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前編
作:メルト連絡
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2018/08/12
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「う~ん!下見完了」
「やっと、終わった。これで後は帰るだけだね」
 その日、先生から二か月後に開かれる地区大会の会場の下見を命じられた僕と神薙さんは、施設の係員の案内ツアーを
終えて施設から出ようとした時の事だった。
「あ、そうだ!小日向くん、今時間大丈夫?」
「うん、時間なら大丈夫だけど」 
 前を歩いていた神薙さんが、何かを思い出したのか振り返り、後ろを歩いていた僕に話しかける。
「さっきね、係員の人からこの近くにある露天風呂の無料券をもらったんだ」
神薙さんは、制服のポケットの中から取り出して僕の顔付近に近づけた。
「でね、これ有効期限が今日まででね……二枚しかないんだ」
彼女の頬を薄く朱に染めた表情から、温泉に入っていきたいという気持ちが伝わってくる。
そんな彼女の仕草にやられた僕は、ただうなづくことしかできなかった。
「いいよ、部のみんなには黙っておくから二人で使っちゃおうか」
「うん、ありがとう!」
「ちょっ! ちょっと、ちょっと神薙さん」
満面の笑顔を浮かべると、無意識に僕の手を掴み露天風呂のある方向へと走り出した。

「ふう~!極楽極楽」
外の風景を眺めつつ湯に浸かっていると自然と口から言葉が漏れてしまう。
「やっべ……露天風呂まじで気持ちいい!はまっちゃいそう」
誰もいない、貸し切り状態のこの空間を一人で思う存分満喫できるというだけでテンションが上がってくる。
「ああ……これで、後は隣に可愛い彼女でもいればな」
「ふーん、小日向君は彼女が欲しいんだ」
「うん、できれば受験が始まる前ぐらいまでにできて欲しい……なっ……って、神薙さん!」
湯船の温かさのせいで、意識が緩んでいた俺の思考は、現在のありえない状況にようやく気付く。
男湯にある露天風呂で水着姿の神薙さんがいうとかいうありえない状況に。
「か、神薙さんここ男湯!」
「ここ、男女混浴だよ!」
「こ、混浴―!」
慌てて、頭に乗せていたタオル掴み股間を隠すオレの姿を見ながら神薙さんはいたずらっぽい笑みを浮かべて
話す。
「入り口に書いてあったでしょ。 混浴の露天風呂を使用する際には水着か肌着を使用してくださいって」
「え、そうなの……」
「うん、こっちの混浴露天風呂から見える景色が一番綺麗なんだって。だから、男女どちらも利用するためにそういうルールになってるって」
 「あー、えっと……すいません!ちょっと着替えてきます」
 「いいよ、別に!さいわい今は、私達だけみたいだし、気を付けてさえしてくれれば気にしないよ」
 そういうと、神薙さんは檜風呂の縁に腰を下ろし、その長い脚を湯船に入れる。
「うーん、気持ちいいぃぃぃ」
 俺は、胸の鼓動がドキドキと早くなるのを感じながらそっと視線を後ろ横にそらした。
わずか数二メートル圏内に、あの神薙さんの競泳水着姿があるからだ。
 隣の、女子高の功刀さんとつねにトップの座を争っていると言われているそのおっぱい。
 姉で水泳部の顧問である優花先生には及ばないものの、学年でもトップクラスの美巨乳と言われている
 あのおっぱいが……水着越しとは近くで拝めるというまたとないチャンスを神に感謝しつつ精一杯堪能しよう。
 「ふう~」
 湯船に入り、全身をだらっ~っとさせて露天風呂を楽しむ彩花。
 真面目な性格で潔癖に見える彼女だが、男の視線にはわりと鈍感であり露骨な視線を向けなければ気づかない事の方が多い。
だが、そんな彼女にここ数カ月で少々変化が起こり始めていた。元々清楚で家庭的な仕草で人気を集めていた彼女だが
最近ではその仕草の中に無意識にだが色気を感じる仕草が多くなってきた。
 「……うんっ……少しのぼせちゃったかな……」
 風呂の縁に、形のいいおしりを乗せると無意識に股の部分の水着の食い込みを直す。
 (本当に色っぽいよ‥‥…彩花ちゃん……)
 「へえ~、こんなしなびた温泉なんて、大したことなんてないと思っていたが……」
 「へへへ、ナル!なかなかイカス女がいるじゃないか」
 「……」
 後ろを振り向くと、露天風呂の入り口の方に三人組の男の姿があった。
 三人組の真ん中にいる金髪の男が、彩花に視線を向け舌なめずりをするとこちら近づいてくる。
 それに合わせるかのように、髪を逆立てた男が桶の中からナイフを取り出し金髪の男に合わせるかのようにこちらに近づいてくる。
「や、ヤバい」
「神薙さん、もうそろそろ出ようか」
 「うっ、うん……」
 そう言って、二人から距離を取りつつそれぞれの露天風呂の出口へと向かって歩き出した。
 「だっ、大丈夫だって!いくらなんでもこんなところで……」
「そうだよね……こんなところで……」
 「えっ……」
 距離を取りつつ、出口に近づいたその時僕は意識を失った。
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