ」
「いやぁぁ……ぁぁ……」
「男に乳を揉まれたのは初めてか、藤崎?」
「や、やめてぇ……先生っ……お願いです」
「俺がこうして毎日揉みまくって、藤崎の胸を今よりも大きく育ててやるからな」
「あんっ……これはセクハラだわ」
「いまのガキどもはすぐにそれだな! 次は教育委員会に訴えるか?」
「っっ……」
「いくらわめいたところで助けは来ないぞ。体が熱くなってきたんじゃないのか? アアン?」
「そ、そんなはず……」
「どんどん薬が効いてくるはずだからな。どれ、藤崎の乳首は何色かな」
「やあっ」
 詩織は横を向いて下唇を噛んだ。逃げたくても足が動かないのだ。
 下須がブラジャーの端に指を引っかけて下にめくる。薄いピンク色をした乳首が男の眼前に姿を現した。
「ハアハア、こいつは極上の乳首だ。子供みたいなピンク色をしてる。見ているだけでむしゃぶりつきたくなる」
「ダメです、先生っ」
 下須の言葉にハッとする。
 詩織はすでに涙目だ。ハラハラと長い髪を揺らして哀願するように嫌々をした。
「いいからじっとしてろ。俺様が藤崎に気持ちいいことを教えてやるからな。どうせ自分でここをいじった事もないんだろ」
 立たせたままの詩織の前で腰をかがめると、下須は顔を近づけて詩織の乳首をねっとりと口に含んだ。
 チュパチュパ……と音を立ててしゃぶる。
「あっ、あん……」
 長いまつげのまぶたを閉じた詩織の唇からかすかに甘い吐息が漏れた。
 それが薬による効果なのか、はたまた生まれて初めて経験する快感からなのか、処女の詩織には判別がつかない。ただ恥じらいによって色白い肌がうっすらと汗ばんでくるばかりだ。
「体は十分大人だな。藤崎の乳首は甘い味がするな。こうやって舌でベロベロ転がすとしこってきたぞ」
「う、うそ……」
「冗談なもんか。藤崎の体はドスケベみたいだな」
 下須は薬の影響下で思考の鈍くなった詩織を言葉で嬲りながら、右手をスカートの中に差し伸ばしてショーツの上からアソコを軽く撫でていた。
 そうやってじょじょに詩織の感度レベルを上げている。
(なによこれ……すごく嫌なのに頭がぼーっとして体が変な感じになってくるわ……)
 詩織はどうしていいのかわからないといった様子で虚ろな視線を壁に投げかけていた。
「はぁはぁ……」
「顔つきも色っぽくなってきたぞ」
「や、やぁ……はぁ……」
「まだ早いが、一発ハメて二度と偉そうな口が叩けないよう既成事実を作るか」
 下須がジャージを下ろしかけると、体育教官室のスピーカーから連絡放送のチャイムが鳴った。

【体育教官室の下須先生、至急校長室までお越しください。校長先生がお呼びです】

「ふざけた放送かけやがって。これからハッスルタイムだろが!?」
 一度は鼻で笑った下須だったが、二度続けて呼ばれたとなるとそうもいかなかった。下手をすると他の教師が呼びにくる可能性があるからだ。この状況ではいくら下須とはいえ言い逃れは難しい。
「クソが! 俺が戻るまでどこにも行くなよ、藤崎っ!」
 近くにあった竹刀で壁に八つ当たりをすると、サンダルを鳴らして下須は体育教官室を出て行った

「大丈夫か、詩織っ」
 入れ替わるように公人が体育教官室に入って来た。もしもの場合に備えて外で待機していたのだ。
 下須が居なくなった事で薬の呪縛が解けた詩織はサッと後ろを向いて制服の乱れを直した。
 まだ薬の影響は残っていたが、小さい頃からずっと一緒に育ってきた公人だけには恥ずかしい姿を見られたくないという気持ちが強く、幼なじみの存在を身近に感じたことで急速に回復しつつあった。
「ううん。とくに問題はなかったわよ」と、いつものように片手で髪を背中に払い、平然を取り繕った。
 それでも(事前の手はず通り)放送室に侵入した好雄の連絡放送があと少し遅れていたら危なかったと、詩織は心の底から安堵した。
「ゲスが戻ってくる前にずらかろうぜ」
「待って、その前にやることがあるわ」
「詩織は十分頑張ったろ。あいつに見つかったら今度こそ停学じゃすまいぞ」
「ダメよ。メグに繋がる何かがあるはずなのよ。公人も証拠を探してちょうだい」
 二人で机の上や棚の中を手当たり次第に探した。
「あった! これよ、メグの写真だわ!」
 机の一番下の引き出しの奥に隠すようにして封筒に入れられた写真が3枚あった。
 どれも自ら制服をたくしあげて下着を見せている卑猥なカットだった。
 親友のぎこちない笑顔が詩織の同情を誘う。
「この写真を使ってメグを誘い出したんだわ、きっと」
「おい、ゲスが戻ってきたぞ」
 ドアの外を覗いていた公人が告げる。
 ウソの呼び出し放送だと知った下須が校舎からとって返してきたのだ。
 詩織は急いで封筒をスカートのポケットにしまうと公人と一緒に体育教官室を後にした。

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