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マイティストライク
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作:ブルー
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2014/07/18
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 瑞穂が俺を裏切るわけがない。
 瑞穂はとても素直で明るい女の子だ。誰よりも真面目で花と運動が大好きで、すこしヤキモチ焼きで、いつでも直球に感情を向けていた。俺が最初で最後の相手だと真顔で言っていた。

 高校という人生でもっとも濃密な時間を共有した俺と瑞穂の関係はセラミック合金のように揺るぎもない。腕を伸ばせば今でも手で掴めそうな距離に瑞穂との思い出を浮かび上がらせることが俺にはできた。ねずみ色の校舎、まぶしい日差し、そよ風になびく長い髪、忘れかけた夏の匂い、遠くで聞こえるテニスボールを打つ音。あの頃は将来について不安を抱くことなんてなかった。ただ漠然と卒業というパースに向けて毎朝同じ机に座り、可愛い女の子を見つけては手当たりしだいに声をかけていた。電車で30分の隣町までが俺の世界で、いつでも瑞穂が中心にいて真夏の太陽みたいに輝いていた。俺はその周りをぐるぐるぐるぐる飽きもせず電子レンジのターンテーブルみたいに回り続けていた。
 はじめてキスをしたとき、瑞穂はよく冷えたコーラの瓶みたいに緊張していた。肩に触れると背後で落雷でもあったのかと思ったぐらい震えていた。親密になってもなかなかさせてもらえず、初めて寝たのはかなり時間が経過してからだった。場所は寮の俺の部屋だった。それぐらい瑞穂は身持ちが固い。高校入学で出会って2年、そこからさらに半年電話をかけまくってデートに誘いまくっていた。もちろんそのときはガチガチの処女で男の生理現象すらも知らず、とにかく最後までするのにえらく時間がかかって苦労したのをよく覚えている。

 高校の頃は携帯を持っていなかった。大学生になってから瑞穂は携帯電話を使うようになった。アルバイトはしていない。いまは就職を見越して勉強に集中したいと言っていた。
 俺は俺で社会人になって覚えることやしなければいけないことの山積みで忙しく、体つきが大人っぽくなった以外はとくにどこか変わったとは思っていなかったが、そういえば最近はサークルの帰りが遅くなっで休日には大学の友人と出かけることが増えた。登校する服装もジーンズやレギンスといったパンツスタイルよりスカート姿が増えた(もともと瑞穂は高校のときからスカートスタイルが主だった)。この前なんか白のオーバーニーソックスと歩くだけで下着の見えそうなミニスカートで出かけていた。もちろん大学で新しい友人ができるのだから交友関係が広がり、それに合わせて行動範囲や服装の趣味も変化するだろう。だが、そんな服装でもしDの運転する車の助手席に乗っていたとすれば間違いなくいやらしい目で見られただろう。もしかするとギアチェンジするふりをして肉付きの良いムチムチの太ももを触られたりしたかもしれない。さらにDのスケベで強引な性格を考えれば人通りのない場所に車をとめて、あっという間にシートを倒してキスを迫りスカートの奥をまさぐられた可能性も否定できないのだ。なにせ相手は手が早く女たらしで、女と寝るためだけに大学に行ってるようなドキュンなのだ。あまりに軽率で、あまりに不可思議だった。瑞穂はそんなことにも気づいていないのか? <b>瑞穂がそんなことにも気づかないのか?</b>
 俺は疑問だった。そして深刻な疑問というのは(それが深刻であればあるほど)、往々にして明快な解答を得られない限り朝の玄関マットに居座った黒猫のようにどこか啓示的に不吉で追い払おうとしてもピクリともしない。(実際に朝にドアを開けると玄関マットに黒猫が居座っていたことがあった)



 次の日、俺はメールの内容を直接たしかめるべく瑞穂の大学に再び足を運んだ。
(こういうことを電話で尋ねるのはあまりにデリカシーに欠けた行動だし、前日は混乱していたのもあって尋ねる気分にはなれなかった。それにDに脅されているという可能性もあった。それだと真実を話したくても話せないという状況になる。おかげで夜はほとんど眠れなかった)

 間の抜けた話だった。俺は瑞穂がどの講義室で講義を受けているのか知らなかった。そのことに大学に到着してから気づいた。
 そうでなくともキャンパスは広大で、モダンな校舎が麻雀パイみたいに立ち並び、手がかりなしに探すのはスクランブル交差点でアメリカンフットボールをするぐらい無理があった。顔見知りがいないか見回してみたが、講義の時間ではそんなバッタリと出くわすわけもなく、事務局に行って尋ねると「父兄のかたですか?」と逆に質問された。

「ちがうけど」
「申し訳ありませんが、生徒の個人情報保護によりお教えすることはできません」
「恋人でもダメなの?」
「申し訳ありませんが、父兄以外のかたに生徒の個人情報をお教えできない決まりになっています」
「校内放送で呼び出すぐらいはいいでしょ?」
「申し訳ありませんが、大学では緊急の呼び出し以外に校内放送をすることはできません」

 判で押したような反応だった。しかたないので瑞穂の携帯を鳴らしてみた。呼び出し音のあと電話は繋がった。

「もしもし……あれ?」
「健太郎くん?」
「そう、俺」
「どうしたの?」

 瑞穂の声は驚いているふうに聞こえた。

「ああ、う、うん、急に瑞穂の声が聞きたくなってさ。いまって講義中だよな?」
「え、ええ……」
「講義中は携帯の電源切らないと注意されるだろ」

 無言。でもガサゴソと物音はしていた。生地の表面をさするような衣擦れの音に似ていた。講義中であれば当然聞こえるはずの講師の声が聞こえない。そのかわりにかすかにキーンという金属音が遠くで聞こえていた。

「あのさ、じつはさ」
「……はあん、んんー、だめぇ……先輩……せめて電話が終わるまで待って……あとでゆっくり」

 小声で電話口を手で押さえているふうだった。

「どうした、瑞穂?」
「あ、ううん、なんでもないの。ちょっと隣の友達がふざけてて」
「友達がふざけてる? 講義中なのに? それにいま先輩って言わなかったか?」
「き、気のせいよ。……ごめんなさい、先生に気づかれそう。またあとでかけ直すわね」
「あ、おい、瑞穂っ」

 そこで電話は切れた。すぐにかけ直しても繋がらなかった。電源を切ったみたいだった。
 最後の瑞穂の声はかなり慌ててたふうに聞こえた。それにキーンという高い金属音。あれは野球部が金属バットで硬球を打ち返す音に似ていた。だとすれば場所は講義室ではない。グラウンドに近い場所ということになる。考えられるのはサークル棟だった。おそらくサークルのクラブハウスだ。

 俺はサークル棟に走った。嵐が来る前にうねる波のような不吉な胸騒ぎがしていた。背中に冷たい汗が流れていた。
 女子テニスサークルのドアの前に立つと、ドアノブに手をかけてみた。カギがかかっていた。でも、たしかに人の気配があった。というか、内側からドンッドンッドンッという鼓動にも似た重く響くビートが聞こえていた(きっと俺の知らないわけのわからない洋楽のダンスミュージックだ)。気配は1人ではなく2人だった。ウーハーの効いた洋楽に混じって「んっ、だめ……恥ずかしい」と甘く濡れた声がわずかに漏れ聞こえた。耳覚えのある澄んだ声だった。
 俺はドアに耳を押し当てた。

「おらあ、ガバッと広げろやあ」

 Dの声だ。えらそうな命令口調で誰かに命令している。

「んんー、だめよっ、先輩っ」

 恥ずかしがる女性の声、くぐもった吐息が混じっている。どこか疲れている感じにも聞こえた。間違いなく聞き慣れた瑞穂の声だった。

「どうした、いつもしてるだろ。ミスキャンパスのエロポーズ、携帯で撮ってやる」
「だめぇ、先輩……写さないで」
「いいから黙って言われたとおり指でビラビラを広げろ。またノーパンで練習させんぞ」
「んく、ゆるして……」
「うっし、そのままだ」
「……ぁっ」
「いいぞ。次は瑞穂のマンコ奥までしゃぶってやんよ」
「あ、ああーー、先輩っ、っっっっーー!! いきなりっっっ、ああーーー」

 耳の奥にあられもない瑞穂の声が粘りつく。胸の内側を掻き毟られている気持ちになった。まさか、という言葉が俺の脳裏で車のクラクションみたいに鳴っていた。ドアノブをガチャガチャさせた。ドアをドンドンと叩いた。でも、大音響の音楽にかき消されて聞こえていないようだった。どこか中が覗ける場所はないか探した。入り口の横にはすりガラスの窓があったがカギがかかっていた。急いで裏手に回った。重低音の音源が近くなった。カーテンに締め切られた窓があった。そーっと開けてみる。カラカラと小さな音を残して横にスライドした。カーテンの隙間から覗いた。

 クラブハウスの中は、俺が想像していたよりも広くて清掃がいき届いていた。無表情なスチール製のロッカーが壁際にズラーッと並び、ラケットケースやテニスボールの入ったカゴ、コートのネットなどのテニスに必要な用具類が置かれていた。最新式のエアコンもあった。部屋の奥、俺が覗いてる窓の斜め正面に簡単な応接セットとしてソファーとテーブルが据えつけられていた。横にソニー製のミニコンポが見えた。たまに街中で見かけるワンボックスタイプの改造車のようにスピーカーから大音量の音楽を出力していた。
 
 体に響く重低音のリズムが俺の心臓を叩く。まるで、どうだ、どうだ、と勝ち誇っているようにも聞こえた。
 白いテニスルックに着替えた瑞穂の姿が見えた。テニスシャツの胸元ははだけ、ブラジャーが下にずらされてたわわな乳房が飛び出していた。革張りのソファーに深く身を沈めるようにして背もたれに肩と後頭部を当てて、腰を前に突き出し大きく膝を左右に開いていた。テニススカートがお腹のところまで巻き上がっていた。ヒラヒラのついた純白のアンダースコートはショーツと一緒にすでに脱がされ、右足の膝に申し訳程度に引っかかっていた。さらけ出された秘部を瑞穂が自分の指先で左右に押し開いていた。その場所にバスケットシャツとハーフパンツスタイルのDが顔を押し付け、ゴツイ手で瑞穂の真っ白いムチムチの太ももを外側に押さえてむしゃぶって舐めていた。

「あっ、あっ、あっ」

 汗ばんだ表情で瑞穂が声を詰まらせる。栗色をした長い髪がハラハラと揺れた。そのうちの幾本かは汗を吸って額や頬に張り付いている。

「うめえ。さっそく本気汁垂らしてやがったか。どうだ、講義をサボって男に大事な場所をしゃぶられるとマンコがとろけそうになるだろ」

 口もとについた愛液をぬぐい、Dがほざいた。
 瑞穂のアソコはもともと陰毛が極端に薄く、付き合いだしてからも俺が大事にしていたこともあり鮮やかなサーモンピンク色で色素の沈着もほとんどなく、左右の肉ヒダも控え目で対称に整っていて、いつまでも処女の頃と変わらない本当に慎ましくて初心な形容をしていた。だが、いま見えるその場所は陰毛の薄さこそ同一なものの、そこだけ日焼けしたみたいに変色があり左右のビラビラがだらしなくはみ出、赤黒くふしだらに爛れていた。まるでもうかなりの回数Dによって使い込まれたみたいな形をしていた。自分が大切に大切に育てていた花が他人によって無惨にもぎ取られたようで俺は怒りを通り越して頭が真っ白になっていた。
 そのもぎ取った張本人であるDが赤黒く太くて長いベロ先を瑞穂の秘部にネットリ差し込んだ。中でグネグネさせる。まるで生き血をすするようにかき混ぜ、大量の愛液をかき乱していた。そのままクリトリスを舌先で円形に捏ねくる。
 瑞穂は薄い唇を真一文字に引き絞り、キューティクルな長い髪をいやいやと右に左に振り乱した。

「はあ、ああーン。だめぇ、そこ、そこは感じるぅっ」

 両目をきつく閉じ合わせ、瑞穂が甘ったるい声でそう言った。秘部を広げている細くて繊細な指先まで快感が伝染したみたいに震えていた。本当に耳の奥に粘りつくような声だった。俺はそういう声を瑞穂が出せることをこれまで知らなかった。冷たい汗が滲み、胸を足蹴りされてるみたいに心臓が鼓動を打った。動こうとしても、足に下草が絡まってるようにその場を一歩も動くことができなかった。俺は怒鳴り込もうとしたのか逃げようとしたのか、それさえもわからなくなっていた。急激に周囲が寒くなった気がした。大音量の音楽が遠ざかってかすむ。俺の意識は目の前で繰り広げられる瑞穂とDの痴態に吸い込まれていった。もし鏡があるなら俺は真っ青な顔色をしていたと思う。

「クリが気持ちいいのか」
「んあっ、クリ、気持ちいいっ」
「こっちも決めてやんぜ」
「ああー、はあー、んーー、そこはほんとにダメェ」
「どうした。あのマヌケな彼氏はここを舐めてくれないのか」

 瑞穂はそれには返事をしなかった。眉間にしわを寄せた表情で、肩で大きく息をしていた。両腕を動かして膝裏を抱えるようにロックして、履いているテニスシューズの靴底が見えるまで足首を顔の左右に持ち上げた。Dが舐め易いように下半身を突き出していた。
 俺は瑞穂のそんな場所を舐めたことなんてなかった。触れようとしても瑞穂が恥ずかしがって触れさせてくれなかったからだ。決まって変態みたいなことはしないでとお姉さん口調で注意されていた。

「瑞穂はマジでケツ穴を穿られるのが好きだな」
「いやあ、やあー、ゆわないで、先輩っ、恥ずかしい」
「その恥ずかしいのがたまらないんだろ。ミスキャンパスの瑞穂は」

 Dが右手の親指でクリの部分を捏ねくって潰して、伸ばした左手で瑞穂の乳首をグニグニ引っ張った。アナルの表面を執拗に嬲っている。先で軽く穿ると、瑞穂は抱えた足先のテニスシューズを曲げてビクンビクンと震えていた。嫌がっているはずの瑞穂の秘唇からはドロッと愛液が溢れ、Dが舐めているアナルまで垂れていた。ヒクヒクと蠢いている。

「マンコとどっちが感じんだ」
「はあ、ああー、ど、どっちも」

 なりふり構わぬ様子で瑞穂が喘ぎを絞るとDが含み笑いを浮かべた。あの目つきの悪いドキュン顔で、追い込まれた瑞穂の表情を余裕たっぷりに見上げていた

「ずいぶんとエロ顔をするようになったじゃんか。もうパーペキにヤリマン女子大生の顔になってやがら」
「あ、ああー、先輩の舌がお尻の中で動いてるぅぅ」
「マンコもドロドロだな」

 Dは手の平で瑞穂の秘唇を摩擦した。グチュリグチュリと濡れた音がしていた。体を起こしてソファーに膝立ちになって瑞穂の横に接近した。瑞穂はごく自然とDのハーフパンツに手をかけて下ろした。ムキッと勃起したペニスが拳銃のように突きつけられる。それを逆手で握った。慣れた感じで前後にしごく。背中を曲げて顔を近づけ、躊躇なく頬張った。唇をすぼめて頬をへこませ、指先で耳元の髪をかきあげて顔をポンプみたいに前後に動かした。ズルズルと卑猥な音をさせる。笑うでもなく悲しむでもなく、難しい問題でも解くみたいに汗ばんだ真剣な表情でフェラチオしていた。それが俺は悲しかった。

「それにしても昨日はスリルがあって燃えたよなあ。いきなり彼氏がやってくるとはよお」
「んむっ、あんむっ、んちゅっ、ふむぅ……」
「練習を抜け出してヤブでハメたとき瑞穂もいつもよりすごい勢いでケツ振ってヨガってたし、興奮してたんだろ」
「あむぅ、ふぅ、ふぅぅ……そんなこと、ない……」
「いまさら隠すなよ。毎日こうしてアンアンギシギシ生ファックキメまくってる仲じゃんか」
「んっ、ぁぁ……」

 Dが悠然と後ろに体を倒れた。瑞穂はそれを追いかけるようにしてDの股間に顔を埋めた。左手で竿を上下にしごき右手で玉袋をヤワヤワマッサージして、裏スジに唇を押し当ててチュッチュッとキスをする。Dは満足そうに瑞穂の髪を撫でていた。

「うまくなったよなあ、おしゃぶりも」
「むぅ、むああ、先輩が教えてくれたおかげです」
「そりゃそうだ。女子大生になった瑞穂のマンコを開発したのは俺みたいもんだしな」
「んっ、ちゅ、はう、ペロ、むぅぅ」

 瑞穂が顔の位置を少しずらした。舌をベロンと大きく伸ばし出して、唾液を垂らしながらDの肛門や玉袋をデロンデロンと舐め上げる。膝に引っかかっていたアンダースコートを足首から抜き取り、それをクロッチ部分が頂上に来るようしてペニスを包み込んで巻きつけて小指を立てた右手で優しくしごいた。Dの太ももに頬を寄せて愛情たっぷりに内股をついばむ。

「うひょひょー、たまんねえ! 瑞穂のアンスコ、まだホカホカじゃん」
「ふうう、ふうむぅ、ぅぅ……先輩、今日もわたしのアンスコにたっぷり出してね」
「言われなくても出してやるっ! ドロドロになったアンスコで練習しろよ。コートでみっちりしごいてやるぜ」
「ああっ、またサークルのみんなに変な目で見られる……」

 瑞穂は興奮した様子で顔を真っ赤にして視線を伏せると、右手でアンスコを巻きつけたペニスをしごき、舌先でDの肛門周辺を満遍なく舐め、左手で自分の股間をグチョグチョいじりだした。2本の指を根元まで突っこんで、愛液をかき出すように穿っていた。
 Dが瑞穂の頭を押さえて、股間に押さえつけた。ビクビクとよく日焼けした浅黒い腰を震わせる。アンスコの巻きつけた瑞穂の右手に向って腰を軽く突き出していた。アンスコの表面にドロッとした染みが出来ていた。ひとしきり射精が終わると、瑞穂は巻きつけていたアンダースコートをハンカチのように使ってDの放った精液を残らず拭き取った。
 無言で立ち上がる。片足ずつ膝をあげ、精液でドロドロに汚れたアンダースコートをお腹のところまで引っ張って履いた。パチンとゴムの音をさせる。Dの目の前でスカートをたくしあげ恥ずかしそうにはにかんだ。指についていた残り汁を舌で舐める。俺は愕然とした。それは俺が高校生の時に、デートの帰りに瑞穂を家まで送り届けたときに玄関前で見せていた、あの目元を真っ赤に染めた笑顔だった。

(瑞穂、どうしてDに対してそんな笑顔をするんだ)

 汗がだらだら流れた。気道に大きな鉄の玉が詰まっている気がした。なにか言おうとしたけど、声がかすれてうまく言葉にならなかった。そもそも誰に対してなにを言おうとしていたのかさえわからなかった。時間も記憶も停止して、半径1メートルの周囲だけが世界から切り取られ孤立しているようなそんな気分だった。やたら湿度の高い風だけが吹いていた。

「スゲーエロイな。それで練習するかと思うとたまんねぇー」
「ヌルヌルして気持ち悪い。あそこがグチョグチョなの。先輩の精液が垂れちゃう」
「いいか、絶対に脱ぐなよ。命令だ」
「は、はい……」

 瑞穂はうなずいた。それから自発的にスチール製のロッカーに両手を着いた。テニスシューズの両足を肩幅に広げた。片手で折り目の綺麗なプリーツスカートの後ろをピラッとめくってアンダースコートを半分ずり下げた。プリンとした真っ白い桃のようなヒップが見える。女子大生として成熟し脂ののったとても肉付きの良い臀部だ。指先で耳元の髪を色っぽくかきあげ、「先輩、こっちにオチンポ入れて」と切ない声でおねだりした。

「ヨオヨオ。瑞穂も俺の趣味がよくわかってきたじゃん」

 ヒューと乾いた口笛を吹いてDが立ち上がる。ニヒヒと瑞穂の後ろに立った。太くたくましい腕で、瑞穂のくびれた腰をゆっくり抱え込む。微妙に腰の位置を定めて一気に前に突き出した。

「はああーーんっ!!」

 瑞穂が顔をしかめ、唇を噛みしめた。目を閉じブルブル震えていた。膝がガクンとして腰の位置が低くなった。Dが抱えて腰を上げさせる。それでも瑞穂の両手はロッカーの表面を引っかくようにズルズルと落ちていった。

「ああん、はあっ、んあっ」

 空気つぎのようなDのピストンがはじまった。浅く深くさして、内側の粘膜を擦るストロークを送っていた。瑞穂がのたうって金きり声をしぼった、ほぼ突発的に。栗色の髪が光って揺れる。まるでミニコンポから流れるダンスミュージックにシンクロするように、パンッ、パンッ、パンッ、と張り詰めた尻肉の表面に腰を打ちつける乾いた音がクラブハウスに響いていた。俺が覗いている窓のところまで、瑞穂のあられもない喘ぎと腰を送るDの鼻息が聞こえていた。

「感じるか、あーん、マンコがいいのか、瑞穂! これか、これが欲しかったんだろ」
「んっ、あっ、ああっ、んーーーっっっっ!!」
「へへへ、腹にひびくだろ。そろそろアイツと別れて俺と付き合えよ。きれいさっぱり俺のスケになれ」
「ああん、ひー、んうー、むぅ、ぅぅ……」
「なんだなんだ。まだ未練あるのか。高校の思い出が忘れられないってか。さっさと乗りかえろ。瑞穂とセックスの相性がいいのは俺だろ」

 腰を抱え込むDが瑞穂の背中に覆いかぶさるようにして体を重ねて密着した。シャツをめくり、重く垂れ下がった瑞々しい乳房をすくうように揉む。グイグイと揉みしだいて、乳首を繰り返しねじった。白い肌がパーッと赤く染まった。太もももヒップラインも背中も首筋も額まで汗でびっしょりになって、瑞穂がヒィヒィかすれた喘ぎ声をあげる。溢れた愛液が膝頭まで垂れていた。Dの強引な腰使いによって精神的にも肉体的にも追い詰められて逼迫しているように見えた。Dとのセックスで感じているのは誰の目にもあきらかだった。

「あいつと別れるって言え! 言わないとずっと浮気してるのをバラすぞ」
「やあ、ああー、だめぇぇぇ、んーー、ああーー、っっっっ!!」
「いいかげん俺と付き合え。すぐに同棲だあ。この最高にエロイ体を、毎日俺がハメてやる」
「んああ、ふああ、むぅぅ、ぅぅ、ゆ、ゆるして、先輩っ」
「まだかっ、おとなしくアイツと別れろ」
「あ、あ、ああー」

 瑞穂は必死に抵抗しているようだった。腰を後ろに突き出した姿勢で、荒れ狂う暴風雨の波間に小船が漂った様子で髪を振り乱していた。グッチョングッチョンいやらしい音が響いて、俺の耳にこだましていた。背後から圧し掛かるDが顔を横にした瑞穂とキスをした。ネットリ舌を絡めて腰を押し付けあっていた。
 繋がったまま2人で移動して、Dがソファーに腰を下ろす。瑞穂がDの肩に片手を置いて、もう片方の手でペニスの位置を調整しながら跳び箱に着地するみたいに跨った。はじめは愛液を馴染ませるように対面座位で深く繋がって、甘い感じで静かに腰をくねらせていた。でも、それはそんなに長くは続かなかった。しばらくすると体に火が着いたみたいに瑞穂は腰を縦横無尽に振りだした。臀部を大胆に前後に揺すって擦りつけるように腰を使う。

「あー、あーー、んーーー」

 瑞穂が膣を深く抉るDのペニスの感触を噛み締めるように後ろに仰け反って喘いだ。切なげな瞳で天井を見上げて、眉間に深い縦溝を作っている表情が印象的だった。俺とするときでも瑞穂はあんなしどけない顔をしたことはない。瑞穂が結城瑞穂という自分の殻を突き破って、ふしだらなセックスの快楽に溺れる女子大生の顔をしていた。ヒラヒラと揺れるテニススカート、大きく象形文字を描くように情熱的にお尻を揺り動かした。パターンが変わるとまるでバネがあるみたいに一定のリズムでバウンドを繰り返す。ギシギシとソファーが軋む音がしていた。それに合わせてテニスシャツからまろびでた汗ばんだ乳房も白い軌跡で重そうに上下に弾んだ。Dがむしゃぶりつく。あの瑞穂が、ドキュンなDとのセックスで腰の間接が壊れたみたいに全身を使って前後にくねらせている。アンアンヨガリ声を絞って、派手な息づかいを熱病みたいに振りまいている。

「いいぞ、その調子だ。ミスキャンの腰振りダンスだ」
「んーー、い、イキそう」
「イケイケ、思いっきりイッちまえ。俺がこうしてデカケツを支えといてやる」
「せ、せんぱいっ、Dせんぱいっ!!」
「どうだ、彼氏と俺サマ、どっちのチンポが感じる?」
「はあ、んあ、こ、こっち……」
「こっちじゃわからないだろ。ハッキリ言え、ハッキリよお」
「はあ、はあ、はあ……先輩の、チンポっ! 瑞穂は先輩のチンポが大好きなのっっ!!」
「ウヒヒ、ついに認めたな。そりゃあっ、男のことなんか忘れさせてやる。瑞穂のマンコをビラビラのグロマンにしてやるっ!」
「んんー、はあー、なるぅぅ、なっちゃううう」
「いいぞ。奥でヤバイぐらいヒクヒクした。だいぶヤリマンになってきた証拠だ。どうだ、彼氏に内緒で他の男に抱かれるセックスは最高か、瑞穂」
「あ、ああ、ううー、最高っ、先輩のセックス最高です、奥が、頭が痺れちゃうっっっ!!」
「うお、ねっとりマンコが食いついてきたーーっ!! やっぱ浮気セックスで感じてやがるなあ!!」
「ああ、くるぅ、きちゃう……先輩、瑞穂にもっといろんなセックスしてえぇぇ」
「よっしゃーー! その言葉忘れんなよ。誰がなんといおうと瑞穂は俺の女だ。このまま中出しくらええ!!」

 2人で抱き合ってキスをした。まるで心と心で深く繋がった恋人同士のように呼吸の合った動きで腰をぶつけ合っていた。汗だくの瑞穂が我を忘れた様子で両腕と両脚でしがみつく。胸をしゃぶっていたDが腰をガッチリと掴んで力任せに突き上げた。ヘアバンドをした栗色の長い髪が跳ね上がってきらめいた。腰から崩れるように瑞穂が天井を見上げ、脱力した様子であご先を振動させた。額に浮かんでいた大粒の汗が柔らかな頬の稜線を伝って滴り落ちた。
 Dが野獣じみた唸りを放つ。耳のピアスと首にかけた金のネックレスが不気味に揺れて、浅黒い腰を痙攣させた。瑞穂もそれと同時に筋肉質なDの背中に爪を立てる。「っっっっっ――――!!」と、奥歯を噛み締めて弓なりに体をしならせた。

 俺は広がる静寂の海の底で、心につんざく瑞穂の絶叫を耳にしていた。



◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 あれから季節が過ぎた。
 俺と瑞穂の関係に変化はない、表面上は。あいかわらず俺のボロアパートに泊まりにきては、掃除や料理、洗濯などの世話をしてくれている。
 当然といえば当然かもしれない。瑞穂は知らないのだ、俺が窓の外で覗いていたことを。俺は俺でなにも言えないでいる。口にしてしまえばそこで瑞穂との関係がすべて終わってしまう気がしていたからだ。

 いまも瑞穂はテニスサークルに所属している。まさか理由もないのに辞めろとはいえなかった。そのかわりDがサークルを辞めた。それとなく聴くと瑞穂が静かな様子で教えてくれた。なんでもダンプと正面衝突の交通事故にあって入院したらしいと不思議がっていた。



 あの日、1人でクラブハウスから出てきたDを呼び止めた俺は、人気のない駐車場へと場所を移動した。Dは終始面倒くさそうにポケットに手を突っこみ舌打ちをして地面に何度も唾を吐いていた。駐車場に着くと紫色をしたシルビアのトランクを開けて木刀を取り出した。それから携帯でどこかに電話して「あー、俺。ちょいふざけたヤツがいんだわー。軽くシメてそっち拉致るわ。適当に面白い道具とビデオ用意しとけや。撮影してネットにバラまいてやんべ」とタバコをふかして笑っていた。

(やはり瑞穂は1年のときからDにセクハラレッスンを受けていて、メールやデートの誘いはすべて完全無視で断っていたのだが、その一方でサークルが終わったあとに家まで送る車では胸を揉まれたりキスをされたりスカートの奥に手を突っこまれたりしてかなりしつこく関係を迫られていたらしい。あまりのしつこさにあきれ果てた瑞穂がもうこれ以上付きまとわないという交換条件で1回だけデートをすることになり、そのデートで言葉巧みなDに誘われるままにラブホテルに入り、最初はじゃれあってふざけるようなペッティングを受けて、そのうちに着ている服をどんどんと脱がされ、ついにはベッドに押し倒されてサークルの上級生であるDの繰り出すセックスの魔術の餌食になってしまった。あとはどこにでもある話だった。それがきっかけでDとの関係はズルズルと続き、サークルの日はもちろん休日になるとデートに出かけ、そのたびにラブホテル行って抱かれるようになった)

 そのことをDは、俺が尋ねてもいないのにべらべらとしゃべってくれた。俺はずっとあの眉が細く目つきの悪い目をにらんでいた。

「苦労したのは最初の一発目だけだったぜ。あとそのヘンの尻軽女と一緒だな。ミスキャンパスだ、美人だ、大学のマドンナだとかチヤホヤしてやったら予想より簡単にラブホについてきてヨ。よっぽど欲求不満だったんだろ。最初から立派なデカケツ振りまくってたぜ。ヒィヒィ狂ったみたいにヨガるヨガる。デカパイもブルンブルンさせてヨ。まあ、もともと車で悪戯してやったらすぐにマンコ濡らすような女だったしな。最近じゃ、ラブホ直行だわ。いまなら誰とでも寝るんじゃねえ。
 いいこと教えてやろうか、瑞穂のケツは俺がもらっといてやったぜ。アナルパールで開発したらあっさりケツ穴差し出してヨウ。恥ずかしそうな顔で、あのムチムチのデカケツを持ち上げて両手の指で奥が見えるぐらいケツ穴を広げて、前の処女はあげれなかったけどこっちの初めては先輩にもらって欲しいのってきたもんだ。モチ、ソッコーハメ倒してやったさ。ヤバイぐらいチョー締まりが良くてチョー食いつく食いつく。マジで腰が抜けるぐらい出しまくって突きまくってやったぜ。あとで見たら、スゲー広がってやんの。アイツのケツ、マンコと同じぐらいイイ味してるぜ。ま、もうどっちもヤリまくってガバガバだけどな」

 Dは自慢そうにヘラヘラし、それから肩に抱えていた木刀を振りかざした。

「で、ここまで呼び出してどうするわけヨォ。もしかしてケンカでもするのボクチャン」

 Dが腹を抱えてゲラゲラ笑った。

「おいおい、どうした。もうビビってんのか。全裸で土下座したら許してやんよ。そのかわりおとなしく瑞穂と別れろや。アイツはもう俺の女なんだよ。他の男にマンコ開発される元カノでも想像して1人寂しくオナってろ」

 怒りはむしろ俺の体から潮のように引いていった。そんな気持ちになったのは本当にはじめてだった。大学の駐車場は広くて、たまたま誰もいない時間だったのがラッキーだった。吹き抜ける風が涼しく心地よく感じられた。奮えも恨みもなかったし、もちろん恐怖も微塵になかった。ただあるのは、こんなつまらない男に目をつけられた瑞穂を憐れむ気持ちだけだった。これは制裁ではないのだと自分に言った。これはいま自分がどこにいるか、自分の位置を確認するための重要な儀式なのだ。
 木刀が曲がるまでケツを叩き続け、前歯が砕けても馬乗りになって殴り倒した。さらにサークルを辞めるように裸で土下座させた。大学にも瑞穂の前にも二度と現れないと約束するまで、趣味の悪い紫のシルビアのフロントガラスに髪を掴んで顔を叩きつけた。Dは見掛け倒しですぐに泣きを入れてたが、俺には許す理由がとくに見当たらなかった。当分は病院のベッドから起きられないよう死なない程度に痛めつけた。
 Dが駐車場のアスファルトに熱い接吻をした頃には茶髪だったリーゼントは潰れたトマトみたいに赤く染まり、顔は沼地を走破したタイヤみたいに膨れていた。Dのしていたピアスが地面に転がっていた。
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