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作品閲覧
ヤモリの狙う七日間
9 急転
作:メルト
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2017/09/24
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「彩花ねえー!買ってきたよ」
ペットボトルのキャップ部分を掴みながら康輔が保健室へ戻り、彩花の寝るベッドのカーテンを開け
顔を覗かせる。
「……寝ているのか」
ベッドの上でスヤスヤと寝ている彩花を確認すると、買ってきたペットボトルを籠の近くに置き椅子に腰を掛けた。
「部活に勉強に家事……疲れて当然か」
普段から家事や勉強に部活と頑張りすぎている彩花の様子を思い浮かべ、反省をはじめる康輔。
「う……んっ」
声が聞こえたので振り返ると康輔の方へ寝返りをうち病衣の襟元が少しはだけた彩花の姿があった。
乱れた襟元から少しのぞける胸元、そして無防備な寝顔、それらの要素が組み合わさることにより自然と康輔の顔を
引き寄せる。
柔らかそうな彩花の唇にいつの間にか自分の唇を付ける。
「んっ……」
彩花の唇からわずかに漏れた声に反応し、バッっと顔を離す。
「よかった、起きてない!やっべえ……一瞬我を忘れちまった」
息を整え、彩花の寝顔を確認する。そしてその視線は自然と先ほどまで触れていた、彩花の柔らかで温かい感触の唇に集中する。
 (やっぱり、俺は彩花姉の事が好きなのかな……)
 彩花を含めた神薙三姉妹と康輔は血は繋がっていたない義理の「きょうだい」である。
 メートルサイズの爆乳を誇る優花をはじめ、全体的にムッチリとしているEカップの巨乳の彩花、まだ発展途上中な三女の花梨。
そんな、魅力的な姉妹と一緒に暮らしている康輔は、近頃特別な感情を抱き始めていた。
 特に同年代の彩花とは、何かと一緒に行動することが多く他の姉妹よりも傍にいる時間が長いだけになるべく意識しないようにしていたが
時折見せる無防備な行動は他の姉妹よりも過激な事も多く、ここ数日は特にそれが多かった。
と考え事をしていると、廊下をドンドンと叩く音が聞こえ現実に引き戻された。
「おいー、神薙弟!ちょっとドアを開けてくれ」
「はっ、はい!」
大慌てで、駆け寄りドアに開けると大きなダンボールの上に彩花のスポーツバッグを抱えた高梨先生が
ヨロヨロと保健室に入ってきた。
「先生、更衣室に荷物を取りに行ったと思っていたら何を持ってきたんですか?」
「いや~帰って来る途中ちょうど、注文した医薬品が届いていたな……」
ダンボールの中から薬箱やらビン等をウキウキとしながら取り出す。
「一応、病人がいるんだから早く戻ってきてほしいんですけど」
「別に平気だろう……安定しているようだし!それに何かあったらお前が必死で私を探すだろう、眠り姫の王子様!」
高梨先生の何気ない一言に、ドキっとして袖口で唇を隠す康輔。
「……うんっ……康輔……どこっ」
眠たげで少し甘えた口調で康輔を探す彩花。
「彩花ねえ、起きたの?」
「……うん。喉かわいた……」
「あっ!はい、紅茶」
ベッド脇に置いたペットボトルを持ちキャップを回し飲みやすい状態にして渡す。
「ほら、眠り姫が起きたようだ。ちょっと診察するからカーテンの中から出てろ!王子様」
「王子様……?」
ぼんやりとしながら紅茶を飲む彩花が高梨先生の言葉に反応する。
「先生!」
「ほら、診察するんだからとっととカーテンを閉めて、ダンボールの中の薬品を棚にでも閉まってろ」
追い出された康輔は、事務机の上に置かれたダンボールを持つと薬品棚の前に移動する。
「……やるか」

「えっと、これはこっちで! これはあっちか」
「ふむふむ、心音も呼吸器音も異常はないか!はい、もう一度息を大きく吸って息を止めて」
「はっはい!スゥー、んっ
何も考えずに機械的に作業を進めていると高梨先生と彩花の診察のやり取りが、康輔の耳の中に入って来る。
「よし、OKだ。後、神薙……」
診察を終えた後、一瞬真顔になり彩花の顔に迫る高梨先生。
「はいっ……」
その様子に一瞬緊張する彩花と聞き耳を立てる康輔。
「どうも春先に測った時よりも、少し胸が大きくなっているみたいだが……きちんとサイズにあった下着を身に付けろよ」
「ちょ、ちょっと!高梨先生」
高梨先生の発言に、顔を赤くして慌てる彩花と顔を棚のガラス戸にぶつけそうになる康輔。
「私の見立てでは、多分Fぐらいに育っているのに、お前Eカップサイズのブラジャーだとちょっとキツイはずだぞ」
「えっ! って、やめてください、高梨先生!康輔が近くにいるんですよ」
「まあ、いいじゃないか。胸のサイズを知られるぐらい!お前達は姉弟なんだろう」
「えっ……はっはい」
思わぬ言葉に何と答えればいいのかわからず黙ってしまう彩花と康輔。
やがて、病衣をはだけた状態だった彩花は再び着なおす。
「えっと……後は、そうだ、神薙姉!ちょっと腕をこの台に乗せろ」
ベッド脇に置いてあった伸縮式の手乗せ台を引っ張り近くに引っ張って来ると彩花の腕の近くで動きを止める。
「はっ、はい!」
慌てて手を台に乗せる、彩花の腕をチューブで縛ると銀色の容器から注射器を取り出す。
「せっ……せんせい!?」
「大丈夫、ちょっと血液採集するだけだ。ちゃんと医師免許待っているから大丈夫だから」
あまりの状況に、ただ戸惑うばかりの彩花を無視し、素早く注射器を使い保存用の小さな検査容器3本に
血液を貯めていく。
 「よし、採血終了!私は、これを近くの病院に持っていて検査に行くから。」
「「はっ、はい」」
「検査結果は、後で電話で連絡してやる。処方箋はメールで送ってやるから神薙弟、後で薬局に取りに行け」
小型のクーラーボックスのような容器に検査容器を収め廊下に出ようとした時、あることを思い出したのか
ポケットから財布を取り出すと中身を確認して五千円札を取り出した。
「ほれ、これ使ってタクシーで帰れ! 後、必ず領収書とオツリは貰ってくるように!後、鍵はかけていかなくてもいいからな」」
「はあ……」
「神薙弟、分かっているな!姉を家に帰ったらしっかり休ませろよ」
「言われなくてもわかってますって」
「後、十分ぐらいでタクシーが校門の前に来るから、着替え終わって調子が良ければもう帰っていいからな」
「わかりました」
「じゃあ、いってきますー」
廊下に出て全身が見えなくなろうとした瞬間右手が現れ上下に手を振ってしばらくアピールをするとその場から去っていった。

「うちの学校の先生は、変わっているのが多いけどあの先生も濃い人だな」
「でも、凄く頭がいいんでしょ。普段は大学で教授もやっているとか……」
「彩花ねえー、後どれぐらいかかる? もう少しかかるようだったらタクシーの運転手ところに行って待ってもらうように言ってくるけど」
「後、少しで終わる」
「あいよー! じゃあ俺ちょっとトイレ行ってくるから。帰ってきたら出ようか」
「うん、わかった」
カーテンの中で、着替えを始めながら康輔に答える彩花。
「うんっと!」
(やっぱり、このブラ少しきついかも……高梨先生の言う通りにFカップになちゃったのかな)
先ほどの高梨先生の言葉を思い出しつつ、自分の身体の変化に自覚しつつ着替えを進める彩花。
「ウェストは……増えてないよね」
不安げに腰のあたりのお肉をつまもうとするが、ほとんど掴めるところがないことに安心する。
ホットため息をつき、ブラウスのボタンを閉め、スカートを履き、三つボタンベストのボタンを二つ閉める。
「ちょっと寒いから」
といい鞄の中から青色のボレロを取り出し袖を通さずに肩に羽織る。
「これで準備よし」
自分の状態を確認してカーテンを開け用とした時、ちょうどドアが開く。
「彩花ねえー!タクシーが来ているけど、準備できてる?」
「だいじょうぶー」
「OK、それじゃあ帰ろうか」
「うんって、え!」
歩き出そうとした彩花の荷物を持った、康輔が突然彩花の肩を掴んだ。
「まだ、ちょっとふらついているだろう。肩かしてやるから」
「……えっと、ありがとう」
少しふらつく彩花を気遣い、肩を貸しその反対側に荷物を持った康輔は、門前に止まっているタクシーに乗るため彼女に歩幅を合わしゆっくりと歩き始めた。
 一方、とある病院内の検査室では、高島先生がそんな二人がタクシーに乗り学校を出て行ったのをタブレットに表示された防犯カメラの画像で確認していた。
「ふむ……左右の腕と足に、2か所、下腹部と左右胸部に一か所ずつ……」
彩花を病衣に着替えさせるときにスマホを弄り先ほど撮影した刺し傷のあった箇所の画像を見る。
(やはり、この刺し傷はおかしい……こんな傷を作れるのははやはり……)
そんなことを考えていると、
「後は、血液の成分分析がそろそろ終わる頃か」
先ほどから動いている機械を確認し準備を始める。
「ふむ……なんだろうなこの物質は」
 分析が終わり印刷されたありえない結果が記された成分表を眺め考え込んでいると、彼女のスマホが鳴り出した。
 「ああ、久しぶりだな」
 「こっちは、相変わらず平和だよ!いったいどうしたん?……おまえが電話をかけてくるなんて……もしかして、地球に凶暴な宇宙人でも現れたか」
 手元にある人間にはありえない成分表、そして急遽電話をかけてきた友人……通話をしていた二人はある答えにたどり着いた。
「ああ、分かった! ターゲットの方は私がしばらく監視についておく。 お前の方もなるべく早く来てくれよな」
 「神薙姉……どうやらお前は、やっかいな奴に狙われているみたいだな」
高島先生は、宙を見上げながら表情を引き締め心配そうにつぶやいた。
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