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ベネディクション
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2014 / 06 / 28
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「いきますよ」
「華麗に決めるよ」
「はああっ!」
「デュアルアタック!!」

 ――ブッフォオオオ!!

「これが……絆……」


 最前線では、一時的にファルコンナイトにクラスチェンジしたルキナが、ヴィオールを後ろに乗せ、敵陣の上空を旋回していた。
 ヴィオールはアーチャーだ。ヴァルム帝国に併呑された小国の貴族で、助けを求めてイーリスに逃れてきた。
 それ以来、イーリス軍の一員として戦っている。
 今日は作戦の都合上、僕とではなくヴィオールとデュアルを組んでいた。

「くっ……ヴィオールの奴、ルキナにくっつきすぎだろ」
 戦況はいたって順調だった。
 だがそれとは逆に後方から戦線を眺める僕は苛立ちを感じていた。
 ヴィオールは、まるで背中からルキナを抱きしめるように密着していた。
 敵を弓で射ながら、移動のさいにはルキナの腰に手を当てていた。
 おそらく「落ちると危ないから掴ませてもらうよ」などと言ったのだろう。
 一頭のファルコンに二人乗りするのだからある意味しかたないのだが、ショートパンツを履いたルキナの臀部にヴィオールの腰が当たっている。

 一方ルキナは、敵の弓兵の攻撃をかいくぐってファルコンを操るのに必死らしく、ヴィオールの手を気にしている様子もなかった。
 真っ白いファルコンに跨がって天空を翔るルキナの長い髪が勇壮に波打つ。
 その姿はいにしえの英雄王マルスの傍らでペガサスに乗って槍を振るっていたという伝説のシーダ姫を彷彿とさせた。シーダ姫もとても可憐な容姿をしていたと伝わっている。
 どさくさ紛れにヴィオールの手が、軍服を着たルキナの胸部にタッチする。
 円を描くように擦っていた。
(!?!?)

「我が軍師は熱心だな」
「ク、クロム」
「犠牲者を出さずに勝てそうだな」
「ま、まあね……」
「ヴィオールの進言を容れて、飛行系の獣騎を増やして正解だったか」
「それはどうかな」
「ん? なにか問題でもあるのか?」
「そういうわけじゃないけど……」
「珍しいな、お前がそんな顔をするのは」
「ねえ、どうしてルキナとヴィオールがデュアルを組んでるのかな? 僕だって出撃すればあれぐらい」
「ふむ。戦力の底上げがいるだろ」
「戦力の底上げ?」
「頼りになる新人が増えただろ? 俺とお前ばかりが活躍してると、そいつらが育たないからな。それにこれまで試してなかったデュアルを組ませて連携を深めておけば、戦術の幅が広がるんじゃないのか」
「だからって、よりによってヴィオールじゃなくても」
「ヴィオールが指名したんだよ」
「!!」
「しばらくはルキナにはヴィオールとデュアルを組んでもらうつもりだ」
「そんなこと僕は聞いてないぞ」
「すまん。軍師のお前に報告しておくのは俺の役目だったな。
 だが、これは俺もフレデリクも納得した上での判断だ。ヴァルム帝国の騎馬部隊に対抗するにはヴィオールのような弓の使い手がどうしても必要になる。それにあいつは帝国の内情にも詳しい」
「そうかもしれないけど……」
 クロムに私心がないことをわかっているだけに釈然としない。
 兵数で劣るイーリス軍としては、機動力で上回ることと敵の弱点でもある弓兵の組み合わせは最適だ。
 とくに今日のように足場の悪い砂地での戦闘となると、天馬騎士団など飛行系の部隊を数多く揃えているほうが圧倒的に有利になる。
 寡兵を持って大軍を破るには機動力こそが肝要なのは、軍略の大原則だ。
「とにかくこれはもう決まったことだ」
「くっ……」
「あいつには俺の後継者として覚えてもらいたいことがたくさんあるからな。ヴィオールも貴族の嗜みまでマンツーマンで教えてくれると快諾してくれたよ。
お前もあんまり心配するなよ。他に仕事があるだろ」
 クロムはイーリスの青空よりも爽やかな笑顔で俺の肩を叩いて、作戦本部のある天幕へとマントを翻して歩いて行った。
 王家育ちのクロムは、ヴィオールがどんなに好色な貴族なのか知らない。イーリス軍の女兵士の中には、奴に一夜限りの余興として遊ばれた者も少なくない。
 僕がルキナと付き合う以前から、デートに誘うなどちょっかいを出していた。若くてとびっきりの美人でイーリスの王女様なのだからヴィオールが目をつけないわけがない。
 訓練に忙しいルキナは手もなく断っていたが、僕はそのことが心配だった。



 夜中、こっそりベッドを抜け出した。
 ランプの灯りを弱くつけた。
 隣では、毛布を足下に蹴ったルキナがやや体を丸めて横向きに寝ていた。
 野営地にはいくつもの天幕が建てられ、敵の夜襲に備えて兵士たちが交代で見張りをしている。
 僕とルキナは、その一つに寝間を共にしていた。
 これは僕らが形式上の夫婦として認められている証でもあった。
 ルキナは一般兵に支給されている男物のシャツに純白のショーツという薄着を寝間着代わりにしていた。おとぎ話に出てくる王女様とはかなり違う。
「なにかおかしいですか? このほうが寝やすいですよ?」
「でも、ルキナもそういう年齢なのに……すごく無駄のないスタイルしてるね……ゴクリ」
「?? へんなルフレさん。目が泳いでますよ?」
 傍らには、いつ敵の襲撃があっても対応できるように鞘に収まったファルシオンと群青色の軍服がかけられている。
 ちなみに僕らの前に姿を現していた時につけていた仮面は、ジェロームに貸してもらっていたらしい。

 外からは虫たちの鳴き声が聞こえる。
 僕はルキナのベッドに近づき、シャツがずれそうな彼女の肩を揺すって「ルキナ、そんな格好で寝てると風邪を引くよ」と声をかけた。
 でも、まったく起きる気配がない。
 細い眉に前髪のかかる、切れ長のまぶたをしっかりと閉じた寝顔で、ゴロリと両腕を左右に倒して仰向けになった。
「今日もよく眠っているな。サーリャにもらった薬草がよく効いてるみたいだ」
 テーブルには、空になったティーカップが置かれている。

 ある日、ルキナは「サーリャさん、なにか美容にいい薬とかありませんか? 私も剣ばかり振ってないで、ルフレさんのために女らしいこともしたいと思いまして」と相談していた。
 サーリャは元ペレジアの呪術師だけあって、そういう薬草や占いなどに詳しい。
「……いいものがあるわよ」
「ほんとうですか?」
「あなたにぴったりの、夜摘み草をあげる」
「夜摘み草?」
「月のない夜に乙女が摘むから夜摘み草。寝る前にハーブティーにして飲みなさい。肌もすべすべになって、ぐっすり寝れるわよ。少しは女らしくなるんじゃない」
「ありがとうございます」
「毎晩欠かさず飲むのよ。うっふふふっ……」
 それ以来、ルキナは忘れずに飲んでいる。元々寝つきがいいせいもあってか、少々のことでは起きなくなった。

 僕はもう一度ルキナの肩を叩いた。
「おーい、ルキナ-。起きないの~? シンシアに朝食食べられちゃうよー?」
「すーすー……んー……シンシア……私だって料理ぐらい……」
「起きない、みたいだね……ゴクリ……」
 ルーズなシャツがずれて、細い鎖骨となだらかな胸元が大胆に見えている。くすんだアメジスト色の髪の隙間から覗くしなやかな首筋が、琥珀色をしたランプの灯りに照らされて色っぽく映っていた。
 王女様だけあって、ルキナの肌はどこもすべすべだ。色白で傷一つない。あれだけ激しい戦闘を繰り返しているというのに、ある意味神様の加護を受けている。

 安心しきって眠る寝顔は、暖かな花園でつかの間の休息を取る戦乙女を連想させた。まさにシーダ姫の生まれ変わりだ。
 僕は彼女が起きないのを確認して、男物のシャツをゆっくりと首のところまでめくった。
 控え目な腹筋に引き締まった腹部、うっすらと浮いたあばらのラインに続いて、限りなく平面に近い胸の膨らみにぽっちりとピンク色の乳首が乗っかった、発育途上のおっぱいが露わになった。とても、すごく上品だ。
 はっきり言って、ルキナは極度の貧乳だった。どこにも無駄な肉がついていない。これならその辺にいる10歳ぐらいの村娘のがマシなんじゃないかと思う。
 でも、僕はそんな子供以下のルキナの貧乳が大好きだった。

「ハアハア、今日もすごく綺麗だよ、ルキナ……」
 僕は思わず皮膚の薄いルキナの胸(板)に頬ずりした。
 やや高い体温と生命力を感じさせる鼓動のリズム。呼吸によって、静かに上下している。
 ルキナはまだまだ起きる気配がない。胸のポッチが寒そうだった。
「ファルコンは大変だったろ。上空は寒くなかったかい?」
 胸板に話しかけるように、ルキナのポッチに息を吹きかけた。
 まるで冷たい風が当たったみたいに反応する。
「ふう、いい香りだ。ルキナは本当に水浴びが大好きだよね」
 かすかに薔薇の香りと石鹸の香り、それに少女の匂い。僕はルキナの甘い体臭を思い切り鼻に吸い込む。
 くすんだアメジスト色の髪が乱れて広がっている姿も、とても美しかった。
 これがイーリス聖王国・王女の寝姿、匂いかと思う。
「僕はルキナの夫だからいいよね?」
 自分にそう理由をつける。正直、僕がルキナの夫でいいのかという気持ちもないわけではなかった。
 野卑な兵士の中には(規律の取れたイーリス軍にもそういう兵士はいる)、僕とルキナが陣中を並んで歩いていると、耳障りな口笛を吹いて、「見ろよ、あの王女様の引き締まったケツを。急に女っぽくなったな」とか「軍師殿に毎晩抱かれて男の味を覚えたんだろ」などとわざと聞こえるように言う者もいるが、それは違う。僕らはまだそういう関係を結んでいない。
 それはルキナの王女という立場が大きかった。国教会の幹部に、正式な式を挙げるまで性交渉の一切をしないようにと釘を刺された。若い王女がしきたりを破って婚前交渉を行うなどということは、由緒あるイーリス聖王国の品位にかかわるというわけだ。
 それにルキナは滅びの未来で戦いに明け暮れて育ったということもあって、そういうことにかなり疎い。

 僕はルキナの様子を真横からつぶさに観察しつつ、片手を伸ばして慎重にショーツを半分だけずらした。
 微妙な部分を外気に晒されたせいか、わずかに身震いする。
 ルキナのそこは、文字通り完璧なスリットだった。うぶ毛すら生えていない。柔らかなカーブを描いた天使の丘の真ん中に一本の亀裂があるだけだ。
「ハアハア、ルキナは無防備すぎるよ。僕はいつもヒヤヒヤする」
 たまらずルキナのポッチを口に含んで、(やや膝を開かせて)スリットを指で優しくなぞる。
 眠っているルキナの眉根がピクンと反応した。
 僕は指を止めた。
「ルキナ、起きたの?」
「う、うん……ルフレ……すーすー」
「ふー、おどろいた」
 今度はルキナの乳首を吸いながら、クリを中心に割れ目を何度も往復した。
 しだいに熱を帯びた内側がじっとりと湿ってくる。
 指に粘着質な淫液が絡み、ニチャニチャと音をたてはじめる。
 その頃には乳首が充血し、僕の吸引に確実に反応していた。
「これもサーリャがくれた夜摘み草の効果かい? ルキナの体の反応がどんどん良くなってるみたいだ」
 粘膜を擦って、指腹でクリの場所を優しく弄ると、まぶたをしっかり閉じているルキナが苦しそうに腰をわずかに捩らせた。
 ぐぐっと浮かせて、また元の位置に戻る。
 はあ、はあ、と呼吸も乱れてきた。
「気持ちいいのかい、ルキナ?」
 もちろん返事はない。ルキナは僕と抱き合っている夢でも見ているのか、時折「ルフレ……いけません……私たちには運命を変えるという使命が……」と、寝言をもらしていた。

「ルキナはこんなにも僕のことを愛してくれているのに。ヴィオールの奴なんかに指一本触れさせてやるものか」
 戦闘が終わったあとも、ルキナとヴィオールは同じファルコンの背中に相馬して、なにやら真剣に話していた。
 息が当たるぐらい顔をくっつけてしゃべる二人の姿を、僕は遠くの木陰から眺めていた。
 たぶん連携に関して反省点みたいなのを洗い出していたのだろうけど、横から割って入れるような雰囲気ではなかったのはたしかだ。
 しかもヴィオールは、さりげなくルキナの胸や脚にタッチしていた。
「ルキナくんはファルコンの操獣も一流だね」という、口の動きだった。

「クロムの命令じゃなければ、絶対に奴とデュアルさせないのに。……軍師が。なにをしてるんだ、僕は」
 戦場でのルキナの真剣な眼差しを思い出して、急に自己嫌悪になった。
 ルキナはいつだって滅びの運命と戦っている。
 彼女の下着とシャツを元通りに直して毛布を肩のところまでかけると、僕は自分のベッドに寝転がった。
「どうも良くない。最近は僕の中に別の邪悪な僕がいるみたいだ。そもそもルキナが他の男に気を許すわけがない。ヴィオールとのデュアルにしたって、この戦争が終わるまでの辛抱じゃないか」

 そうすれば晴れて僕とルキナは本当の夫婦になれる。
 順調にいけば、ヴァルム帝国との戦闘は一月ほどで終わる計算だった。

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