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4.棒アイス

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愛娘物語|ブルー|note
高校2年生の藤崎詩織は、パパが大好き。 ある日、父親が仕事でミスをして、落ち込んで家に帰って来る。 心配した詩織は、父親をはげまそうと、チアダンスを踊ることにした。 足を高く上げて、パンチラ。 詩織のおかげで元気を取り戻した父親は、無事契約...

 このあいだ受けてた、模試の結果が出たの。
 志望校判定はAだったわ。
 来年は受験生だし、この調子をキープできれば一流大学に合格できそう。

 夜、部屋で勉強していると、ノックをしてパパが入ってきたの。
「勉強してるか」
「うん。明日の英語の課題を」
「コンビニでアイスを買って来たんだが、食べるか?」
「うれしい。ちょうど休憩しようと思ってたところよ」
 床にクッションを置いて、そこにすわる。
 私はパパからバニラ味のアイスをもらったわ。棒を持って食べるタイプのアイスね。
 ビニールを開けて、すぐにアイスを頬張ったの。
「あー、つめたくて美味しいわ」
 私は棒の部分を、右手の親指と人差し指で摘まむように持って、先っぽをペロペロと舐めたの。
 一気に食べるともったいないでしょ。
 パパは、私がアイスを舐めているのをじーっと見てたわ。
「詩織、アイス好きか?」
「うん。バニラ味が一番好きよ」
「もっと舌全体で、アイスをペロペロ舐めるようにして味わいなさい」
「こう?」
 私は、パパにいわれた通り、舌を伸ばしてアイスの横をペロペロと舐めたの。
 行儀が悪い食べ方かも。
「口に咥えるようにして食べてみるといいぞ」
「ふぅん……ひょう?」
「歯を立てないように注意してな」
「はぁい……んー、らべにくぃかも」
 私はキョトンとして、アイスを自分に向けるようにして、口に咥えるようにしたわ。
 すこし食べにくいかも。
 そのまま口に出したり入れたりして、ジュブジュボ音をさせたの。
 なぜかパパが興奮してて面白かったわ。

 アイスが溶けて、ポタポタとミルクが胸元に垂れちゃった。
「キャミソールが汚れちゃった」
 アイスを食べ終わって、ティッシュでキャミソールの胸元を拭いた。
 夜に食べるアイスって、とくに美味しいわよね。
 つい食べ過ぎちゃう。
「……もう1本あるけど、食べるか?」
「ほんと、パパ? ほしいわ!」
「そのまえに、これをつけてくれるか」
 パパは、ポケットからアイマスクを取り出したの。
 どうしてアイマスク?? って不思議よね。
「普通に食べても面白くないだろ。目隠しをして、なに味のアイスか当てるゲームだ」
「ふふ、面白そう」
 パパって子供っぽいところがあるのね。
 普通に食べるより、たのしいかも。
 そういうミニゲームは大好きよ。

 私はいわれたとおりアイマスクをしたわ。
「真っ暗で、なにも見えない」
「そのまま、まってろ。すぐに準備するから」
 ガサゴソと音がしたの。
 どこかにアイスを隠し持っていたのね。
 それを取りだしてる音かな。
「……いいぞ、詩織。両手は後ろだぞ」
「?? アイスはどこ?」
「詩織の目の前にあるよ。舌を伸ばして舐めてごらん」
「うーん……どこかしら……あ、あった!」
 私はアイマスクをしたまま、恐る恐る舌を伸ばしてみたの。
 そしたら口のすぐ先に、棒みたいな物体があったの。
 舌に当たる感触からして、さっきのアイスとは違うってすぐにわかったわ。
 さっきのはカチコチだったけど、こっちは堅いけどゴムみたいな弾力がある。それに表面がツルってしてて、ちょっとしょっぱい。
 一番不思議なのは冷たくないことね。
 アイスなのに、熱を持ってて、へんな感じ。
「……ハアハア。もっと舌を伸ばして、全体を舐めて」
「ぺろぺろ……棒アイスみたいだけど……なに味かしら。形もだいぶちがうみたい」
「口を大きくアーンってして。お父さんが口の中に入れてあげる」
「あーーーん」
 私はアイマスクをした状態で、口を大きく開けたわ。
 口の中に、熱くて太い棒のような物が入ってきたの。
「しょっぱいような。塩キャラメル……じゃないわよね」
「ハアハア。さっきみたいに歯を立てないように顔を動かしてジュボジュボできるか? 頬をすぼませて、唾を思いっきり垂らして」
 まったく見えなくてわからないけど、パパの鼻息がだんだん荒くなっているのが聞こえたわ。
「ふぁーい。んっ、んっ……ジュボジュボ……」
 私は口の中にある棒みたいなアイスを、ジュボジュボと咥えたの。
(アイスなのにぜんぜん溶けない?? 先っぽがヌルヌルしてるみたい)
 かすかに生臭い匂い?
 でも、なに味か当てるまで食べちゃいけないルールだから、私は一生懸命しゃぶったの。
 いわれた通り、頬をすぼませて、首を使って顔を前後に動かしたわ。
 急にパパが「ウウっ!!」ってうなったわ。
 あわてて棒アイス(?)を私の口から引き抜いて、それからビュービューって、私の顔にドロドロの液体が勢いよく当たったの。
 顔を垂れる感じで、ドロドロしてるってわかったの。
「パパ? アイスは??」
「……すまん。手元が狂ってミルクが垂れた」
「ミルク味だったの?? へんね。ぜんぜん味がしなかったのに」
「そのまま動くな。お父さんが汚れを拭いてやるからな」
「うん……」
 カシャって、スマホで写真を撮る音が聞こえたわ。
 パパがティッシュを使って、私の顔にかかったミルクを拭いてくれるまでジッとしてた。
(なにかネバネバしてるような……臭いもへんだし)
 目隠しを取って、ご褒美にチョコレート味のアイスをくれたの。
 やっぱりアイスは冷たいのがいいわね。
、パパはとてもすっきりした顔をしてた。
 とにかく不思議だったわ。
 けっきょく、なに味のアイスだったかわからずじまいだったし。

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