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【アンケート実施中】 ヒロインリクエスト
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作:クマ紳士連絡
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2018/08/08
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「……やめて。私は貴方とは唇を交わしたくないわ」

近づいて来た彼の唇を避けるように、私は手の平を向けて拒絶を表した。

予想外だったのか、彼は僅かに顔を曇らせた。

互いの吐息すら感じられる距離で、私は彼とのキスを拒んだ。

後悔はないはずなのに、彼の顔を見ただけで胸がズキリと傷んだ。

正気では無いとはいえ、私から彼をフッたような態度を取ってしまった。

「はっ! そう? ならもういいよ。タマ姉みたいな高慢な女、俺は元々好みじゃないし 」

「っ!?」

吐き捨てるように紡がれた台詞に身体が固まる。

タカ坊が私の事を拒絶するような台詞を吐くなんて、信じたくなかった。

悪態を付きながら、彼は私のリードを引いた。

もう私に興味を無くしたように、自分の後を付いてくるよう指示し歩かせる。

力なく肩を落とした私は、彼に連れられるまま歩いて行く。

耳を覆いたくなるような悲鳴がそこかしこから聞こえる。

ふと視線を向ければ、身体を拘束された女性達が様々な凌辱を受けていた。

中には私に助けを求めるように手を伸ばす者もいたが、私にはどうする事も出来ない。

彼女達を見ないよう目を伏せたまま、彼に連れられ歩く。

彼相手では抵抗も出来ず、従うしかない弱い私。

力では勝っているはずの相手に手も足も出ず、彼女達と同じようにまるで奴隷のような扱いだった。

私も彼女達と同じように、ただただ無抵抗に蹂躙されるのだろうか……。

絶望の淵に立たされている事を改めて思い出し、泣きそうになる自分自身を懸命に堪えさせた。

……しっかりしなさい。タカ坊を助けられるのは私だけ。私だけなのよ……!

「ーー着いたよ」

伏せていた顔を上げれば、いつの間にか開けた場所に出た。

先ほどまでは明らかに建物の中に居たはずだが、今は違う。

何らかの建造物の前に出たようで、後ろを振り向いても先ほどまで歩いていたはずの建物の影すらない。

また魔法だろうか? 歩かされている間に、何らかの魔法を掛けられていたのか……どうやって外に出たのか分からない。

……空が青い。

見慣れた異世界の風景だった。青い空に心地よい風。さらには建造物の周りには樹齢幾許の大木や木々の数々。

よくよく辺りを見れば、どこかの森に迷い込んだかのような景色。

古びた建造物は軽く風化しているようで、石材で建てられたソレは遺跡のようだった。

煌びやかな装飾、銅で出来ているように見える扉が入り口のように見える。

これは……。

「まさか……」

「そう。ダンジョンだよ。いつも探索してただろ?」

並び立つ彼は、私の疑問に答えながらも顔にニヤついた笑みを張り付かせる。

リードを引き、私を扉の前へと歩かせた。

「今からこのダンジョンに潜ってもらうよ。大丈夫、タマ姉一人じゃないから」

……一人じゃない? タカ坊も行くの?

通常のダンジョンならば、タカ坊に指揮をしてもらい五人まで同時に探索に入る。

タカ坊が指揮出来る限界の人数が五人だった。

前衛と後衛に別れ、タカ坊に指揮されながら、タカ坊を守りながら戦うのが私達の基本スタイル。

私達は彼を中心に集まったメンバーなのだから、彼の存在なしでは戦うことは出来ない。

皆ソレを分かっていたし、誰もが自分達より彼の安全を第一に考えていた。

けれど……今の私に彼を守りながら戦う力はない。生身の人間相手ならともかく、モンスター達相手では……!

ファイタークラスまで落ちた私では、おそらく序盤に戦うスライムにすら苦戦するだろう。

このダンジョンがどんな場所か分からない以上、私一人でタカ坊と探索するのは危険過ぎた。

「タカ坊、やめて。悔しいけれど、私一人では貴方を守り切る自信がないわ」

折角外に出られたのに、彼を守り切る自信がない。

しかし、あの建物に残された女性達には悪いが、これはチャンスだ。

ダンジョンに潜るのはやめて、タカ坊と……このままどこかへ逃げてしまえばいい。

彼はダンジョンの恐ろしさをよく分かっているし、自分も危険に晒されるのだから聞き入れてくれるはず。

私はそう願って口にしたのだが、

「ははっ! 馬鹿だなぁタマ姉は! 俺が行くわけないだろ? 」

嘲るように笑われ、力任せに手を掴まれる。

引き寄せられた私は、彼の身体にピタリと密着してしまう。

普段なら平気なはずの距離。奥手でウブなタカ坊に、私が詰めている距離。

唇が触れ合いそうな近さで、私はらしくもなく彼から顔を逸らした。

「タマ姉、全然俺を見ないよね。怖いの? 俺が」

「……そうかもね」

すっかり変わり果てた姿の、貴方を見るのが怖い。

現実を受け止められない私。助けるとは口にするものの、方法が思い浮かばない。

「タマ姉を無理やり犯すのも悪くないけどさ、さっきも言ったけど初物は俺達は使えないんだ」

「あっ! やっ!?」

タカ坊は片手で私の手を握ったまま、空いている手で私の下半身をまさぐって来た。

突然の事に目を白黒させながら、私は何とか意識を強く持ち、彼を睨みつけた。

「やめなさい、タカ坊……ッ! こんなこと、貴方は本当は望んでいないはず」

ファイター衣装から露出している太ももを彼は丹念に撫で回してくる。

しかも時々衣装を強く引っ張られ、私の下半身を守っている衣装の食い込みがキツくなっていた。

緩急を付けて刺激され、私は知らず切ない声を上げかける。

「どうしたの? こんなんで感じるの? タマ姉?」

わざとらしい笑み。私の表情を観察し、言葉で攻めてくる。

いやらしいやり方だ。私は答えずに、彼の手を振りほどき、私の下半身をまさぐる彼の手を払い除けた。

彼は払われた手を引っ込め、私を睨みつける。

「ちッ! 手が早いのは相変わらずだね。乱暴な雌はこれだから嫌なんだ」

唾を吐き捨てながら、タカ坊は私を親の仇を見るような殺気のこもった瞳を向けてくる。

私は耐えてはいたが、気を抜くとすぐにも心が折れそうだった。

どうして私が彼に乱雑に扱われながら、こんな瞳を向けられなければならないのか。

これならいっそ、他の皆のように快楽に落ちてしまえば……楽になれるのではないか?

そう考えてしまった時だった。

「ーーオラオラ、きっちり歩けよ」

「ーーちゃんと歩いてるでしょ! 叩かないでよ、バカ!」

「ーーいい加減、目を覚まして下さいっス! 向坂先輩!」

聞き慣れた声がどこからか聞こえて来た。

どうやら森の奥かららしく、草花がざわめき出したかと思えば……見慣れた男女が姿を現した。

「ーー雄二ッ! 吉岡さん! ミルファ!」

3人の顔を見た途端、私は思わず駆け出したくなった。

3人共、他の皆同様酷い目に合わされているかと思えば、彼女達の姿は別れる前と変わっていない。

……いや、待って……どうして……?

「ーーお、マジで姉貴いるじゃん。この雌、使っていいのか? 貴明」

「環先輩!」

「たま! 弟を何とかしてよぉ!」

吉岡さんとミルファには、見慣れた真っ黒な首輪。首輪に繋がれた2本の鎖を引くのは雄二だった。

しかも雄二は、私を見つけるやいなや近寄って来て自然に手を伸ばしてくる。

下卑な笑みを張り付かせ、私の胸へと指を怪しく蠢かせていた。

「やめなさいッ!!」

「でッ!? な、なんだ? 何で姉貴、俺に逆らえるんだ?」

ぴしゃりと雄二の手を叩き落とせば、弟は面食らったように驚いた表情を見せる。

見れば、吉岡さんもミルファも驚いているようだった。

「すごっ! 逆らえるんスか! 救世主っス!」

「たま~! さっさとやっつけちゃえ!」

我に返った2人が私に助けを求めて来る。雄二は歯噛みしながらも、予想外の反撃にたじろいでいた。

彼女達の様子を見るに、雄二も操られているのだろう。

しかし、手が出せるならば……いつも通り気絶させてしまおう。

私は一足飛びに雄二に襲いかかろうと、足に力を込めるが……。

『ーーレベルリセット』

「ーーひぃッ!? あア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッ!!?」

タカ坊が放ったその一言に、全身が雷に打たれたかのような衝撃を受ける。

身体中が痙攣し、指一つ動かせない。脱力感のまま、前のめりに地面に倒れる。

視界がボヤけ、自分が泣いているのが分かった。

「あっ、あ、あぁ……タカ……坊ぉ……」

ファイタークラスには変わらなかったが、僅かに上がっていたらしいレベルを再び戻された。

タカ坊の意思で簡単に行われてしまう、私の強さ。

ゲーム的なシステムが敵に回ると、私の意思ではどうしようもない。

「は、はは。驚かせやがって。クソ姉貴が! 雌畜生のクセに俺達に逆らうんじゃねえよ!」

「あ、ぐぅ……」

近づいて来た雄二に、頭を踏みつけられる。

土埃が舞い、私の頭に雄二の靴に付いていた土やゴミが付いた。

舌もうまく動かせない私では、言葉すら吐けずされるがまま。

実の弟に足蹴にされて、私は人形のように崩れ落ちる。

「貴明~。今から姉貴を喰わねえ? コイツ、また襲い掛かってくるだろ?」

脱力しきった私の両手を掴み、上半身を起こさせる。

さらに雄二は、抵抗出来ない私の首筋に顔を寄せ舌を這わせて来た。

あまりの気持ち悪さに、背筋に悪寒が走る。

「無理だ。タマ姉は初物だ。犯ったら殺されるぞ、雄二」

諭すように告げられ、雄二が舌打ちする。

その反応を見て、タカ坊は呆れたように雄二を見、そして私を見た。

「これからタマ姉には、この2人とダンジョンに潜ってもらう。潜っている間は、俺達は何もしない。一番奥にある宝を取れたらゴールだ。たどり着けたら、ご褒美をもらうといい」

……褒美? それは……。

まだ身体が痺れ、力が入らない。

吉岡さんやミルファが心配そうにこちらへ視線を送る中、

「頑張りなよ。まあ、今まで誰一人、達成した雌は居ないけど」

また彼は笑う。今まで見た事がなかった悪意に満ちた、人を嘲る笑み。

人一倍優しい彼のこんな顔、見たくない。

私が何も言えずにいると、彼はふと何かを思い出したような声を上げる。

腰のポーチから、丸い飴玉のような物を取り出すと私の目の前に掲げた。

「そうそう。皇から預かり物だよ。良かったね、タマ姉」

口にしながらタカ坊は、いきなり私の口の中に指を突っ込み、私の舌を引っ張りあげる。

私は堪らず舌を口の外へと出し、タカ坊の前でだらしなく舌を突き出してしまった。

「ッ!? は、はっへ! はひほッ!? んんッ!!?」

タカ坊に舌を掴まれたまま、彼に説明を求むが彼は意に介さず、私の口内へ飴玉のような物体を突っ込んだ。

私は堪らず、吐き出そうと試みたが、

「んッ!? ん、んん……あぇ……ぁ」

彼はそんな私の行動を読んでいたかのように、自分の唇で私の唇を塞いだ。

私はあまりの出来事に頭の中が真っ白になった。

交わした唇から彼の体温を感じ、うっかり心を支配されそうになる。

「~~ッ!! ん、ん、んん! くっ!!」

脳が痺れるような感覚の中、意識を強く持ち、何とかタカ坊を引き剥がす。

突き飛ばした形にはなったが、なりふり構っていられなかった。

タカ坊とキスをしているという事実が、私の全てを支配しかけ、抗うだけで精一杯。

もし彼が正気ならば、私は彼の全てを受け入れていただろう。

「ちッ! もう動けるようになったのか。早いじゃない、タマ姉」

よろめきながら離れていく彼が、少し悔しそうに口元を抑える。

言われて見れば、若干の痺れは残っているものの身体が動かせた。

前回された時より、レベルリセットの反動が少ない。

レベルの下げ幅が少なかった為だろうか?

「唇はもらったけどね。案外チョロいね、タマ姉も」

「~~ッ!! 忘れなさいッ!」

タカ坊が私の唇の感触を思い出すかのように、自分の唇を舐めている。

私を辱めて楽しむ表情を見せる彼に、憤りを感じ、すぐにでも掴み掛かってしまいそうだ。

「そこまでにしとけよ。姉貴はさっさとこの雌達と一緒に行け」

「ちょっ、ちょっと……あんッ!? や、やめるっス!」

「ダメぇ! ダーリンの前で揉んじゃ、あヒィッ!?」

私を止める言葉を吐きながらも、雄二が吉岡さんとミルファの胸を弄びながら近づいて来る。

両隣に彼女達を侍らせ、自分の物だと主張するように彼女達の胸を捏ねくり回す。

彼女達は口では嫌がりながらも、全く抵抗していない。

見れば、ぼんやりとだが彼女達のお腹辺りが光を帯びている気がする。

その光を浴びてか、次第に彼女達の声が蕩け、嬉々とした表情に変わって行く。

私は雄二を諌めようか迷ったが、タカ坊にリードを引かれ、歩くように促される。

目の前には固く閉ざされたダンジョンの石扉。しかし、雄二達も隣に並ぶと重い扉が大きな音を立てて左右に開き始めた。

荘厳な作りらしい扉は開きながら、私達を招き入れるかのように待ち構える。

私の知っているダンジョンらしく、やはり中は薄暗い。篝火が点っているだけ、まだマシだろう。

「さ、行きなよ。このダンジョンの中ならタマ姉は自由だ」

首輪のリードを外され、背中を押されて中へと入る。

吉岡さんとミルファも同様に鎖を外され、ダンジョンの中に入った。

彼女達は既に息も絶え絶えで、そのまま地面に倒れ付した。

ソレを合図に、また石扉が重い音を立てて閉じ始める。

私はすぐにタカ坊に駆け寄った。このダンジョンの中なら、彼と過ごして行けるのではないか? 彼に思い出して貰えるような手掛かりもあるのではないか?

私一人では彼を守り切るのは難しいかもしれないが、吉岡さん達が居れば……きっと。

「タカ坊、一緒に!」

私は手を伸ばす。既に扉は閉まりかけ、人一人が通るギリギリだった。

彼は驚いたように表情を崩したが、すぐに口元を歪ませた。

「行くわけないだろ。せいぜい可愛だってもらいなよ。ここを出る頃には、タマ姉もきっと立派な雌に変わっているだろうからさ」

「タカ坊ッ!」

まだ下半身にうまく力が入らず、駆け出すのが遅れた。

ようやく動けたと思えば、重い石扉は私達を引き裂くように閉じてしまった。

何度か叩いたり、引いたり、色々試して見たがビクともしない。

「閉じ込められた……。彼の言う通り、奥に行くしかないの?」

振り返った先に待ち受けるのは、僅かな篝火に照らされた石壁や石畳の床。

古めかしい古跡らしい奥へと続く広い路。

倒れ付している吉岡さんとミルファが回復次第、奥へと進むしかないと決断した。

彼女達の回復を待ちながら、これから待ち受けるであろう困難に立ち向かう勇気をと……届くはずのない神に願った。

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