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ヤモリの狙う七日間
4 企みは順調に
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2017/09/05
作:メルト
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「ふう~、高島先生に見つかったのはヤバかったかな。」
 自分のロッカーにハンガーをとおしたボレロを確認しドアを閉める
「さてと!今日は、一応病み上がりだし、とりあえず300メートルぐらいにしとこう」 
 家で水着を着こんできたので、更衣室での着替え作業を通常よりも早く終えた彩花は駆け足でプールサイドへと向かった。
 「痛っ!?」
 シャワーを終え消毒層に使った彩花の全身にチクン!とした痛みが走る。
 「何だろう?」
 だが、それはたった一瞬の出来事であり、彩花自身も気のせいだと思い何事もなかったかのようにと足を進めた。
 プールヘ辿り着いた彼女の視線に飛び込んだのは、すでにプールを使用し泳いでいる人の姿だった。
『うっわ、結構速いな。あの人』
 彼女はいる場所の反対側にある端っこのレーンを泳ぐ男の姿に驚きつつも、プールサイドで準備運動を開始する。
 「イチ・ニ・サン・シ・ゴ・ロク・ヒチ・ハチ」
 律儀な彼女は、一人なのに声を出しながら準備体操を続ける。
「よし、終了っと、つっ、冷たい」
 体操を終え、プールへ入ろうとするが水に一瞬触れた時、思っていたよりも低い水温に一瞬驚く。
「…ふふつ」
 そんな様子を、ちょうど彼女と入れ替わりでプールを出ようとしていた男に見られ、恥ずかしさから顔を赤くし
視線を下に向ける。
「今日の水は、思ったよりも冷たいから、必ずは胸に水をかけてから入った方がいいよ」
彩花は、この恥ずかしさから逃れるため、声のいううとおりに行動を即座に行い水の中へと身体を沈める。
 しばらくの間、水に潜ったり、手足や身体を動かし動作を確認すると 表情を引き締めクロールで泳ぎだした。
 「さてと、今日はまず『ヤモールのオスフェロモン』が君にどれだけ効くのか確認させてもらおうかな」
 男は、デキチェアの上に置いてあったタオルで濡れた髪をふりをしながらこっそりとタオルで隠した通信機でハンプに指示を出す。 
『ハンプ、データ採集よろしく頼むぞ』
 『はいはい! ちゃんと言われた通りの仕事はこなしてやるよ』
 そういうと、室内プールの屋上に突如現れた無数のステルスドローンやすでに、水の中を潜航している保護色で擬態したボール
が水の中を泳ぐ彩花を方位するかのようにゆっくりと動き出した。
 バシャッ!バシャッ!と水しぶきを立てながらクロールでコースを往復する彩花。
 水泳部の中でもレギュラーに入る彼女は、飛ばしていた。
 いつもよりも、体調も良く、体のキレも良い!普段だったら、往復も800メートルを超え、いつもだったらそろそろ疲れが出て苦しくなるころなのに
今日はその気配が訪れない。
 『よし、後200メートル! ラストスパートだ』と気合を入れた直後その異変が始りだした。えっ!?』
 突如、訪れた下腹部の疼き。
 それは、体外と体内の両方から染み込んだ『ヤモールのオスフェロモン』によって起こった発情の兆候であった。
 
 ヤモール星人は、気に入ったメスを見かけると強いフェロモンを発し、その効果で相手を発情&酩酊状態に陥れ交尾を行う種族である。
 今回、プールの水に撒かれたのは通常のオスフェロモンを1000人分ほどの量を濃縮した液体である。
 ハンプとトッケイによって、身体をヤモール人のメスと同様に調整された彩花はこの効果には勝てなかった。

「ああっ……んっ!」
 既に泳ぐどころか、立つこともできなくなっていた彩花は、気を抜くと意識を失いそうな頭の重みに耐え、全身がほんのりと主に染まった身体の中の残った力を振り絞りレーンの端へと向かおうと飛び込み台沿いの壁に手を付けゆっくりとゆっくりと距離を縮めていく。
 『……あと、少し……、後、す……こ…し』
 「はぁっ……んっ……あっ、はんっ」
 だが、後数センチというところで今日最大の疼きと感覚が彼女の身体を駆け巡り、意識を失った彼女は水の中に沈んでいく。
「頃合いか」
 プールの入り口付近から様子を伺っていたトッケイは、腕に付けていた時計を操作した。
 すると人間の姿から、2メートル近い茶色い爬虫類のような姿に一瞬にして変身し人間の太腿程の太さの尻尾でバシン!とプールサイドを叩くと、
一瞬で跳躍しプールヘと潜った、数秒の後、水面に顔を出したトッケイの腕の中には、気を失った彩花の姿があった。
『さあ、これからがお楽しみの時間だ』
「おい、ハンプ。俺と彩花を例の部屋に転送しろ」
その声が、響いた直後二人の姿が室内プールの中から姿を消した。
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