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8.JKリフレ開店

アクセス数: 2445

作者:しょうきち

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       1

 文化祭に向けた準備は目まぐるしく進んでいった。備品や衣装の手配、当日の流れ、サービス内容の事前レクチャー、これら全てを基本的には発案者の好雄が実行しなくてはならなかったので、この一ヶ月間はひたすらに忙殺され、嵐のような速度で時間が過ぎ去ってていった。
 そして10月第1週の週末、ついに文化祭当日が訪れた。
「3ーBはお化け屋敷やってまーす!」
「3ーDの喫茶店にぜひお越しくださーい!」
 天気は晴天。きらめき高校の校内各所では各クラス、もしくは文化系を中心とする各クラブによる様々な展示や模擬店が立ち並んでいる。
「3ーAはJKリフレやってまーす、是非お越しくださ~い」
 一階の廊下では、宣伝のために巨大な看板を担いだ高見公人が闊歩している。
 3ーAの模擬店、JKリフレの営業内容のコースは三つ。
 ①:肩揉みコース、500円。
 ②:腰踏みコース、800円。
 ③:お散歩コース、1,000円。
 教室入口に設けられた受付スペースでコースを選び、料金を支払うと教室内へと案内される。相手の女子は基本的には空いている者から割り当てられるが、任意(追加料金:300円)で女子の指名も可能だ。室内はパーティションで仕切られ、仕切られたスペース内は肩揉みコースなら教室用の何の変哲もない椅子が置いてあり、腰踏みコースなら体育用具室から持ってきたマットが敷いてあるだけのシンプルな装いである。
 そこでは3ーAの女子が待っており、客はおしゃべりを楽しんだり、肩揉みや腰踏みマッサージを施してもらったりする。もちろん客側からのお触りは一切厳禁だ。あくまで健全なサービスを謳っている。飲食の提供は一切していないため、面倒な届出も不要である。
 実際のところ、3ーAだけがこうした攻めた模擬店をやる事について、他のクラスからの反発なども無かった訳ではない。
 そうした意見を封じ込めるため、好雄は各クラスの代表を懐柔して回っていた。
「お散歩コースにかこつけて、おたくの模擬店にも寄ってもらって沢山買い物してもらうようにさせますから。なに、お互い様ッスよ。俺はいち生徒として、このきらめき高校文化祭がより多くのお客さんで賑わってほしいって思って、一生懸命知恵を絞ってるだけなんスよ。絶対損はさせませんって」
 と言って説得して回った結果、渋々ながらも他クラスからの合意を得ることができた。
 だが、好雄の真の目的はもちろんそんな甘い話ではない。
 好雄の息のかかった極々一部の女子生徒は、お散歩コースにかこつけて秘密の裏オプションを用いた闇営業をしていたのである。
 その筆頭は赤い髪の少女、朝日奈夕子である。

      2

 玉川筋平は戯れに入った模擬店で、年甲斐もなくどぎまぎとさせられていた。
 人当たりの良さそうな丸々としたえびす顔、やや薄くなり始めた登頂部をポマードで固め、訪れた僥倖に頬を歪ませている。既婚者で48歳。洋梨型の体型を仕立てのいいスーツで包んだ姿は、育ちのいいボンボンがそのまま年を重ねたといった印象で、中央官庁で教育関係の業務に携わっている。
 今日は甥っ子がきらめき高校に在籍している縁で文化祭を訪れていた。演劇部の甥が出演する劇を鑑賞し終えたので、後は帰ろうとしていたときの事である。
 前髪をやたらと伸ばした男子生徒が、でかでかと『JKリフレ⇒3ーA』と書かれた看板を持ってこちらへと歩いてくる。その内容を見た玉川は、居ても立ってもいられずに3ーAの教室へと足を伸ばしていた。
 今から30年近く前となるが、玉川はかつて筋金入りのアニメオタクであった。
 大学生の頃放映していた、セーラー服の美少女が魔物と戦うアニメにどハマりし、大学を一年留年してしまったほどである。
 五年間に渡るそのアニメのシリーズが完結してからも熱は冷めることがなく、むしろより歪んだ欲望を抱くようになっていった。
 社会人となり使える金が増えてからは風俗嬢にそのアニメの格好をさせてのコスプレセックスにハマった。
 アニメグッズの聖地・池袋に始まり、秋葉原、五反田、歌舞伎町と、こうした類いのオプションが充実している風俗店には足しげく通った。
 最盛期は週に四日は歌舞伎町のコスプレイメクラへと通い詰めていた程である。
 結婚を機に風俗通いについて一時は止めていたが、年をとっても性欲が衰える事はなく、近頃は風俗欲が再燃してきたところである。勿論よく行くジャンルは学園系イメクラだ。
 リアル高校におけるJKリフレという宣伝文句は、帰ろうとしていた玉川の心中に「ちょっと覗いてみようかな」という悪戯心にも似た気持ちをふつふつと沸き起こらせていた。
 シンプルに言い換えるなら、助平心が疼いていたとも言える。
 校舎内を進んで行くと、3ーAにたどり着いた。受付に立っていたのはくすんだ色の茶髪を短く刈り上げた、軽薄そうな少年であった。
 玉川を上から下まで舐めるように見回し、見た目に違わぬチャラさで客の応対をしている。
「お客さ~ん、すんませんッス、今ちょっとプレイルーム……あ、いや……、教室の方が満杯で、しばらくお待ちいただく事になるか、ちょっとお高くなりますがぁ、お散歩コースでお楽しみいただく事なら出来るッスよ。いかがたしましょうか?」
「ああ、いいよ。それで」
 少年の軽薄さに、玉川は殴りたい気持ちを心中でグッと抑えていた。どうせ数百円程度しか違わないし、不必要に時間をとられるなくらいなら全然構わない。それにしても、もし部下にいたら自ら辞表を出してくるまで苛めてやりたくなるくらい人をナメた態度である。
 JKリフレといっても所詮は高校の文化祭。芋臭い女子高生とお遊びみたいな適当なお喋りをしてバイバイ、といったレベルであろうと失望しかけていたところであった。
「こんにちはっ、お・じ・さん。今日はいっぱい案内してあげるね」
 教室の奥から顔を出してきた少女の可愛らしさに、不快さは全て吹き飛んでいた。
 今回玉川についた少女は名前をユウコと言った。胸に付けている名札バッジにはそのように書いてある。アニメからそのまま抜け出してきたような、真っ赤に染めた髪をややシャギーの入ったセミロングにまとめており、ややつり上がり気味だが、くりくりと大きな目から元気の良さが目にとれる。
 だがそれだけではない。玉川の心を動かしたのは、その少女の装いであった。
 ユウコが着ていたのはセーラー服ではあるものの、きらめき高校の制服とは別物である。下半身に纏っているプリーツスカートは殆ど太もものつけ根くらいまで見えている、極限まで短い丈で、両脚を飾っているのはレースのついた赤いニーハイソックス。おまけに金のティアラにノースリーブのセーラー服と、細部は違うものの昔好きだったアニメの人気キャラクターの格好をかなり高いクォリティで再現していたのである。
 だが更に、コスプレ仕様とでも言うのか、女体の凹凸を強調するポイントが身体の各所に散見された。わざときついサイズを着ているためか、胸もパツンパツンである。とにかく若さという名の暴力的魅力を全力で振り撒いている。
「こ……こんにちは、ユウコちゃん。そ、その格好、アニメのコスプレかな? 良くできてるよね」
「コレ? ウフフ、ありがとね、おじさん。でもこれ、アニメじゃないの。あたしが子供頃やってたドラマのコスプレなのよ。昔アニメ版もあったんだっけ? 見たことないけど」
「あー、そういう事なのか。おじさんはそのアニメを見てた世代でね。ドラマ版があったなんて知らなかったよ」
 彼女はきょとんとしていた。青春を捧げるほどドはまりしていたアニメであっても、ほんの数年世代が違うと存在自体知らないなどというこの事実。似たような事は年を取ってくると様々な場面で実感するが、このジェネレーションギャップには地味にショックを感じた。
「と、ところでユウコっていうのはどういう字を書くんだい? 有るの有子とかとか優しいの優子とか、色々あるよね。それとも本名がカタカナなのかい?」
「あははは、まさか。おじさん、面白いこと言うわねえ。これね、なんか発案者のヤツが「カタカナの方がそれっぽい」とか何とか言ってこういう名札になったのよね。あたしね、朝から夕方までの夕で夕子よ、改めてよろしくね、おじさん」
「夕子ちゃんか。いい名前だね。それじゃ、いっしょに行こうか」
「うん、いこいこっ!」
 夕子はにんまりと笑顔を作ると、玉川の二の腕に自身の腕を絡めてきた。
 彼女の所作は女子高生らしいフレッシュなエネルギーに満ち溢れていた。現役高校生ということは年が30は離れている計算になるが、玉川はまるで自分も高校生に戻ったような気分にさせられた。
「ねえねえ、3ーDで友達が喫茶店やってるのぉ。パウンドケーキがスッゴい美味しいんだってぇ」
「奢ってあげるよ」
 夕子は可愛さとエロティックさが高いレベルで同居しあっていた。アニメチックなウイスパーボイスで囁かれると、息が止まった。彼女のフレッシュな笑顔を前にして、奢ってあげないなどという選択肢は考えられなかった。
 彼女は七色の笑顔を持っていた。履いている靴が高級ブランド、ドルチェ&ガッバーナのミュールである事に気が付いたので「オシャレだね、それ。似合ってるよ」と誉めてやると、頬をピンク色に染めたとびきりの表情を見せてくれた。
 記憶が確かならそのミュールは限定モデルで値段が10万円以上した筈である。一介の女子高生のお召し物としては不自然な程に高額な品物であったが、こう見えて資産家の娘かなにかなのだろうか。疑問は尽きない。もっとも笑顔があまりにも魅力的だったので、そのような小さな疑問は雲のように消えていった。
 

      3

「ふう、疲れちゃったね。ちょっと休んでいこっか?」
 校舎内を一通り回ったところで、夕子が八重歯を見せながら言った。
 ちょっと一息、といった程度の彼女と違い、短時間で校舎内を端から端まで回らされた玉川は既に息も絶え絶えである。
 終始ハイテンションな彼女と一緒に文化祭を見て回るのはひどくエネルギーを消耗した。しかし、その代わりに忘れかけていた若さをたっぷりと注入してもらったような気がしていた。
「あーっ、いートコあるじゃん!」
 夕子は玉川に絡めた腕をぐいぐいと引っ張っていった。その先にあるのは体育館の入口脇にある体育用具室である。鍵はかかっていないようであった。
「おいおい、こんなとこ、勝手に入っちゃっていいのかい?」
「いーの、いーの。誰も使ってないってことは、今はあたしのモノって事っ!」
 強引に連れられて入った体育用具室は懐かしい匂いがした。跳び箱、マット、バレーのネットにバスケットボールの入った籠……。カビ臭くて埃っぽいものの、それはそれで高校生らしさに溢れている。夕子は積み上げられたマットにダイブするようにして腰掛けると、玉川にも隣に座るよう促した。
 密室で二人きり。フレッシュな女子高生のなんともいえない甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。胸いっぱいに息を吸い込めば、体の内側まで染み込んでくる気がした。
 並んで座ると、夕子はセーラー服の襟元あたりをつまんでパタパタとさせた。背中を見ると、汗ばんだ薄手の生地に真っ赤なブラジャーの紐が透けている。
「ふぅっ、ちょっと疲れちゃったね。もう10月に入っちゃったのにさあ、まだまだ結構暑くない?」
「そ、そうだね……」
 玉川の返事は全くの生返事であった。
 夕子の胸元からは柔らかそうな谷間がチラホラと顔を覗かせていた。今時のダイエット過多な女子高生らしからず、細身なのに結構胸がある。横目で見る玉川は、そこから視線を外すことが出来なくなっていた。
(エ、エロいっ……。エロすぎるぞっ……)
 胸だけではない。全体のシルエットは細身なのに、太股といいヒップといい、出るべき部分だけはムチムチと張りつめており、コスプレのせいか殊更に強調されたボディはたまらなく肉感的であった。
 こんな子が風俗で出てきたら即ガッツポーズである。毎回指名して延長までしまいそうだ。いけない事ではあるが、もしもセーラー服を脱がしてみたらどれ程いやらしい体つきなのか。想像するだけで身震いしてしまう。
「んっ? どうしたのぉ、おじさん? もうそろそろ行く?」
「いや、ちょっと……」
 玉川はその場から立ち上がる事ができなかった。スラックスの下ではイチモツが固く勃起していたためである。
「アハ。やだー、エッチ。ひょっとしてあたしの事、そんな目で見てたのぉ?」
「え、いや、その……」
 夕子の目が妖しく光った。
「んふふふ、おじさん。おち○ちん、おっきくなっちゃったねぇ……。文化祭開いてる高校の中で? リアルJK相手に? 見つかったら捕まっちゃうわよ。犯罪ね、犯罪」
「い、いや……待ってくれ……。誤解だ、誤解なんだ……」
 いったい何が誤解なのかも説明も弁解もできなかったが、玉川は必死になって弁明した。このままではヤバイと、頭の中のどこかでひっきりなしにアラートが鳴っていた。歌舞伎町のファッションヘルスでならよくあるシチュエーションであるが、ここは実在の高校で、相手は本物の女子高生なのである。
「あっ」
 夕子がわざとらしく身体を倒し、玉川の方へもたれかかってきた。
 反射的に手を前に出すと、彼女の身体を抱擁するような格好となった。見た目は細いのに、腕の中に収めると女らしい丸みと柔らかさが生々しく伝わってきた。肩ほどまで伸びた、綺麗に赤く染められた髪を撫でた。胸元に押し付けられた顔はやたらと小さい。
 夕子が顔を上げた。猫のように多きな目をきゅっと細め、不思議そうにじっと見つめてくる。
(やばいやばいやばいっ……!)
 股間の逸物はもはや言い訳のしようがないほどに勃起していた。夕子は目を細めると、コーラルピンクのマニキュアをした指をそこへ添えてきた。
「あー、なにこれぇ? クスクス……。スッゴくかったーい」
「ゆ、夕子ちゃん……ま、ま、まずいよ、まずいよそれは……」
「だって、こうなると男のヒトって苦しいんでしょお?」
「そりゃそうだけど……でも、いや……こんなところで……」
「ここ、誰も来ないって。今はね。ねぇ……、よかったらさぁ、それ……スッキリさせてあげよっか?」
「ス、スッキリって……、いったい何をするつもりなんだい?」
 玉川は震える声で尋ね返した。
「手で五千、口なら一万」
「……!?」
 玉川は絶句した。にわかに耳がおかしくなったのかと思った。手? 口? 聞き間違いでなければそれはつまり、手コキにフェラチオ、つまり援助交際の、もっとダイレクトに言い換えれば売春行為の誘いという事なのか? 近年は同じ行為をパパ活と呼んだりもするらしいが……。
 いや、そんなことは今はどうでもいい。
 薄暗い体育準備室の中、夕子の目は爛々と輝いていた。サクランボのような唇はびっくりするほど蠱惑的で、まさに小悪魔的とでも言うべき妖しい笑みを浮かべていた。
「ちょ……夕子ちゃん……?」
 困惑する玉川を尻目に、夕子はリボンタイを外し、胸元を大胆に広げた。さっきも思ったが、こうして目の前に突きつけられるとよく分かる、中々の美巨乳である。
「ふ、普段からこういう事をしているのかい? そ、それに、ちょ、ちょっと高過ぎやしないかい? そんな、高校生がお遊びでやりとりする額じゃないよ……」
 カラカラに乾いた喉から、やっとそれだけ言葉を絞り出した。
「そんな事、今はどうだっていいじゃん? おじさん、こんなに超バキバキに勃起させちゃってさあ、このままじゃ苦しいでしょ? だ・か・ら、夕子ちゃんが手か口でヌキヌキしてあげるっつってんの。現役JKがしてあげるって言ってるんだもん、むしろ相当リーズナブルだと思うけどなあ……」
 そう言いながらも夕子はスラックスの上でフェザータッチを続けていた。やわやわとした手の動きの巧みさは下手な風俗嬢顔負けである。確かに、五反田あたりのイメクラ・サロンと比すれば適正価格。むしろ近頃は手を出すと都条例でしょっぴかれるリアルJKを相手取っているだけに、この値段は激安とさえ言える。
「このままだと服着たままパンツの中に出しちゃう事になると思うけど……。そんなところに染み作ったままここ出たら、それこそ一貫の終わりだと思うけどなあ……」
 確かに夕子の言うとおりである。そんな姿でここを出たら公然ワイセツだ。即お縄になってしまうだろうし、そうなれば職場は懲戒免職、そして家庭崩壊が待っている。
「おじさん、大丈夫よ。ここでの事は誰にも言わないから。あたしとおじさんだけの、ヒ・ミ・ツ」
「うぁ……、あぁあっ!」
 耳元で囁かれ、玉川の心臓は狂ったように早鐘を打ち出した。理性という名のダムはこのとき決壊した。気がつけば、財布から一万円を出して彼女に渡していた。
「まいどありっ! それじゃ、お尻、持ち上げて」
 夕子に言われたとおりにすると、たちまちベルトを外されてスラックスとトランクスをまとめて膝下まで捲り下ろされた。苦しそうに押し込められていたペニスが露になり、ブンと唸りをあげて反り返った。それを見た夕子がにんまりと笑みを浮かべた。
 恥ずかしさに顔が熱くなった。

      4

(えっ、なにっ、なんだぁっ! これは本当に現実に起きている事なのか……!?)
 勢いに負けてつい一万円札を渡してしまったものの、これから本当に行為が始まるということがにわかには信じられなかった。
 もし夢であるなら覚めないでほしいところである。
 童貞少年のようにどぎまきする玉川を尻目に、夕子は屹立した肉棒に指を絡め、固さを確かめるようにニギニギしてきた。
 眼と眼があった。
 夕子は真っ赤な舌を見せて、そそり勃つ男の欲望機関を躊躇うこと無く口に含んだ。
「おほおっ……」
 玉川はだらしない声を漏らしてしまった。
 まさか本当に……、学び舎の中で現役JKにフェラチオされてしまうとは……。
  夕子は生暖かい口腔粘膜で亀頭をぴっちりと包み込み、やわやわと吸いたててきた。すぐに舌が動きだし、裏筋をくすぐるように舐め回す。
「ううっ……うむむむっ……」
 玉川は首に青筋を浮かべて唸り、顔が熱くなってゆくのを感じた。こんな事になるとは思ってもみなかった分、刺激が鮮烈だった。
 今いる体育準備室は自分達以外誰もいないが、建物外や通路側からはガヤガヤと談笑する声が入り込み、聞こえている。
 生徒か教師か父兄か……、もしも何かの拍子にここへ入ってきて見つかるような事があれば、確実な破滅が待っている。48年間生きてきて、いまだかつてない危険なシチュエーションである。
 にもかかわらず夕子は、顔を深々と沈め、じわじわと口腔奉仕に熱を込めていく。鼻息を弾ませ、口唇に含んだ亀頭をねちっこく舐め回してくる。
「むぅっ、むううっ……」
 玉川はすっかり翻弄されていた。年齢に見合わぬ夕子の練達過ぎるフェラチオ・テクニックの虜になり、身をよじる以外何も出来なくなった。
 背筋をピーンと伸ばし、顔を真っ赤にして悶えていると、外から聞こえてくるガヤ声がこちらへと近づいて来るように感じられた。
「ま……ま、まずいよ、まずいんじゃないかい夕子ちゃん!? こんな所で……、他の生徒がやってきたりしたら……、君も私も終わりだっ! な、悪いことは言わないからっ、ここは一旦……」
 すると夕子は、男根から口を離してゆっくりと顔を上げた。
「ムフン、どうしよっかなぁ……? もし、もしもよ? あたしが今、『いゃっ助けてぇっ!』て声をあげたりしたら、どうなっちゃうと思う……?」
「そっ……んなぁ……っ……!?」
 そんな事をされたら一貫の終わりである。
 女子高生と脂ぎった中年親父……。
 ここは高校である。良識ある人間であれば、どちらの言い分を信じるかなど一目瞭然である。しかも、既に支払った一万円札と言う言い逃れ出来ない動かぬ証拠まであるのだ。要するに退路はなく、夕子のなすがままになる以外の道は無いということだ。
 夕子は相変わらず小悪魔のように挑発的な笑みを浮かべている。
 だが、夕子にとってもしてはいけない場所で口腔奉仕するというシチュエーションは背徳的であるためだろうか、大きな瞳はいやらしいくらいにねっとりと潤んで、玉川を圧倒していた。
(ああ……どうすれば、どうすればいいんだ!? うああ……何も、何も考えられないっ!)
 言葉を返せないでいると、
「……ぅんあっ……!」
 夕子は再び男根を咥えこんできた。
 夕子の口内で唾液がじゅわっと広がっていくのを感じた。ずいぶん大量に分泌しているようであった。夕子はその唾液ごと、じゅるっ、じゅるっと男根を吸いたててきた。
(こっ、これは……これはぁっ、気持ちよすぎるっ! プロ顔負けじゃないか……!)
 風俗でも中々経験したことがないような鮮烈な刺激に、玉川は呼吸ができなくなった。口内粘膜と男根の間を流れている唾液の膜をヌラヌラと動かすようなやり方であった。
 ただただ強く吸いたてるようなやり方とはまた違い、強烈な刺激というよりも、ただひたすらにいやらしい。口内粘膜が蕩けて、男根に絡みついてくるような感じだ。
 しかも、夕子はジュルジュルと淫らな音をたてて男根を吸いたてながら、唇をスライドさせてきた。なめらかな唇の裏が、カリの括れから根元まで移動しては戻ってくる。唇が根元まで届けば、必然的に亀頭は喉奥の狭いところに到達する。夕子はむせることもなく、喉奥でキュッキュと亀頭を締め付ける離れ業まで披露した。
「むうううっ……ふぅうううっ……」
 玉川の体の奥深くで、射精欲が渦巻いてきていた。文化祭の最中に、現役女子高生の口内に……。
(まっ、まずいっ……)
 額にじんわりと脂汗が浮かんできた。このままでは口中に発射してしまうことになる。
 だが、そんな葛藤などお構いなしに夕子のフェラチオはいやらしさを増していくばかりだ。じゅるっ、じゅるっと先端をしゃぶりたてては舐め回し、鈴口をチロチロと刺激してくる。芯から熱くなった男根を、細い指先でしごきたててくる。
「ぬおおおっ……、むおおおっ……」
 玉川は必死になって射精欲をこらえたが、もはや我慢の限界は近かった。彼女の口内に熱い粘液を━━。
「でっ、出ちゃうっ……、我慢できないっ……」
「……まだダーメ」
 夕子は口唇からペニスを引き抜くと、上目遣いで玉川の眼を見つめてきた。
 真っ赤な唇と赤黒い亀頭の間には唾液のアーチが生じていた。
「ねぇ……」
 舌を出して我慢汁を舐め啜ると、可愛い顔を紅潮させながら上目使いで見つめてきた。
「あと……五千円出してくれたらさぁ、お口でゴックンしてあげてもいーよ」
 玉川は間髪いれずに頷いた。
 財布から五千円札を取り出して夕子に渡した。既に格安店ならソープランドに行ける程の金が財布から抜け出ていたが、それが適正価格であるかどうか、そもそもそれ以前に現役JKに校内でフェラさせてあまつさえ精液を飲ませてしまうという背徳的行為への是非……。そういった諸々を判断する気力は、もうどこにも残されていなかった。
「おじさん……。あ・り・が・と」
 夕子は頬をピンクに染めると、とびきり蠱惑的な笑顔で鈴口にキスをした。

 
      5

「ぅんぁっ……、むふぅん……」
 夕子は亀頭を咥えつつ、眉根を寄せた卑猥な上目使いでこちらを見つめてきた。視線をねっとりと絡めあわせては、じゅるじゅると音をたてて吸いたててくる。唾液の分泌が旺盛なのか、あっという間に肉竿のみならず陰毛までびしょ濡れになってゆく。我慢汁と唾液の混合液が、玉袋の裏までポタポタと垂れてくる。
(ううおっ……、た、たまらんっ!)
 限界は近かった。無我夢中で夕子の頭を両手で掴んだ。赤髪の中に強引に指を突っ込んでは、くしゃくしゃにかき回した。
「ぅんぐぅっ……、んぅうぅっ!」
 髪を弄られたことで興奮したのか、夕子の口腔奉仕に更なる熱がこもってきた。双頬をべっこりとへこませ、猛烈な吸引力で吸いたててくる。
「あぅ……うううっ……、でっ……で……出るぅ……出ちゃうぞっ!」
 裏返った声で言うと、夕子はペニスを咥えたまま上目使いでうなずいた。鼻息を更に荒げ、したたかに吸いたててくる。魂まで吸い取られそうな猛烈なバキュームフェラであった。玉川は為す術もなく、放出の瞬間を迎えた。
「でっ、出るっ、もう出るっ! おおおっ、おあああああっ……!」
 野太い声を漏らして、腰を反り返らせた。夕子の口唇の吸引力は最高潮に達していた。出したのか、吸われたのか分からない程だ。実感できたのは、普段の倍以上のスピードで熱い粘液が尿道を駆け抜けた事だけだった。口内にぶちまけた男の精を、約束どおり夕子は喉を鳴らしてゴクゴクと嚥下してゆく。すさまじい快感に目を開けていられなくなった。ぎゅっと目を瞑ると、瞼の裏側ではまるで登り竜のような火花が舞い上がっていた。

      6

 はずむ呼吸を整えている間、夕子はてきぱきとペニスをティッシュで拭き取ると、玉川の頬にチュッとキスをしてきた。
「はぁ……はぁ……。ゆ、夕子ちゃん……」
「うふふっ、おじさん。どうだった? 気持ちよかった?」
 玉川は重々しく首を縦に振った。
 ペニスを擦られている最中は小悪魔めいて見えたが、こうして嫌な顔ひとつせずに後処理をする姿は天使のようである。
 射精の快感は確かにかつて無い程の巨大な快楽をもたらしたが、それ以上に大きかったのは羞恥心、罪悪感、そして後悔である。これまでの人生、一応は法の範疇で生きてきたつもりであったが、今した行為は完全にその外側、バレたら身の破滅という類いの行為である。
 だが、法をあえて飛び越えた先には見たこともない快楽が眠っているという事もまた事実であった。更なるルビコン川を渡り、現役女子高生と本気のセックスをしたら、どれほどまでに快楽がもたらされてしまうのか。きっと脳がスパークする程の麻薬的官能がもたらされるに違いない。
 そのような妄想が脳裏に浮かび、玉川は思わず生唾を飲み込んだ。
「ゆ、夕子ちゃん……」
「なぁに……神妙な顔しちゃって。あ、ひょっとしてまだヌキ足りないの? ちょっと待ってて……」
「……ん?」
 夕子は自身のスマホを取り出すと、電話帳アプリを開いた。
「はい、連絡先。そろそろ教室の方に戻んなきゃいけないけどさ、また夕子ちゃんに逢いたくなったら連絡してもいーよ。 ただし……」
 玉川はそこまで言った夕子を制止したた。懐から再び財布を取りだし、五千円札を一枚抜き取った。
「五千円、だろ? ほら」
「ふふ、おじさん。ありがとネっ」
 夕子は五千円札にチュッとキスして投げキッスのポーズを作った。悪魔的な可愛さであった。この笑顔のためなら安い出費と本気で思えてきたのだから、女子高生とは恐ろしい。
 夕子によって身も心も骨抜きにされた玉川は近い将来、仕事も家庭も破綻するまで入れあげる事となる。
 だがそれは、また別の話である。

      7

 お散歩コースで出ていった夕子は、およそ一時間後に3ーAへと戻ってきた。
「おっ? 夕子、戻ってきたか、お疲れ━━」
「あっ、好雄くーん。さっきのお客さん、裏オプフルに入てもらって、占めて二万円。いや~、大漁大量っ……」
「バッ、バカヤロっ! 声がでけぇっ!」
 好雄は慌てて夕子を羽交い締めにして、後ろから回した両手で口を塞いだ。
「んっ!? んむんん~っ!?」
 いまさら言うまでも無いが、今はまだ裏オプションが公になってもらっては困るのであった。
 好雄にだってその程度の常識はある。こうした商売をさせているのは、あくまで好雄と絶対的な信頼関係がある人間のみに限られている。秘密はどこから漏れるのか分からないし、自発的にこうした事をしてもらえるような女子でないと、不満が一瞬で爆発することは想像に難くないからだ。
 幸いなことに、このとき周囲からは、まーたバカ二人が痴話喧嘩してるよとしか思われなかった。

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コメント

  1. もえもえ より:

    すごくエロくて読んでて興奮しました。
    読みやすくて一気に読んじゃいました。
    次回作、楽しみにしてますね!

  2. しょうきち より:

    もえもえ様。
    コメントありがとうございます。
    お楽しみいただき、本当に嬉しく思います。
    不定期ですが続きを更新したりしてますので、ぜひぜひ引き続きお読みいただけますと幸いです。

    また、本作の過去の話や別の小説など、エロエロを目指して書いた小説が色々ありますので、そちらももしお楽しみいただけましたら、いいね、コメント等いただけますと励みになります。(あんまり古いのは、もはや恥ずかしいレベルの出来ですが・・・)

    それではまた。いつの日か。
    お元気で。

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