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5.宣戦布告

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作者:ブルー

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 HR前の2-Aの教室。
 公人が1時間目の授業の準備をしていると好雄がやって来た。
 白い歯を見せてニカッと笑いながら、公人の肩をバシッと勢いよく叩いた。
「よおっ!」
「いたっ。好雄か」
「今日もしけた面してんな」
「朝から機嫌がいいな、好雄。いいことでもあったのか」
「まあな。詩織ちゃんは?」
「詩織ならさっきまで教室にいたけどな。美樹原さんとトイレでも行ったんじゃないか」
「昨日はマジでビビったぜ。ブン殴られるかと思った」
「悪かったな」
「おかげで仲良くなれたけどさ」
「仲良く?」
「聞いて驚け。詩織ちゃんとLIMEしたんだぜ」
 好雄は得意げにニッと笑う。
 スマホを取り出すと、昨夜の写真を見せた。
 部屋着の詩織が床に開脚してストレッチをしている。
「なかなかレアだろ」
「詩織が自分で撮って送ったのか」
「だれにもいうなよ。とくべつに見せてやるんだからな」
「よく詩織が許したな」
「それだけ俺の好感度がアップしたってことだろ。こんなのもあるぜ」
 好雄がスマホを指でなぞって別の画像を表示する。
 柔和な笑みを浮かべている詩織の全身裸の写真があった。背景は教室だ。
「詩織のヌード写真!?」
「声がデカい! 他の奴らに聞こえるだろ」
「あれ……?? よく見ると、この写真変だぞ」
 公人はじっくりと写真を見る。
 首から下の体つきがあきらかにちがうのに気づいた。
 詩織はスラリとしたスレンダーな体型のはずなのに、写真の体つきは肌の色合いこそ似てるものの肉付きがかなり良い。
 まるで別の写真を張り付けたみたいだ。
「へへっ。バレたか」
「びっくりした。アイコラかよ」
「よく出来てるだろ」
「悪趣味だな」
「最近の画像ソフトはすげえぜ。背景とかマウスで囲ってクリックするだけで処理してくれるからな。つなぎ目もほとんど見えなくなるし」
「体つきが別人だろ。詩織はもっとスラっとしてるぜ」
「本人かと思ったくせに」
「一瞬な」
「なあ、詩織ちゃんにアタックしても問題ないか?」
「なんだよ、藪から棒に」
「いちおう確認。昨日みたいに殴られたらたまらないからな」
「殴ってないし」
「殴ろうとしてたのは事実だろ」
「好雄の好きにすればいいだろ。俺と詩織は恋人でもなんでもないし」
 公人は本音ではダメだといいたかった。
 だが、幼なじみというだけで、その資格が自分にあるのだろうかという疑問が浮かぶ。
 男らしく宣言した好雄を止めるのは友人としてあまりに心が狭い気がした。
「それを聞いて安心したぜ。絶対邪魔するなよ」
「詩織が好雄になびくとは思えないけどな。いままでまったく相手にされてこなかっただろ」
「わかんないぜ。詩織ちゃんだって高校生だろ。異性に興味があって当然だからな。うまくいったら本物のヌード写真を拝ませてやるよ」
「寝言は寝ていえよ。好雄はエロゲーのしすぎだな」
「いったな。その言葉おぼえとけよ」
「ハイハイ。楽しみにしとく」
 公人と好雄はそんな会話をして、休憩時間が終わった。

 下校時間――。
 空は茜色に染まり始めている。
 部活を終えて制服に着替えた詩織は、校門のところに好雄がいるのを見つけた。
 詩織を見て駆け寄ってくる。
「あら、好雄くん」
「詩織ちゃん、練習終わった?」
「もしかして私を待ってくれていたの」
「いっしょに帰ろうと思ってさ」
 好雄の申し出に、詩織ははにかんだ表情を浮かべる。
「気持ちは嬉しいけど……いっしょに帰って友達に噂とかされるとはずかしいし……」
「警察から連絡あった? 昨日の犯人たちまだ捕まってないんでしょ」
「警察も忙しいみたい」
「また待ち伏せしてるかもしれないよ。一人で帰ったら危ないよ。俺が家まで送ってあげるよ」
「好雄くんの家は逆方向でしょ」
「どうせ暇だし、いい運動になるよ」
「ねえ、公人はいないのね」
「あいつは用事があるからって先に帰ったよ」
「ふーん。そうなんだ……」
 詩織は残念そうな様子でつぶやいた。
 本当は、好雄が「俺が詩織ちゃんを家まで送るからおまえは先に帰れよ」といって帰らせていたのだ。
「あいつ幼なじみのくせに冷たいよね」
「ほんとガッカリしちゃった。たまには待っててくれてもいいのに」
「帰ろう、詩織ちゃん」
「ええ」
 
 途中、商店街にある本屋に寄り道をして、参考書を購入した。
 詩織の家に到着した頃には、薄暗くなり街路灯がともる。周囲に人影はない。
「もう着いたのか。まだ詩織ちゃんと歩きたかったのに」
「ありがとうね、好雄くん。本当は一人で帰るのがすごく不安だったの。あんなことがあったばかりでしょ」
「これからは俺が毎日詩織ちゃんを送ってあげるよ」
「うふふ。まるでボディーガードみたい」
「そういう映画があったよね」
「私も好きよ、あの映画。ラストは感動しちゃった」
「映画の主人公みたいに強くはないけど、俺にとって詩織ちゃんは特別な女の子だからさ」
「え……」
 詩織は好雄と目が合う。一瞬ドキッとした。
 暗がりで、まるで青春ドラマのワンシーンのような雰囲気がある。
「いや、きらめき高校のアイドルみたいな存在っていう意味でさ」
「そう……じゃあ、また明日学校でね」
「あのさ、詩織ちゃん」
 玄関のドアに手をかけた詩織を好雄は呼び止めた。
「なぁに?」
「あとでLIMEしていい?」
 好雄の質問に詩織はすこしだけ考えた。
 昨日のことが頭の片隅に引っかかっていた。
「10時まで勉強してるから、そのあとでなら大丈夫よ」
「やったー! それぐらいに連絡するね」
 玄関先で詩織が小さく手を振る。
 見送った好雄は、ウキウキとした足取りで家路についた。

 夜中――。
 スマホを片手に好雄は、いまかいまかと時計ばかりを気にしている。
 22:30になるのを待って、詩織にメッセージを送った。

>>勉強終わった?

 すぐに既読がついた。
 詩織からメッセージが返ってくる。

<<音楽を聴いてリラックスしてたところよ。

>>某アイドルグループの新曲?

<<クラシックよ。
<<バッハのG線上のアリアっていう曲。

>>バッハ?
>>音楽室に肖像画ある?
>>俺はアニソンぐらいしか聴かないな。

<<ドイツの音楽家で、音楽の父と呼ばれてるのよ。

>>へぇ~、くわしいね。
>>そうだ。報告。

<<なに?

>>昨日、詩織ちゃんが送ってくれた写真。

<<あったわね。そういえば。
<<すっかり忘れてたわ。

>>あの後、ちゃんとオカズにしたよ。
>>合計3回。

<<え……。
<<そんなことわざわざいわなくていいのに。

>>最近で一番興奮したよ。
>>胸チラも開脚も。

<<そ、そうなんだ。

>>もしかして最低って思った?

<<……。
<<男子って、とても辛いって聞くし。
<<我慢しすぎるのも体に良くないでしょ。
<<しょうがないかなって思うわ。

>>よかった。
>>詩織ちゃんが理解のある女の子で。

<<私もそれぐらいは知識として知ってるわよ。

>>あのさ、お願いがあるんだけど。

<<おねがい??
<<いやな予感がするけど。

>>新しいオカズの写真がほしいな。
>>詩織ちゃんの。

<<好雄くん?
<<何をいってるのよ。
<<昨日、あげたばかりじゃない。

>>カレーは大好きだけど、毎日カレーだと飽きるのと同じだよ。
>>雑誌のグラビアを見ててひらめいたけど。
>>詩織ちゃんの制服姿の写真が欲しいな。
>>俺だけのためのオカズネタ。

<<トークを終了してもいい?

>>ダメダメ。
>>もうパンツを下ろして準備してるのにかぜひいちゃう。

<<……。
<<あきれた。
<<夜中になにやってるのよ。

>>このままだと辛くて死んじゃうかも。

<<またそうやって……。
<<私を困らせるつもり?

>>誤解誤解。
>>制服姿ぐらいいいじゃん。
>>一緒に帰ってたんだし。

<<ぐらいって……。
<<帰りのかっこよかった好雄くんはどこにいったのかしら。

>>見たいなー。
>>詩織ちゃんの制服姿。

<<いつも学校で見てるでしょ。

>>写真で送ってよ。
>>部屋にあるんだよね、制服。

<<あるにはあるけど……。

>>待ってるね。
>>早く着替えて着替えて。

<<勝手に決めないでよ。

>>詩織ちゃん?
>>もしかして本気で切れた?
>>しおりちゃーーん!!

 メッセージを送ったが既読がなかなかつかない。
 詩織が怒って無視をしているのかと好雄は焦った。
 しばらくして返信が届いた。

<<返事ができなくてごめんなさい。
<<着替えたの。
<<写真を送るわね。

 好雄は送られてきた写真を見て、テンションが上がった。
 自室で、きらめき高校の制服姿に着替えた詩織が、雑誌のグラビアと同じようにすまし顔で写っていた。
 スマホを机に置いて正面から撮影して、白いソックスを履いた足元から頭の先まで写っている。
 さらさらのストレートヘアにヘアバンドと、胸の黄色いリボン。
 両手を体の前で重ねている。
 普段、学校で見ている詩織のままだ。

>>最高。
>>マジ天使じゃん。
>>制服姿の詩織ちゃんは一番かわいいね。
>>さすがきらめき高校のアイドル。

<<もう褒めすぎ。
<<昼と変わらないでしょ。

>>そんなことないよ。
>>俺のために着替えてくれたんだよね?
>>すげえ嬉しい。

<<よかった。
<<喜んでもらえて。

>>思ったんだけどさ。
>>詩織ちゃんって他の女子よりスカートの丈が長いよね?

<<そうかしら?
<<自分では普通だと思うけど。

>>他の女子はみんな膝上10センチぐらいだよ。
>>詩織ちゃんは膝丈でしょ。
>>試しにスカートを軽くたくしあげてみてよ。

<<うん……。
<<こんな感じかしら?

 新しい画像が届いた。
 カメラに向かって真顔をした詩織が、両手の指先で制服のスカートを掴んで軽くたくしあげている。
 膝上5センチといったところだ。

>>まったく物足りないよ。

<<ダメなの?

>>それだとせいぜい膝上5センチだよ。
>>あと10センチはいけるでしょ。
>>スケベな男子のためにサービスするつもりでさ。

<<やってみるけど。
<<今回だけよ。

 2枚目の画像が送信される。
 先ほどと同じ構図だが、緊張した表情の詩織が膝上20センチほどスカートの裾をたくしあげている。
 あと少しで下着が見えそうな高さだ。ピチピチとした色白の太ももがまぶしい。
(あとちょっとで見えそうなのに)
 ローアングルでないことに好雄はもどかしさを感じる。
 せめてライブチャットであれば詩織の反応をリアルタイムで楽しめたはずだ。

>>こっちのがいいじゃん。
>>いまどきっぽくてイケてる。
>>すごいエロい。

<<よかった。
<<好雄くんが満足してくれたみたいで。
<<すごく頑張ったのよ。

>>普段もこれにすればいいよ。

<<だめよ。
<<階段で見えちゃうわ。

>>後ろを手で押さえればいいよ。
>>ちょっとぐらい見えたほうが男子のウケが良くなるよ。

<<からかわないで。

>>男子は女子のパンチラが大好きだからね。
>>詩織ちゃん、いまどんな気持ち?

<<すごくドキドキしてるわ。
<<なんだかいけないことをしてるみたい。
<<こんな気持ちはじめてよ。

 詩織の反応に好雄は手ごたえを感じる。
 詩織のような真面目なタイプほど免疫がないため、オンラインの脱がし行為にハマりやすいのをよく知っていた。
 この調子ならもっとイケそうだと考える。

>>詩織ちゃんのパンチラ写真が見たいな~。

<<え……。
<<さすがにそれはちょっと。

>>ここまでやったのに。
>>あとちょっとだよ。
>>もしパンチラしてくれたら、一生詩織ちゃんのファンになるよ。

<<でも……。
<<はずかしいわ。

>>そうだ。
>>詩織ちゃんにいいのを見せてあげるよ。

 好雄はスマホを使って自分の股間を撮影した。
 勃起したペニスの画像を送信する。
 好雄は祈るような気持ちで詩織の反応を待った。
 もしかすると速攻でブロックされて、学校でも一生口をきいてもらえない可能性がある。

<<好雄くん……。
<<びっくりするじゃない。
<<いきなり変な画像を送らないでちょうだい。
<<本気で怒るわよ。

>>ごめん。
>>状況を知ってほしくてさ。
>>詩織ちゃんの写真を見てたら、こんなふうに反応しちゃったんだよ。
>>もしかして見たのはじめてだったりして?

<<あたりまえでしょ。
<<なんていうか、言葉もでないわ。
<<想像してたのと形もちがってたし。
<<心臓が止まるかと思ったわ。

>>全部詩織ちゃんのせいだよ。
>>責任取ってくれよ。

<<そんなふうにいわれても……。
<<困るわ、私。

>>このままだと苦しいよ。
>>爆発しそう。

<<ダメよ。
<<子供みたいなことをいっても。

>>お願いだよ、詩織ちゃん。
>>パンティー見せて。
>>俺は見せたのにずるいよ。

<<好雄くんが勝手に撮ったんでしょ。

>>おかげで勉強になったでしょ?
>>実物を見れたわけだし。

<<まあ……。
<<かなり不本意だけど。

>>いいでしょ、詩織ちゃん。
>>いつもレオタードで練習してるんだし。

<<……。
<<下着だけよ?

>>マジ!?

<<ちょっと待ってて。

 5分ほどして、新しい画像が届いた。
 顔を真っ赤にして愛くるしい瞳を潤ませた詩織が、制服のスカートをお腹の高さまでめくりあげている。
 小さなリボンの飾りのついた、純白のパンティーを身に着けて、発育途上の腰つきが男の欲情をかきたてる。
「やったね! 詩織ちゃんの下着が丸見えだ!!」
 好雄は思わず立ち上がって喜んだ。

>>見たよ、詩織ちゃん。
>>とっても可愛い下着だね。
>>すごく似合ってる。
>>顔が真っ赤っか。

<<やだ……。
<<なにをしてるの、私。
<<すぐに画像を消してちょうだい。

>>ダメダメ。
>>今日はこの写真をオカズに4発は抜くよ。

<<もう。
<<ちゃんと勉強でもしなさい。
<<テストがあるでしょ。

>>最後にお願い。
>>後ろのベッドに座って、こっちに向かって膝を開いたポーズで。
>>セーラー服をめくって、顔はぶりっ子っぽくさ。

<<もう……。
<<本当にこれで最後よ?

 ベッドに座った詩織が、キョトンとした表情で小首をかしげてこちらを見つめている。
 片手でセーラー服をたくし上げて引き締まったお腹を見せて、膝を左右に開いてスカートの奥に白いパンティーがバッチリ写っている。
 まるで清純派アイドルの秘密の一枚のような猥褻な雰囲気がある。

>>エロっ!
>>お礼に俺がシゴいてる動画を送るね。
>>男子がどんなふうにしてオナニーしてるか興味あるでしょ?

<<ないわよ。
<<変なことをいわないで。

>>またまた。
>>遠慮しなくていいのに。

<<好雄くんと話してるとこっちまで変になりそう。
<<もう遅いから寝るわね。
<<おやすみなさい。

 LIMEが終わった後、好雄は詩織のパンチラ写真をじっくりと眺めた。
 痛いぐらいに勃起したペニスをしごきながら、いまごろ詩織も好雄が送った写真を見て火照った体を慰めているのではないかと想像した。

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