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ボルスター
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2016 / 03 / 05
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 1年前の夏休みのことよ。
 毎年、学校に泊まって合宿をするの。インターハイに向けて朝からみっちり練習よ。私もすごく気合いが入っていたわ。夜にはトランプをしたり、みんなと遅くまでおしゃべりできるのも楽しみの1つよね。

「詩織詩織っ」
 夕食後にグラウンドに出てテニス部の全員で花火をしているとB美が話しかけてきたの。
「なあにB美?」
「このあとは肝試しでしょ」
「やだなぁ」
「もしかして怖いの?」
「そういうわけじゃないけど」
「あんなの裏山の祠にお札を取りにいくだけじゃない」
「道が真っ暗だし不気味でしょ」
「そこがいいんじゃない」
「いいなぁ、B美は勇気があって」
「ペアは誰なの? クジ引いたでしょ?」
「槍地先輩よ……私、ちょっと苦手かも」
 それが私の素直な気持ちだったの。先輩は1つ上の3年生でよく練習を見てくれるのは嬉しいけど、不良っぽくて強引なところがあるの。あまりよくない噂もあるみたい。私の理想とするタイプとは反対ね。だから、練習中に言葉を交わす程度で先輩にデートに誘われても断っていたわ。その日は友達と予定がありますとか勉強が忙しいですって。
「ご愁傷さま」
「もう、人ごとだと思って」
「あたしは××よ。変わってあげようか?」
「うーん……」
 B美の話に相づちを打ちながらほとんど無意識に彼を探したの。
 ちょうど他の男子と話していたわ。
(〇〇くんは……誰とペアなのかな)
「気になる?」
「な、なによ」
「見てたでしょ、〇〇のこと」
「ちがうわよ。幼なじみだからちょっと気になっただけよ」
「心配しなくても相手は1年よ」
「だから、私には関係ないのよ、ほんとに」
「はいはい。それにしても詩織のその格好ラフすぎない?」
「そうかしら?」
「ランニングパンツにタンクトップって中学生じゃないんだしさ。しゃがんで花火をしてるときなんか横乳が見えてたわよ」
「やだっ、おどかさないで」
「詩織って勉強はできるのにそういうところは隙だらけよねえ」
「シャワーを浴びたばっかりだったし、花火をするだけって思ってたから」
「そんなことじゃ先が思いやられるわね」
「……??」
「ほら、合宿中に仲良くなってそのまま済ませちゃう子もいるでしょ?」
「私はそんなことしないわよ」
「とにかく気をつけなさいよ。あんたのこと狙ってる男子は多いんだからさ」
「う、うん……」

 肝試しがはじまるとペアごとにスタートしたわ。1年の女子の中には涙ぐむ子もいたみたいだけど、ほとんどのペアがいい雰囲気になって戻ってきてたみたい。
 私と先輩は後の方の順番だったの。槍地先輩が懐中電灯で真っ暗な道を照らして、私はそのすぐ横を先輩のシャツを掴むようにしてついていったわ。やっぱり1回経験していても不気味ね。生ぬるい風が吹いて、そのたびに周りの草や木が揺れる音がするの。いまにも何かが出てきそうな雰囲気よ。
「やだ……先輩、こわい」
「ムフフっ、藤崎は2年のくせに恐がりだな」
「先輩は平気なんですか?」
「楽勝楽勝」
「頼りになるなぁ」
「怖いならもっとこっちに寄れよ、藤崎」
「は、はい……」
 私は先輩の腕に両手でしがみつくようにしたわ。
「おおお」
「??」
「もっとこう密着するように」
「こうですか……?」
「藤崎の巨乳が俺の腕にムニュムニュしてたまんねえ!」
「えっ……??」
 私、カーって顔が熱くなったわ。
 その時、茂みで何かが動いた気配がしたの。
「先輩っ、何かいるみたい」
「どこだ?」
「そっち、木の陰に」
「なんもいねえぞ。気のせいだろ」
「そ、そうかな」
「ムヘヘ、そんなにビビってんなら少し休んでいくっぺ」

 ちょうど祠の脇にあった大きな切り株に座って休むことにしたの。
 先輩は私の隣に座って、怯えている私を落ち着かせるように背中を撫でてくれたわ。
「ムフフ、こうしてると落ち着くだろ」
「は、はい……すみません、先輩」
「アー、藤崎の髪はさらさらしてていい匂いがするなァ」
「先輩っ、ちょっと近すぎです……え、それは??」
 気がついたら先輩の手が私のタンクトップの肩のところを横に下げようとしていたの。
 私は慌てて片手でそれを戻そうとしたわ。
「先輩の手が……やめてください」
「こっちのほうが涼しくなるだろ」
「でも……恥ずかしいです」
「いいから俺に任せろって、ムヘヘ」
 その時の私は怖い気持ちのほうが大きくて逆らえなかったの。いつもだったら絶対に大声を出して先輩を突き飛ばしてたのに。
 先輩の手がタンクトップをずらして……。上半身の左肩から胸にかけて半分裸にされた感じよ。ブラをしてなくて、先輩の大きな手で直接触られちゃった。
「ハアハア、これが藤崎のおっぱいか。柔らかくてでけええ」
「あ、あん……せ、先輩っ」
「片手で掴みきれねえボインだぜぇ。いつも練習中にテニスウェアの下で派手に揺らしやがって!」
「だ、だめです、誰か来ますよ」
「男におっぱいを触られたのは初めてだろ、藤崎?」
「は、はい……」
 思わず素直にうなずいたわ。だって、ほんとに初めての経験だったし、恥ずかしくてうまく頭が回らなかったの。それまで胸が大きいことがコンプレックスだったのに、テニスをするのに邪魔だなって思ってたぐらいよ。
 いつのまにか怖い気持ちも消えていたわ。かわりにドキドキして、その状況から逃げ出す考えも浮かばなくなっていたの。そのまま暗闇で5分ぐらい先輩に胸を触られていたかしら。だんだんと何も考えられなくなっていったわ。
 あの時、次のペアが来てなかったらもっとすごいことをされていたかも……。石段の向こうから懐中電灯の光が見えてようやく先輩は手を放してくれたの。
 私はすぐに立ち上がって、急いでタンクトップを直したけど、自分でもわかるぐらい顔が赤くなっているのを感じたわ。走ってその場を離れたの。

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