都内のアリーナ
満員の観客がヒロインの登場を、いまかいまかと待ちわびる
ドラマ・ＣＭに引っ張りだこの、トップ女優・麻生華澄のファン感謝イベント
紫のボディコンドレス姿で、ステージに登場する
まばゆいスポットライトを浴びながら、成熟した大人の美貌と、抜群の歌唱力を披露する
上品な笑顔で、観客のハートを鷲掴み
「あなたたちは私の生徒よ。しっかり教育してあげる」
華澄が主演し、視聴率３０％超えの大ヒットドラマをなぞらえた決まり文句で、つめかけたファンの熱狂をさらに煽る
観客席は、かすみ・かすみの大合唱
興奮のるつぼとなったファンに笑顔で手を振る
テーマソングになっている「素顔の赴くままに」を熱唱
落ち着いたボイスでファンを魅了する
バックダンサーに、制服姿のひびきの高校の女子生徒（選りすぐりの美少女）を従え、ステージでセクシーな振り付けのダンス
ペンライトの揺れる花道を歩いて、最前列（ＶＩＰ席）のファンの手が届きそな距離まで来る
挑発的な視線を投げかける
超高額のプレミアチケット、ＶＩＰ席からの眺め
コンサートも佳境になる
ボディラインをなぞるような仕草で、華澄の色気が爆発
上品なお姉さんのイメージとのギャップに男性ファンは目が離せない
流し目をして、腰をくねらせて踊る
このあいだまで女子大生だったとは思えない色気を振りまいている
「ヒールで踊ると足が痛くなるわ。私も年ね」
コンサート終了後、控室で思わずぐちる
「なにいってるのよ、まだ２０代前半のくせに」
「どんどん若い子が出てくるし、アイドルとしてはおばさんよ。マネージャー、今日の打ち上げはパス」
「プロデューサーがホテルでお待ちかねよ」
「そういえば姿が見えないみたい。いつも大きな花束を持ってきてくれてるのに」
「どうしてもはずせない会議があるそうよ」
「おおかた期待の大型新人を狙ってるんでしょ。昔、右も左もわからない私を口説いたみたいに。あの人、若い子に目がないから」
華澄を乗せたレクサスは、夜の都内を高級ホテルへと走行する
「たまには自分で運転したいなぁ」
「看板女優が事故でも起こしたらどうするの。命がいくつあっても足りなくなる」
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