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作:クマ紳士連絡
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2018/06/06
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ーー私は彼を、いつから意識していたんだろうか?

最初はただの子分の一人だった。

弟の友達の一人で、当時の私にとってはナヨナヨとして男らしくない小さな男の子。

他の子達同様、私が先導する遊びに付き合わせ、従わせる。

我ながら、我儘な子供だったと自負している。

物事をはっきりさせなければ気がすまず、他人との衝突も多かった。

好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。

それを脅かすものは大人であろうと許さない。

そんな私がなぜ、タカ坊を好きになったのか……。

ーー今の私にはもう……分からない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…………」

「またダンマリ? タマ姉は都合が悪くなると、いつもそれだよね」

彼は嘲るように告げる。彼の顔で、彼の声で、私を嗤う。

「やっぱり躾が足りないみたいだね。皇に歯向かうなんて、馬鹿な真似してるしさ。ほら、身体揺れてるよ。ちゃんと歩いて」

「ッ!? や、やめなさい! ちゃんと歩くからッ!」

私は両腕に手錠型の拘束具を付けられ、後ろ手に拘束されてしまった。

武器ももちろん没収され、衣装はファイタークラスのモノだが、鎧に当たる装甲部位は剥がされた。

首にはおまけとばかりに、変な棘だらけの大きな首輪をハメられ、リードを付けて歩かされる。

私はこれからの事を考えていたのだが、そんな私に対し彼はリードを引きさっさと歩くよう指示をする。

私は蹴り飛ばしてしまおうかと思ったが、彼の顔を見て視線を逸らしてしまう。

彼は操られているだけだ、タカ坊に罪はない。

むしろ、私が彼を守ってあげられなかったから、彼はこんな憎まれ役をしている。

全ては私のせい。顔を逸らして目を閉じてはそればかり考える。

無理やり歩かされているのに、私は自分の不甲斐なさばかりを呪う。

「まったく、これじゃあ他の皆の方がよっぽど雌としては立派だよ。家畜としての立場を分かってるし、男に屈服する悦びも知ってるしさ」

また彼がリードを強く引いた。私の態度に苛立っているのだろう、バランスを崩しかけると声を押し殺して笑っている。

「皆って……このみも? タカ坊、馬鹿な真似はやめて。目を覚まして。タカ坊は人一倍優しくて、彼女達を大切に思ってた。そうでしょう?」

その中に、私も入れてくれていた。そう続けたい気持ちをぐっと堪え、彼の反応を伺う。

しかし、

「大切? 考えた事もないよ。皇の寵愛を与えられた雌達を躾る。俺の役割はそれだけ。死のうが壊れようが、どっちでもいい」

彼の言葉に、私は足元から崩れ落ちそうだった。

タカ坊は顔色一つ変えず、淡々と言ってのけた。

あれほど大事にしていた彼女達仲間を、見捨てたような発言をする。

私の足取りが重くなったのを感じた彼が、早く歩きなよ! と首輪のリードを強く引く。

タカ坊にどれだけ言葉を掛けただろうか?

あの皇達が居た空間から、首輪を付けられ、ただただ真っ白な空間を歩かされる。

装飾も何も無く、傷一つ、埃一つない静謐な空間。

無駄に広い廊下を私と彼は歩いた。

私と彼以外誰もおらず、物音一つ聞こえない。

だからこそ、私は歩きながらずっと彼に言葉を掛けた。

それなのに、私の言葉に彼の心は微塵も興味を示さない。

私の記憶の中の彼と、あまりにもかけ離れた台詞ばかり吐く。

「そろそろ着くよ。タマ姉はまず、自分がどういった立場なのか理解しないとね」

彼は楽しそうに笑みを零す。

いつもの少年らしい無邪気な笑顔。

可愛いらしく微笑ましい、私の好きな表情。

ただその笑顔の裏は、あまりにもドス黒いモノに変わり果てていた。

「いやぁぁぁぁぁッ!? やめてぇえぇッ!! 」

「あんッ! あんッ! あぎィィィッ!! おぐぅ! 壊れちゃうぅッ!!」

……また、この場所、なの……。

扉らしいモノをくぐった覚えもないのだが、いつの間にか目の前に阿鼻叫喚の地獄絵図が広がる。

拷問器具のようなモノに縛り付けられた女性が、女性の秘部や喉、胸、耳、様々な部位を凌辱されていた。

身体を壁に埋め込まれた女性が、女性の秘部を激しい振動をする極太の棒状機械に刺し穿たれている。

壁に貼り付けにされた女性が、胸や秘部に先端が針になっているチューブ状の機械に弄ばれている。

どこまで続いているか分からない空間に、どれだけいるか分からない犠牲者の女性達。

いずれも泣き叫び、助けを求めている。

……一体どこからこんな……私達以外、普通の人間には出会えなかったのに。

非現実的な光景。私達がいた世界では考えられない場所。

数十人はいるであろう女性達が嬲りものにされている。見渡す限りだが、年齢はバラバラで、年端もいかない少女から40を超えているであろう女性もいた。

私は青ざめた顔のまま、辺りを見渡すと数人の女性と目が合った。

「た、助けッ! おごッ!!?」

「〜〜ッ!?」

その女性が目の前で、秘部を指し穿たれ、お腹が大きく膨らんだ。

グチュグチュと湿った音も混ざり、彼女の股下には透明な液体が滴り落ちる。

白目を向いた彼女にも、関係なく機械は凌辱を繰り返す。

「どう? まずはこの部屋。皇の寵愛を受けたばかりで、まだ雌としての自覚が足りない奴はここで調教を受ける。ここに居る雌には、機械が相手で充分なんだ」

目を疑う状況を、彼は楽しんでいた。

悲鳴が飛び交う空間を、タカ坊は誇らしげに語る。

調教を受けるのは当然だと、彼は言う。

……嘘よ。タカ坊はこんなの、耐えられるわけない。

……タカ坊が、こんなに嬉しそうに話すわけない。

違う違うと、私は首を振る。

もはや彼の声も、彼の顔も見たくない。

全てに蓋をしてしまいたかった。

と、


「ハァイ、環? どう、皇に寵愛を受けた?」

「あなた……うッ!?」

場にふさわしくない砕けた口調で声を掛けられた。

私は首輪にリード、さらには両手を後ろ手に拘束されているのだが、相手は気に止めた様子もない。

声を掛けて来た相手は、私が記憶を失っている間に出会った女性だった。

確か名前は、ハルカ。見知った相手ではあったが、私は彼女の姿を視界に捉えた瞬間、口を噤む。

「どうしたの、環ぃ? 私の格好、何か変?」

「変って……。あなた、それ……」

あくまでも自然に話す彼女だったが、私はもうそれどころではない。

ハルカの格好は以前も過激だったが、今はそれに輪を掛けて酷い。

胸は丸出しで、彼女の胸の乳頭はだらしない位に伸び、僅かに乳液が垂れ流している。

お尻にはフサフサ尻尾のようなモノが付いており、見れば僅かに振動している。

秘部に関しては、パックりと開いた穴からドロドロと濃い液体が溢れ出て、地面に垂れる。

とてもじゃないが直視する気にもなれず、すぐに顔を逸らした。

「あらぁ〜? その様子だと、まだ寵愛を受けてないの? 新品のまま? ホントにぃ?」

彼女は滴り落ちる愛液を指で掬うと、そのまま口の中へ運ぶ。

ぴちゃぴちゃと音を立てながら、彼女はわざと見せつけるように指に付いた愛液を舐め取る。

私の反応を見て、楽しんでいるようだ。

顔を逸らすが、彼がリードを強く引き、バランスを崩してつんのめる。

「可哀想な環ぃ。あの快感を知らないとか。てか貴明の躾が足らないんじゃないの? てっきり、コレで躾てるのかと思ったのに」

ハルカは私の横を通り、タカ坊にしなだれ掛かる。

その右手が怪しく彼の身体を這って行き、ズボン越しに彼の男性器を掴む。

彼女はそのまま、指を絡め、上下に擦る。

手馴れた手つきでタカ坊の男性器を触り、彼を誘うように顔を近づける。

「〜〜ッ!? か、彼から離れて!」

私は体勢を直しながら、彼に密着するハルカに離れるよう告げる。

ハルカは私の反応に、一度目を丸くしたが、それは一瞬で、

「あはっ! なあに環ってば。貴明のが欲しいの? 皇のよりコレが欲しいんだ?」

タカ坊の男性器を両手で包み、わざとらしく動かす。

私は怒りで彼女を怒鳴りつけたかったが、

「ハルカ、冗談はやめなよ。新品は皇への献上品。俺達には中古しか使う事は許されてない」

「あんっ! エッチぃ!」

タカ坊がお返しとばかりにハルカの胸を揉みしだく。

両手でそれぞれの乳房を掴み、捏ね回す。

彼女の胸は大きさもだが、とても柔らかそうで彼に揉まれる度に形を変える。

ハルカは胸を揉まれて嬉しそうに吐息を漏らし、彼の男性器をズボン越しに擦り上げている。

私は、目の前の光景から目を離せず……悔しさから唇を噛み締めた。

タカ坊は私に見られても、関係ないとばかりにハルカと慰め合っている。

やがて二人は、私の目の前で視線をまじ合わせ、互いの唇をーー、

「やめてッッ!!」

限界だった。二人が自然に唇を重ねようとした瞬間、私は押さえきれず駆け出す。

ハルカに身体事体当たりし、彼女を突き飛ばした。

「いった!? な、なに? キスぐらいで大袈裟じゃない?」

彼女と一緒に倒れた私は、ハルカの股下に触れてしまい指先に湿った感触を感じた。

触れた指先を見れば、粘ついた糸を垂らす液体が張り付いていた。

私は気持ち悪かったが、声には出さず黙って床に軽く拭い捨てた。

「……タマ姉、何のつもり?」

「あっ! た、タカ坊ッ!?」

首輪のリードを強く引かれ、彼の方へと身体が倒れた。

首輪を無理やり引かれ苦しかったが、彼の表情が曇ってしまったのが気になり、それどころではなかった。

「タマ姉、俺を独り占めしたいの?」

「ちっ、ちが!? た、タカ坊に馬鹿な真似をさせたくないだけよ! 貴方に好意を向けてた子は沢山居たわ。それをこんな知らない人と……見逃すわけにはいかないわッ!」

彼の目は私を見定めているようだ。

しかし、私はそんなタカ坊に余裕なく答えるしかない。

私を見下す冷たい瞳。それをしているのが、誰よりも優しかった彼だなんて信じたくはないけれど……今は我慢するしかない。

「へ〜。貴明ってばモテてたんだ? まあ、数少ない雄だしね。生殖器持ちだけでも雌は群がるよね」

私の横に並んだハルカが、またタカ坊の男性器に手を伸ばす。

私はそんな彼女の手に噛み付き、睨みつける。

「やめなさい! もう彼に手を出さないでッ!!」

まるで彼の番犬のように、彼を求めるハルカを牽制する。

彼女はどうやら戦う力はないようで、痛い痛いと喚くだけだった。

「もう! 今さら貴明に手を出すなとかありえないでしょ!? この生殖器に皆種付けされてんだから!」

ハルカの言葉に耳を疑う。

いや、心のどこかでもしかしたら……と予想はしていた。

外れて欲しいと、願っていた。

「貴明の唇とか何度も味わってるし! 他の子だって、キスぐらい済ましてるわよ!」

「うそ……」

身体から力が抜けてしまい、ついハルカの手を離してしまう。

床にへたり込む私を他所に、ハルカが嬉しそうにタカ坊の股下に顔を近づける。

「ねえ、貴明。環に見せてやろっか? 私達の生殖。いつもみたいにさ、ズッコンバッコンって力強くハメてぇ!」

わざとらしく舌を出し、タカ坊を誘うように腰を振るハルカ。

私はその台詞が耳に届いた瞬間、全身の毛が総毛立つのを感じた。

彼女に対し、言いようのない怒りや憎しみが渦巻く。

……タカ坊を、なんだと思っているのか。

……タカ坊を、道具としか思っていないような……こんな女にッ!

ハルカは私を無視し、タカ坊に媚びた台詞を吐き続ける。

また彼にしなだれ掛かり、わざと胸元を押し付ける。

許さない……。こんなの、彼女なんかに……タカ坊は……ッ!

「ね、貴明。生殖器出して、私の穴にハメてよぉ。ねえったらぁ!」

「…………ろすわ」

「え?」

タカ坊に媚びていたハルカが、こちらに振り向いた。

私を拘束していた手錠型の拘束具がミシミシと音を立て、引きちぎるように力を込めていた私の力に耐え切れず、パキンッと軽い音を立て壊れた。

手首に焼けるような痛みが走ったが、私は構わず、右手を彼女の頭へ持って行きそのまま鷲掴みにする。

ハルカはまず、音もなく立ち上がり距離を詰めた私に驚き……次に自分の頭を鷲掴みにする私の手に驚いていた。

「ちょっ!? ちょっと、何のつもりよ! いい加減邪魔しないでよ! コレ« 生殖器»は皆のモノなの! 皇に使って頂けない代わりに交尾していいって、許可だって降りて……」

「……黙りなさい。彼に手を出せば潰すわ。誰であろうと……構わない」

好き勝手な事を宣うハルカの頭を握りしめる。

五指が彼女の頭に食い込み、肉を、骨を捉える。

彼女の頬骨に当たる感触。鼻骨が手の平に当たり、そのまま押し潰すように力を込める。

ミシミシ……と骨が軋む音がした。

握り潰そうとする私は勿論、ハルカにも聞こえたようだった。

「い、いや!? 痛い痛い痛いッ!? は、離してッ! やめてッ! 死ぬッ! 死んじゃうッ!?」

じたばた暴れるが、私はその程度では力を緩めない。

彼女の足は浮き、両手で私の手を掴み爪を立てたり捻り上げたりしてくるが……構わない。

足をバタつかせ、弱いながらも何度か私の腰に蹴りを入れたが……全然痛くなかった。

「誓いなさい。もう二度と彼には手を出さないって。彼に近づかないと……誓いなさい」

私はさらに力を込め、潰しても構わないとしめり挙げた。

ハルカは痛みからか、声もうまく出せないようだ。

私の手を掴む力も弱まり、身体中が脱力し始めた。

呼吸もうまく出来ないようで、短い悲鳴が漏れ聞こえる。

「言いなさい。言わないなら……このままッ!」

「か……か、は……ひゅ、っ」

最早言葉もうまく出せないハルカ。

私はそんな彼女に苛立ち、潰しても構わないと……トドメを刺しにかかった。

そこへ、

「……もうやめなよ。タマ姉」

タカ坊が私の手を掴み、制止を呼びかけた。

その彼の言葉に自分でも不思議な位に落ち着きを取り戻し、ハッと息を飲む。

ハルカを握りしめていた力はあっという間に緩み、手を離した。

重力に負けた彼女の身体が、簡単に床に崩れ落ちた。

そんなハルカのむき出しの股ぐらから、黄色い水がチョロチョロと流れ始めた。

僅かに湯気が立ち上り、辺りに異臭が漂う。

「まったく……縄張り争いでもしてるつもり? タマ姉は俺のなに?」

呆れたように尋ねるタカ坊は、私に無遠慮な視線を送る。

私の反応を見逃さないようにしているのか、身体に刺さる彼の視線が痛い。

「私は、タカ坊の……タカ坊の……」

手首から滴り落ちる血を見て、私は言葉に詰まる。

皮膚が裂け、出血している箇所に痛みは走るが、私は彼の言葉を優先している。

指先が痺れ、手に力が入らない。

言葉に詰まり、顔を顰める私に溜息を吐く彼。

タカ坊は私の側に近づき、懐から何かの液体が入った瓶を取り出した。

瓶の穴を塞いでいた栓を抜くと、何も言わず私の手を掴み、両手首に流し掛けた。

痛みに顔を顰める私に、我慢してと告げ、真剣な表情で私の手首を見つめる。

やがて、僅かに煙が立ち上ったかと思えば、私の手首の出血は止まっていた。

皮膚は裂けたままだったが、痛みは殆ど消えた。

彼に礼を言おうと口を開くが、まだだよとタカ坊は私の手に包帯を巻き付ける。

手枷はと思ったが、彼が手を翳すと一瞬で消えていた。

彼の手際の良さに、私は目を白黒させるしかない。

「タマ姉、皇の物になりたくないの?」

包帯を巻きながら、こちらを見ずにタカ坊が話し始めた。

私は彼に触れられている手から、彼の体温を感じて安堵の息を漏らした。

「……当然よ。あんな男の物なんかに、私は絶対ならないわ」

緩みそうになる心を引き締め、彼に返事を返すとこちらの顔色を伺っているようだった。

「せっかく側室に入れたのにさ、ありえないよ。本当ならタマ姉は、こんな場所に来なくて良かったんだ。皇の側に仕えて、雌として最高の幸せを掴めたのにさ」

不安げに見える表情は、昔からの彼のモノ。しかし、話の内容だけを切り取れば、幸せになるためにあの男に従えというものだ。

承諾しかねる内容に、私は彼を強気に睨み上げた。

「私の幸せってなに? タカ坊は、私がどうすれば幸せになるか知ってるの? あんな男の言いなりになる事が、ホントに幸せだと思ってるの?」

手当てを終えた彼が私から離れた。

それを名残惜しく思うも、問うた彼の表情を覗き込む。

「じゃあ、タマ姉の幸せってなにさ?」

「ッ!? そ、それは……ッ!」

無表情だった。口調こそ、以前の彼だったが、恥ずかしげもなく言ってのける様は彼にはない部分だ。

私の方が変に照れてしまい、口をきつく引き結ぶ。

「まあ、俺には関係ないか。皇の命令通り、タマ姉を躾るのが仕事だからね」

二の句が告げない私を待たず、彼は会話を打ち切った。

勝手に意識していた私は、彼の言葉に目を覚まし、気合いを入れるべく頬を張った。

彼は突然の私の奇行に目を見張るが、すぐに口元をニヤケさせた。

「タマ姉、もう一度聞くよ。皇のモノになりなよ」

「無理よ。次に会ったら、私は必ずあの男を潰すわ。タカ坊を変えたあの男を生かして置くわけにはいかない」

見つめる彼の瞳を正面から受け止め、対峙する。

なんと言われようが、返事は変わらない。タカ坊を取り戻す為にも、負けるわけにはいかない。

例え、嬲りものにされたとしても……耐えてみせる。

今も続く阿鼻叫喚。年端もいかない少女達が身体中を犯され、狂っていく。

「そう、じゃあ仕方ないね。ならさ、俺のモノになりなよ」

「え……?」

耳を疑う。彼は今、なんと言ったのか?

「俺のモノになりなよ。タマ姉」

首輪のリードを引かれ、つんのめりながらも彼の側へと近づく。

肩を抱かれ、腰に手を当てられる。

力を込められたと感じると、肩に抱かれていた彼の手が私の顎先に手を当てていた。

「変えてあげるよ、タマ姉の何もかも……全部」

驚きに目を見開き、身体を動かす事が出来なくなった私を尻目に……彼は唇を寄せて来た。

何度思い描き、何度諦めたであろう夢。

弱腰な彼が、強気に迫ってくれたらと……私は何度願ったか。

きっと私は拒まない。そう思っていた。

怪しく光る彼の濁った瞳。女を食い物としか思っていないような下衆な表情。

何もかもが、彼とは違う。

ただ、この台詞やこの行動が……タカ坊の声で、タカ坊の姿で行われている。

……たった、それだけ。

すぐ目の前まで迫っている彼の唇に、私は動けずにいた。
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