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ボルスター
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2015 / 06 / 06
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 下校時間――。
 校門のところでバッタリでくわしたおかげで詩織と2人で帰ることになった。
 途中、商店街のところで立ち止まった詩織が「これこれ」と指を差した。
「へえ、今週末かぁ」
 鉢巻をした男性が勇壮に太鼓を叩く、夏祭りのポスターがお店に貼られていた。
「もうそんな時期なのね」
「今年の花火大会はなんかすごいらしいぜ」
「そうなんだ」
「昇り龍乱れ七変化っていったかな」
「ふ~ん。詳しいのね。感心しちゃった」
「なあ、良かったら俺と行かないか」
「夏祭り?」
「良かったらだけどさ」
「う~ん……どうしようっかなー」
 詩織のやつ、思わせぶりに人差し指を口もとに当てて考えてるポーズをしていた。そういうときはたいてい機嫌がいいときだ。
「いいわよ」
「ほんとか? よっしゃー。おふくろに小遣いの前借りしとかないとな」
「うふふっ。神社のところで待ってるわね」
 内心、また観覧車のようなことがあるかもしれないと期待していた。

 当日、夏祭りの会場に行くと、夜店が所狭しと軒を連ね太鼓と笛の祭り囃子が聞こえていた。
 鳥居の下に、アサガオの絵柄があしらわれた浴衣姿の詩織が、祭と書かれた団扇を持って立っていた。俺を見て、下駄の音を鳴らして寄ってくる。夏を思わせる情緒に、祭りの喧噪が遠くに消えた。
「待った?」
「ううん。私もいま来たところだから……」
「遅れなくてよかったよ」
「すごく賑やかね」
「浴衣がすごく似合うね。可愛いよ」
「あ、ありがとう。嬉しいな」
 詩織がときめきモードで頬を染める。はにかんだ様子で照れくさそうに団扇を扇ぐ。
「せっかくだし、何か食べる?」
「うん。いい匂い」
 やや歩きづらそうに浴衣の裾を揺らして、綿飴やイカ焼きやチョコバナナなどが売られている夜店に向かう、詩織。
「見て、リンゴ飴」
「へぇ、懐かしいな」
「昔は良く食べてたわよね」
「はい。俺のおごりね」
「わあ、嬉しい。ありがとう」
 俺はおじさんにお金を払って、詩織にリンゴ飴を渡した。
 詩織は子供のようにリンゴ飴を頬張った。
「ねえ」
「ん?」
「舌が赤くなった?」
 詩織がペロリと舌を出しておしゃまに笑う。
 その仕草が殺人級に可愛くて、思わず心臓が高鳴った。
「あなたも半分食べる?」
「いいのか?」
「だって、あなたのお金でしょ」
「お、おう……。甘くて美味しいな」
(これって……間接キスだよな?)
 この様子では俺と観覧車でキスをしたことなんか忘れているんじゃないかと思う。
「祭りっていいわよね」
「雰囲気が最高だよな」
「去年の誰かさんは神社でナンパしてたみたいだけど」
「見てたのかよ。人が悪いな」
「うふふっ、たまたまメグと一緒にいて」
「あれは好雄がどうしてもってさ-。お、あそこにあるのって詩織が欲しがってた人形だろ」
「あ、ごまかした」
「そうじゃなくて、あれさあれ」
 射的の露店に、プラモデルの箱やゲーム機の箱に挟まれ見覚えのある目つきの悪いコアラのぬいぐるみが並べられていた。
「ほんとだわ。探してもどこにもなかったのに」
「いつ見ても小憎たらしい顔をしてるよな。1回500円か」
「ちょっとやってみようかしら」
 詩織を含めうちの学校の女子はみんなあのコアラの事が大好きだ。例外と言えば紐緒さんぐらいか。
「へい、らっしゃい。べっぴんさんだねぇ。こっちは彼氏かい」
 威勢のいい兄ちゃんが手を叩いて出迎えてくれた。
「ただの幼なじみです」
 詩織は笑顔であっさり否定していた。
 俺はチェッと思った。
「お、そいつはすまなかったな。てやんでぇ!」
「学校でもよく間違われるんです」
「お詫びにサービスするぜぇ」
「あの、1回おねがいします」
「まいど! よく狙ってくれよ」
 詩織は射的台に肘を着いて、身を乗り出すように玩具の銃を構えた。腰を後ろに突き出す。
「えいっ!」
 コルクは意地の悪そうなぬいぐるみを左にそれて外れた。
「あーん、くやしい。当たったと思ったのに」
 本気で残念がる、詩織。ぬいぐるみに当てようと夢中になって狙い、浴衣姿で体を台に預けた姿勢がやけに色っぽい。バックスタイルのポーズで、とくに帯から下の女性らしいヒップラインが目についた。
(今日はどんな下着を履いてるんだ。大人っぽいのかな)
 うっすらと下着のラインが透けるのが見えてムラムラしてきた。
「ねえ、なにぼーっとしてるの?」
「え、ごめんごめん」
「あなたが応援してくれなかったせいね。惜しかったんだけどなー」
「よーし、まかせとけよ。こういうのは腕を伸ばしてだな……」
 俺は詩織と交代で玩具の銃を片手で構えて前に伸ばして、小憎たらしいコアラの鼻っ柱を狙った。
 バチン!! グラグラ……コテン!
「やるねぇ! 持ってけ泥棒でぇい!」
 俺はゲットしたぬいぐるみをさっそく詩織にプレゼントした。
「ありがとう。ずっと大切にするわね」
 詩織は嬉しそうにぬいぐるみを抱いた。
「そろそろ花火大会の時間じゃないか。あっちによく見える場所があるから行こうぜ」

 花火を眺める特等席の場所へ歩いていると詩織の携帯が鳴った。
「はい、もしもし――」
 詩織は俺から少し離れて、背中を向けて携帯に出た。
(わざわざ声のところを手で隠したりしてへんなやつ)
 詩織は携帯を片手に小声で何か話していた。
「ねぇ……」
「どうしたんだよ」
「ちょっと急用ができたみたい」
 声のトーンを落として、詩織は申し訳なさそうに俺を見ている。
「急用? なんだよそれ」
「メグがすぐそこまで来てるらしいの」
「美樹原さん? 俺なら3人一緒でもいいぜ」
「あ、うん。けど、メグの両親も一緒なの」
「そっか。それだと邪魔か」
「……ほんとにごめんなさい」
「しょうがないよ。美樹原さんじゃさ」
「じゃあ、私、行くわね」
 詩織はバイバイと手を振って、祭り客の人混みに消えていった。
「おい、ぬいぐるみを忘れてるぞ……って明日渡せばいいか」
 俺は祭り会場に1人で取り残された。
「このまま帰るのも寂しいし、その辺を見て帰るか」
      ・
      ・
 ブラブラと夜店でお面を眺めていると肩を叩かれた。顔を見ると好雄だった。
「なんだ好雄かよ」
「なんだとはなんだ。お前も一人なのか」
「それが詩織が急に用事が出来たらしくてさ」
「詩織ちゃん? 詩織ちゃんならさっきヤリチンと一緒に歩いてるのを見かけたぜ」
「また。そうやって俺をひっかけようと――」
「神社のほうに歩いてたけど、お前知らなかったのか? おいっ、もう行くのか?」
 好雄の声を振り切り、足が勝手に走ってた。

 祭り客をかき分けて拝殿の前まで来たが詩織の姿はなかった。
(どっちだよ?? 詩織はウソをついてたのか??)
 好雄の話を信じたわけではなかったけど、携帯に出たときの詩織の態度が引っかかっていた。
 神社の裏手に回った。祭り会場とは打って変わって人気がなくてかなり薄暗い。
(あれ……いま人の気配が……)
 藪の奥で何かが動く音がした。
 目をこらして見るとやはり誰かいるようだ。
(誰かいる?? ……1人じゃなくて2人??)
 暗くて誰かまではわからない。辛うじて人影が見える程度だ。
 息を殺して、そちらをじっと見る。
 だんだん暗闇に慣れてきた。藪の中に男が立っていて、その足下に女性がしゃがんでいるのがぼんやりとわかった。
(なにをしてるんだ、こんなところで。祭りの一般客か??)
 急に息苦しさを感じる。あの人影がもしかすると詩織と先輩かもしれないと思うと、その場を離れることがどうしてもできなかった。
 ちょうどそのとき、遠くで花火の打ち上がる音がした。
 上空で空気を震わせる大きな音がして、周囲が明るく照らされた。
 清純派アイドルを思わせる可憐な横顔に、さらさらと揺れる長くて赤い髪――。
 浴衣姿の詩織が、地面にしゃがんで男のアレをしゃぶっていた。
(!?!? 詩織、なにをしてるんだ!?!?)
 一瞬、言葉を失った。連発で花火が打ち上がる。
 それはさっきまで俺と一緒に祭りを楽しんでいた詩織本人だった。
 アサガオ柄の浴衣、トレードマークのヘアバンド。帯のところには祭と書かれた団扇があった。詩織は男の膝に片手を着いて、相手の股間に顔を近づけ、耳元の赤い髪を指先で後ろに払った。
 男はヤリチン先輩だ。目の前の詩織を見下ろしてニヤニヤしていた。
「へへへ、喉の奥までしっかりしゃぶれよ、藤崎」
「ンッ、フゥッ、ンフゥ、ンン」
「そうそう、顔をへこませろ」
「ンッ、フッ、ウウッ、ウムゥ」
 さらさらの赤い髪を前後に揺らして、吸い付くように一心不乱にアレを頬張る、詩織。
 ときおり小鼻を鳴らし、頬を思い切りへこませている。
「一緒に祭りに来てた幼なじみをおいて、他の男のフェラをするなんて悪い女だよな」
「ンプッ……そ、それは先輩が急に電話で呼び出すから……」
「へへへっ、あいかわらずいいわけがうまいよな」
「ひどい……私は、先輩のために……ンン、グゥ!! ムゥ」
「無駄口を叩かずにちゃんとしゃぶれよ。それとも俺に処女を捧げる気になったか?」
 もともとゲスなヤリチン先輩がさらにゲスな顔をする。
 詩織の唇にねじ込み、強引に腰を押しつける。
 詩織は根元まで咥えたまま必死に首を左右に振っていた。辛そうに目尻にはうっすら涙をためていた。
「ンンン、ムゥゥ――、そ、それだけは絶対に嫌っ……ンプッ、アゥ、ンッ、ペロペロ……」
「チッ。いいかげんハメさせろよ、藤崎の処女マンコに。半年以上お預けをくらってんぜぇ」
 どうやら詩織は処女を守るために先輩にフェラを強要(?)されているらしい。2人の会話からそう読み取れた。きっと以前から先輩にヤラせろと迫られていたのだろう。
「ンッ、ンッ、ンフッ……ピチャピチャ」
 詩織は一刻も早く終わらせようとするようにフェラチオのピッチを上げた。
 右手で竿を優しく扱きつつ、先端をリンゴ飴を舐めてた舌でペロペロ舐めて、再び口に咥えてングングしゃぶる。
 色っぽい息づかいが俺の所まで聞こえてきた。
「ンッ、ンッ、ムゥ、ンン……」
「ウッ、ヤバい! 出るぞ、藤崎っ!!」
 今日一番盛大な打ち上げ花火が炸裂する音がした。
(昇り龍乱れ七変化だ……)
 頭のどこかで、間違い電話で聞いた花火の名前だけが浮かんでいた。
 ヤリチン先輩が詩織の後頭部を両手で押さえつける。腰を前に突き出してビクビクと痙攣をしていた。
「ムグググ……ンン……くるしぃ」
 両目をきつく閉じ合わせた詩織が眉根をピクピクと震わせ、小鼻を微妙に膨らませる。苦しそうなのに、学校で見せるのとは違った大人っぽい表情だ。
 これまでに何度も、そうやって先輩の精液を飲み下してきたのだと思った。
 そう考えると、胸の奥がかきむしられる気がした。
「ああん……喉に絡まるぅ……飲みきれないわ」
 詩織がングングと喉を動かして、ヤリチン先輩の精液を最後の一滴まで飲み下そうと努力している。
 ピンク色をした唇の端からこぼれそうになると、浴衣の帯から慌ててハンカチを取り出して拭いた。
(詩織……先輩の精液を全部飲んだのか……??)
 俺はその場を一歩も動くことができなかった。
 上空では花火の音がひっきりなしに聞こえていた。
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