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9.映画を見に行こう

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作者:ブルー

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 詩織ちゃんの好きな男子が判明した。
 以前にうまくはぐらかされて気になっていたのだがようやく聞き出せた。きっかけは何人かの友達と写った写メだった。ある一枚だけ詩織ちゃんの表情がやけに緊張して見えた。
 私が「これは誰なの?」と隣の男子についてたずねると、「クラスメイトです」とあたかも無関係の人間が偶然写りこんでしまったかのように答えていた。そのさりげなさが逆に不自然だった。
「気のせいかもしれないけど、詩織ちゃんだけ表情が硬くない?」
「そうですか? そんなことないですよ」
「ちなみにこれっていつ撮ったの?」
「文化祭の打ち上げのときです。友達が撮ってたのを送ってもらいました」
「ふ~ん。盛り上がったみたいだね」
「そうですね。教室にジュースや食べ物を持ってきて、みんなでゲームをしたりいろんなことをしゃべりました」
「こうして並んでるってことは仲がいいってことだよねえ?」
「普通だと思いますよ」
「普通?」
「幼なじみなんです、彼」
「へー、いまどき珍しいね。幼なじみか」
 平凡な、どこにでもいそうな高校生だった。さっぱりとしている以外はとくにカッコいいとか、スポーツができそうとか、バンドをやってるふうには見えなかった。人畜無害という言葉が私の脳裏に浮かんでいた。
「子供のときからずっと一緒で、高校でも同じクラスなんです」
「わかった。詩織ちゃんの好きな男子って、この幼なじみでしょ」
 軽いカマをかけたつもりだったが、詩織ちゃんの表情がギクリとこわばっていた。すぐにその場を取り繕うように片手で髪をいじってそっぽを向いていた。あんがい顔に出やすいタイプなんだなと私は思った。
「当たりなんだ」
「ち、ちがいます」
 珍しく詩織ちゃんが言葉を噛んでいた。
「顔に書いてあるよ、幼なじみのことが大好きですって」
「へんなことを言わないでください。怒りますよ」
「そうやってムキになって否定するところが怪しいな」
「もー、○○さんがからかうからです」
「いいなー。青春だなー」
「だからちがいます」
「いいじゃないの。好きな男の子がいるぐらいさ。隠さなくても」
「べつに隠してるつもりじゃ……」
「ほら、やっぱり」
「はい?」
「いま隠してるって自分で認めたでしょ?」
「!?」
 パソコンの画面で詩織ちゃんの顔が引きつっていた。しまったという感じで、右手で口を押さえていた。
「もう認めちゃいなよ。どうせ学校の誰かに伝わるわけじゃないんだしさ。いつから意識しだしたの?」
「……はっきりとはわかりません」
「つまりそれぐらい小さい頃ってことかな。ということは初恋の相手?」
 ほんのりと頬を染めて詩織ちゃんは静かにうなずいていた。

 驚いたことに詩織ちゃんの好きな相手はすぐ隣の家に住んでいるとわかった。画面にも映る窓の先がその幼なじみの部屋らしい。なので朝にカーテンを開けると偶然顔を合わせることがあるとか。たまにデートに誘われたり一緒に帰ったりする仲なのだが、まだ正式に交際しているわけではなく、ただのクラスメイトの関係で、その幼なじみが他の女子と仲良くしていたりはっきりした態度をしないのが詩織ちゃんにとっての唯一の不満だと教えてくれた。
 そういう不満(爆弾)が彼女がスカイプに接続することになったきっかけのひとつなのかもしれないと私は考えた。

 日曜日に詩織ちゃんと映画を見に行くことになった。
 いくらスカイプでうまく親しくなれたとしても、土壇場ですっぽかされることもよくある話だ。これがいつもであればラブホテルへ直行するのだが、今回はそうしなかったのは私としても1回ぽっきりで終わらせるつもりがなかったせいだ。信頼関係を築けば長期的に詩織ちゃんとあんなことやこんなことができるかもしれないという算段があった。

 待ち合わせ場所に到着すると、黄土色のキュロットにオレンジ色のシャツ、デニムのジャケットを合わせた詩織ちゃんが、携帯デジタル音楽プレイヤーの大きな看板を背に立っていた。こげ茶色のローファーと白いソックスを履いていた。まるでこれから友達と遊園地にでも遊びに行くみたいな格好だった。
 私は夢見心地の気分だった。駅前の喧騒の一部になっている彼女を写真に撮影して、永遠に残したい気持ちになった。そこだけ明るい光が射し込んでいる。通り過ぎる通行人の多くは彼女がそこに存在していないかのように歩いていた。何人かの男が振り向いて芸能人でも見つけたみたいに足を止めていた。

「詩織ちゃん」
 私が声をかけると、キューティクルな赤い髪をひるがえして振り向いた詩織ちゃんは、愛くるしい瞳で私を見てにっこりと微笑んでくれた。今日は黄色いヘアバンドをしていた。「はじめまして」と、戸惑った感じで挨拶をしてくれた。
「あ、こちらこそ、はじめまして。もしかして待たせた?」
「ううん。私もさっき着いたばっかりです」
「そう。ちょうど良かった」
「……不思議ですね」
「お父さんより年上のおじさんと外で会うのが?」
 詩織ちゃんは困った感じで笑ったいた。
 実際のところ私と詩織ちゃんが話しているのは分不相応だと自分でも思う。にぎわいの街中で、アイドル顔負けの美少女に中年の男が親しげに話しかけているのだ。好奇のまなざしを肌で感じられた。詩織ちゃんもときおり目を動かして周りを気にしてるふうだった。
「はじめて会うのに、そうじゃないみたいです」
「なるほどね。そっちか。スカイプで何回も話してるからね」
「そうですね。ここに来るまですごく緊張しました。待ってるときも」
「わかるな、その気持ち。受験の合格発表を見に行くのと似てるよね?」
「そうですね。ふふっ」
「キュロットも似合ってるね」
「ありがとうございます」
 子供みたいに詩織ちゃんがはにかむ。
 私としてはスカートを期待していた。でも、露出が控えめなキュロットは詩織ちゃんらしい気がした。たぶん詩織ちゃんは着飾ったファッションよりもナチュラルに女の子っぽい服装が好みなのだろう。たとえば涼しそうなワンピースとか。私としてはイメージとは真逆のボーイッシュな格好も似合いそうだと思っていた。
 この服の下に、あの抜群のプロポーションがあるのだと想像していた。
「お腹すいてる? 時間をずらしてどこかファミレスいく?」
 肩にかかった赤い髪を軽く背中に払って、小さく首を振っていた。その仕草ひとつ取ってみてもデート慣れしている感じがした。背中をピンとしてて、立ち姿が清々しかった。
「食べてきたの?」
「……すこし」
「家にはなんて言ってきたのかな?」
「友達と遊びに行くっていってきました」
「メグちゃんと?」
「そうですね」
「なるほどね。親にウソをついたんだ、悪い子だな」
「もー、あんまりへんなこと言うと帰りますよ、私」
 詩織ちゃんはちょっと悪戯っぽく笑っていた。両腕を背中にして、わずかに体を前に傾けて私を見る。機嫌が良さそうなのが見ていてわかった。
 そのキュートな立ちポーズに年甲斐もなくドキッとさせられた。
「そろそろ行こうか。いいのがあるんだよ」と、私は彼女を近くの映画館にエスコートした。

 映画は詩織ちゃんの好きそうなラブロマンスで、興行成績は奮わないが最後に激しいラブシーンがあることで密かに話題の作品だった。お手本にしたいぐらいのB級映画だ。
 予想していた通り、客席はかなり空いていた。まばらにカップルの姿が見受けられた。
 私と詩織ちゃんは、ただでさえ少ない人目を避けるように後ろのほうの席に並んで座った。

 しばらく私にとって退屈な時間が続いた。スクリーンには胸の大きなブロンドヘアのヒロインが生き生きと写っていた。女優にありがちな気の強そうな目鼻立ちをしていて、離れて見ているぶんにはいいが知り合いとかになるとやたら気を使ってこちらが疲れそうだなという感じがしていた。
 おおまかなストーリーは、お嬢様育ちのヒロインが若い恋人と中年の資産家のあいだで揺れ動くというありがちな物だった。途中、実家が破産しそうになって、お金のために資産家の女になることを了承する。そうして最終的には肉欲に負けて資産家のほうを選ぶというオチだ。
 あくびをしそうになるのを我慢して横を見ると、詩織ちゃんはすっかりヒロインに感情移入した様子で映画に見入っていた。
 つぶらな瞳がスクリーンの映像で爛々と輝いていた。私とのデートを忘れてまるっきり映画に集中している横顔だった。
 私はムフフとほくそえんでいた。感情移入するということは、詩織ちゃんが若い恋人よりもお金があってセックスがうまい資産家を選ぶヒロインに自分を投影するということになる。ピュアな子ほど映画などの感化を受けやすいとは思っていたが、これほどだとは思わなかった。
 私が詩織ちゃんの手を握るとビクッと動いていた。指も細く、繊細な彫刻のような手だった。
 そのまま握っているとじっとりと手が汗ばんでくるのがわかった。
「あのヒロイン、笑った感じとかが詩織ちゃんに似てるね」
 ヒソヒソ声でそう言った。
 本当はまったく似ているところなどなかった。清らかであどけなさの残る詩織ちゃんのほうが100倍はタイプだった。それでも映画のヒロインに似てると言われて嬉しくない女の子がいるはずもなく、ヒロインが恋人に黙って初めて抱かれるシーンでは、愛くるしい瞳をまん丸にしてスクリーンを凝視していた。呼吸をするのまで忘れている感じだった。
 私は待ってましたとばかりに詩織ちゃんの太腿にさりげなくタッチした。反応をうかがうように膝からキュロットの淵までを往復でなでる。なめらかですべすべの手触りだった。瑞々しくてはちきれそうな若い肌をしている。詩織ちゃんの抵抗はまったくなかった。
(これは相当きてるな。もうマンコまで濡れてるんじゃないのか?)
 スクリーンではドレスを着たヒロインがテラスの手すりに手を着いて、資産家の男とバックスタイルで繋がっている場面だった。成人映画と遜色ない迫力であられもないファックシーンが繰り広げられる。
 デニムのジャケットの内側に手を忍ばせ、暗がりの中でオレンジのシャツの胸に触ると、詩織ちゃんが大きく胸を動かして熱い呼吸をしているのが伝わってきた。たしかな重量感と抵抗のある乳房の弾力に思わず顔がほころぶ。
(うほお、これが89センチのバストか!!)
 詩織ちゃんがヒロインと資産家の濡れ場に見入っているのをいいことに彼女のおっぱいをシャツの上からモミモミした。
「や、やめてください」
 はじめて彼女がそう言った。小さな声で周囲に聞かれないようにしていた。手を置いて私の腕を止めようとしていた。
「映画館でこういうことされたことないの?」
「ありません」
「それならおじさんがしてあげるよ。詩織ちゃんは映画に集中しててごらん」
「でも」
「シー。あんまり大きい声でしゃべると周りの人にへんに思われるよ」
 私は周囲の目を利用して詩織ちゃんの反論を封じた。
 じっくりと胸のふくらみを揉みほぐした。揉めば押し返す弾力の揉み心地と片手だと掴み切れないサイズがたまらなかった。
「ほら、あのヒロインと同じようにおっぱいをモミモミされてるよ」
 スクリーンでは下着姿になったヒロインが大きな双乳を中年の資産家にグイグイ揉みしだかれていた。
「ああ……」
「どう、だんだんとあのヒロインの気持ちがわかってくるでしょ」
 私がそうたずねると、詩織ちゃんは暗闇の中で赤い髪の頭を弱々しくうなずかせていた。
 片腕を彼女の肩に回して動けなくして、もう片方の手をオレンジのシャツの内側に入れてブラジャーごと彼女のおっぱいを軽くこねくった。
「んんあ」
 一瞬、スクリーンのヒロインと詩織ちゃんの声がシンクロする。
 片手で持ち上げるように揺すると、詩織ちゃんは首を斜めに傾けて「はあ、はあ」息を荒げていた。きらめき高校のマドンナ美少女の胸を揉んで感じさせているのだという興奮がこみ上げてきた。
「おっぱい揉まれるのもはじめて?」
「は、はい」
「気持ちいい?」
「はあん、んんっ、わかりません」
 どこか苦しげに返事をしていた。
 それでも横に逃げようとする彼女の首筋に口を押し当てて、ねちっこく息を吹きかけた。
 その瞬間、「はああん」となんとも色っぽい喘ぎをもらして、ビクビクと私の腕の中で震える。あきらかに感じている様子だった。
(ハアハア、なんていい匂いなんだ。これが詩織ちゃんの匂いか)
 石鹸とシャンプーの香りが入り混じったとてもいい香りだった。オンライン通信ではけして嗅ぐことができない。詩織ちゃんも年頃の女子中高生特有の匂いをしていた。ムゥっとしてムンムンと男の鼻腔を甘くくすぐる。香水ではけして表現できない処女の匂いだった。

 暗がりに乗じて唇を奪おうと顔を近づける。
 だが気配で私の動きを察知したのか、顔を反対に向けてかわしていた。
「はあ、ん、だめぇ、やめてください」
「ハアハア、いいでしょ、チューしようよ、おじさんと」
「いやっ、それはいやです」
 詩織ちゃんはシャツの内側に入った私の腕を引き抜こうとするみたいに両手で掴んでいた。本気でキスを嫌がってるふうだった。
「チューしたことないの? 高校生はみんなしてるよ」
「うそっ、はあ、はあ」
「いいな、そのうぶな反応、最高だよ。周りを見てごらん」
 私がそういうと詩織ちゃんはすぐにも帰りたそうな感じで顔を起こして辺りを見ていた。
 周りではすでに他のカップルらが暗がりを利用して体を寄せ合い乳くりあっていた。それがスクリーンとのシルエットになって見えている。
「はあ、信じられない」
「みんなエッチな気分になってるんだよ。気持ちを楽にしてさあ、おじさんの言うとおりにしてごらんよ」
「だめぇ、へんなことしないでください」
「詩織ちゃんもほんとはこういうのを期待して来たんでしょ」
「ちがいます、んあっ」
「これも大人になるステップアップだよ。ハアハア」
「手をどけて。困ります」
「あの裸、最高にエロかったよ。すごくいい匂いがするね、詩織ちゃんの髪」
「ああん、かがないで。はずかしい」
 キスを拒む詩織ちゃんが座席で身をくねらすたびに私の鼻先でキューティクルな赤い髪がキラキラと揺らめいて、甘い少女の香りを振りまいていた。ほんのりと赤くなった横顔もあってたまらない情景だった。
 ついブラジャーをずらして、詩織ちゃんの生乳をモミモミしてしまった。しこった乳首を指でコリコリさせる。
「ああん。やあ、ああ、んんっ」
 映画の音響にまぎれて、詩織ちゃんが生の喘ぎをしぼった。首を反らしてとても色っぽい横顔をしていた。
 たまらず詩織ちゃんの両膝を強引に開かせて、キュロットの中央に触れた。
「あんっ」
 詩織ちゃんが左右の肘掛を握って、座席でガクリと後ろに仰け反った。首を振って身悶えする。時間をかけてじっくりと股間を刺激すると、じんわりとあたたかく湿ってくるのがわかった。
「ハアハア。見なよ、詩織ちゃんそっくりのヒロインがすごく気持ち良さそうによがってる」
 クライマックスを迎えたスクリーンでは、全裸のヒロインがベッドに横になっている中年男に大胆に跨って、ブロンドヘアを振り乱して奔放に腰をくねらせて「ああんー。いいー」という甘い喘ぎ声をひっきりなしにもらしていた。
 私はそのグラインドするヒロインの腰の動きにあわせて、キュロットの真ん中を片手で優しく上下に摩擦し続けていた。

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