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作:クマ紳士連絡
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2017/10/10
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クマ紳士
4月9日

「向坂、ちょっといいか?」
下校しようと下駄箱で外靴を履こうとしていた女生徒を呼び止める。
女生徒は自分が呼び止められた事に、少し顔を顰めたようだ。
だが、俺は向坂のそんな些細な変化など気にせず、靴を履こうと片足を上げている姿を目に焼き付ける。
……んはっ! たまらん! ムチムチした太ももを見せつけおって!
思わず鼻息が荒くなり、鼻の下が伸びかける。制服のミニスカートが僅かに捲り上がりそうな状態も目に悪い。
「……なんですか」
足を降ろして、俺に尋ねる向坂。視線はどこか鋭く、俺を見返してくる。
「ん? あ、いやな。先生と一緒に生徒指導室にこれから来なさい。お前に大切な話があるんだ」
顔を引き締め、教師としての顔を作る。
側を通り過ぎる生徒達が、俺と向坂にチラチラとまばらな視線を向ける。
俺はそんな関係ない生徒達に、帰るならさっさと帰らんか! と怒鳴り散らす。
蜘蛛の子が逃げ出すように、怒鳴られた生徒達は下駄箱へと急ぎ靴を履き替え、外へ出て行く。
「私、これから友達と帰る約束をしているんですが……」
向坂は俺の怒鳴り声にも、特に気にした様子はなく、学校の校門付近に目を向ける。
どうやら、まだ約束とやらの相手は来ていないらしい。
「まだ来てないようだな。誰かを待っているような生徒は見当たらないぞ? ん?」
向坂の隣に並び、わざとらしく校門付近に目を向けるフリをする。
視線だけを動かし、横から見下ろす向坂の胸を凝視していた。
制服の胸元はキツそうで、まるで向坂の乳を服の中に無理やり押し込めているようだ。
……旨そうな乳をしやがって。発育が良すぎて、けしからん生徒だ。
つい涎が出そうになる所を耐え切る。再び教師としての顔を作るため、軽く咳払い。
「……んん! 向坂。先生は教育者として、お前に指導しなければならない事がある。分かってくれるな?」
隣に立つ向坂に向き直れば、向坂は少し考える素振りを見せた。
だがそれも、一瞬の事で、
「……分かりました。先生がそこまでおっしゃるなら、指導して頂きます」
……やったぞ! これで今回も頂きだ!
「ありがとう向坂。さ、先生と一緒に行こうか!」
向坂の肩を掴み、校内へと振り返らせる。
華奢な肩を掴んで、身体を引き寄せれば香しい花の香りがした。
……たまらん! こうした女生徒を俺の匂いで上書き出来るかと思うと、教師の幸福を感じる!
俺はこれからの事を考え、浮かれた気分で向坂の背中を押そうとするが、
「……離れてください。歩きにくいです」
気付けば、向坂は俺からあっという間に距離を取り俺の前を歩き出す。
……なに? 今どうやって、俺の手から逃れた?
俺は確かに向坂の肩を掴んでいたはずだ。それが、いとも簡単に抜けられてしまった。
まだ若干、向坂の感触が手に残っている。
「……先生、行かないんですか?」
前を行く向坂が振り向く。
俺は慌てて、行くに決まっている! と怒りの表情を作った。
向坂は俺の反応にどこか呆れた様子を見せ、こちらを気にせず歩き出す。
俺はそんな向坂のケツを凝視しながら、生徒指導室に入った後の事を考えていた。

―――――――――――――――――――

「それで、先生は私に何を指導するおつもりですか?」
生徒指導室に入り、部屋の奥まで入った向坂が俺に訊ねてくる。
しかし、俺はそんな向坂に返事を返さず、生徒指導室の出入り口の鍵を後ろ手に閉めた。
「……何のつもりですか?」
向坂の声色が下がった。顔を見れば、緊張の色が見て取れた。
「なぁに簡単な事だ。俺が指導するのは、お前がこうして密室に連れられ……暴漢に襲われた時の対処方だ。なぁ、向坂ぁ〜?」
一歩、二歩と向坂に近づく。もう教師としての仮面なぞ必要なかった。
「……対処法も何も、ここで私が大声で助けを呼べばいいのでは?」
あくまでも冷静な対応をする向坂。きっと助けが来ると思っているからだろう。
「甘いなぁ〜向坂。この部屋はな。建設業者のミスで完全防音なんだよ!泣こうが叫ぼうが、助けは来ない!」
舌を出し、レロレロと動かす。俺は早く向坂の味を楽しみたくてウズウズしていた。
「……先生はこうして、生徒に手を掛けた事があるんですか?」
もう向坂は目の前だ。あと一歩踏み込むだけで、この女は俺に押し倒され、泣き叫ぶ。
そして、俺への弱味を作り……いつも通り、俺の楽しみが増えていくのだ。
「当たり前だろぅ? こんな最高の環境、使わない手はない!」
息が届く距離だ。向坂の綺麗な顔が目の前に見え、わざと息を吹き掛けた。
向坂の整った眉が不快の色を示す。
「世の中真面目な奴が多すぎるんだよ! ちょっと知恵を使えば、こうして女を喰い放題だってのによ。分かるだろ、向坂ぁ?」
向坂に指導しながら、制服の上から力任せに乳を揉みしだいた。
溢れんばかりの果実が、俺の手の平に最高の感触を伝えてくる。
学生の頃は俺だって体操選手として日々努力を重ねた。しかし、実力は地区止まりが限界。
俺は三流の短大を卒業し、生きる為に体育教師の道を選んだ。顔が生まれつき強面で、身体はそれなりに筋肉がある無駄にデカい身体。
普段のスパルタ教育もあり、生徒達に慕われた事などない。
真面目に教育に勤しんでも、無駄なのだ。
「……先生の言う通りですね」
向坂の乳を捏ねくり回していると、この女は俺の言葉を肯定してきた。
俺は嬉しくなり、向坂の頬に自分の頬を寄せた。
「ははっ! 分かるか? 分かるだろ? 実際お前は今から俺に犯されるんだからな! 天にも登る気持ちにさせてやる! 俺のちんぽの味を、身体に教え込んでやる!」
調子に乗った俺は、向坂の滑らかな唇を奪おうと顔を、舌を近づけた。
「……先生の言う通り、こんな場所があったら犯罪に使われてしまいますね。私から校長先生に伝えて置きます。ありがとうございました、先生」
「……は?」
何を言ってるんだ、この女?
この状態から、逃げられると思ってるのか?
いや、待て……どうしてこの女は、これだけの事をされて、恐怖に怯えない?
俺が見たのは、ただ不快な表情を見せる向坂の顔。
この女は、全く怖がっていない。今まで俺が喰った女達と何かがちが――――
「ご指導、ありがとうございました。先生」
「――さようなら」
同じ人間の声とは思えない暗い感情の声が耳に音を残す。
さっきまで向坂の顔が目の前に見えていたのに、今は"誰か"の手の平が眼前に広がる。
白い指が、少しずつ、俺の頭にくい込んでいく。
ぎり……ぎりぎり……ぐぎぃ……みし、みしっ……。
「あがァッ!! いでぇぇぇえッ!! は、離せ! 離せぇぇぇぇッ!!」
骨が軋む音が脳内に響き渡る。俺の身体はいつの間にか宙を浮いていて、地面に足が付いていない。
両手で華奢な女の腕を引き剥がそうとするが、信じられない程に動かない。
爪を食い込ませ、女の腕に痛みを走らせているはずなのに、ビクともだ。
力はどんどん強くなり、俺は頭に酸素が上手く取り入れられなくなった。
……死ぬ。殺される。あれだけ女生徒を喰ってきた、この俺が……転校したばかりの女生徒に……!
ついには、身体に力が入らなくなり、俺は向坂にされるがまま、手足を脱力させる。
もう終わりだと思った。こんな簡単に、俺は死ぬのだと。
しかし―――ー
「……かはァッ!! ゲホッ!? ゲホッ!?」
頭を離され、地面に叩き落とされた。
気を失う直前、力を緩められたのだ。
――助かった。助かったんだ! 俺は生きて……!
「……自首しなさい」
俺の上に暗い影が落ちる。爛々と輝くブラウンの瞳。赤い長髪をたなびかせ、俺をゴミクズのように見据える女。
「あ、あ……!」
怖い。俺はここまで生きて来て、こんなに恐怖を感じた事はなかった。
「あなたの被害にあった女性全員を助けなさい。一生を掛けて、償いなさい」
顔を近づけられれば、俺は反射的に悲鳴を上げ、腰が抜けた。
立ち上がる事すら出来ず、無様に逃げ出そうとする。
女はそんな俺の前に回り込み、再度告げてくる。
「言いなさい。自首すると。学校に、警察に届け出ると。女生徒達に償うと!」
ゆっくりと顔を寄せてくる向坂が恐ろしかった。また俺はあんな目に合うのかと、恐怖心に支配された。
「ち、誓います! なんでもします! だから、だから! 」
身体は震えが止まらず、相手に許しを懇願する。
恥も外聞も関係なかった。ただ命だけは見逃して欲しい! 命だけは!
「約束を守ってくれれば、何もしないわ」
ようやく身体を離した向坂に、安堵の息を吐く。まだ身体は震えが止まらないが、命だけは助かったと、心の底から安堵する。
「それと、もう一つ」
「ひぃっ!?」
俺の眼前に向坂の細い足が踏みつけられた。
驚き、恐怖する俺は間抜け面を晒し、向坂を見上げる。
「……もう二度と、私の前に姿を表さないで。私の視界から、消えなさい。いいわね?」
俺は声を出す事が出来ず、反射的に頷きを返す。
向坂はその返事に納得し、もう興味は無さそうに生徒指導室を後にした。
一人残された俺は、とんでもない女に手を出した事を後悔し、この学校を辞任する事を決めた。
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