
「ご用件はなんでしょうか、先輩」
「以前から気になってたんだけどさ、俺と付き合わね?」
「ごめんなさい」
「ぐあっ、秒殺!!」

昼休憩の教室ーー。
綾菜はクラスメイトの、のぞみとおしゃべりをしていた。
「モテ埼先輩、なんだって」
「んー、べつに」
「ありゃりゃ。その様子だと、女子人気ナンバーワンの先輩も返り討ちか。さすが我が校の誇る撃墜王ね。今月だけでいったい何人の男子を泣かすつもり」
「からかわないでよ」
「もったいないもったいない。あたしなら映画どころかホテルでも喜んでついていくのに。サッカー部のエースストライカーで長身の先輩のどこが不満なわけ」
「わたしは彼がいるし。それに、ああいうタイプはちょっと苦手かも」
「お堅いというか真面目というか。綾菜は昔からそうよね。いいじゃない。隠れて付き合えば。転校したんだしバレっこないわよ」
「他人事だと思って無責任なことばっかり」
「そういえば、B組のいくみが経験したらしいわよ」
「陸上部の?」
「夏休みに海で知り合った大学生だって」
「意外。走ることしか興味なさそうなのに」
「のん気なことをいってていいの。クラスの女子の半数は経験済み。いまだにお子様なのは、綾菜ぐらいかも」
「そういうのぞみはどうなのよ」
「あたしはとっくに経験済み。相手はバイト先の店長」
「ウソでしょ。聞いてないわよ」
「すこしは焦った?」
「う、うん……」
「ふふっ、年上の男性はいいわよ。女性の扱いを熟知しててやさしくリードしてくれる。綾菜は元々ファザコンだし、はじめてエッチする相手は年の離れた大人が断然オススメ」
「やめてよ。高校生だし、まだわたしには早いわ」
「もしかして、いまどき恋人のために操を立てるのが正義とか思っちゃうタイプ? 大学生になっても、まだ処女ですなんていったら笑われるわよ。処女と童貞のカップルでぶっつけ本番なんて目も当てられない。彼氏のためにも綾菜が経験を積んでたほうが絶対にいいわよ」
「そうなのかなぁ」
「だまされたと思って試してみなさい。経験者がいうんだからまちがいなし!」
「……いまいちピンとこないかも」

掃除の時間の中庭――。
「おい、桂木。背中にでかい虫がいるぞ」
「エエエ、わたし、虫が苦手なの!! おねがい取って!!」
「わかったから落ち着け。暴れたら取れないだろ」
「はやくはやくして!!」

「ねえ、まだ?」
「色は白か……」
「きゃああ! どこを見てるのよ!!」
「いやぁ、すばしっこいヤツで」
「そんなところにいるわけないでしょ。これだから男子は!!」
「ご、ごめん」

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