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8 不安
作:メルト連絡
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2017/09/24
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「ちっ、目の前に極上の獲物があるのに手を出せないなんて……な」
プールから連れ出される前の状態に戻った彩花をビーチチェアに寝かせるトッケイ。
「薬が届いたら、儀式の再開だ。楽しみにしているんだぞ、彩花」
周囲を見渡し確認を行うと、トッケイは姿を消した数分後、一人の人物がプールサイドを訪れた。

「……まったく、彩花ねえも、もうちょと自分の身体をいたわってほしいよ」
エアコンの効いた生徒会室で昼寝から覚めた康輔は、だるい身体を動かしながら椅子から立ち上がる。
「二時間か、そろそろ彩花ねえを迎えに行かないと」
生徒会室のドアを開けると、一気に流れ込んでくるじっとりとした暑い空気が一気に流れ込みエアコンで冷えた身体に汗が流れ始める。
「あっちー!」
「今度の生徒会で、廊下にもエアコンを入れるよう会長に提案しようかな~」
「っと、ようやくついた! 彩花ねえー 調子どう……?!って、彩花ねえー!」
康輔の目に入ったのはビーチチェアの上で、ぐったりと寝ている顔を少し青くした彩花の姿だった。
 「彩花ねえー!しっかりしろ、彩花ねえー」
上半身を抱き起し、意識があるかどうかを確認する。
「……うんっっ……っ」
「そうだ!こんなところよりも保健室に!」
青くなった唇の隙間から漏れるか細い声、それを聞いた康輔は、彩花を抱き上げ保健室へ向かって動きだした。

「……うーん!」
学園の保健室のベッドの上で目を覚ます彩花、動き出した彩花に気づいた康輔がカーテンを開け顔を覗かせる。
「あっ、起きたんだ。彩花姉」
「……康輔って……えっ!」
気怠さのある身体をなんとか動かしなんとか起き上がった彼女は、自分の格好を見て驚く。
彼女が着ていたのは水着ではなく、病院などで患者が着る浴衣型の病衣と呼ばれる服だった。
そして、肌に当たる病衣の感触と、ベッドのわきにある籠の中にあったビニール袋越しの自分の水着から
中が真っ裸であると気づいた。
「なっ、なにこの格好! もしかして、康輔が……」
「安心しろ、神薙姉! おまえの水着を脱がして身体を拭き、病衣に着替えさせたのは私だ」
高梨先生が、手元に持ったプラスチックボードにペンを走らせながらベッド脇の椅子に腰を掛けた。
「まったく、病み上がりなのに無茶しすぎだぞ」
「……すいません」
「本当だよ、プールサイドで青くなって倒れてる彩花ねえを見て、本当に配したんだから」」
「ごめんなさい……」
二人に、怒られ、顔を下に向け、シュンとする彩花。
そんな彼女の様子を見て、さすがに怒りすぎたかとばつが悪そうになった二人は話題を面巣事にした。
「で、具合の方はどうだ?」
「はい、まだ少し怠いですけどもう平気です」
「おまえの、その言葉はどうにもアテにならないからな」
無言で体温計を差し出す高梨先生。体温計を受け取った彩花は病衣の無造作に胸元を開け体温計を脇に挟もうとする。
「さーてと、おまえが体温を計っている間に私は、お前の着替えを取りに行くとするか。えっと、ロッカーの鍵は、お前の手首に巻いてあったのでいいんだよな?」」
籠の中に置いてあった場所からタグとゴムのついた鍵を取り出し、指でクルクルと回しながらたずねる。
「はっはい!」
「そんじゃ行ってくるから、おとなしくしてろよ」
「神薙弟、何かあったら直ぐに私のスマホに連絡入れろよ」
「わかりました!」
ピシっと背筋をのばし反応する康輔を見て、満足そうな表情を浮かべ彼女はドアを開け廊下へと出た。

「何か欲しい物ある?」
「えっ……えっと、えっと……温かい飲み物が欲しいかな……」
「了解、いつものミルクティーでいいかな?」
上目遣いで申し訳なさそうに答える彩花を見てニッコリと笑うと両手を膝につき椅子から立ち上がった。
「うん、お願い」
「了解! じゃあ、近くの自販機で買ってくるから」
「……ふう」
康輔が出て行ったのを確認するとベッドの上に倒れこんだ。
(本当に、どうしちゃったんだろう……わたしの身体)
ほんの少し不安を抱きながら、疲れと、押し寄せてくる眠気に負け瞼を閉じた。
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