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ボルスター
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2015/04/04
作:ブルー
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 7月に入って、商店街の福引きで市民プールのチケットが当たった。
 下校時にダメ元で詩織を誘った。
「なあ、今度の日曜だけどなにか予定あるか?」
「日曜? なにかしら?」
「もし良かったらプールに行かないか? たまたまチケットが手には入ってさ」
「えーとね、その日は――」
「忙しいなら好雄でも誘うけど」
「うん、いいわよ」
「本当か?」
「ええ、その日は用事もないし」
「やったー。いまからてるてる坊主を作っとかないと」
「ふふっ、おおげさね」
「水着忘れんなよな」
「あなたこそ遅れたりしたら怒るわよ」
 よくわからないのはデートするときは必ず現地集合ということだ。家が隣なのに。

 ――日曜日。
 真夏の陽気で、きらめき市市民プールは夏本番を待ちきれない客で賑わっていた。
 俺は更衣室で海パンに着替えて、詩織が出てくるのをまだかまだかと待っていた。
「お待たせ」
「おお」
 思わず声が出た。詩織は外人が着るような白のビキニを着ていた。
(ゴクリ……すごい大胆な水着だな)
 食い込みも鋭くて三角形の面積もかなり小さい。
「やだ、あんまり見ないでよ」
 詩織はちょっと恥ずかしそうにはにかみながら耳元の髪に指をやった。
「とても似合ってるよ、その水着」
「ありがとう」
「まるでグラビアモデルみたいだ」
「そういってもらえるとこれを選んだかいがあったわ」
「周りの男性客もみんな立ち止まって詩織のことを見てるね」
「う、うん……そうみたい……」
「それだけ詩織が目立ってるってことだよ。スタイルもいいしさ」
「えっ」
「ビキニから横乳がこぼれそうだよ」
「もう、からかわないでよ」
 詩織の目もとが赤くなった。俺のことを「バカッ」というように見つめる。
 近くを通った男達が「すげえなあの子。超イケてるじゃん」と小声で話していた。
「ねえ、早く泳ぎに行きましょう」
「お、おう」
 詩織がプールサイドを歩くと、おっぱいがプルンプルンと上下に跳ねる。
(目のやり場に困るなんてもんじゃないな。横から眺めたらほとんど紐だけの裸みたいだ、ハアハア)
 俺はいまにも鼻血が出そうだった。
 25メートルプールでは向こう側まで競争したりして楽しく泳いだ。俺が水をかけると、詩織はそれを避けようと水しぶきをあげて体を反らした。弾みでおっぱいが大きく揺れてて、俺はそっちばかり見ていた。流れるプールでは詩織は借りてきた大きなイルカの浮き袋にしがみついて一緒に泳いだ。詩織は子供みたいにはしゃいで楽しんでいた――。
「あれ、詩織が見当たらないぞ」
(どこに行っちゃったのかな……)
「公人くん、きゃーーーっ」
「あれは詩織の声。どこから……」
 振り向くと、園内の真ん中にあるウォータースライダーから詩織がものすごい水しぶきを上げながら一気にすべり降りてくるのが見えた。
(うおおお、詩織の奴、あんなにはしゃいで股を開いてっ!!)
 すべる勢いと水の抵抗のせいなのか詩織の足はかなりの角度で開いていた。すごい食い込みだ。

「ああ、楽しかった」
 ウォータースライダーから上がると、詩織はさりげなく食い込みを指で直した。
「見当たらないからどこ行ったのかと思ったよ」
「ごめんなさい。ちょっと驚かそうと思って」
「俺はまんまと驚かされたわけだ」
「うふふふふっ」
「急になにがおかしいんだよ」
「さっきの驚いた顔を思い出しちゃって……。うふふふふっ」
「そんな変な顔だったか」
「ごめんなさい。笑ったりして」
「べつにいいけどさ」
「ねえ、のどが渇かない。ちょっと休憩しましょう」
 詩織はまぶしそうに片手で日光を遮るようにかざした。赤い髪がしっとりと濡れていた。
「なんか飲み物を買ってくるよ。詩織はその辺で休んでてよ」
「ええ、おねがいね」
 俺は二つ返事で引き受けた。

 コーラとトロピカルジュースを持ってビーチパラソルのある休憩コーナーに戻ると、詩織は2人組の男(大学生風)に挟まれるようにして声をかけられていた。2人ともライフセービングの選手みたいに日焼けをしていた。
「ねえ、彼女ー、ひとり?」
「えっと……」
(あれれ、俺が目をはなした隙にナンパされてるのか)
 俺は離れた場所で様子を窺った。
「すごいセクシーな水着だね。ナンバーワンじゃん」
「そうかな……」
「高校生? 大人っぽいから大学生かな?」
 男達はしきりに詩織に話しかけていた。
「俺達とあっちで遊ぼうよ」
「でも、友達が」
「男? それとも女? どっちにしても暇でしょ」
 右側の男がナンパ慣れした様子で詩織の肩に腕を回した。
 すかさず左側の男が手を動かして詩織のヒップラインにタッチした。
「や、やめてください」
「いいじゃん。男に声をかけられるのを待ってたくせに」
「ちがいます」
「こんな裸みたいな恰好してるのに?」
「これは水着っ……」
「うぶいなぁ。あんまり遊び慣れてないのかな」
「あ、あん……だめ……」
 男が腕を伸ばして詩織のたわわなバストを片手で揉んだ。
 そのまま人気のない場所に連れて行こうとするように腕を引いていた。
(あいつら黙って見てたら……詩織が嫌がってるじゃないか)
 俺は男達の前に立った。
「なにしてるんだ、詩織。トロピカルジュースで良かったか」
「公人くん……!」
 俺を見て詩織がホッとしたような顔をした。。
 男達はチッと舌打ちをしてすごすごと退散した。
「待ってる間に一緒に遊ぼうって誘われたの」
「もっと気をつけたほうがいいぜ、ああいうの」
「うん。今度からそうするわね」
「ほんとしっかりしてくれよな」
 俺は暗にナンパ雑誌のことを注意した。
「でも、あなたが来てくれて助かったわ」
「あたりまえだろ。幼なじみだからな」
「それだけ?」
「なんだよ。まったく詩織はガードが堅いんだかそうじゃないんだか」
「ふぅ。すごく美味しい」
 詩織はデッキチェアに座ってジュースのストローに口をつけた。
「後で公人に日焼けクリームを塗ってもらおうかしら」
「えっ??」
「だって、すごい日差しでしょ。このままじゃ日焼け跡ができちゃうわ」
「う、うん。たしかにそうだな」
「なぁに、顔が赤いわよ」
「からかうなよ」
「うふふ」
「ちぇっ。意地が悪いなぁ、詩織は」
 その日は夕方近くまでプールで遊んだ。
 帰りのバスの中、泳ぎ疲れた詩織は俺の肩に顔を預けてスースーと居眠りをした。詩織の無防備な寝顔にその日一番ドキドキした。まだ渇いていない赤い髪からは夏の匂いがした。
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