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10.運動部の女神

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作者:しょうきち

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     1

(ふう……、疲れちゃった……)
 米田と別れた未緒は、待機室へ戻る前に水道で口をゆすいでいた。
 あの後、ごっくん代のチップとして追加で3,000円受け取った。
 金払いがいいのは有り難かったが、性行為に対して報酬を貰うという生まれて初めての状況に、未緒は戸惑いにも似た気持ちを抱いていた。好きな人のためなら何だってしてあげたいし、何ならお金など逆に払ってでもお願いしたい程だ。もっとも、特に金持ちというわけではないので、大した額は払えないが━━。
 それにしても━━。
 性行為自体は好きな部類とはいえ、かなりの疲労感が肩にのしかかっていた。顎などはまだジンジンする程である。
 これを一日に何回も繰り返すとなると、流石に気が重いものがある。
 若者向けのテレビ番組など見ていると、よくカジュアルに何十人、更には何百人もの経験人数を誇る女性が出演したりしているが、肉体的な磨耗感はもちろんのこと、一体どれ程優れたコミュニケーション能力があればそんな事が可能となるのか。引っ込み思案で交遊半径の狭い未緒としては興味が尽きないところである。
「沙希ちゃん━━」
 未緒は友人の名前をひとりごちた。
 友人の名は虹野沙希。
 未緒の数少ない親友で、サッカー部のマネージャーをしている。
 自分以外の他者を力の限り応援し、献身することを人生の糧にしているかのような善性の塊で、特に運動部男子からは「運動部のアイドル」と呼ばれるほどの人気を誇る。
 一年の頃から不思議と気が合い友人をしている。今回のJKリフレについてもついボロッと口をついて話してしまったところ、沙希は自ら手伝いを申し出てくれた。 沙希は未緒達とは別のクラスなので本当は手伝う必要はない、それどころか本当は秘密にしていなければならないのだが、好雄に相談してみたところ、「マジか!? あの虹野さんがっ!」と驚きつつも二つ返事で協力を承諾してくれた。
 好雄によると、沙希にも頼み込んでみたところ裏オプ営業までも承諾してくれたのだという。今ごろはどこか別のところで客と会っている筈だ。
(大丈夫かな、沙希ちゃん……)
 男子サッカー部のマネージャーである沙希は、未緒などよりもよほど男慣れもしていると言える。だが杞憂かもしれないが、心配なものは心配であった。

      2

 きらめき高校三年B組、虹野沙希。サッカー部マネージャーで、一部男子からは絶大な人気を誇る。
 その人気ぶりは、運動部界隈ではあの藤崎詩織にさえ匹敵するとも言われるほどだ。
 だが、彼女には裏の顔があった。
 特に運動部に所属する男子からは「運動部のアイドル」と呼ばれる程の人気を博しているが、一部女子グループからは蛇蝎のごとく嫌われていたのであった。
 勿論それには、単に可愛いから嫉妬されているといっただけではない、とある深い理由がある。
 沙希は多数の男子、とりわけサッカー部においてはレギュラー陣のほぼ全員と肉体関係を持っていた。
 今の代のチームだけではなく、歴代のレギュラー級の選手のほとんどと身体を重ねていたので、関係した相手、その人数だけを数えたならば総勢30人以上にのぼる。
 サッカー部のみならず運動部界隈からは広く人気を博しているだけあって、野球部やバレー部のエースと寝たこともある。誘われれば決して断らない(と言うよりも断れないと言った方が正確である)からだ。
 女子カーストにおけるピラミッドの中では、本人の属するグループやキャラ付けもさることながら、付き合う男のグレードがその立ち位置における重要なファクターである。
 一概に言えるものでもないが、概ね運動部のキャプテンやエースといった目立つ男を彼氏にすると、その女子の立ち位置は結果としてワンランクもツーランクも高まる。
 カースト内で優位に立つため、そうした男子を虎視眈々と狙う肉食獣のような女子からすれば、カマトトぶって端から食い荒らしているように見える、沙希の存在は非常に面白くない。
 そのため、沙希はそうした心ない女子グループからはアイドルならぬ「運動部の肉便器」「運動部の公衆便所」などといった最低の陰口を叩かれていたのである。噂が広まるにつれ、多くの女子グループから村八分のような扱いを受けるようになっていた。
 そんな中で唯一友人関係を継続していたのが如月未緒である。未緒はこうした女子カーストに興味を持たず一人で黙々と本を読んでいるようなタイプで、そうした主流派グループの醜い諍いには興味がなかった。

      3

 当たり前の話だが、そんな沙希にも処女だった頃があった。高校入学の時点では性体験はおろか男子と付き合った経験すらなかった。
 転機が訪れたのは、まだ初々しさの残る高校一年の春。サッカー部マネージャーとして入部しておよそ三週間が経過した頃であった。
 入部以来、選手顔負けのサッカー知識、献身的なマネージャーとしての仕事ぶり、そして何よりもアイドルチックな可愛らしさとが相まって、瞬く間に圧倒的な人気者となっていた。こうなると誰が一番乗りに告白し、彼女のハートをゲットするのかという事が部員たちの心を悩ます関心事である。
 先鞭をつけたのは二年先輩の三年生で、当時のサッカー部キャプテン、菅原である。沙希は生まれてはじめて受けた告白に戸惑いつつも結局はOKし、その一週間後には処女を捧げた。正直なところ自分でもまだそこまで先輩の事が好きなのかどうか心が追い付いていないところがあったが、土下座されて懇願されたこともあって、やむなく……と相成った。
 はじめてのセックスは痛くて大泣きすることとなったが、菅原も童貞で、盛りのついた雄犬のような勢いとなって最後まで止めてくれなかったのである。
 これだけなら普通のどこにでもある話だ。
 だが、事はそれだけでは済まなかった。
 場所がまずかった。セックスした場所はサッカー部の部室であった。もちろん周囲に人がいない事は確認したし、鍵はかけてカーテンも閉めたつもりだったが、実は部室内の死角には密かにCCDカメラが設置されており、先輩との初体験はつぶさに録画されていたのである。事の翌日、沙希の携帯に匿名でその動画ファイルが送られてきていた。
 青ざめた事は言うまでもない。
 犯人はすぐにわかった。副キャプテンの生田であった。なぜ分かったのかというと向こうから接触してきたからである。
 生田はサッカーの実力は折り紙つきであるものの、は虫類のような目をした何を考えているかよく分からない男で、盗撮や盗聴が趣味という危険な男であった。
 放課後、他の部員たちが帰った後。
 沙希は密かに部室へと呼び出されていた。誰にも━━特に菅原には決して知らせず、一人で来いと言われていた。そこにはサディスティックな笑みを浮かべた生田が一人で待ち構えていた。
「おい虹野ォ……お前、神聖な部室をラブホか何かと勘違いしてんじゃないのか? あん?」
「ご、ごめんなさい……」
「たまたまカメラにお前たちの姿が映り込んでたのを見たときはたまげたぜ。なあ、オイ、こんな事学校にバレたらお前、今度の大会はよくて出場停止、悪くて廃部だぞ? わかってんのか?」
「そ、そんな……! そんな事になったら皆の夢が……! も、もうしませんから……先輩、お願いしますっ! どうかこのことは秘密に……」
「アアッ!? それが人にものを頼む態度だって言うのかよ」
「す、すみません……なんでもっ、なんでもしますから、どうか……」
「ふ~ん、なんでもって言ったか……?」
「は、はい……」
 嫌な予感がした。生田が息を荒げ、にじり寄ってくる。
「きゃぁっ!」
 生田は沙希の両腕を取って羽交い締めにすると、乱暴に下半身をまさぐってきた。
「せ、先輩……なにを……」
「ウヒヒ、分かってんだろ? あいつに……菅原の野郎にした事をな、俺にもしてくれって事だよ」
「そっ……そんな! できませんっ!」
「できねえじゃねえっ! やるんだよォっ!」
 怒号と共にジャージの中まで手をつっこまれ、薄布の上から敏感な部分をいじり回される。背筋にピリリとしたものが走った。
「やぁっ、はぁぁあっ……!」
「やっぱりな、淫乱女子は違うな。随分と濡らしやがって。本当は期待してたんだろ? ん?」
「そ、そんな……違っ、違うの……」
 言われてはじめて気づいたが、確かに下半身はぶるぶると震え、股間がぐっしょりと湿っている。だがそれは性的興奮のためなどではなく、恐怖によるものだ。
「ゆ、許して……、お願い……」
 沙希は目に涙を浮かべながら懇願した。だが、そういった態度が更なる嗜虐心を煽る結果をもたらすということを、このときはまだ知らなかった。
 生田は沙希の体操着を胸の上までたくし上げると、更にブラジャーも外して乳房を露出させた。
「い、いやぁっ!?」
 生田はショーツ越しにツー、ツゥーと蜜部をこすりあげると共に、露出した乳房をねちっこく揉みしだいた。
「ヒヒヒっ、ほら見ろ虹野、分かるか? 乳首が固くなってる。それにこんなにマ○コがグショグショだぞ。欲しくなってきたんじゃないのか。ソラソラソラっ」
 ショーツをずらし、立てた中指を蜜部にズブズブと突き入れてくる。まだ貫通してからそれほど間がないために痛くてしょうがなかったが、防衛反応のためであろうか、中からは意思に反して止めどなくトロリトロリと粘液が分泌されてゆくのである。
「ゆ、許して……そこはっ、はうぅぅっ!」
「うひひっ、ずるいぞ虹野。一人で感じちまいやがってヨォ。俺のも気持ち良くしてくれよぉ」
 生田はトランクスを脱ぎ捨て、ペニスを露出させた。赤黒い肉棒が力強く隆起している。
(やだ……、菅原先輩のよりも大きい……)
 そんなしょうもない事を考えていると、ジャージをショーツごと無理矢理ズリ下げられ、固くなった怒張を後ろからグリグリと臀部に押し付けられた。
 沙希は何をされるのか察した。
「ダメっ! ダメです先輩! それはっ……それだけは許してっ!」
「バカが。男はもうこうなったら止まらないんだよ。なに、終わったら動画データは削除してやるから」
「ほ、本当ですか……?」
「ああ、約束する」
「うう……、んんんっ……」
 沈黙を肯定と受け取ったのか、生田が唇を奪ってきた。
(うぅっ……、こうなったら先輩をなんとかして落ち着かせないと……でも、でもっ……)
 拒み切れずにいると、生田は蜜部とクリトリスをクリクリと愛撫しながら、舌をいやらしくしゃぶってきた。
「アン……んむぅぅん……」
 陰湿かつねちっこい愛撫によって、いつしか沙希は倒錯の渦に巻き込まれていった。
 抵抗が弱まったのを見抜かれたのか、腰砕けになった脚をガニ股状に開かされ、その中央にペニスの先端をあてがわれた。
「せ、先輩っ……生田先輩っ!?」
 狼狽しきって首をぶんぶん振って訴えるものの、生田はヘラヘラと笑って取り合わない。
「やっ……やめてっ!」
「へへへ……」
 蜜部は先程指をズブズブと出し入れされた時点で十分に潤んでいた。そして今度は指などよりも太く、固く、熱くなった肉茎が割れ目にあてがわれている。腰を小刻みに揺さぶって浅瀬をヌプヌプと刺激してきた。
「あぁうぅ……」
 その間にも、生田の手指はクリトリスを刺激し続けている。沙希は太股まで蜜液をしたたらせながら、もどかしげに腰をぶるぶると震わせた。
「あ、あの……せ、先輩……。せめてスキンを……」
 卑劣な男のペニスを生で挿入されるおぞましさに、沙希は華奢な肩をカタカタと震わせた。首だけを後ろに向けながら、切なげな声で哀願した。
「なんだ、着ければしてもいいのか?」
「っ!」
「……よしっ、可愛い後輩の頼みだからな。本当はナマがよかったけど着けてやるか、しょうがない。優しい俺様に感謝しろよ」
「うっ……ありがとう、ございます……」
 不本意ながらも感謝の言葉を口にしてしまうと、沙希の心中にも変化が生じた。
 レイプされてしまう恐怖は、ちゃんと避妊してくれてありがとうという感謝の念へと変換されてゆき、あれほど嫌だった生田に対しては思慕の情が心の奥底に生まれはじめていたのである。はじめての時、菅原にはコンドームをつけてもらえなかったという事実も、その感情を後押ししていた。
 生田は器用にも沙希の腰をがっちりとホールドしたままボストンバッグからコンドームを取り出し装着すると、既にぐっしょりと濡れた秘口をしたたかに突き破ってきた。
「そらっ、いくぞっ」
「ううっ……、あぁぁあん!」
「ウヒョっ、すごいぞ虹野っ。フレッシュなマ○コがトロトロしてる。キヒヒッ、こんなキツキツだなんて、ヤリマンマネージャーとはとても思えないぞっ」
 猛り勃った男根を、後ろからずぶりと埋め込まれた。
「ほうら、もっとヒップを突き出せ。雰囲気出さないといつまでも終わんないぞ」
「んんんっ……!」
 促されるまま尻を後ろに突き出すと、生田のピストン運動に併せるようにして腰をクネクネと揺さぶった。突き上げられながもクリトリスを執拗に刺激されると、蜜壺は熱く爛れ、認めたくはないものの飛び上がりたくなる程の痛烈な快感が訪れていた。
 ずんっと最奥を突き上げられた。
「はぁっ、はぁうぅぅぅぅうー!」
 獣じみた悲鳴を部室内に轟かせてしまっていた。
「はしたないぞ、虹野……」
「えっ」
 生田が一転して腰を激しく動かすのを止め、ゆっくりと腰を回転させる。ゆっくりとグラインドさせて、濡れた肉ひだを撹拌する。
「いくら誰もいない部室だからって、ここは申請な部室だぞ。もっと控えめに喘ぐんだ」
「だって……それは、先輩が……。くうぅぅぅっ……」
 沙希は歯を食いしばり、必死になって声をこらえようとした。だが、耐えがたい勢いで身の底から欲望にも似た喜悦の悲鳴がこみあげてくる。
 生田にしても言葉とは裏腹に、もっと淫らな悲鳴をあげさせたいようであった。腰のグラインドは、再び抜き差しのストロークへとチェンジされた。野太くみなぎった男根が深々と入ってきては、素早く抜かれる。ぱちゅん、ぱちゅんと乾いた音をたててヒップの肉が弾かれる。
「ああっ、ダメっ……、先輩っ……おかしくなるっ、私……おかしくなっちゃいますっ!」
 突き上げられるたびに頭のてっぺんまで痺れるような何かが駆け抜けてゆく。全身が怖いくらいに敏感になっていた。沙希はわけもわからずに追い込まれていった。
「いいぞっ、虹野っ! イケっ!」
「くうぅーっ! んんんーっ!」
 男根がにわかに逞しくみなぎりを増した。
 濡れた肉ひだを奥までかき乱してゆき、硬さと太さが尋常ではなくなり、女の割れ目が割り広げられてゆく。
 沙希もそれに呼応するかのように、迫り来る快美感とともに下腹部ににきゅっと力を込める。女の本能が男根を奥へ奥へと飲み込んでゆく。
「おおおっ、出すぞっ……出すぞっ……! おおおうぅーっ!」
 生田が雄叫びをあげ、最後の楔を打ち込んでくる。限界を超えて膨張した男根が暴れだし、煮えたぎる欲望のエキスを吐き出す。ドック、ドックと吐き出す衝撃が、はじめての恍惚へといざなう引き金となった。
「はあっ、はぁうぅーっ!」
 もう声を抑えられなかった。
「……イッ、イクッ! いっちゃうっ! はあぁぁぁぁぁーっ!」
 最後のクライマックスを迎え、二人の興奮ががっちりと噛み合う。
 沙希は生田の腕で力強く抱きすくめられながら、限界まで身体をのけぞらせた。自ら股間を生田の側に押し付け、子宮で男根の硬さを噛み締める。すると腰全体がガクガクと痙攣をはじめ、間も無く全身へと伝搬していった。体の芯が焼ききれんばかりの衝撃に、やがて意識を失ってしまった。

      4

 意外なことに、事を終えたあとの生田は憑き物が落ちたように豹変し、人が変わったように優しくなった。
 意識を取り戻したとき、沙希は服を着せられて部室のベンチに寝かせられていた。そして、次の瞬間目に入ってきたのは、切迫した表情で床に頭を叩きつけて土下座する生田の姿であった。
「すっ、すまん虹野っ! 俺、お前の弱味につけこんでとんでもない事をっ! ゆっ、許してくれないかもしれないけど、このとおりだっ!」
「せ……先輩、頭を上げてください……。で、でも……どうしてこんな事をしたんですか?」
「俺はな……菅原のヤツとは小中高ってずっとコンビでサッカーやってきたんだ。同じチームだけどいつだってライバルさ。でも、ずっとあいつには勝てなかった。今のチームのキャプテン決めだってそうさ、自然とあいつがキャプテンで、俺が副。あいつはいいやつだし、それでもいいかなって思ってた。だだそれも一週間前までの話さ。虹野、俺もさ、本当はお前のことが入部以来ずっと気になってたんだ。お前があいつの告白を受け入れて彼女になって、しかもたまたま、処女まで食われちまったなんて事を知っちまって、気が狂いそうだったぜ。枕まで濡らしたくらいさ。なんで俺じゃなかったんだ、もっと早く告ってれば━━なんてな。気づいたらこんなことをしちまってた。信じてくれねえかもしれないが、今は反省してる……」
「それで……こんな事を……」
「しちゃいけない事をしちまったって事は良く分かってる。こんな事をしちまって、もうあいつの前に━━いや、サッカー部に居られるなんて思わねえよ。じゃあな、 虹野……」
「まっ、待ってくださいっ! それじゃ、夏の大会はどうするんですか? 皆で優勝目指して頑張ってきたのに!」
「俺抜きでやってくれよ。ああ、ほら、動画データはこのとおり消すから、心配すんな」
 そう言って生田はカメラを操作し、動画ファイルを消して見せた。
「先輩! そんなの絶対駄目ですっ! どうなるんですかっ、皆とこれまで流した汗は! 努力は! 根性はっ!」
「に、虹野……。でも俺……あんな事しちまって……、それに無理だよ。お前や菅原の顔見てたら……裏でヤることヤってるって考えたらどうしたって辛くって……んんっ!?」
 生田が顔を上げると同時に、沙希はその頭をひしりと胸に抱き締めていた。 
「生田先輩……。わたし、嫌じゃ……なかったです」
「にっ、虹野っ……お前……」
「無理矢理はもう嫌ですけど、どうしても我慢できなくなったらまた言ってください。ほら、わたし、マネージャーですから。選手のケアだって立派な仕事です。でも、菅原先輩には秘密ですよ?」
「虹野っ……おおお……おぉっ……」
 生田は涙をボロボロと流し、自身が二年も先輩である事など忘れたかのようにしがみつき、沙希を抱き締めていた。生田にとってこの時の彼女は、アイドルはおろか女神か天使のように見えていたことであろう。
 菅原には悪いと思ったが、部内に女子マネージャーは沙希一人であったし、自分しか出来ない事を以て部内の人間関係の潤滑油になれたことに満足感を覚えていた。
 しかし、これだけでは終わらなかった。生田との情事、その一部始終を今度はエースストライカーの赤坂に見られていたのである。数日後には生田にされたのと似たような経緯で、赤坂とも密かに肉体関係を結ぶこととなった。
 こうなると後はズルズルと転がり落ちるように、たちまち他にも一人、もう一人……と何人もの部員と肉体関係を結んでしまっていた。
 夏頃にはレギュラー級の選手はほとんどが穴兄弟になっていた。そのような状況で臨んだ夏合宿は地獄のような修羅場とともに迎えることとなったが、男子部員全員の殴り合いも含む相談の結果、全員が沙希との関係継続を希望した。夜は枕投げならぬ、輪姦パーティの様相であった。
 

      5

 古代ギリシア時代に150組300人から成る同性愛者のみで構成された『神聖隊』と呼ばれる部隊がいた。男性のパートナー同士、戦場で肩を並べ戦うこの部隊は圧倒的な戦力を誇るアレクサンドロス大王の軍に敗れるまでは無敵を誇ったという。その強さの秘訣は、愛する者への想いの強さ、そして愛する者と肩を並べ戦っていることによる高揚感による。
 きらめき高校サッカー部は、まさに現代に甦った神聖隊の様相を呈していた。一人一人が愛する沙希のために限界以上の力を発揮し、全国レベルのチームが相手であろうが互角以上に渡り合っていたのである。また、沙希を通じて繋がったチームメイト間の連携は抜群で、アイコンタクトもなしに一瞬の絶妙なタイミングでパスを通しきり、相手チームのゴールをバスバスと割っていた。
 結果、きらめき高校サッカー部は創部以来はじめての全国大会制覇という栄光を手にすることができた。
 三年生が引退し、新チームになってからも沙希と主にレギュラー級選手を中心とするサッカー部員たちとの肉体関係は続いた。二年の春には沙希による新レギュラーの筆下ろしがサッカー部の恒例行事となっていた程である。
 その頃になると最早沙希の性的モラルは完全に壊れていた。だが、この状況に密かな満足感を覚えていたこともまた事実であった。
 毎日部活に汗を流すサッカー部員たち。その彼らが夢中になって乳房を揉んだり、鼻息を荒げて乳首を吸ったりする表情を、沙希だけが知っている。日常生活では決して見せることのない、射精するときの恥ずかしい顔まで知っていると思うと、自分が特別な存在であるかのように思えてくるのだ。 
 サッカー部男子との秘密の肉体関係が噂になり始めた頃、沙希の事を冷ややかな目で見る者が主に女子グループの間でちらほらと出始めた。
 極力気にしないようにしていたが、面と向かってやりまんだの泥棒猫だの言われた時はかなり落ち込んだ。そんなときはよく友達の未緒のところに行って愚痴を溢したりした。そんな縁で彼氏に振られて落ち込んでいた彼女にサッカー部の男子を紹介したこともある。残念ながらすぐに別れてしまったようだったが……。
 怒濤の快進撃を繰り返し続けたきらめき高校サッカー部は、沙希が在籍する三年間で、奇跡のインターハイ三連覇を成し遂げたのだった。三年間を通してレギュラーを張った選手は一人もいないが、その偉業の影には女子マネージャー、虹野沙希の献身があった事はあまり知られていない。

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