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13.覚悟を決めて

アクセス数: 1978

作者:しょうきち

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     1

 前日の興奮と熱気が冷めやらぬ中、文化祭は二日目を迎えていた。
「よお好雄。……って、大丈夫かよ? 目の下、クマ凄ぇぞ」
 顔を合わせるなり、公人が心配そうな目で顔を覗きこんできた。
「ハハッ……、大丈夫だよ、心配すんな。それより公人、今日はハッキリ言って、昨日の比じゃないくらいめちゃんこ忙しくなるぜ。キリキリ働いてもらうからよ、頼んだぜ!」
「お、おう……。お前も無理すんなよ……」
 公人は困惑気味だ。
 鉛のように重い体を引きずる好雄であったが、目だけは爛々と血走っている。
 昨晩一睡もしていなかった。いや、厳密に言うならば一睡もできなかったのである。
 なぜかというとその理由は、一晩中かけて様々な掲示板サイト、学校裏サイト、そして風俗サイト掲示板などでマルチポストによる自演を繰り返し、更にはキュレーションサイトを立ち上げ「真偽不明の噂」と称してきらめき高校の文化祭で援交が行われているという噂を流すなど、思い付く限りあらゆるアングラな手段で宣伝をしていたからである。登校前に削除依頼も出してきたので、証拠隠滅も完璧だ。
 一部のアングラ・サイトでは昨日の文化祭一日目で実際にフェラチオしてもらったという者のカキコミが『神降臨』などと持て囃され、界隈はにわかにプチ祭り状態となっていた。
 そのため、今日は朝から一日目とは比べ物にならない数の男性客が開門を今か今かと待ち構えている。
 ほとんどが最初から援交目的の、筋金入りのJKマニア、風俗マニアといった輩である。急遽仕事を休んで遠隔地からはるばるやって来た者までいる。あまりの人気ぶりに、好雄は朝から3ーA女子陣全員のタイムテーブルを作る作業に忙殺されていた。
 変わったことは客の数や客層だけではない。3ーAの女子陣の意識においても変化が訪れていた。
 昨日の夕方、詩織と愛の間に割り込み言葉巧みに裏オプションへの誘いを口にしていったのと同様、夕子や未緒も同様に、それぞれ近い階層の女子グループにおいて裏オプションについての噂を流しまくっていたのである。
「あたし見ちゃったんだよね……。○○さんが使ってない教室でお客さんのアレを舐めしゃぶってるの……」
「ここだけの話なので絶対に言わないでくださいね? ○○さんも○○ちゃんも、裏オプションと称して隠れてお客さんにエッチな事をしてるみたいなんです……。私から聞いたってこと、絶対に言わないでくださいね」
 ━━といった具合である。
 女子同士の会話が最も盛り上がるのは古今東西、その場に居ない第三者の悪口を言い合っている時であるが、こうした他人の悪評は根も葉も無くとも女子コミュニティの中では光の速さで広がってゆく。
 解散し帰宅した後も、メッセージアプリやグループチャット等でそうした噂は更なる一人歩きを始めていた。好雄が立ち上げたゴシップサイトもその証左として後押しをしていたのである。
 夜が明ける頃には、あの子もこの子も誰もが裏オプ援交をしているのではという疑念が皆の脳裏に渦巻いていた。
 だが真実を把握しているのは、未緒や夕子といった好雄と繋がりのある極一部の女子に限られている。

      2

「おっはよ~、好雄くん」
「ぐえっ!?」
 廊下を歩く好雄の背中にドンと衝撃があり、振り返ると夕子がいた。
「……ってぇな……」
「あれ、どしたの? 元気ないわね?」
「……朝からお前の声は頭に響くな……。こっちは寝てねぇんだよ」
「んもう、シャキッとしてよ。もうすぐ開店でしょ?」
「そう言うお前も、とっとと着替えてスタンバイしてろよ。予約だって入ってんだからさ」
 超ミニスカから覗かせる生足が眩しかった昨日とは違い、今日の夕子の格好はせいぜいが頭にうさ耳バンドを着けているくらいで後は普通のきらめき高校制服だ。
 制服の下には上下とも黒のレギンス、インナーシャツを着ている。露出度的には昨日よりも大分落ちているところだ。
「あたしなら、もう終わってるよ? 着替え」
「へ? そのカッコで? お前にしちゃ随分大人しいじゃん」
「うふふっ、これね、ちょっとした仕掛けがあんのよ」
「何だそりゃ?」
「あれあれ、気になる? なんなら見てみる?」
「今からかよ?」
 プリーツスカートを翻しつつ、夕子がウンウンと頷く。
「ちょうど、相談したいこともあったしさ」

      3

 夕子に手を引かれ、3ーAの教室へとやって来た。これからJKリフレのマッサージなどで使われる部屋であるが、開店前の時間はまだ誰もいない。
 パーティションで仕切られたスペースへと入った。前日から体育用マットが敷きっぱなしになっており、あとは脇の方に煎餅布団が畳んでおいてある。それだけでほぼ面積を占有してしまう程の狭い空間だ。
「おいおい、今こんなとこ来て何するつもりだよ」
 夕子は答えない。その代わりに、スカートをめくりあげて見せた。
「ゲェーッ!?」
 好雄は思わず声をあげてしまっていた。なぜかというとスカートの下には、あるべき衣類が何もなかったからである。
 とはいえ、ノーパンというわけでもない。
 夕子の股間にはハート型の前張りだけが張られていた。
 これがビデオ映像だったらモザイク処理がなされるべき部分が辛うじて隠されている。
「お、お前よぉ……!」
「これだけじゃないわよ。ほら、ジャーン」
 続けて夕子がセーラー服をまくりあげる。
 やはりそこにもあるべき衣類━━インナーシャツもブラジャーも無かった。代わりに、双丘の先端にはそれぞれ星形のニプレスが貼られている。
「んふ、知ってる? これってねえ、逆バニーって言うんだって」
 後で調べたところによると、最近のAVではこの卑猥極まりない衣装がちょっとしたブームなのだそうだ。
 夕子はニヤリと笑みを浮かべながら、ボディラインを見せつけるようにくるりと回って見せた。プリンとした白い双丘が完全に丸出しで、尻の桃割れにはIの字に局部のみを覆う前貼りが食い込んでおり、卑猥さを殊更に強調している。
 手足にはピッチリした素材のスーツを纏いつつ、レオタードに相当する胴体部分が股間と両乳輪のみ前貼りで隠されている。
 言われてみればなるほど、ちょうど一般的なバニーガールの肌を見せる部分と布部分が逆転したような格好だ。はっきり言って裸よりいやらしい。
 確かにこの格好のまま外を歩くのはアウトだ。学校内は勿論のこと、多数のコスプレイヤーが往来を闊歩するハロウィンイベントなんかでもご退場を促されるレベルだろう。
「脱いで見せるってことか……? こういう風に……」
「そういう事っ」
 一見普通に制服を着ているように見えるだけに、その下に隠された卑猥すぎる衣装とのコントラストが凄まじい。丸々と実った乳房も、股間に食い込む前貼りも、野蛮なほどに強烈なセックスアピールを醸し出している。
 高校の文化祭でこれを見せられて衝撃を受けない男性などいないだろう。
「ウフフッ、どう? 元気になった?」
「うっ……!」
 ニヤニヤと笑みを浮かべながら目線を下ろしてくる。言われてはじめて気づかされたが、股間の前が膨らんでいた。

      4
 
 好雄はひきつった笑みを浮かべていた。
「そ……そういえばさ、相談したいことがあるって言ってたよな?」
「そのことなんだけどさ……」
「……なんだよ?」
 夕子は重ねておいてある煎餅布団に腰を下ろした。
「こっち来てよ」
 夕子が布団をポンと叩いた。
「あんま……他人に聞かれたくないからさ」
 他には誰もいない教室とはいえ、誰かが廊下を通り掛かる可能性はないとは言い切れない。
「……い、いいけどよ」
 周囲をキョロキョロと見回しつつ、夕子の隣に腰をおろした。甘酸っぱい香りに息を呑む。
「……で、相談ってなんだよ」
「その前に、好雄くんさ……あの子とはどういう関係なの?」
「へぁっ?」
 予想の外側からの質問に、思わず素っ頓狂声をあげていた。
「あ……あの子って誰だよ……?」
「ほら、あの眼鏡の委員長、如月さん」
「き、如月さんは……ただのクラスメイトだよ。それと、ええと……ああ、図書委員が一緒だから、ちょっと話す事くらいはあるかな。ナハハハ……」
「ウソね。昨日の表彰のときの如月さんの目、あれは恋する乙女の目ね。あ……いや、きっともう乙女じゃないわね。ズバリ、彼女と寝てるでしょ! 好雄くん」
 人差し指を突きつけられる。
(ま、まずい……) 
 いつもの夕子らしい冗談めいた態度ではなかった。目がシリアスだ。
 好雄の緊張は一瞬で最大級となった。
 これまで夕子に対し、未緒との関係について話したことはなかった。話す機会もなければ必要も感じなかったからというのが直接の理由だ。だが━━。
(嫉妬……してるってのか……、夕子が?)
 仮に他の女とセックスしたといった話をしたとしても、夕子のキャラ的に、いつものあっけらかんとした態度を崩さずけらけらと笑って流すものだとばかり思っていた。だが、認識を改める必要があるのかもしれない。
 背筋には冷たい汗が流れていた。
「言ったよね? ヘルスでバイトしても、絶対本番はさせないってさ。あたし、あれから一度も他の男と一線越えたことはないんだけど……。ここしばらくは忙しいっていうからエッチ我慢してたのに、好雄くんは違う子とよろしくやってたの?」
「うっ……!」
 ここは開き直った方がいい、ともう一人の自分が言う。未緒などより余程付き合いの長い夕子だ。余計な見栄は張らず、素直に謝れば許してくれるだろう。
「まあ……、その、悪かった。隠してて」
「えーっ! マジで!?」
「えっ?」
「やっ……適当にカマかけてみたら……。まさかホントにエッチしてたなんて……」
「ゆ、夕子、お前なぁ……」
「あはははは」
「お、お前さ……一応聞いとくけどよ、俺が他の女と寝てるとか聞いて、その……」
「何よ?」
「し……嫉妬したりとか……、しねぇの?」
「ぶっ!」
「うわっ! ……お、お前な……」
「ごめんごめん。うーん、嫉妬かあ……。別にあたし、独占欲とか無い方だし……。今さら……ねぇ……」
 夕子は神妙な顔で首をかしげている。
 好雄は質問したことを後悔した。
「はーっ……、もういいや、何でもねえよ……」
「そうそう、好雄くんは何でもなくても、あたしにはあるのよ。相談したいこと」
「そういやそうだったな。で、結局何だよ、相談したいことってさ」
「その前にさ、エ……エッチしない?」
「はぁ?」

      5

 好雄は訝しげに眉をひそめた。
「エっ……エッチって言ったってよ……。時と場合を考えろよ。なんでまた、こんな時に……」 
「えーっ、女とヤれるチャンスがあれば時も場合も相手もお構い無し、それが早乙女好雄じゃなかったのぉ?」
 否定できないのがくやしいところだ。
「そ、そんなこと言ってもよ……。これでも合意のない女とセックスはしない主義だぜ? なんでそんな事言うのかさ、教えてくれたっていいじゃねぇかよ」
「うーん、エッチした後なら教えてあげる」
 頭を抱えたくなってきた。
 がくりとうなだれると、急に視界が暗くなった。柔らかい二つの感触が頭部に押し付けられていた。
「わっぷ……。んんんっ……!」
 その正体はもちろん夕子の体だった。
 一応ニプレスを貼っているもののほぼ生乳といっていいその感触に、思わず声をあげてしまっていた。
「お、おい……!」
「ねぇ、触って……」
 いけないと思いつつも、半ば反射的に手のひらは左右のふくらみへと伸びてゆく。
「あぁ……んんんっ……」
 夕子が色っぽい声をあげる。
 指と手のひらいっぱいに生乳の感触が広がってゆく。柔らかな乳房だった。ギュウと揉みしだくと、指がズブズブと沈みこんでゆく。そうなると最早、躊躇っていることなどできなかった。
「うんんっ……」
 夕子が身をよじる。
 乳房を触らせたまま、好雄の方へ身を寄せてくる。まぶたを落とし、唇を重ねてきた。
 好雄は目を白黒させたが、キスは止まらない。にゅるんと口中に舌が侵入してくる。ねちっこく舌を絡め、息が止まるような深いキスだ。頭から判断力が奪われてゆく。
「好雄くん、脱いで……」
 促されるまま、慌ててベルトを外しスラックスとトランクスをまとめて下ろした。勃起したペニスが唸りをあげる。
 夕子もスカートのホックを外した。セーラー服をたくし上げているので、上はほとんど生乳がポロリ、下半身は前張り一枚だ。
 好雄はハァハァと吐息を絡ませながら、ふくらみをやわやわと揉みしだいた。夕子は喜悦を噛み締めるように目を閉じた。
 星形のニプレスをべりべりと剥がしてやると、 下から出てきた乳首は赤く充血していた。
「あ……うぅんっ……」
 両脇から手を差し入れ、コリコリと乳首をいじってやると、眉間に深い縦皺が刻まれた。
 目の下がねっとりと紅潮してゆく。敏感になっているのか、いつもより反応がいい。
「あぁ、やぁっ……。や、やっぱ好雄くん……オッパイ揉むの……上手いじゃん……」
 囁きつつ、臀部をグリグリと分身に押し付けてくる。感じているのは胸だけではない。クネクネとよじりあわせている太股からは、女の匂いが漂ってきていた。
 女体の扱いが上手いと褒められて、ほくそ笑まない男などいないであろう。もっともっと感じさせてやりたくなる。
「夕子……。位置、変えられるか?」
「えっ……うん……」
 手を引いて二人揃って立ち上がると、座布団代わりに座っていた布団を体育用マットの上に敷いた。これで簡易ベッドの出来上がりだ。
 その上に仰向けになって寝転んだ。夕子に対し、その上に来るよう指でクイクイと促した。
 夕子が好雄の頭を跨ぎ、上から覆い被さる。女性上位のシックスナインの体勢だ。
 

      5

「うふふっ、好雄くんのオチ○チン……おっきいね」
 疲れが溜まっていたせいか、別のものも溜まっていたらしい。蠱惑的な笑みを浮かべ、鈴口にチュッと唇を押し付けてくる。すると瞬く間にじわりと我慢汁が溢れてきた。
「うぉぉっ……」
 したたかに身をよじる。
 そのままの勢いで夕子は腰にむしゃぶりついてきた。そうとしか言い様のない勢いでペニスを掴み、亀頭をぱっくりと口に含んだ。
「うぉおっ……!」
 生暖かい口内粘膜で敏感な部分を刺激され、好雄は思わずのけぞった。
 口内で飴玉を舐め転がすように、夕子の舌はよく動いて亀頭全体に刺激が加わっていった。下半身の血液が一点に集中してゆく。
「むふぅん……んふぅうん……」
 唾液をたっぷりと纏わせ、わざとジュポジュポと音を立ててくる。練達すぎる口腔奉仕で、気を抜けば思わず暴発してしまいそうである。
 だが、暴発なんてしてしまうわけにはいかなかった。やられたらやり返すのが好雄の主義である。
 眼前には、腰を反らせて尻を突き出した、とんでもなく卑猥な眺めが広がっている。
 股間にはヴァギナからアヌスまでをかろうじて覆う前貼り一枚で、下半身はほぼ裸といっていい。デリケートゾーンがこんもりと盛り上がっており、恥丘の形状が一目瞭然である。
 好雄はI字型の前貼りに指をかけると、ゆっくりと慎重に剥がしていった。
「あふっ……!」
 ペリペリ……と音をたて、前貼りは思いの外スムーズに剥がれていった。
 剥がしてみて驚いたのは、そこにあるべき毛が一本残らず生えていなかった事である。本来であれば剥がす際に陰毛を巻き込んだりしかねない。スムーズにいったのはそのためだろう。
(こ、このためにわざわざ……夕子……)
 見上げたプロ根性である。いや、この文化祭への意気込みと言うべきか……。
「や、やだぁ……あんま見ないでよぉ……。恥ずかしいから……」
 切なげな目を向けてくる。だが、無理な相談だった。
 両脚をM字に割り広げると、眼前にはセピア色ののアヌス、そして蝶々の羽根のように広がるアーモンドピンクの花びらが咲いていた。無毛のヴィーナスの丘には、唇を縦にしたような形状がつぶさに伺えた。
 見られて興奮しているのだろう。甘酸っぱいフェロモン臭が鼻孔を通じて脳をガツンと揺さぶってくる。眼前に広がる卑猥な器官が物欲しげにヒクヒクと蠢いている。
「くぅぅっ……、あぁっ……」
 花びらの合わせ目に軽く舌を這わせると、夕子はせつなげに身をよじった。下から上へ、鼻息を荒げ夢中になって舐めあげてゆくと、合わせ目は次第にほぐれてゆき、薄桃色の粘膜がチラリと顔を覗かせた。
 薔薇の蕾のように肉ひだが幾重にも折り重なり、熱く息づいていた。ひくひくとするたびにトロリとした蜜を漏らし、いやらしすぎる光沢を放つ。
 左右の肉ひだをぱっくりと割り広げ、粘膜の中へと舌先を沈めていく。
「はぅっ……あぁっ……!」
 夕子はペニスを咥えたまま鼻奥で悶え泣いた。顔を真っ赤にして舐めしゃぶるその表情はどこまでもエロティックだ。
 好雄は舌を踊らせた。
 鼻息を荒げ、つるつるした白い恥丘ごと薄桃色の粘膜とクリトリスをしつこいまでに舐めまわす。
 そうしないと、フェラチオの快感に翻弄されてしまいそうだった。
 クリトリスを舐めしゃぶりつつ、肉穴へ指を沈みこませる。ずぼずぼと音をたてて撹拌しつつ、舌先でクリトリスを刺激する。
「はぁっ……、あぁあああっ……!」
 夕子がフェラを続けていられなくなり、真っ赤な顔であえぐ。ペニスがフリーになるも、構わずさらにしつこく責め続けた。
「ダメっ、ダメ……。ああっ……くぅうううっ!」
 夕子が悲鳴をあげる。ぶるぶると体を震わせ、シックスナインの体勢を崩した。

      6

 二人は布団上で向き直っていた。
 互いにハァハァと肩で息をする。悩ましい目付きと乱れた髪からは、水のしたたるような色香が漂ってくる。
「好雄くん……。そんなにしたら……あたしだけ、イきそうになっちゃったじゃん……!」
「なんだよ、よかったんだぜ? イッちまっても」
 好雄も息をはずませながら囁いた。
「ダメだよ……」
 夕子は首を横に振った。
「エッチは……やっぱり二人でしなきゃ……。あたしだけイクのは無しだよ……」
 好雄は頷きつつも、内心で苦笑を漏らしていた。夕子の言っている事自体は同感であるものの、彼女の目はそそり勃ったペニスの先端だけに向けられていたからである。早くそれが欲しいとばかりに、熱い視線を注いでいる。
「なあ、夕子……」
「……んっ?」
「そろそろさ……教えてくれよ。なんでヤりたいのかをよ」
 夕子は息を飲んで、視線を泳がせた。
「文化祭の熱気にあてられて……ムラムラしちゃってさ……アハハ」
「……ウソつくなよ。いや、100%ウソじゃないにせよ、ホントの理由を隠してるだろ、お前さ」
 夕子の顔が固まった。目線を斜め上に向けている。
「頼むよ、俺と夕子の仲だろ?」
 言いながら、後ろに回った。
 背後から手のひらをすべりこませ、ふくらみをやわやわと揉みしだく。
「ぁ……んんんっ……」
 夕子が身をよじる。
 片手を股の間へと伸ばす。たっぷりとクンニしてふやけきった陰部からは止めどなく蜜が漏れており、太股を切なげによじりあわせている。
「言ってくれないなら、止めてもいいんだぜ?」
 手を止め、ペニスの先端を尻肉の割れ目にあてがいながら囁く。夕子の身体がビクンと跳ねる。
「はぁ……はぁっ……、ず、ずるいよ……」
「……ズルいのはお互い様だろ?」
 夕子は言葉を返してこない。下を向いている。赤くなった顔を隠すように。
 夕子がこちらへと顔を向けてきた。
 目の下をねっとりと紅潮させており、大きな瞳を今にも泣きだしそうなほど震わせている。
「……負けたくないのよ━━」
「はぁ? 誰にだよ?」
「昨日さ、あたし、二位だった……」
「……ああ、そうだったな」
「虹野さんにさ……今日こそあの子に負けたくないんだもん」
「夕子なら勝てるさ。頑張れば」
  返事の代わりに、夕子は力なく首を横に振った。
(いや、待てよ。考えてみりゃ、頑張ればって事じゃあ虹野さんの独壇場か……?)
「好雄くん、知ってんでしょ? 虹野さん……してんでしょ? 本番」
「うっ……、ああ……」
「しかも、今日はきっと、他の子も裏オプ始めるじゃん? だから……あたしもやるよ、本番……。フーゾクのお仕事でも絶対させなかったけど、今日は……今日だけは特別。止めろなんて、言わないよね?」
「そっ、そりゃ言わねえけどよ……」
「ふ~ん、言ってくんないんだぁ……」
「んだよ! どっちなんだよっ……うぶっ……!?」
 言い終わらない内に、唇を押し付けられていた。ほとんどヘッドバットのような勢いだ。ハァハァと荒ぶる呼吸のまま唇を離す。
「ぶぉっ……。おっ……おい、何だって……」
「勇気を……ちょうだいって言ってんの。普段しない事するんだから、一線を越えるんだから……。覚悟を決める、勇気をさ……」
「夕子……」
「来てよぉ……。あたし、もう我慢できない……」
 首に手を回してきた夕子が仰向けに倒れこむ。せつなげに眉根を寄せ、キスを求めてきた。広げた両脚の中央には、好雄の腰がある。
 たとえようもなくいやらしいその表情を前に、もはや本能から背を向けるのは難しそうであった。
 息を呑んだ。
 見つめあっていると、欲望や打算だけではない、彼女の切なる願いが流れ込んでくるようだった。
「いくぞ……」
 濡れた花びらに切っ先をあてがうと、夕子はせつなげな上目使いで見つめてきた。
 腰を前へと送り出していった。上体を起こしたまま挿入してゆくと、無毛の割れ目に己の男根が埋め込まれてゆくのがはっきりと分かった。
 亀頭がずぶりと埋め込まれる。すでにびしょ濡れの花びらが男根に吸い付くように絡み付いてゆく。
「あああっ……!」
 貫いてゆくと、腕の中で夕子がのけぞった。まだペニスの切っ先は浅瀬を穿っていた。そのままねりねりと彼女の中へ亀頭を埋め込んでゆく。
 ピストン運動を開始した。夕子の中はよく濡れていて、ビチャビチャと卑猥な肉ずれ音が教室に響いた。
「あぁ~ん!」
 夕子が甲高い悲鳴をあげる。結合が深まった衝撃に、いやらしくも身をよじった。夕子がすがるように見つめてくる。
 何も言っていないのに言いたいことははっきりと分かった。
 そんな夕子の声なき叫びに応えるようにずんずんと突きおろしていく。やめないで、と彼女の顔に書いてあるようだった。あえぎながら、両脚で好雄の腰を挟んでくる。
「あぁ~ん! いいよおっ!」
 夕子は涙さえ流しながら眉根を寄せて見つめてくる。見つめ返すと、身体中が燃えるように熱くなった。
「ダッ、ダメっ……もうダメっ……!」
 夕子が涙を流しながら唇を震わせる。
「こんなのダメっ! 気持ちよすぎるっ! 変になっちゃうっ……気持ちよすぎておかしくなっちゃうっ……!」
 我を忘れてオルガスムスに駆け上がってゆく夕子を、好雄は力の限り抱きしめた。蜜壺がぎゅっと締まり、男の精を吸い出しにかかってくる。
「だっ……出すぞっ! ぬ、抜いてくれっ!」
「ああっ、大丈夫……。大丈夫だから出してぇっ! このまま中に出してっ!」
 身体中の肉をを淫らに痙攣させながら、夕子が絶叫する。その言葉に好雄は全身を燃え滾らせた。火柱と化した男根で、締まりを増した蜜壺を突いて突いて突きまくった。熱狂的興奮の中にあり、射精の予感が近づいてくる。硬さを増した男根に反応するかのように、蜜壺の中の肉ひだという肉ひだが絡み付き、吸い付いてゆく。
「でっ……出るっ! マジで出るぞっ! うううっ……おおおっ……!」
 雄叫びをあげつつ腰を振り抜くと、下半身で爆発が起こった。マグマのように煮えたぎる粘液が尿道を駆け登り、ドクン、ドクンと続けざまに白濁を放出する快美感に、好雄の頭の中は真っ白になった。
「おおっ……、うううぅーっ……」
「ああっ、感じるよっ! いっぱい中にかかってるっ!」
 夕子も身を捩りながら中出しに応えてくれた。
 痺れるような快美感が全身を支配する。
 好雄はしつこく腰を振り立て、夕子の膣内へと最後の一滴まで絞り出すと、どっと彼女の上に倒れこんだ。
 暫くの間、繋がったまま呼吸をあわせるようにして微睡んだ。
 後程二人揃って遅刻をこっぴどく咎められる事となったが、この瞬間は━━この瞬間だけは何も考えていられなかった。

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