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9.図書室の誘惑

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作者:しょうきち

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      1

 好雄の命で秘密の裏オプ営業に手を染めている女子生徒は夕子だけではない。
 眼鏡がチャームポイントの文系女子、如月未緒も同様であった。
 文化祭の喧騒を離れ、未緒はJKリフレの客を伴い図書準備室へと向かっていた。
 お散歩コースによる外出だ。
 きらめき高校の校舎の中でも三階の離れにあるこの部屋、通りがかる者はまずいない。
 見るべき展示も模擬店もないこちらの棟までやってきた時点で、男の心拍数が高まってゆくのがわかった。二人きりになると好色そうな視線が突き刺さっていくようであった。
 好雄によって割り振られたこの客、名前を米田竜二という。話してみたところによるとなんでも一流大学卒の現役医師かつ、弁護士資格まで持っているとのことで、身に付けている物や立ち居振舞いからしてもかなり裕福な暮らしをしている事がうかがえた。
 もう40代後半に差し掛かろうといういい年で独身らしい。
 こうした金と性欲を持て余しているような男に対しては全力で誘惑してみるように好雄からは言い含められている。
 性行為自体は嫌いではなかったが、やはり初対面の男性にこういった行為を持ちかけるのは緊張するし、勇気の要ることだった。だが未緒は、愛する好雄のために裏オプを持ちかけることに決めたのだった。

      2

 未緒にとって、好雄ははじめてきちんと付き合うことができた彼氏であり、嫌われてしまうのは絶対に嫌だった。
  高校一年の夏、文芸部の当時三年の先輩にどうしてもとせがまれて処女を差し出した。その翌日、一緒に登校しようとせがむと「お前みたいな地味な芋女に彼女面されると恥ずかしいから」などと言われ拒絶された。次第に口も聞いてくれなくなった。
 次に友達の紹介で知り合った男は一学年上のサッカー部のエースストライカーで、出会ったその日にラブホテルに連れ込まれた。だがしかし、翌日顔をあわせるとその男は別の女を連れて歩いており、やはり口すら聞いてくれなくなった。
 その後も何人かの男に身体を許した事があったが、決まって一回抱くとその後はポイ、という扱いばかりされてきたのがこれまでの人生であった。
 理由は分かっていた。
 好きになる━━いや、好きになってしまうタイプが、ことごとく外面重視で軽薄そうなタイプの男なのである。そうしたタイプの男は、それとなく隙を見せればすぐに押し倒してくる。女慣れしているから、セックスは丁寧だし上手で、頭の中が真っ白になる程の絶頂へと導いてくれる。
 だが、そこまでだ。長続きしない。
 もっと色々話したりデートしたりして深い仲になってからする事だということは承知しているつもりだが、未緒が好きになるようなタイプの男は、純文学や演劇といったインドア趣味の未緒とは話が合わないのである。
 共通項はセックスだけだ。
 だから結局セックスを差し出すしかなくなり、それも飽きられると、もう一緒に居てなどくれなくなる。
 そんな恋愛ばかりが続いて軽く絶望していた頃、図書委員会で一緒になった早乙女好雄という男子に次第に惹かれるようになっていた。外見はまあそれなりといったところだが、未緒の話に嫌な顔ひとつせずに併せてくれる。我ながら単純だとは思うが、頭の中に『アリ』か『ナシ』かのフィルターがあって、ボーダーラインを超えている『アリ』寄りの男子であれば、話す時間が増えると恋愛感情を抱くのはもう時間の問題で、気づいた頃には好雄への気持ちは抑えこむのはちょっと無理そうな域まで肥大化していた。
 ある梅雨の日、雨宿りでもしていかないかと彼の自宅に誘われた。その時点でもう頭の中は好雄とのセックスで一杯となり沸騰寸前となった。
 彼は期待どおりに押し倒してきた。
 まだそれ程経験がある方ではないためか、セックスの技巧的にはまだまだであったが、そのぶん情熱的に求められた。単に良かったというだけではなく、どうやら体の相性もいいらしく、はじめての中イキを体験した。控えめに言って最高だった。
 それからというもの、寝ても覚めても好雄とのセックスの事が頭を離れず、オルガズムスのことばかりを考えていた。
 未緒から下校やセックスを誘うと、好雄は決して断らない。
 二度目のセックスは未緒の方から誘った。
 同じ男と二回以上セックスするのははじめてである。一度目より二度目、二度目より三度目とどんどん気持ちよくなっていった。
 一緒に時間を過ごしてくれて、継続的に抱いてくれる、それだけでもこれまでの男とは違う。時に学校でフェラチオさせられたりアナルセックスまでせがまれたりするのは恥ずかしかったが、抱かれれば抱かれるほど、もう引き返せないと思えるくらいにどんどん彼の事が好きになっていった。
 唯一の不満は休日デートに応じてくれないことであった。誘っても「忙しい」とか「予定がある」などと言って毎度はぐらかされていた。
 やきもきして過ごしていると、夏休み最終日、好雄の方から連絡があった。
 曰く「一月少々後の文化祭でJKリフレを開き、裏オプで荒稼ぎしたい。未緒にも手伝って欲しい」と。はじめは荒唐無稽にも程があると思ったが、好雄の話を聞いている内に出来そうな気がしてきた。うまく成功裏に終わったら望みどおり好きなところでデートしてくれるのだという。
 そう言われたらがぜんやる気が出てきた。

      3

 殺風景な部屋。机に椅子、コピー機に本棚。古くなった蔵書の香り。未緒はこの部屋の雰囲気が好きだった。図書委員として鍵を預かっているため、出入りも自由だ。
 未緒は図書準備室に入室すると、後ろ手に部屋の鍵を閉めた。これで万が一この辺りを通りがかる者がいても、今からしようとしている行為がバレることは決してない。
「あっ、あのっ……」
「どうしたんだい、未緒ちゃん?」
「あの……も、もしよかったらなんですが……」
 未緒はスカートをくるくるとたくし上げた。純白のパンティを見せつける。
 地味な眼鏡少女の突然の淫靡な振舞いに、米田はを丸くした。
「わたしを……み、未緒の事……買っていただけませんか……?」
 米田は一旦驚いたような面持ちで息を呑むと、すぐに気を取り戻し、にんまりと口元を歪めた。
「たまげたなぁ……君みたいな大人しそうな子が……。最近の女子高生は進んでるのかな? こんな人気の無いところに案内してくれたのは、そういう目的だったのか……」
「あっあの……、はい……そうです……」
「わかってるのかい? ここは学校で、皆が一生懸命勉強するところなんだ。ラブホみたいにチ○ポマ○コするところじゃないんだよ?」
「あぁ……すみません……。未緒はいけない子なんです。ここが学校だってことなんて、わかってるのに……米田さんみたいな素敵な男の人と一緒に歩いてるだけで、こうしてエッチな事をしたくてしたくてたまらなくなっちゃう変態な女の子なんです……!」
 言いながら米田にすり寄り、股間に手を這わす。こうなったら、とびきりエッチな女の子を演じるしかない。
 米田は卑猥な笑みを浮かべつつ、未緒の身体に手を這わせてくる。
「ウヒヒッ、変態女子高生の未緒ちゃん。いったいナニをどこまでしてくれるって言うんだい? ここでするって事なんだろ?」
「あの、お……お口か、お手々で……。それで、あの、手ならこうで、お口ならこっちです……」
 未緒はそれぞれ、指五本と指一本を立てて見せた。手コキなら五千円、フェラチオなら一万円という意味である。
 米田は無言で財布を取り出すと、中から一万円札を引き抜いた。それを未緒に見せると、紙幣が手から滑り落ちていった。
「おっと、手が滑っちゃったみたいだ。悪いけど拾ってくれるかい?」
「は、はい……?」
 困惑しながらも未緒はその場にしゃがみ、リノリウムの床に手を伸ばした。ひざまずいて紙幣を拾っていると、カチャカチャと音がした。見上げると、眼前にはスラックスとブリーフを膝まで下ろした米川が仁王立ちしていた。隆々とそそり立った男根を、未緒の鼻先に突きつけてくる。
「きゃっ!?」
「しゃぶるんだ」
 米田は未緒の頭を掴み、硬くみなぎった肉棒を口唇に埋め込んできた。
「ぅんんんんっ……!?」
「おっと、誘ったのは君だからな。いいね。間違って歯を立てるなよ」
 米田の男根は強烈な男性ホルモンの匂いを振り撒いていて、未緒の鼻は曲がりそうになった。だが、米田に容赦はなかった。野太い男根を深々と未緒の口唇にねじ込むと、腰を使って責めたててきた。

      4

「んぅうううっ…… ぐむぅっ……」
 米田が腰をひねり、男根が喉奥に突き当たる度に上半身がマグマを流し込まれたかのように熱く疼く。米田がセーラー服の襟ぐりから胸元へと手指を差し入れてきて、ブラジャーを捲り上げられた。胸乳をぐいぐいと揉み潰される。無理矢理されているのに、乳首がどうしようもなく尖り出していた。硬くなった先端を、指の腹で小刻みにしごいてくる。
「んんっ……むふぅぅうん……」
 未緒は興奮していた。
 仁王立ちの米田の前でひざまずかされ、力ずくで頭を押さえつけられて男根をしゃぶらされるという屈辱的な格好をしているというのに、自分の意思で制御できない程に発情しきっていた。まるで口が蜜壺になったかのような気分である。鼻が曲がりそうな匂いの男性ホルモン臭にさえも、自分でも驚くくらい興奮してしまう。
「ぅんぐうううっ……んぐぅぅっ……」
 男根を抜かれるとき、唇をめくりあげられる。大量の唾液が糸を引いて床へと溢れ落ちていった。
 口を犯され、涎が止まらない状態が心地よくてしょうがなかった。もっと突いてほしい。息も出来ないくらいの連打で、いっそ意識を奪ってほしいとさえ思えてきた。
「……んあぁっ!」
 唐突に米田が口唇から男根を引き抜いた。口内に溜まっていた唾液が口から溢れ、リノリウムの床へポタポタと落ちる。眩暈を誘うほどの息苦しさは無くなったが、耐えがたいほどのもどかしさが全身を打ちのめしてくる。
「はぁあ……はあぁっ……」
 未緒は眉根を寄せ、情けなく目尻を垂らした顔で米田を見上げた。激しいフェラチオの後遺症ですぐには口を閉じることができず、あえぎ声を吐くことしかできない。
「おや、どうしたのかな?」
 仁王立ちになった米田が、勝ち誇った顔でニヤリと笑う。同世代男子のものとは違う、威風堂々にそそり勃った男根が、唾液に濡れて黒々と光っている。
「もっと舐めさせてほしいのかな?」
「あううっ……」
 未緒は閉じることのできない唇をわななかせた。女の口内には性感帯があるという事実を、まざまざと思い知らされていた。
 未緒は自ら鈴口へと舌を伸ばしていった。しかし、米田によって頭を押し止められていた。
「あっ……ううっ……?」
「おっと、欲しがりさんだね。舐めさせてほしかったら、先に言うべきことがあるだろう?」
 未緒の顔はカァッと熱くなった。
「素直になって、何をしたいのか言ってみるといい。頭のいい君だ、わかるだろう?」
 米田はそそり勃った男根で、未緒の顔をビターン、ビターンと打ってきた。奴隷娼婦のような扱いを受け、背筋にゾクゾクとしたものが走る。
「く、ください……」
 ついに言ってしまった。
 自ら発した言葉なのに、途轍もなく羞恥心を揺さぶってくる。
「ダメだな、そんな言い方じゃ」
 米田は唾液に濡れた男根で未緒の頬を嬲りながら、プリーツスカートからはみ出た太股をぐりぐりと踏んできた。屈辱的な扱いを受けているのに、未緒は身体の一番深いところが疼くのを感じた。
「何をどうしたいのか、どうしてほしいのか言ってみろ」
「あ……ああっ……。許して……」
「ダメだ」
 太股を踏んでいる足が股間に這ってくる。
 このまま足で触れられたら、発情してしまっていることがバレてしまう……。
「おっ……お願いします。よっ、米田様のオチ○チンを……、未緒のお口マ○コでおしゃぶりさせてください……! セックスするみたいに、無茶苦茶に犯してくださいっ!」
「……グフフっ、素直になれたね。偉いぞ。ご褒美をあげよ……う、……うおぉぉっ……!?」
 米田が言い終わらない内に、未緒は自らペニスを迎えにいった。眼鏡を外し、本気モードだ。
 口内で多量の唾液を分泌させ、その唾液ごと男根をしゃぶりあげては、根元にある陰嚢をやわやわと揉みしだいてやる。リズムに乗って唇をスライドさせながら、いやらしく歪んだ顔で米田を見上げた。
 米田は顔を真っ赤に染め、首筋には脂汗を垂らしていた。

      5

 攻守交代である。
 文化祭の喧騒から離れた静かな一室にあって、くぐもった淫声にジュルジュルと唾液と粘膜が擦れあう音、そして荒々しい鼻息の音だけが耳に入ってくる。視線を絡めあわせ、唇と舌で悩ましく肉茎をこすりあげてゆく。
 米田は滑稽なほど身をよじり、くしゃくしゃに顔を歪めていた。男根をしゃぶりあげられる快美感に総身を震わせている。
 未緒は時にスピーディに唇をスライドさせ、時にねっとりと舌を使って米田を追い込んでゆく。口のまわりはもう、自分の唾液と米田が漏らした我慢汁とでドロドロに濡れまみれていた。
 好雄にさえも言っていなかったが(薄々感ずかれているかもしれないが)、未緒は男根の形が好きなのであった。いつまでもしゃぶっていられる。硬くみなぎってそそり勃っている姿に、理屈ではなく惹かれるものがある。一番のお気に入りは好雄のそれだが、黒々と野太くそそり勃つ米田のモノもかなりいい形と大きさをしている。こうしてしゃぶりあげているだけで、興奮が高まり下半身が疼いてくるのだ。
 未緒は口内でねろねろと舌を動かし、頬をべこりとへこませて男根を吸った。時に舌腹で玉袋をマッサージしたり、内腿から股の付け根のあたりをペロペロと愛撫したりする。
 ここが学校で、現在文化祭の最中であることなどはとうに忘却の彼方である。
「うううっ……はうおおぉっ……、出すぞっ、呑めるかい? いや……呑めっ、未緒ちゃんっ!」
「むふん……むふぅぅん……」
 未緒は応えず、その代わりにより深く股ぐらに顔を沈み込ませた。切なげに眉根を寄せ、大きな瞳を潤ませながら唇を深々とスライドさせる。頬をピクピク収縮させながら、首を振るピッチを上げた。
「おおお、いいぞっ、未緒ちゃん!」
 瞬間、口内で勃起がグンと膨らんだ。我慢汁を大量に吹き出しながら、未緒の頭部をしたたかに押さえつけてくる。
「あっああっ、出るっ! おおっ、出すぞっっ!」
 欲望の塊が、口内で弾け飛んだ。
 止めどなく噴射されるザーメンで、すぐに未緒の口中は一杯となった。精液をゴクゴクと飲み下しながら、しつこくペニスを吸い立てて最後の一滴まで絞り出した。
 まるで口唇が女性器になってしまったかのような快美感が降りかかっていた。総身を震わせ、だらしなく蕩けきった顔でオルガズムスに似た感覚を噛み締める未緒であった。

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