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ボルスター
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2015 / 03 / 17
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 部屋に戻ると音速の速さでノートパソコンを起動した。
 窓の向こう側では、カーテンの閉め切られた詩織の部屋が見えた。俺は紐緒さんに貰ったツールを使って出版社のサーバーにアクセスした。
 プログラムの実行を示すコマンドプロンプトが立ち上がり、ものすごい早さでログが流れて最後に【succeed!!】という文字が表示された。
 俺はサーバーにあったフォルダを手当たり次第に開いた。マウスを使ってスクロールしていると、大量の動画ファイルに混じって【shiori.wmv】というファイル名が目に止まった。作成日からしてもそれが詩織のインタビュー動画であることは明白だった。ファイルサイズは300MBで、再生時間は15分ほどだった。

(こういう嗅覚だけは超能力者並みだな、まったく)
 好雄の勘が当たったことを喜べない自分がいた。俺は期待と不安半分でそのファイルをクリックした。
 動画再生ソフトが起動して、よく晴れた青空の下、これから読書でもする様子で木陰のベンチに座っている詩織が映った。学生鞄を膝に置いて足を斜めに揃えて、ナチュラルな笑顔で質問に答えていた。
 雑誌と同じ公園だろう。男の声で「得意な科目はなに?」から始まり、「部活は?」とか「彼氏はいるの?」とか「好きな男性なタイプは?」とか、雑誌に書いてあったのと同様のQ&Aが続いた。ただ映像として見ると受ける印象がかなり違った。詩織の返事は明るいし、緊張している感じもない。男のしゃべりが馴れ馴れしいのがいい気分ではなかった。
「美人だね。よくナンパされるでしょ」
「ううん」
「またまた」
「ほんとです」
「こんなイケてるのに? リクエストメールにきらめき高校のアイドルだって書いてあったよ」
「やだなぁ、誰だろ……?」
「周りが騒ぐ理由がわかるなァ。歩いてる姿も芸能人みたいだったし、どういう雑誌か知ってる?」
「えーっと……男子がよく読んでる雑誌なんですよね? 私、そういうのはあんまり知らないから」
 そこだけ光が差しているような笑顔で、詩織は小さく首を横に振っていた。
「街で一番可愛い子に声をかけて紹介するコーナーだよ」
「ファッション雑誌の街角チェックみたい」
「ファッション雑誌はよく見る?」
「たまに。SeventeenやPopteenかな」
「おしゃれに興味があるんだ」
「うふふ、人並みです」
「ヘェ―。ところでさ、エッチの経験人数は?」
 奇襲攻撃な質問に詩織は愛らしい瞳を丸くして口に手を当てて驚いていた。
 人気者の詩織は学校でそんな質問をされることはない。学校の男子がその手の話題をすれば軽蔑の眼差しを受けるのがオチだ。
「答えにくい?」
「そういうわけじゃ……」

(もしかして経験あるのか……!?)
 なかなか答えようとしない詩織の態度に俺はヤキモキした。
「……ないです」
「ウッソー! バージンなの?」
「あ、あの……声が大きいです」
「絶対経験ありだと思ってたのに。学校の友達とかみんなロストバージン済ませてるでしょ」
「そうなのかな」
「これまで付き合った人数は?」
 詩織はまた首を横に振った。今度は苦笑気味だった。
「超ポイント高いじゃん。男と付き合ったこともないバージンだ」
「はい」
「俄然燃えてきた」
「……?」

(びびったぁー。心臓が止まるかと思ったぜ)
 いつの間にか手に汗を握って画面を見ていた俺は、椅子にもたれかかってほっとした。
 まっすぐな瞳からもそれが真実であることが伝わってきた。詩織はウソをつくとき、一瞬だけ目が泳ぐ癖がある。
 一通りインタビューが終わると、「その辺を歩こうか」と男がいって、詩織は公園内を散策しはじめた。
 カメラはその後をついて、詩織の後ろ姿を撮影していた。
 空色をしたセーラー服の背中では、さらさらとした詩織の赤い髪が波打って揺れて、スカートが同じくヒラヒラとしていた。ここだけ見れば清純派アイドルのイメージビデオの一場面みたいだ。

「こっち向いて、詩織ちゃん」
 男の声で立ち止まった詩織が両手で鞄を持って足を揃えてクルリと振り向く。
 風になびく長い髪に手をやり、にっこりと微笑む。
「いいねえ、本物のモデルみたいだよ」
「学校帰りに公園に寄るのってひさしぶりかも。あんまり人がいないみたい」
「ほんと人が少なくて助かるよ」
「??」
「こっちの話こっちの」
「ふ~ん」
「学校で授業受けてるふうをしてみようか? ツーンと出来る?」
「ツーンですか?」
「むずかしい? ちょっと気のない感じでさ」
「はぁい」
 照れくさそうに詩織がはにかむ。髪に手をやってお嬢様っぽくかき上げる仕草をした。すまし顔で学生鞄を持った両手を後ろにして足を軽く交差したポーズなど、かなりモデル気分になってるように見えた。

「詩織ちゃん、お花が咲いてるよ」
「え、どこ?」
「そこ、足元」
「わあ、きれい」
 花壇に黄色や赤い花が咲いているのを見つけ、詩織はその場にしゃがんで手を伸ばした。
 それを追うようにカメラのアングルが下がる。ほぼ正面から、しゃがみ座りした詩織の姿を捕らえていた。スカートを押さえていないせいで、奥に薄いピンク色の下着がチラリと見える。
(詩織の奴、スカートの中が見えてるのに気づいてないのか)
 いつにも増して詩織の無防備さにハラハラした。

「花は好き?」
「大好きです。家の庭にも植えてあります」
「へぇ~、どんなの?」
「アサガオとかトマトとか」
「トマト?」
「ええ」
「珍しいね。トマトの花ってどんな花?」
「キュウリの花に似てますよ。これはなんの花かしら」
「……ピンク色だね」
「黄色ですよ?」

 両手を膝のところに置いて、キョトンとした瞳でカメラを見つめる。
「詩織ちゃん、腕を横にして顔をちょこんと乗せるポーズくれる? 視線はこっちでさ。そうそう、その感じ。ぶりっ子っぽくていいよ」
 愛らしい視線をこちらに注いで、花を前に無邪気なスマイルをする。
 気のせいか、詩織が少しだけ膝を広げた気がした。そのせいで透き通るように白い太ももとすねに挟まれ、淡いピンク色のパンティーに飾られた小さなリボンまでバッチリ見えた。
「こ、これは……」
「なにを撮ってるんですか?」
「つぼみが開きかけのお花だよ」
「花に興味があるんですね、男の人なのに」
「とくに可愛い子の雌しべはね」
「ふ~ん、可愛い子?」
「詩織ちゃんの雌しべも俺の雄しべで受粉させてあげたいな」
「ふふっ、なんですかそれ?」
 詩織はクスクスと笑っていた。
 カメラはその屈託のない笑顔と無警戒なしゃがみパンチラを対比するようにフレームに収めていた

「詩織ちゃんってかなりおっぱい大きいよね」
「えー」
「何センチぐらいあるの?」
「ひみつです」
「95ぐらい?」
「もー、そんなないですよ」
「教えてほしいな、お兄さん」
「ふふっ、どうしようっかなーなーんてっ」
「ここだけの秘密にするからさ」
「ほんとですか? 約束ですよ?」
「うんうん」
「93です」
「おお。それだけ大きいと男子に注目されるんじゃない、学校で」
「なんとなく見られてるなーって思うときはありますよ、体育の授業はとくに。もう慣れて、気にしないようにはしてるけど」
「やっぱり。目立つよねェ。いつぐらいから大きくなったの?」
「小学生高学年ぐらいかしら……?」
「早熟なタイプなんだ」
「うふふ」
「思いっきり掴んで揉んでみたいなー、詩織ちゃんのデカパイ。乳首がすり切れるまでベロで転がしてさ」
「ええっ!?」
「驚いた? ジョークね、ジョーク」
「もう……びっくりした」
「撮影慣れてきた?」
「すこし、かな。撮られてるとドキドキするかも」
「ハアハア、写真を撮らせてくれた女の子はみんなそういうよ。ちょっとあっち行こうか」
「あっち?」
「トイレなら人目もないしさ。制服の上からでいいから詩織ちゃんのおっぱいを触らせてよ」
「はい??」
「軽くタッチするだけ。声をかけた子はみんなさせてくれてるよ」
「でも……」
「中にはもっとすごいことをするJKもいるよ」
「……」
「べつに心配しなくても撮影だし、それ以上へんなことはしないからさ」
「……ほんとにちょっとだけですよ?」
 詩織は眉を下げて、ため息交じりの様子だった。
 立ち上あがり再び公園内を一人で歩きはじめた、詩織。男にうながされ公衆トイレへと消えた。
 そこで映像は終わっていた。
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