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18.延長裏オプJKリフレ(上)

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作者:しょうきち

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      1

 時計の針は回り、17時━━。
 二日間のきらめき高校文化祭の模擬店営業は終わりを迎えていた。後は撤収作業と後夜祭を残すのみである。
 その合間の時間。3ーAの教室には昨日同様にクラス全員が集まっていた。
 教室の扉が開いた。
 入ってきたのは好雄である。
「よっしゃあ、みんないるかぁ?」
 ざわめきと共に、クラス全員の目線が集まる。
「いよっ、待ってましたぁ!」
 威勢よく声をかけるのは、お調子者の高見公人だ。
 女子陣はというと、我こそが売り上げランキング上位に、そして特別ボーナスに預からんと既に目を爛々とさせている。
(ククク……どうなることかと思ったけど、蓋を開けてみりゃ大成功に終わったぜ……!)
 3ーAのJKリフレは、高校の文化祭としてはあり得ないほどの売り上げを叩き出していた。はっきり言って、もしも税務署に目をつけられたら危険な程の額である。
「さて、早速だけどみんなお待ちかねのボーナスタイム、行くぜぇ!」
 握り拳をマイクのように見立て、好雄が吠えた。ざわめきが広がる。
「まずは今日の売り上げからだ。まず三位は……虹野さんっ!」
「あっ……、ありがとうございます」
 クラス内からは、まばらながらも拍手が起こっていた。昨日と比べ、幾分か女子グループの沙希への当たりが軟化している。
 それは何故かというと、昨日の人気も相まって指名数が増えすぎたため、本来沙希が相手をするはずだった客を他の女子へ回していたためである。しかも、沙希は持ち前の面倒見の良さを発揮して、性的経験が少ない女子に裏オプのいろはを快く伝授していた。
 男子禁制の女子待機部屋は、半ば沙希によるセックステクニック講習会となっていたのである。
 それは純粋な親切心の発露であったが、結果的には自身の指名を減らしてまで他の女子のサポートをしていた沙希は女子グループの中である程度受け入れられるようになっていったのである。
「それじゃあ次いくぜ。二位は夕子だ。おめでとさん」
「え~っ、あたし、また二位~っ!? あんだけ頑張ったのにぃ~!」
「おいおい、二位でも大したもんだぜ」
「う~っ……」
 プロのヘルス嬢としてのテクニックに加え、焦らして焦らして本番までさせるなどして荒稼ぎしていた夕子であったが、上には上がいたのであった。
「それじゃあいくぜ、一位は……3ーFからの助っ人、鏡さんだぁっ!」
 魅羅が一歩前へ進み出ると、教室内にどよめきが起こる。
 だが、沙希がトップだったときとは違い、嫉妬や怨嗟の声はない。
 「私でも勝てるかも」と思わせるような身近さ、気安さがひとつの魅力である沙希とは違い、ルックスや立ち居振舞いからして次元が違うステージに立っている事が一目でわかる魅羅とあっては、もはや嫉妬の声すら出てこないのであった。
(ま、出る杭は打たれるって言うけど、出すぎて地面から抜け出ちまった杭は打たれようがないってトコかな……)
「ふぅ……ま、こんなものかしら」
 さも当然といった顔でのし袋を受けとる魅羅。
 この日夕子の売り上げを僅かに上回っていた魅羅であったが、そこにはからくりがあった。
 今日魅羅についた客は、蓮山のみならずその全てが過去のバパ活の相手であった。無論夕子や他の女子同様、本番もやらせている。
(それでも、あの鏡さんに肉薄したんだから、大したもんだと思うけどなぁ……)
 好雄は内心では夕子を贔屓目に見ていた。
 肉体関係にある相手特有の感情と言ってももいい。
「さて、それじゃあ最後に、二日間の総合表彰をするぜ。昨日今日の分を合算して、最も売り上げに貢献してくれたのは……」
 皆の注目が好雄に集まる。
「夕子! 朝日奈夕子だぁ~っ!」
「やったぁ! 超うれしいっ!」
 夕子は飛び上がらんばかりの勢いで喜びの笑顔を見せた。クラスからは拍手が起こる。
 好雄はちょっとだけ装飾が豪華なのし袋を皆に見えるように手渡した。
「ほらよ夕子。おめっとさん」
「えへへへっ!」
「なんだよ、そんなに喜ぶなんて。言っちゃアレだけど、毎月のバイト代の方がよっぽど稼いでるだろ?」
「いいもん。あたしって、ほら……、勉強もスポーツもブッチしてばっかだったから。こーゆー風に表彰される機会って、なかなか無かったんだもん。それに……」
「ん、それに……?」
 問い正そうとすると、夕子は赤くした顔をプイっとそむけた。
「おっ、おい。何だってんだよ?」
「な、なんでもないっ! 何でもないってば……」
(訳わかんねえな……、女ってやつは……)
 兎も角、喜んでくれるならよしとすることにした。
「おーい、好雄ぉ」
 大盛り上がりの中拍手を浴びる夕子を背に、壇上を降りた好雄の背中をぐいと引っ張る者がいた。公人であった。
「おう、オメーもおつかれさん。ヤローにはボーナスは出ねえけど、勘弁してくれよな」
「いや、それもそうだけど、その事じゃねぇよ」
「なんだよ?」
「詩織だよ、詩織。結構頑張ってたみたいなのに、結局ランキングに入らなかったなんてな。声でも掛けようと思ってさ。さっきから見あたらねえんだけど、知らねえか? 帰っちまったのかな?」
 その一言に、好雄の頬は一瞬ヒクついた。
「あー、藤崎ね……。そう言えば、先に帰るって言ってたぜ。なんか用事でもあるのかな? 知らんけど」
「なんだ、帰っちまったのかよ。チェッ、後夜祭のダンス、誘って一緒に踊ろうと思ってたのに」
「へへっ、お前はいつもタイミングが悪いなぁ。そんなんじゃ誰か別の男にかっさらわれちまうぜ?」
「うわっ、好雄ぉ、そんな事言うなって……。あー畜生っ。残念だなぁ……」

      2

 好雄の言葉は真っ赤な嘘であった。
 3ーAで大盛り上がりを見せている中、詩織はひとりプールへと足を運んでいた。
 きらめき高校、文化祭。その模擬店の営業時間は夕方17時までと定められており、原則例外はない。たとえばれたらアウトの違法サービスをしていても━━フェラチオしていようがセックスしていようが━━中断してバイバイしなくてはならない。まだプレイにさえ至らなかった者はキャンセル扱いだ。
 たとえ法や世間のルールに背こうが校則には従わなくてはならないのが学生の辛いところだ。
 だが、それでは納得いかないのが、怪しげな噂を聞き付けて美少女JKとセックスするためだけにはるばるきらめき高校へ足を伸ばしてきた輩である。
 そうした男は最早謝って素直に引いてくれるような物分かりのよさは持っていない。ゴネられたり暴れられたりしては困るし、最悪なのはこの裏オプ営業が明るみに出てしまうことだ。それだけは避けなくてはならなかった。
 好雄は一計を案じた。
 今日営業時間内に間に合わなかったものには女の子の連絡先付きの整理券を渡し、後日個別に交渉してもらうことにしたのである。
 女子の中には文化祭の後もJKリフレをやらなくてはならないことに文句を言う者もいたが、裏オプ代は全額懐に入れていいと話すと皆素直に納得した。
(ククク……。これでみーんな援交少女の仲間入り。行く末はデリヘルかソープかピンサロ嬢か━━ってね……)
 ここに当初目的は八割がた達せられたと言ってよい。
 だが、まだ問題は残っていた。
 客の大半には納得して帰ってもらえたが、一部の輩━━特に『きらめき高校のスーパーヒロイン』である詩織とあわよくばセックスせんとやって来た筋金入りのJKマニア、風俗マニアは受付に居直っていたのである。
 そこで好雄は、詩織だけには極秘裏に延長裏オプをしてもらうことにしたのである。通常の教室でやるわけにはいかないため、場所を移すことにした。
 教師、生徒、関係者ら━━それらすべての目が届きにくく、個室がありシャワーもありと、プールはうってつけの空間であった。
 文化祭中、入口は施錠されていたものの、この日だけという約束で水泳部部長に拝み倒して密かに鍵を貸してもらっていた。

      3

 きらめき高校には比較的大規模な屋内プール施設がある。
 一説によるとこれは、インターハイは勿論オリンピックをも狙えそうな超高校級スイマー・清川望を特待生として迎えることが決まった際に急ピッチで整備が進められたのだとも言われているが、好雄たちの入学前の事でもあるし、今となっては真偽は定かではない。
 だがそのプールで泳いでいる者は、今は誰もいない。
 藤崎詩織は今、女子更衣室にいる。
 外から中の様子が窺い知れることはない。
「はぁぁっ……」
 男性と一緒だ。
 このプール、女子更衣室は簡易プレイルームに、男子更衣室は簡易待合室となっていた。
 男子更衣室では、今か今かと自身の順番を待つ者が何人もたむろしている。
 詩織は好雄の準備した、きらめき高校指定のスクール水着に着替えており、仁王立ちするその男の前にかしずいていた。
 男は既にズボンをブリーフごと足首まで下ろし、鼻息を荒げている。
(はぁ……はぁぁっ……。やだ、わたし……興奮しちゃってる……)
 と同時に、詩織も自らの両脚の間がひどく熱くなっていることに気づいていた。
 熱源の根元へとそっと指を絡ませてゆく。
 ずきずきと熱い脈動が伝わってくる。
 顔を近づけた。
 むっとするような獣の臭いが鼻孔を甘くくすぐってくる。この匂いが女を狂わせるということを、詩織はこのほんの数時間の間に深く理解していた。
「んんっ……」
 まぶたを落とし、裏筋にねっとりと舌を這わせた。
 男が神経を尖らせる。
 詩織は根元に添えた手で角度を調整し、亀頭から舐めはじめた。はやる気持ちを抑えられない。舌を踊らせ、ソフトクリームを味わうように舐めた。舌の表面に伝わってくる濃厚な味と淫らな熱気にうっとりとしてしまう。
 自分はなんていやらしい女なんだろう、と思う。今知り合ったばかりの男性のペニスを、こんなにも美味しく感じてしまうとは。
「……ぅんぁっ」
 唇を割り広げ、口に含んだ。
 一息に頬張り切れないサイズだ。
 自然と鼻息が荒くなる。
 頬をすぼめ、ゆっくりと唇をスライドさせていきつつ、分泌させた唾液を幹にまぶしてゆく。カリのくびれが、唇の裏側にフィットしている。
 咥えたまま目線だけを上に送ると、男は口許をいやらしく歪ませた。舌を走らせて亀頭の先端を刺激してゆくと、じわりと先走り汁が滲みだしてきた。口の中が、牡の匂いでいっぱいになってゆく。
「んんんっ……、むふぅぅっ……」
 絡めあわせた目線の先では、男は顔を茹でダコのように真っ赤に上気させていた。そんな反応が嬉しくなって、奉仕に熱が入る。
 詩織は唇をスライドさせはじめた。
 上目使いで男の顔を見上げたまま、徐々にスライドのピッチをあげてゆく。
 口内で唾液をたっぷりと分泌させ、吸いたてる。じゅぷっ、じゅぷっとわざと音をたててやる。
 次第に男がガクガクと膝を震わせはじめた。
「んんんっ……ぅむうんんっ……」
 詩織は動きを緩めなかった。口内で舌を回すように動かし、したたかに亀頭を責め立てる。
 唇から唾液がこぼれ、顎を濡らしても構わなかった。空いた左手を使って、玉袋をやわやわとあやした。
 頭の上では、ぎりぎりと歯を食いしばる音が聞こえる。限界が近いのだ。
「はぁ……おぉっ……し、詩織ちゃん……」
 男がヘアバンドごと頭を掴んでくる。
「で……出ちゃうよ……。そんなにしたらっ……」
 言葉にはしなかったが、詩織は心の中で「だーめ」とつぶやいた。目を閉じ、顔を前後に揺すり、クライマックスへ向けて走り抜けてゆく。
 震えていた男の両膝が、唐突にピンと張り詰めた。次の瞬間、男の腰がガクガクと痙攣を始め、勃起がグンと膨らんだ。
「んんんっ……!」
 欲望のエキスが、口内で弾け飛んだ。
 ネバつく感触とともに、濃厚な男性ホルモンの味と匂いが口内を一瞬で満たす。
 その爆発は、脳裏さえも真っ白に染めてゆくような気がした。
 男が頭部をがっちりと掴んでいるため、発射された粘液を直接受け止める箇所は舌と喉に他ならなかった。
(そんなことしなくても、ちゃんと受け止めてあげるのに……)
 と思いつつも、眉根を寄せてングングと吸いたててゆく。
「おぁっ……あぁぁ……」
 男が断末魔のような声をあげる。
 まるで支えを失ったかのように腰から力が抜けてゆく。最後の一絞りを吸いたてる頃には、頭部を押さえつけていた両手も力なくダラリと垂れ下がっていた。
「んっ……」
 ペニスからゆっくりと唇を引き抜いてゆく。口の中は粘つく液体でいっぱいだ。鈴口と唇の間には、今しがた出した精液と詩織の唾液が混じりあった白いアーチができていた。
「はぁ……はぁぁっ……」
 目線を上に向けると、男は何か憑き物が落ちたかのように、この世の極楽を見たかのような呆けきった表情となっていた。
 喉を鳴らし、溜まっていたものを呑み込む。
 呑みきれなかった精液とこぼれた唾液を丁寧にテイッシュで拭きとると、詩織は天使のように微笑みつつ、男に向き直った。
「お疲れさまでした。一万円になります」

      4

 もしも欲深い方であるかと尋ねられたら、昨日までの自分なら襟を正し「そんなことはないわ」と答えていただろう。
 周りからの評価に、昔からひどく敏感だった。勉強でもスポーツでもファッションセンスでも、人から褒めて貰えそうな事には闇雲に努力を重ねた。
 それなりに付き合いの長い相手からさえもそういった風に見られることは少ないが、詩織のセルフイメージは、今も昔も負けず嫌いの頑張り屋であり、望んだものはこの手に掴まなければ気が済まないタイプであった。
 それでは、今日はじめて覚えたセックスについてはどうか? 欲深いのであろうか?
  もし今そのように尋ねられたら、少し躊躇したのちに多分うなずくのであろう。
 いや、うなずかざるを得ない。今日を境に、自分はどうしようもない性的欲望を抱えた淫乱女であると自覚して生きざるを得ない。
 蓮山との行為を終えた詩織であるが、その後は好雄によってあてがわれる客すべてに自ら裏オプションを持ちかけていた。
 本番まで至った客もいれば、そうでない客もいる。
 どこまで至るかは詩織の気分だったり客の求めや懐事情によったりと様々だが、どの客も例外なく射精させていた。
 心の中が覗けるわけではないのでそう信じているに過ぎないが、いずれの客も十分に満足して帰ってもらえたと思う。
 蓮山との音楽室の逢瀬ではディープキス、クンニ、そしてセックスを初体験したが、その後も客の求めと自身の性的好奇心に従って次々と新たな性行為を開拓していった。
 二人目の客にははじめてのフェラチオを、その次の客にはアナル舐めを、そのまた次の客とは犬のように四つん這いになって後背位セックスを━━といった具合だ。
 どれも密かに毎夜ベッドの上で妄想していた行為なだけあって、乾いたスポンジが水を吸収してゆくが如く、汲んでも尽きぬ源泉から水が溢れ出るが如く、やればやるほど上達してゆき、最早引き返せない程に男性との性行為に嵌まってゆく自分がいた。
 なぜ今までこんなにすばらしいことに忌避感を持っていたのか、昨日までの自分が莫迦らしくなってくる程だ。
 口コミが口コミを呼び、これまでが嘘だったかのように指名を知らせる携帯メールは鳴り止むことがなくなり、待機室に戻る余裕すらない程の忙しさとなった。前の客との行為を終えたらその足で次の待ち合わせ場所へ━━といった具合だ。
 詩織は知る由もなかったが、裏オプも含む売上金を納めるポーチには、既に夕子や魅羅の売上額を上回る金が貯まっている。
 先に行われた表彰で名前が呼ばれることは無かったのは、好雄の元に戻らないと精算できないためである。
 まだ誰も━━詩織自身も、好雄でさえも知らないものの、この文化祭の真の勝者は詩織なのであった。
 初体験を済ませてからまだ顔を合わせていないが、愛には感謝の気持ちを伝えたいくらいだ。
(あれ、どうしたんだろ……。なんでこんな、急に……)
 愛にどんな風に感謝の言葉をかけようか考えていると、唐突に涙がこぼれた。
 脳裏には愛とは別の者の顔が浮かんでいた。隣の家に住む幼馴染みの高見公人だ。だが、すぐに雲散霧消した。

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