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2.山奥の温泉宿にて2

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作者:しょうきち

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人口もそれほど多いわけではないが、この村は質のいい温泉が湧いている事で有名で、繁忙期にはかなりの混雑を見せるそうな。
村の中央に位置する大きな温泉宿は、建物は古いながらも落ち着いた雰囲気を感じさせている。
今回の旅の目的は、その温泉宿に一泊し、心行くまで温泉を堪能し身も心もリフレッシュする事である。

噂に漏れ伝え聞いたところによると、特に評判のこの宿の一人娘「ビアンカ」嬢、かつてはさる大国の王子と不倫関係にあり、その王子は国王に即位した後も、時折王妃に内緒でこの山奥の村まで愛人に会うための不倫旅行にやって来ているらしい。
きっと素晴らしい美人に違い無い。
今回の遠征の目的の中には、この「ビアンカ」嬢、一目くらいは拝んでみたいという想いもあった。

私は逸る気持ちを抑え、目的の温泉宿の扉を開けた。
壮年の男性が出迎えに来て告げる。

「いらっしゃいませ。お客様、本日はご入浴ですか?ご宿泊ですか?」

この温泉宿の主人のようだ。
腰が悪いのか、動きはのっそりとしているが、長年この仕事をしてきたという貫禄からか、かえって安心感を覚えた。

「宿泊でお願いします。部屋は空いていますか?」
「ご宿泊ですね。お一人様400ゴールドになります」
「こちらでお願いします」

肩に背負った袋からゴールドを取り出し、ドサッとカウンターに置く。

「お、お客さん・・・代金は400ゴールドで・・・」

カウンターには私の乗せた40000ゴールドがどかんと転がっている。
先週、カジノで大勝ちして得た金である。泡銭はいつも、このように散財することにしていた。これだけ積めば、宿側も色々なサービスを付けてくれるだろう。
ひょっとしたら性的なものも・・・・・・と助平心もあった。

「大人一人、一泊です。しっかりとサービス、頼みますよ」

男性一人客であること、本来の料金を大きく上回る金額を積まれたことから、温泉宿の主人は心得たようにニヤニヤと笑うと、承りましたと深々と頭を下げる。
プロの商売人らしい振る舞いだった。
主人は失礼しますと言って一旦奥の部屋に下がり、しばらくすると一人の女性を伴って再び現れた。

「ビアンカ、今日の『お客さん』だ」

「ビアンカです。今夜はお客様のお世話をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます」

目の前にやってきてうやうやしく頭を下げる、誰もが見惚れそうな美しい女性。
モスグリーンのワンピースの胸元からは、今にもこぼれ落ちそうな豊かな果実が実っている。
彼女が噂の女性、ビアンカ嬢に間違いなさそうだ。
勝気そうな青い瞳をくりくりとこちらに向ける彼女からは、太陽の下に咲く向日葵のそうな印象を受けた。
三つ編みに纏めた金髪をふわりと翻し、彼女は言った。

「それじゃ、お部屋にご案内します。荷物を失礼します」
「あ、結構重いですよ」
「ん、大丈夫です。こちらへどうぞ」

彼女は私のどうぐぶくろをひょいと持ち上げると、二階への階段を登っていく。
私は宿帳への記帳をさっと済ませ、誘うようにふりふりと揺れる、形のいい尻の後ろに付いて行った。

二階の廊下を進んでいくと、やがて最奥までたどり着いたところで彼女は胸元から鍵を取り出し、扉の鍵穴に差し入れて回す。

「こちらになります」

扉を開けて部屋の中に入ると、一人で泊まるにはいささか広い広間が広がっている。
続けてビアンカ嬢からこの部屋の事、食事や入浴場の説明があったが、上目遣いで話す彼女の谷間に目を奪われ、ほとんど頭に入って来なかった。

「お食事まではしばらくお時間がありますが、いかがなさいますか」
「ああ、先にひとっ風呂浴びて来たいんだ。案内してもらえますか?」
「畏まりました」
「それと、そんなに畏まらなくていいよ。今日明日は貴方が世話してくれるんだよね?」
「フフッ、わかったわ。こんな感じていいかしら。それじゃ改めて、宜しくね!」

そう言ってウインクする彼女からは、一層の輝きを感じた。畏まった態度よりも、こちらが彼女の本質なのだろうと思った 。

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